昨日中央三井アセット信託銀行に対して、インサイダー取引に関して課徴金を科すよう証券取引等監視委員会が金融庁に対して勧告した。
インサイダー取引による課徴金の金額は5万円。5万円の罰金といえば、スピード違反の罰金でも取られる可能性があるから、大きな金額ではない。なぜ課徴金の額が少ないか?というと、課徴金は不正に得た利益に対してかかるが、中央三井は顧客(外国のファンド)勘定で、空売りをして顧客のために利益を上げたので、同行の利益は運用報酬のため、課徴金は小さかった。
今朝の全国紙朝刊で見ると、インサイダー情報のルート(証券会社)は明示されていなかったが、その後野村證券が中央三井に国際石油開発帝石が増資をするというインサイダー情報を伝えたことを謝罪したことが明らかになった。
なおインサイダー情報を伝えた野村證券の営業担当者は、それにより経済的な便益を受けていないので罰金の対象にはならないそうだ。
中央三井に対する課徴金も小さいと思うが、野村の担当者が懲罰の対象にならないというのも違和感のある話だ。インサイダー取引の取り締まりを強化するには罰則の見直しが必要だろう。
ところで中央三井アセットは、今月一杯でその看板を下ろし、4月1日には三井住友信託銀行に統合される。中央三井は謝罪の中で「今後内部の法令遵守メカニズムを強化するだろう」と述べていたが、それは新しい銀行の課題となってしまった。
以前中央三井アセットに身を置いたことがある私としては、会社としての晩節が穢れたことが残念だった。中々終り良ければ総て良しとはいかないものである。