昨日欧米のマスコミを賑わしたのが、ゴールドマンザックスの中堅社員グレッグ・スミス氏がニューヨーク・タイムズに投稿した内部告発だ。
ロンドンでデリバティブを担当していたスミス氏は、早朝に電子メールで辞職を届けた後、ニューヨーク・タイムズに「ゴールドマンの企業文化はメチャクチャになり、自社の利益を顧客の利益に優先している。ゴールドマンの役員達は顧客を「操り人形」だと言っている」という主旨の告発文書を送った。
「操り人形」muppetは俗語で「バカ」という意味もあるから、これが本当だとしたら、ゴールドマンザックスは随分顧客をナメたものである。
これはゴールドマンが自己の利益のために、顧客の利益を犠牲にしているという一連の申し立て・主張の新しい一つに過ぎないが、内部告発が公になったのは初めてだ。
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ゴールドマンに代表される投資銀行(証券会社)が、顧客の利益より自社の利益を大事にしている・・・・ということが常に事実であるかどうかは分からないが、今の証券会社や金融機関が「自社が儲かる商品を販売しようとする」傾向が強いことは、個人取引でも常日頃感じるところである。
例えば投資家の利益を優先して考えると、販売手数料や信託報酬の低い上場型投信のような商品が推奨されてしかるべきなのだが、金融機関の窓口では、もっと金融機関にとって儲けの大きな商品が勧められる。
顧客を操り人形と呼ぶかどうかは別として、顧客を「収益の源泉」と見ていることは間違いない。
ところで投資銀行等金融機関に勤める職員もまた会社から「報酬で操られる」操り人形である。会社が操るということは、役員や幹部職員が操るということなのだが、実はそれらの人間も一定の年齢を過ぎると会社を辞めていく。そういう意味では彼等もまた「操り人形」に過ぎないといえるかもしれない。そういう意味では「操り」の元凶は「収益至上主義」というべきなのだろう。
ゴールドマン内部告発の話が今後発展するかどうかは分からない。だが我々は「口の上手い」金融機関の人の話には裏があるのでないか?少なくともこの人はそのサービスや商品を売ることでかなり儲けを企んでいるのではないか?と思って話を聞く必要はあるだろう。