〝重忠ぶし〟
一 秩父の嶺に 雲は湧き
流れも清き 都幾川(つきがわ)の
山河ゆかしき 菅谷野は
関東武士の かがみなる
重忠公の やかた跡
二 文武の道に 励みたる
誠忠無比の 精神(まごころ)は
源平宇治の たたかいに
ひよどり越えの かちどきに
先陣競う 男意気
三 風雲告げる しらせにて
鎌倉山に 急ぐとき
二俣川の 夕まぐれ
世に謳(うた)はれし 英雄も
天命ついに 果敢なしや
四 時は過ぎゆく 幾星霜
菅谷野山河 遷(うつ)るとも
鎌倉武士の 功(いさ)をしは
われ等がたぎる 熱血に
生きてぞ通う 重忠ぶし
『菅谷村報道』157号 1965年(昭和40)2月10日
※埼玉県知事畑和(はたやわら)作詞、三橋美智也歌唱の重忠節が発表されたのは、1977年(昭和52)7月21日である。
一 国は武蔵の畠山
武者と生まれて描く虹
剛勇かおる重忠に
いざ鎌倉のときいたる
二 平家追い討つ一の谷
愛馬三日月背に負えば
そのやさしさに馬も泣く
ひよどり越えの逆落とし
三 雪の吉野の生き別れ
恋し義経いまいづこ
静の舞の哀れさに
涙で打つや銅拍子
四 頼み難きは世の常か
誠一途が謀反とは
うらみも深く二俣に
もののふの意地花と散る
五 仰ぐ秩父に星移り
菅谷館は苔むせど
坂東武者のかがみぞと
面影照らす峯の月