佐藤直曉の「リーダーの人間行動学」 blog

リーダー育成のための人間行動と人間心理の解説、組織行動に関するトピック

米国金融界の能天気

2009-03-19 10:01:19 | 人間行動学
昨日は昼休みに日韓戦を見ました。

幸運にも、あの試合は昼休みに見るだけで十分でしたので、仕事をさぼる必要がありませんでした。よかった、よかった。

日本人野手にはあんな選手しかいないのでしょうか。あの貧打では。日本野球のレベルは相当落ちているのか。

週刊誌に「イチローに忍び寄る老い」という記事が出ていましたが、彼も歳をとったということでしょうか。35歳ですからねえ、残念。

さて、今日はアメリカ経済に眼を向けました。

AIGという世界でたしか12万人くらいの大保険会社ですが、いまこれが問題になっている。

いうまでもなく、金融部門がえらいことになっているわけです。金融部門は、12万人のうちのわずか450人の部門なのですが、それが会社の足を引っ張り、メインの保険部門など他部門の社員はボーナスをもらえないでいる。

しかも、この影響は、AIG全社どころか世界の金融を危うくしているということです。

そのため、アメリカ政府は税金を投入してなんとかしのごうとしている。

ところが…AIGは金融部門の幹部にボーナスを支払ったという。

その額、1億6千500万ドル。ざっと160億円だ。300人くらいに支払われたようだ。

これには一般のアメリカ人が怒った。オバマも怒った。

ところが、AIG金融部門ではボーナスは当然という空気がある。

好調時は、AIG全体の0.3%の人間で粗利の15%を稼ぎ、平均年棒は1億円だったそうです。

AIGに限らず、この業界では「年俸が(日本円にして)数億円単位は当たり前」という空気なんだそうです。

それが、昨年のAIGの損失は992億ドル(ざっと10兆円ですよ! いま、私はこれを円換算するのにものすごく時間がかかりました。あまりにでかい数字なので、桁がわからなくなったのです。計算あってるかなあ)。

内部にはこういう理屈があるそうです。

「契約でボーナス支給が決まっているので、それを破ると社員は訴訟を起こす」

自分たちが会社を危うくしてよくいうものだと思いますが、アメリカは契約をたてにとる社会ですから。

また、こういう意見もある。

「ボーナスが支給されずに退職者が続出したら、会社の存続さえ危うくなる」

盗人の論理みたい。一般の声と当事者の間ではずいぶんギャップがあります。

一方、公的資金投入のさいに「ボーナスを支給しない」という条件をつけなかったということで、ガイトナー財務長官の不手際も指摘されています。

バッドバンク構想の頓挫やら今回の騒動やらで、ガイトナーさんの手腕には?がつきはじめています。

この人は、もしかしたら金融の理論家・専門家ではあっても、政治家の才はないのかもしれません。

それはともかく、社会の常識と金融業界の常識が大きくずれているのが露呈してきました。

これまでもギャップがあったのですが、業界の見せかけの好調と、民間事業だということで問題視されなかった。

それが、政府が介入せざるをえない状況になって突然白日の下にさらされたわけです。

ふつうなら、アメリカ政府は介入などせず、「潰れるところは潰れろ」と知らぬ顔でよかった。だから、業界意識と一般意識にギャップがあっても問題にはならなかった。ダメなとこは潰れていたんですから。

ところが、今度は潰すには大きすぎるということで政府が介入せざるをえなくなった結果、こういう問題が生じたということでしょう。

NY株は能天気に上げて戻しておりますが、その足下で金融界はぐらぐらです。そのうちドカが来て、株価はドスンと下げるのではないでしょうか。

アメリカの多くのエコノミストは、今年後半には景気回復すると予測しているようですが、これもWishful Thinking(希望的観測)でしょうね。

だいたい、アメリカ人というのは楽天的な人種が多いのです。

日本人は悲観的な人が多い。

だから、景気のよくなるときはアメリカ人の予測が当たり、景気が悪くなるときの予測は日本人が当たる。

予測なんてものは個人の主観です。客観的な数字をこしらえて見せてはおりますが、結局は主観です。

止まっている時計ですら、1日に2回は正確な時刻を告げる。その程度のもんですな。


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