佐藤直曉の「リーダーの人間行動学」 blog

リーダー育成のための人間行動と人間心理の解説、組織行動に関するトピック

リーダーの暗示学25――成就した長嶋監督のプロセス暗示

2004-12-31 10:36:33 | 長嶋監督の暗示戦略
 「障害克服型の暗示を提示した長嶋監督」  このシーズンで最高の暗示と言えば、9月19日、中日との3連戦の前日に語られた 「第一ハードルは越えた。明日からの5連戦の第二ハードルを越えれば、もう少しだ。そうすれば、第三の最後のハードルまで行ける」という発言であった。これは、障害克服型の課題を提示した暗示とも言える。  たしかに、これは圧巻であった。この発言の巧みなところは、このステップをハードルと . . . 本文を読む

リーダーの暗示学24――長嶋暗示の炸裂

2004-12-30 09:18:48 | 長嶋監督の暗示戦略
「ついに鞭が入る」  9月20日からはじまる対中日三連戦の前日の19日、練習前におもしろいことがあった。それは奇妙なシーンから始まった。  選手、首脳陣合わせて30人余りが芝生の上で車座になり、そこへ静かに長嶋監督が歩み寄って腰を下ろし、「僕がこんなことを言うのは珍しいことなんだけどな」と話しはじめたのである。 「いいか。11.5ゲームも離された時は、もう追いつかないと思っただろう。だがそれを . . . 本文を読む

リーダーの暗示学23――長嶋監督一世一代のプロセス暗示

2004-12-29 09:04:36 | 長嶋監督の暗示戦略
「8月攻勢と松井神話」  8月に入ると、巨人の快進撃が始まった。  8月1日には、7月30日からの広島3連戦の勝ち越しを決め、この時点で、広島との差は4ゲームにまで縮まっていた。  長嶋監督は、 「この勝負の8月を乗り切れば、9月以降は総力戦です。アトランタ五輪、そして夏の甲子園大会が終わると、いよいよプロ野球の秋の陣。皆さんにミラクルをお見せします」  と言い切った(10)。  巨人は、8 . . . 本文を読む

リーダーの暗示学22――長嶋監督・メイクドラマの予言

2004-12-28 09:18:22 | 長嶋監督の暗示戦略
「調子のあがらない巨人」  希望追求型の暗示を用いた長嶋監督には、投手陣さえ立ち直れば、夏場には上に行けるという確信があった。  そのため、長嶋監督は、投手陣に無理をさせなかった。特に斉藤雅樹は大事に使った。ローテーションをあえて飛ばしたし、100球でマウンドから降ろしたこともあった。  しかし、巨人は6月に入って再び調子を落とし、借金生活に逆戻りしてしまった。6月の成績は8勝14敗、通算では . . . 本文を読む

リーダーの暗示学21-長嶋暗示と希望追求

2004-12-27 11:41:09 | 長嶋監督の暗示戦略
「空中分解したロケット」  事態は監督の予言どおりにはいかなかった。15試合を終えた時点で、思いもかけない6勝9敗。惨澹たる結果だった。 「ケネディ宇宙センターから発射されたロケットは、フロリダ沖の青い海の中に消えてしまいました。でもアメリカや(旧)ソ連だって何度もロケット実験に失敗してるんですよ。ウチはまだ一発目ですからね。2発目、3発目を打ち上げなくてはなりません。われわれは秋から逆算してや . . . 本文を読む

リーダーの暗示学20――長嶋監督のプロセス暗示

2004-12-26 10:44:05 | 長嶋監督の暗示戦略
「1996年――メイクドラマの成就」  ゴールに到達するまでに、「これこれのプロセスをたどっていく」と、あらかじめ進行プロセスを予告し、そのとおりに事態が進行していくことを確認させ、またそのプロセスの実現のために行動させることで、ゴール達成を確信させる暗示がある。これを「プロセス暗示」という。なお、これは私の造語である。  この暗示は、個人にも使えるが、集団に特に有効である。したがって、リーダー . . . 本文を読む

リーダーの暗示学19――暗示的言葉の使い方(続)

2004-12-25 08:03:11 | リーダーの暗示スキル
「写実の重要性」  ある経営問題の研究会に参加していたときのことです。この研究会の中に、妙に服装にこだわっている学者がいるのに、私は気がつきました。ある日などは、ジャケットから靴まで、完璧に茶系に統一してきていました。  ご本人は、相当お洒落なつもりらしいのですが、、当人の意図とは違って、どことなくやりすぎというか、ちぐはぐな感がしないでもなかった。少なくとも、私にはそう見えました。  会議 . . . 本文を読む

リーダーの暗示学18――暗示的言葉の使い方

2004-12-24 11:30:31 | リーダーの暗示スキル
「暗示学とレトリック」  暗示学を学ぶ者にとって、レトリックは空想を喚起させるという点において、多くの示唆を与えてくれます。今日は、そのあたりのさわりを紹介しましょう。  レトリック研究の第一人者である中村明の『名文作法』(PHPエディターズ・グループ)に、「表現の深さ」をどう感じるかというアンケート調査の結果が載っていました。  たとえば、「生まれてから死ぬまで」という言い方と、「ゆりかご . . . 本文を読む

リーダーの暗示学17――長嶋暗示の謎解き

2004-12-23 10:36:41 | 長嶋監督の暗示戦略
「『打てない』から『打てる』という空想への転換」  長島監督の用いたビデオは、今中を打ち込んだ場面だけが編集されていました。  このシーズン、巨人は今中にコテンパンにやられていたのです。そこで、監督は、今中を打ち込んだ場面だけを編集して、選手に見せたのです。その結果、選手たちの空想が、「今中は打てない」から、「今中を打てる」に転換したわけです。  長嶋監督は選手たちの空想を変えようと目論んだ . . . 本文を読む

リーダーの暗示学16――長嶋監督会心の暗示

2004-12-22 10:13:10 | 長嶋監督の暗示戦略
「暗示とは何か」  いくつかの百科事典を調べたところ、だいたい次のようなことが書かれていました。  暗示とは、他者によって与えられた言葉、映像やシンボルなどによって、考えや行動がいつの間にか変化してしまう作用のことである。  巧妙な暗示にかけられると、相手は自分の変化が、他者によってもたらされたということに気がつきません。相手はいつの間にか、こちらの思うとおりに動いてしまうのです。どうして、 . . . 本文を読む