思いがけず、阪神が日本シリーズで4連敗の敗退。もうちょっと、やりようがなかったのでしょうか。それで長嶋監督の日本シリーズ対策を思い出しました。今日は久しぶりに長嶋監督の暗示型戦略を取り上げましょう。
「第6戦がビッグゲームになる」
長嶋監督は、世間で考える以上に戦略的な人です。そして、心理作戦を非常に勉強した人です。「ホントかい」と、疑う人もいるでしょうが、まあ、この先を読んでください。
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「成功パターンの魔力」
今日は久しぶり長嶋茂雄監督のお話をしましょう。もちろん、監督の用いた暗示のことですよ。
その前に、成功パターンについてです。野球でいえば、「勝利の成功方程式」がそれにあたります。これは、たぶん長嶋監督得意の造語のひとつだと思いますが。
長嶋監督は対横浜戦で、こんなようなことを言っていたと記憶しています。
「佐々木が出てくるから、8イニング目までが勝負だ」
野球 . . . 本文を読む
「障害克服型の暗示を提示した長嶋監督」
このシーズンで最高の暗示と言えば、9月19日、中日との3連戦の前日に語られた
「第一ハードルは越えた。明日からの5連戦の第二ハードルを越えれば、もう少しだ。そうすれば、第三の最後のハードルまで行ける」という発言であった。これは、障害克服型の課題を提示した暗示とも言える。
たしかに、これは圧巻であった。この発言の巧みなところは、このステップをハードルと . . . 本文を読む
「ついに鞭が入る」
9月20日からはじまる対中日三連戦の前日の19日、練習前におもしろいことがあった。それは奇妙なシーンから始まった。
選手、首脳陣合わせて30人余りが芝生の上で車座になり、そこへ静かに長嶋監督が歩み寄って腰を下ろし、「僕がこんなことを言うのは珍しいことなんだけどな」と話しはじめたのである。
「いいか。11.5ゲームも離された時は、もう追いつかないと思っただろう。だがそれを . . . 本文を読む
「8月攻勢と松井神話」
8月に入ると、巨人の快進撃が始まった。
8月1日には、7月30日からの広島3連戦の勝ち越しを決め、この時点で、広島との差は4ゲームにまで縮まっていた。
長嶋監督は、
「この勝負の8月を乗り切れば、9月以降は総力戦です。アトランタ五輪、そして夏の甲子園大会が終わると、いよいよプロ野球の秋の陣。皆さんにミラクルをお見せします」
と言い切った(10)。
巨人は、8 . . . 本文を読む
「調子のあがらない巨人」
希望追求型の暗示を用いた長嶋監督には、投手陣さえ立ち直れば、夏場には上に行けるという確信があった。
そのため、長嶋監督は、投手陣に無理をさせなかった。特に斉藤雅樹は大事に使った。ローテーションをあえて飛ばしたし、100球でマウンドから降ろしたこともあった。
しかし、巨人は6月に入って再び調子を落とし、借金生活に逆戻りしてしまった。6月の成績は8勝14敗、通算では . . . 本文を読む
「空中分解したロケット」
事態は監督の予言どおりにはいかなかった。15試合を終えた時点で、思いもかけない6勝9敗。惨澹たる結果だった。
「ケネディ宇宙センターから発射されたロケットは、フロリダ沖の青い海の中に消えてしまいました。でもアメリカや(旧)ソ連だって何度もロケット実験に失敗してるんですよ。ウチはまだ一発目ですからね。2発目、3発目を打ち上げなくてはなりません。われわれは秋から逆算してや . . . 本文を読む
「1996年――メイクドラマの成就」
ゴールに到達するまでに、「これこれのプロセスをたどっていく」と、あらかじめ進行プロセスを予告し、そのとおりに事態が進行していくことを確認させ、またそのプロセスの実現のために行動させることで、ゴール達成を確信させる暗示がある。これを「プロセス暗示」という。なお、これは私の造語である。
この暗示は、個人にも使えるが、集団に特に有効である。したがって、リーダー . . . 本文を読む
「『打てない』から『打てる』という空想への転換」
長島監督の用いたビデオは、今中を打ち込んだ場面だけが編集されていました。
このシーズン、巨人は今中にコテンパンにやられていたのです。そこで、監督は、今中を打ち込んだ場面だけを編集して、選手に見せたのです。その結果、選手たちの空想が、「今中は打てない」から、「今中を打てる」に転換したわけです。
長嶋監督は選手たちの空想を変えようと目論んだ . . . 本文を読む
「暗示とは何か」
いくつかの百科事典を調べたところ、だいたい次のようなことが書かれていました。
暗示とは、他者によって与えられた言葉、映像やシンボルなどによって、考えや行動がいつの間にか変化してしまう作用のことである。
巧妙な暗示にかけられると、相手は自分の変化が、他者によってもたらされたということに気がつきません。相手はいつの間にか、こちらの思うとおりに動いてしまうのです。どうして、 . . . 本文を読む