「さとかず」の読書のススメ

シンガポールから送る独断的な読書録
(基本ルールとして、単行本は出版社名、文庫本は文庫シリーズ名を記載)

存在が芸術?ジャン・コクトー

2005-03-31 19:00:00 | 思想・文学
「私の耳は貝の殻 海の響きを懐かしむ」
そう、私の好きな作家・画家の一人として外せないのが、ジャン・コクトーです。

読了本
「大胯びらき ジャン・コクトー 河出文庫」
「怖るべき子供たち 角川文庫」
「山師トマ 同上」
「コクトー詩集 同上 新潮文庫」
「僕自身あるいは困難な存在 筑摩書房」
「鳥刺しジャンの神秘 同上 求龍堂」
その他数冊。

入手本
鳥刺しジャンの神秘 初版本(本人の落書きらしきものアリ)
入手経路 ジャン・コクトー(多分バイセクシャル)=>男の愛人=>その若い(といっても今はいい歳でしょう)男の愛人=>画廊=>私
私が10年弱持ってますが、出版後70年くらいで私の元にたどり着いたというわけです。同時期に東京で販売されていた「白書」は女性が買っていったとの事。
本当は版画を買うつもりだったのですが・・・・・・(これもコロライドという刷り方とのことですので、版画といえば版画の一種でしょう。豪華本の類で1ページが一枚ごとに分かれており、綴じられた冊子にはなっていません。写真はその25ページ目)。
ちなみに、ジャン・コクトーの字は非常に下手です。

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イギリスの小説、「この世界を逃れて」

2005-03-30 09:43:55 | 思想・文学
白水社、良質の海外小説を紹介し続けています。

本日読了
「この世界を逃れて グレアム・スウィフト 白水社」
静謐な物語、次第にピントが合うように過去と現在、人と人が擦り寄ってきます。娘の存在が今ひとつ弱い感あり。

戦場カメラマンとは?
読了本
「ちょっとピンぼけ ロバート・キャパ 文春文庫」
「ライカでグッバイー沢田教一が撃たれた日 青木富貴子 文春文庫」

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記憶のあいまいさ 高橋克彦という短編作家

2005-03-29 21:00:00 | 思想・文学
思い出すと言うことは忘れていたということ。マドレーヌの香りが、踏み外した足元が、記憶を呼び起こす鍵となりえます。
また、人の脳というものはよくできていて、嫌なことを押し込め忘れる傾向にあり、すべてをなつかしい思い出に変えて行けるのです、多分。
しかし、フトした瞬間に思い出さなくてもいい事を引き寄せる場合もあるようです。

高橋克彦の短編はそんなひと時を味わえます。
読了本
「蒼い記憶 高橋克彦 文藝春秋社」
「緋い記憶 同上 文春文庫」
「前世の記憶 同上」
「総谷門 同上 講談社文庫」
他浮世絵シリーズ1冊(どの本か失念)など
短編が面白い作家です。長編では最後にオカルトに走ってしまい、ハハハですね。

余談ですが、今日未明の地震は何とシンガポールの我が家もかすかにゆ~ら、ゆ~らしました。
東南アジアに暮らして12年になりますが、初めてのことです。昨年の津波を引き起こした地震も揺れを感じなかったのに・・・・・・。

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スタンダール「赤と黒」を買いました。

2005-03-29 02:16:02 | 思想・文学
私のお気に入りのブログのひとつの運営者似非スタンダリアンさんのオススメにより昨日購入した「赤と黒 上 スタンダール 新潮文庫」。
日本では514円+消費税のところ、シンガポールは13.30シンガポールドル(GST<消費税みたいなもの>込み)しました(1シンガポールドルはだいたい65円程度です)。シンガポールにある古本屋でも探したのですが、ありませんでしたので、紀伊国屋シンガポールで購入。

ゆっくりと読んでみます。

思わず買ってしまった「殴られ屋 晴留屋明」

2005-03-28 23:58:57 | その他
本日はシンガポールにある古本屋に寄って、手に取った本が「殴られ屋」です。

本日購入&読了
「殴られ屋 晴留屋明 幻冬舎アウトロー文庫」
表紙の顔がいい味を出しています。事業の失敗での負債・1億5千万の借金をどう返すか?ここまで自己破産が広く知られた中で、それをしない生き方に惹かれます。
「男にはワケがある」、アウスレーゼのコピーでしたでしょうか?

また、会社の運営などは人がいいとできないのですね(ご本人は人がいいと通り過ぎているような気もしますが)。その点は納得です。

晴留屋明の現在です。借金が増えている・・・・・・。

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帰国者を空港に見送りして思うこと

2005-03-27 10:18:08 | 
シンガポールで仕事を始めている為にいつ帰国するか、また日本に再び住むことがあるかは不明です。自分の意思で海外にいるということで、オデュッセウスとは違いますが、見送りに行くと何となくセンチになるものです。

読了本
「オデュッセイア 上・下 ホメロス 岩波文庫」
知将オデュッセウスの帰国への物語。妻の名前から類推するに、現在では絶対夫を待てないでしょうね。
トロイ戦争を主題にした「イリアス 上・下 同上」(読了)も合わせてお読みください。映画トロイの原作です。
関連本
「ユリシーズⅠ・Ⅱ・Ⅲ ジェイムズ・ジョイス 集英社」(Ⅱの途中まで読了)

余談ですが、古代ギリシア語を齧っていて、大英博物館のロゼッタ石のギリシア語が2文字わかっただけですが、感動しました。
古代ギリシア語オススメWEBサイト
このサイトはたまに眺めています。

学生時代に将来はギリシアに住みたいなと思っていた私は15年前の旅行で、ウゾーが飲めないこと、またギリシアにはすでに古代ギリシア人は絶滅していないことを知ったショックで移住を諦めました。

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本日購入雑誌
週刊文春

ネバーランド 恩田陸 を読んで

2005-03-26 19:38:31 | 思想・文学
本日読了「ネバーランド 恩田陸 集英社文庫」
思っていたよりも面白く、たまにはこのような小説を気楽に読むのも気分転換によいものでは?自身の高校時代に照らし合わせて読むことになると思います。不思議と記憶と言うものは嫌なことは忘れてしまい懐かしさが残るものです。

三田誠広の小説にもこのような読後感があります。

読了本
「僕って何 三田誠広 集英社文庫」
いまだに三田誠広の代表作
「いちご同盟 同上」
何となく買って読みました。
倒産した三田工業の同族だった作者(大株主だった)は早稲田で創作の授業を持っているようです。小説を書くだけでは路頭に迷うところでしたね。

空手バカ一代

2005-03-26 12:00:00 | その他
かーらてのみちはひとのみぃちー

男に生まれてきたならば、誰でも一度はマス大山に憧れたことがあるでしょう。
私も何を隠そうそのひとりです。幼馴染が極真空手を習いに行っていて、うらやましかったのを憶えています(私は親の反対で行かせてもらえませんでした。母親曰く「キチガイに刃物」)。

とにもかくにも、マス大山が日本語が上手ければああも極真の分派が生まれなかったのでは?と思う私です。

さて、昔、アントニオ猪木監禁事件に参加した人と飲んだことがあります。
「他人を悪人呼ばわりしやがって、お前の方が俺よりずっと悪い」と言われてしまいました。
他の人たちはかなり遠慮していましたが、私は全然気になりませんでした。
とても、飲んでて楽しい人でした。また、お会いしたいです。

しかし、何故、人の道を踏み外した人が目立つのでしょうか?

読了本
「猪木寛至自伝 猪木寛至 新潮社」
幸せな人です。周りがかわいそうですが。
「懺悔録 梶原一騎 幻冬舎アウトロー文庫」
波乱万丈な人生です。台湾で娘が誘拐殺害されたのはいつだったでしょうか?

「空手バカ一代」、ご存知メリージェーンつのだひろ(昔、新宿初台の商店街ですれ違いました)のお兄さん、つのだじろうの漫画を読むと、どうしても「恐怖新聞」を「うしろの百太郎」を、連想してしまいます。

 

3月24日購入本(井上ひさし、城山三郎、佐々淳行)、我ながらしぶいチョイスです。

2005-03-25 02:44:14 | その他
昨日は以下の本を購入しました。

「東京セブンローズ 上・下 井上ひさし 文春文庫」
恥ずかしながら井上ひさしを買うのは初めてです。私の読書の大きなテーマ、昭和初期から戦争、敗戦、占領時代という時期のお話ですので、読むのが楽しみです。

「ビッグボーイの生涯 五島昇その人 城山三郎 講談社文庫」
がんばれ東急グループ!
城山三郎は特定の実在の人物に焦点を合わせた本が私的には好きです。
本日(3月25日)、読了。

「連合赤軍「浅間山荘」事件 佐々淳行」
カバーに実戦「危機管理」と名うってます。好きですね、この人危機管理が。

存在の耐えられない軽さ

2005-03-24 00:00:00 | 思想・文学
ニーチェの永劫回帰で始まる「存在の耐えられない軽さ」、オススメの1冊です。

ミラン・クンデラには政治に翻弄される哀しさが沈殿しています。
冷戦の中、抑圧的共産党国家が元気(たとえ、から元気であろうとも)である為に輝いた作家。
ビロード革命と呼ばれた反共産主義革命において、ミラン・クンデラは再び立つ拠り所を無くし、亡命者から漂流者となったのでは?

永劫回帰は、誰かが言っていましたが、ちび黒サンボのトラの回転と思えば解り易いとの事、本当でしょうか???同心円で同じところをまわり続けることで現象が固定化され、......あれっ、他の物質になること???わからん。
まあ、何はともあれ、同じ事を繰り返す人生なんて嫌ですね。

読了本
「存在の耐えられない軽さ ミラン・クンデラ 集英社」
映画もオススメ!
「不滅 同上」
「緩やかさ 同上」
「冗談 同上 みすず書房」

入手済み未読
「生は彼方に 同上 早川書房」
どうしても挫折してしまう本です。

私自身は、年とともに体重は重くなり、反比例するように人間性は軽くなってます。

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鷲は舞い降りた・・・・・・残念ながら飛び立ってしまった・・・・・・やめとけばよかったのに

2005-03-23 00:00:00 | 歴史・戦争
昔、千葉の習志野に住んでいました。
習志野と言えば空挺部隊、国・時代は違えど精鋭部隊です。

命知らずの空挺部隊の活躍は、

読了本
「鷲は舞い降りた ジャック・ヒギンズ ハヤカワ文庫」
「鷲は飛び立った 同上 早川書房」
鷲は飛び立たなくてよかったのに・・・・・・、これが正直な私の感想です。

ジャック・ヒギンズの1冊は「鷲は舞い降りた」ですね、やっぱり。

手元読了本
「テロリストの薔薇を 同上 ハヤカワ文庫」
「黒の狙撃者 同上」

「鷲は舞い降りた」は劇的優勝をした青木功(いかりや長介と持っている雰囲気が似ていると思うのですが、どうでしょうか?)の為に新聞に引用されたこともあります。上手いですね。

写真は去年シンガポールに舞い降りたイーグルスです。

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青山圭秀 どう読むか

2005-03-22 00:00:00 | 思想・文学
本読みにおいて厄介なのはこのような作家です。
読むと確かに面白い、しかし、人に薦めてよいのか?
あまりにも批判精神を持っていない人たちが世に多いことを学んできました。
TV、新聞、本で述べられることが真実として語る人たちの多いこと。
私たちは本質の上澄みを飲んでいるだけかもしれません。

読了本
「理性のゆらぎ 青山圭秀 幻冬舎文庫」
「アガスティアの葉 同上 幻冬舎文庫」

入手済み未読本
「大いなる生命学 アーユルヴェーダの精髄 同上 三五館」

私がバックパッカー時代から言われたことです。インドに行くと身体は帰ってきても心が返ってこないと・・・・・・。
奇しくもオウム・サリン事件10周年。
何に頼り、何を信じたのか?
解らないことを解り得ないものとし、他者に頼らずそのままにしておく事も時には必要なのでは?

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「サウジアラビア 中東の鍵を握る王国」を読んで

2005-03-21 23:21:20 | 政治・経済
本日読了本
「サウジアラビア 中東の鍵を握る王国 アントワーヌ・バスブース 集英社新書」
考えさせられる1冊です。
アメリカ合衆国が湾岸戦争後に中東への石油依存率を下げているのに反して、日本は国策よりも価格と言う面で依存率が上がっていることを考えると・・・・・・。

上記本で必要なのは、
1、年表(世界、近隣諸国、国内ごとに)
2、簡単な人名解説
3、サウジアラビア王族の血族関係図
4、イスラム教の言葉に関する説明(原注だけでは不足)
興味深い本ですが、未完成ですね。

小学館文庫で中東の歴史概略本を読みましたが、本の名失念。

気になる作家のひとり・・・・・・だと思う、チャールズ・ブコウスキー

2005-03-21 00:00:00 | 思想・文学
誰にとっても気になる作家がいるものです。本があると手にとってしまう、本当は別の本を買おうと思ったのに、思わず買ってしまった・・・・・・そんな迷惑な作家。
私にとってその位置にいる作家はチャールズ・ブコウスキー。
スラングが多いであろう原書の味あいはどのようなものだろうと思っています。
別冊での特集で見た写真、うらびれたアパートで何故かバーベルを持ち上げてビールでパンパンのおなかを出している姿・・・・・・不気味でした。

読了本
「町でいちばんの美女 チャールズ・ブコウスキー 新潮文庫」
「詩人と女たち 同上 河出文庫」
入手済み読書中
「ありきたりの狂気の物語 同上 新潮文庫」
「ホット・ウォーター・ミュージック 同上 新宿書房」

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海外で働き、暮らすこと

2005-03-20 11:05:32 | 
海外で働き、暮らすことについて、身近なことになったのではないでしょうか?
色々な人がいます。
読了本
「「在外」日本人 柳原和子 昌文社」

種類をおおまかに分けると
1、海外駐在員=>企業・団体から数年単位で派遣、まれに長い人でずっといる人もいます。
2、移住組=>その人が移住する場合、または、親の代から暮らしている人(この人くらいまでは日本国籍であったりもします)。
3、現地採用(移住の予定なしの人)=>その国で働きたいとこちらで仕事を探す人。
(1~3の配偶者の方々については省きました)

1=大企業だから待遇がよいとは限りません。また、帰国命令が出た時に独立などに心が動く場合があります。ただ、会社の看板を背負った付き合いを自分個人との付き合いと勘違いしては墓穴を掘ります。その見極めが肝心。
2=職業やポジションによって大きく生活水準が違います。事業を始めている人もいます。
3=特殊な能力を持っている人などを別にして、日本で働く以上に日本人であることを求められる場合が多くあります(日系企業以外での求人も増えていますが、日本人であることを求めているようです)。同じ会社で給料とポジションが確実に上がる人と会うたびに働く会社が変わる人と2種類に別れる傾向にあります。将来的に日本に帰国することを考えている場合には、いつ帰るかを見誤ると大変です。駐在員を帰して現地採用日本人とする場合には、給料もある程度の水準となります。ただ、移住組のほうがその仕事に就く場合が多いようです(企業としては帰国予定のない人のほうが長く働いてもらえるとの判断でしょう)。

旅をするのと違い、海外に暮らしても刺激的なことはありません。平凡な毎日の生活が続くのです。丸山眞男だったでしょうか、日々の生活と言うものは刺激的なことなどなく、平凡な同じことの繰り返しだと言ったのは。

本日読了本
「真昼の花 角田光代 新潮文庫」
今ひとつふたつ何か物足りない感を得ました。川本三郎の解説も苦しい・・・・・・。