「さとかず」の読書のススメ

シンガポールから送る独断的な読書録
(基本ルールとして、単行本は出版社名、文庫本は文庫シリーズ名を記載)

本日読了、「かわいい女 レイモンド・チャンドラー」

2007-06-18 19:41:10 | 思想・文学
夜中に目が覚めて、読みきった本。

「かわいい女 レイモンド・チャンドラー 創元推理文庫」

ストーリー的にはしっくりこないところもありますが、深夜寝静まったところで読むには、思った以上に面白かった1冊でした。

なかなかタフに生きるのはつらいなと思える、主人公はもちろん有名なフィリップ・マーロウです。

ちなみに原題は「THE LITTLE SISTER」、ストーリーを考えても邦題では何かしっくりこないですね。「かわいい妹」とでも訳せば、どうでしょう。

昨日読了、「リー・クアンユー 西洋とアジアのはざまで 岩崎育夫」

2007-06-13 08:59:00 | 歴史・戦争
シンガポールという新しい国の成り立ちを簡単におさらいできる1冊(ただし’90年代中旬まで)。

「リー・クアンユー 西洋とアジアのはざまで 岩崎育夫 岩波書店」

岩波書店の「現在アジアの肖像」というシリーズの1冊です。このシリーズは入門書の類と考えてよいかもしれません。過去に「ピブーンとプリディー タイ式立憲革命」を読了済み。

シンガポールという作られた国の成り立ちをリー・クアンユーという、その時代であったから求められた類まれな国家リーダーを中心にした1冊。

シンガポールに住んでいるとこの本に書かれている内容の部分部分が経験として感じることがあります。シンガポール人というアイディンティティの希薄さは我々日本人という深遠たる意識(こういうものは海外に出てから自覚するものなのかもしれませんが)とは異なるように思えるのです。

シンガポール入門の1冊として。

本日読了、「ヒトラーとは何か セバスチャン・ハフナー」

2007-06-10 18:00:07 | 歴史・戦争
ヒトラーについて書かれた独創的な1冊です。
裏表紙によると13歳の少女の投書により、書かれた本とのことですが、13歳の年齢で読むにはちょっと難解では?と思われる本。

「ヒトラーとは何か セバスチャン・ハフナー 草思社」

・生活
・仕事
・成功
・錯誤
・失敗
・犯罪
・裏切り

上記の各章に分かれたこの本で面白く読めたのはソビエト侵攻に失敗したヒトラーは頂点で指導的立場に立つべき民族(アーリア人 ドイツ人)として考えた民族の英雄的な消滅という考え方です。

戦後ドイツのナチスが悪という考え方は取りも直さずそれを熱狂的に支持した民がいたという事実を霞の向こうに隠してしまいそうでちょっと疑問があります。
さて、強烈な個性に引きずられた第3帝国ドイツとくらべ、反面大日本帝国の責任の所在の不確定さもどうとらえればいいのか?

日本が戦争に入っていく諸事情を念頭に置いて読むとまた違った感想が生ずるかもしれません。

一読に値する1冊です。

本日読了、「熱い絹 (下) 松本清張」

2007-06-04 19:01:14 | 思想・文学
昨日夕方から下巻を読み始め、読了。

「熱い絹 (下) 松本清張 講談社文庫」

ちょっと話が懲りすぎかなと思える終末でした。
ジム・トンプソン失踪事件にヒントを得たこの1冊の登場人物にあまり魅力を感じないのはどうしてでしょう。ジム・トンプソンに重なる失踪者が一番印象深い人物に思えます。

時間を考えると読む価値があるかはちょっと疑問。

昨日読了、「表舞台 裏舞台 福本邦雄回顧録」

2007-06-03 10:37:47 | 歴史・戦争
昨日読了

「表舞台 裏舞台 福本邦雄回顧録 講談社」

政治の裏舞台で暗躍した福本邦雄のインタビューをまとめた一冊。
岸政権の時に産経新聞から椎名官房長官の秘書官として遣わされた本人が関わった政治の裏面を語っていますが、果たして何がどこまで本当なのか?

ただ興味深い1冊であることは間違いありません。
なるほど、宏知会には3派あるのか、宮沢は酒癖が悪いんだ、大平は戦前中国での麻薬取引に無関係ではないのだなどなど。

知人が政治家の元に出入りしていた家族の遺品を焼却処分にした中に見つかったメモの話を思い出しながら読みました。このように表に出る話は氷山の一角であって墓場まですべてを持ち去ってしまう人たちが多いのでしょう。

購入価格 18シンガポールドル(古本屋にて ’07年6月)