「さとかず」の読書のススメ

シンガポールから送る独断的な読書録
(基本ルールとして、単行本は出版社名、文庫本は文庫シリーズ名を記載)

サトリ 上・下 ドン・ウィンズロウ ハヤカワ文庫 (上=8月25日・下=8月27日読了)

2013-08-27 12:04:54 | 思想・文学
上=「成功の可能性を考えるな―失敗の不可能性のみに思いを致せ」p207
下=「なぜなら自分は生きていて、それが自分の業(カルマ)だからだ。」p333

シブミ(著:トレヴェニアン)の続編として、主人公ニコライ・ヘルの若き日をドン・ウィンズロウが描いた物語。
シブミの謎解き的な話も所々に出てきて、これは?と思いつつ読み進めました。

上巻では、岸川将軍の言葉、失敗の不可能性という言葉を指針とし、下巻では、全てが終わり始まる時に「業」というものを生の中に感じるニッコ。

基調に流れる古き良き日本精神と言うものに、味を加えた物語です。

レオナルド・ディカプリオ主演で映画化されるという話があったようですが、どうなっているのでしょうか?
ネットで調べてみても、それらしいものは記事とイメージ写真程度程度しか見つかりませんが・・・・・・。


秘録・日本国防軍 クーデター計画 阿羅健一 講談社 (13年8月23日読了)

2013-08-23 09:51:14 | 歴史・戦争
「私はこのドラマを見たとき、歴史というものはこのようにして歪められていくのか、と思った。」P4

戦後の服部卓四郎の戦史編纂、情報収集、自衛隊への関わりを描いた1冊。
服部と言えば、ノモンハンでの責任を追及されずに、辻と共に戦争指導の中心である参謀本部作戦課にいた人物として色眼鏡で見ていましたが・・・・・・。

この本で記載されている事が正しい正しくないとの視点でなく、違った目から見る必要があるという事。
戦後の自衛隊設立への道順が内務官僚を主導する旧軍の排除の中で行われた事が、今の自衛隊の原型をつくってしまった事。

作家の上記の言葉が重く感じます。

440ページの海軍士官を将校と記載するのは?
最後にある参考文献の一覧は参考になります。

掏摸スリ 中村文則 河出文庫 (13年8月18日読了)

2013-08-19 17:28:44 | 思想・文学
「僕はこの顔を見ながら、関わらない方がいいと思った。」p142

暗く低調な重い空気を感じながらも、先へ先へと読み続けた1冊。

気になる一言は、顔を見ながら関わらない方がいいと思ったという主人公の言葉。
時々その様な人と会う事はありませんか?
人の第6感というものはあると思えます。
そういう場合には、迷わず逃げる、でしょうね。

続編も読んでみたいと思えたお勧めの本です。