「さとかず」の読書のススメ

シンガポールから送る独断的な読書録
(基本ルールとして、単行本は出版社名、文庫本は文庫シリーズ名を記載)

本日読了、「太平洋戦争終戦の研究 鳥巣建之助」

2006-08-27 09:44:52 | 歴史・戦争
特攻と原子爆弾を主に捉え書かれた1冊です。

本日読了
「太平洋戦争終戦の研究 鳥巣建之助 文春文庫」

特攻と原子爆弾というものが日本の戦争終結をあのようにならしめた要因だと書く著者は、戦争の前半は潜水艦艦長、後半は潜水艦隊の参謀(中佐)。戦時中の大半が物資の輸送や局地戦で消耗された潜水艦への悔しさがあり、本の中からは著者の特攻に対する思い入れが読み取れ、から目にした原爆と言うものの意味合い、それが交じり合い「終戦」という敗戦へとつながり行きます。

潜水艦特攻の回天(確か靖国神社の遊就館に展示してあったと記憶しているのですが)を認可する立場のひとりであったのか、多くのページが水中特攻に割かれています。

ああいう形で敗戦を迎えたことがよかったのか、もっと早く降伏できなかったのか(その前に戦争は避け得なかったのか)?
戦争へ踏み込んでいった時期そして敗戦までの政府・軍の上層部の一連の行動はこれからも研究されるべきものであるでしょう。

本日読了、「靖国 YASUKUNI 坪内祐三」

2006-08-15 10:02:18 | 歴史・戦争
小泉首相が敗戦のこの日に、公約としての靖国神社参拝を実行しました。その画像をTVで見ながら、数日前から途中まで読んで、そのままだった1冊を今朝読み終えました。

「靖国 YASUKUNI 坪内祐三 新潮社」

作者の幻惑するような筆の進みに戸惑わされる点も色々とありますが、なかなか興味深い1冊です。

靖国神社のアミューズメントパーク的要素に焦点を合わせたこの本には、政治的争点となっている戦争責任という現在の問題からはずれているので、それを期待して読むと拍子抜けしてしまうかもしれません。

寝る前に床に横になって読むに眠気を誘う心地よい1冊でした(最後は今日中に読み終えたかったので、朝に読みましたが)。

数年前に近くのホテルに泊まり、歩いて靖国神社へ行きましたが、靖国という空間をまた見に行きたいと思います。

本日読了、「黄土の奔流 生島治郎」

2006-08-12 19:50:25 | 思想・文学
戦前の中国を舞台にした物語、本日読了、

「黄土の奔流 生島治郎 中公文庫」

冒険小説と呼んでいいのでしょうか?和製ハードボイルド作家のひとり生島治郎の1冊です。読みはじめをちょっと我慢すれば後はぐんぐんと最後まで読み終わってしまいます(小松左京の解説は読む必要なし)。
何故この本を買ったか、実はその理由のひとつは裏表紙にある作家の写真・・・・・・、若い。

私の年齢的には、画像的にも「方翼だけの天使」が有名ですが(これも面白い小説です)、生島治郎の上海を舞台にした小説群は息抜きに読むに楽しいものです。

おきまりの主人公は海外の日本的コミュニティから離れたアウトロー。

シンガポールに住む私です。作者が揶揄する昔の海外の群れ暮らす日本人達、現在ここで同じ人達を目にし、苦笑いしてしまいます。

昨日読了、「長良川 豊田穣」

2006-08-10 08:34:33 | 思想・文学
昨日読了、
「長良川 豊田穣 文春文庫」

捕虜となった士官、戦後生きる主人公。癌で死ぬ妻、子供2人との係わり合いに戦争体験が折り重なってゆく連作集。

硬い文面はあまり好きではないものの、引き込まれる物語性を持っている作品集です。当然のこと、作家の捕虜生活を含めた実体験がいやおうなくも織り込まれていると想像できる1冊です。

敗戦の8月、先の戦争の本を手にとってみたいものです。

昨日読了、「日本交響楽 満州篇(上) 豊田穣」

2006-08-07 07:53:07 | 歴史・戦争
昨日読了した1冊は、

「日本交響楽 満州篇(上) 豊田穣 講談社文庫」

海軍兵学校68期の著者が描く、歴史小説。
昭和の初頭の張作霖爆殺を中心とした物語に、満州で過ごす少年の生活を絡めた1冊です。

この1冊から全7冊を綴る小説群の1冊目。

寝る前に読む1冊として読みきりました。満州篇(下)以降は購入していません。取りあえずはこの1冊でいいかな、という印象です。

現在、手に取っている同作家の「長良川」の自らの体験を思わせる作品と比べると深みの少ない、娯楽作品としての要素が多く思われる1冊でした。