「さとかず」の読書のススメ

シンガポールから送る独断的な読書録
(基本ルールとして、単行本は出版社名、文庫本は文庫シリーズ名を記載)

避けられない中上健次、読むべき本 「枯木灘」「岬」「鳳仙花」

2005-05-31 00:09:43 | 思想・文学
大江健三郎が伊予の山中を語り続けるのと同じく、熊野の里を語り続けた作家、中上健次。読むならば、「枯木灘」「岬」「鳳仙花」の一連の作品を勧めます。
力強い物語の為、読むと体力を消耗するのは避けられず、読み手の好みは大きく分かれることでしょう。人によっては数行で読むのを止めたく感じるのでは?

読了本
「枯木灘 中上健次 河出文庫」
「岬 同上 文春文庫」
「鳳仙花 同上 新潮文庫」
「十九歳の地図 同上 河出文庫」
「讃歌 同上 文藝春秋」

私の好きな作家のひとり(最近読んでいませんが)、梁石日と同じ香りを感じるのは私だけでしょうか?それは被差別の、かもし出すものなのかもしれません。

本読みにとって、中上健次という存在は一度は通らなければならない試練なのかもしれません。

「彼岸先生」は傑作だった島田雅彦

2005-05-30 11:26:05 | 思想・文学
私が読まなくなった作家のひとりが島田雅彦です。

読了本
「優しいサヨクのための嬉遊曲 島田雅彦 福武文庫」
「僕は模造人間 同上 新潮文庫」
「ドンナ・アンナ 同上」
「アルマジロ王 同上」
「彼岸先生 同上」

インターネットで調べてみたらけっこう本を書いているのですね。
しかし、「優しい~」と「彼岸先生」を読むので事足りるでは(すべて読まずにちょっと読んでこう書くのは少しばかり気が引けますが)?
「彼岸先生」を読んで、漱石の*「それから」(註)を読むか、順に従い漱石から読むかは個々人の好みによるでしょうが、「彼岸先生」は漱石を読まずとも楽しめます。本人のサイトも彼岸百貨店となっているところをみるとやはりこれがこの作家の最高傑作なのか、と思ってしまいます。

ところで、何らかのインタービューで中上健次からは、世話になったがひどい目にもあったと答えていた記憶がありますが、はたして何があったのでしょうか(おかまでも掘られたのかな・・・・・・)?

(註)本日(6月1日)気が付きました。記憶違いです。ネタ本は「こころ」、「先生」が出てくる本です。漱石の本が頭の中でごちゃごちゃになっていました。ちょっとひっかかることは、きちんと調べて書かなければいけませんね。反省。

HUA TING(広東スタイル)での飲茶

2005-05-29 16:50:49 | その他
本日は友人達とシンガポールでも美味しいと噂のORCHARD HOTEL2階のHUA TING(広東料理)で飲茶をしました。
朝のスポーツで疲れた体にプーアール茶(油を吸収させない作用があるとのお茶)にてのDIN SUMです。7人でのオーダーは色々な味が楽しめます。楽しい会話(日本語、英語、中国語<私は中国語はできません>)の後、今回も食後のデザートは頑固に「亀ゼリー(ハーバル・ゼリー)」です。

入手済み未読本
「からだに効果 アジアの美味しい健康ごはん 森野眞由美 中央公論社」
綺麗な写真と料理の紹介。帰国時に思わず買いました。

最近は思いついた時に数人に声をかけて飲茶をするということを繰り返しております。シンガポールの美味しいと言う噂のチャイニーズ・レストラン制覇が目標!

写真を撮るのを忘れていました。

「赤と黒 下巻 スタンダール 新潮文庫」読了

2005-05-28 11:44:52 | 思想・文学
これは、恋愛の狂気を時代背景に沿って描いた小説とも言えるのでしょうか。私は恋愛小説として読みました。

読了本
「赤と黒 下巻 スタンダール 新潮文庫」
現代にも通じる恋愛のじれったさを下層階級に生まれ才能に恵まれたジュリアンと言う自意識が過剰な主人公を中心に据えて、絡み合う関係の中に成り立たせた物語です。
一瞬のきらめきのような歓喜、いとしさと待ち焦がれるあせり、嫉妬、裏切りなど相反する雑多とした恋愛感情をそれを妨げる障害とのせめぎあいの中で現出させたスタンダール。私がもっと若ければ、恋愛の師匠とあがめたかも知れません。

10代後半に読んでいただきたい物語ですね。

読むための準備事項
1、時代背景=革命から王政復古までの流れ(予備知識があったほうがベター)
2、当時の教会勢力の概略
3、サロンの風景
4、貴族階級の概要
5、当時のパリの風景(ナポレオン3世時代以前と言うことに注目。オペラの舞台などは今のオペラ座をイメージしてはいけません)
上記3、4はプルースト「失われた時を求めて」を読むときにも参考になります。
これなどをざっと頭に入れておくとよいでしょう。

階級や信ずべき宗教がなくなった現代日本社会はそれだけ現実が物語性を帯びないフィクション的になって、より過激さを求めると過剰な暴力や麻薬を書かなくてはならないとは不幸な時代に作り手達は存在しているとも言えます。

べティ・ブルー これは映画のイメージが強すぎて・・・・・・

2005-05-28 01:15:43 | 思想・文学
「映画を見るならフランス映画さ~」と歌ったのは輝いていた時代の甲斐バンドです(解散コンサートには足を運びました)。そういえば、今は変になった小林よしのり(「東大一直線」の時が好きでした)が、その昔、甲斐とは同級生と強調していましたね。

オーストラリア・シドニー近郊でオーストラリア人ファミリーの家にひょんなことから居候していた時にビデオで観ました「ベティ・ブルー」、字幕の英語がゆっくりで助かりました。
数年後、完全版みたいなものを、新宿の映画館で観ました。逆に日本ではおちんちんにぼかしが入ってました。

読了本
「ベティ・ブルー フィリップ・ディジャン ハヤカワ文庫」
映画を2回観て小説を読んだせいか、映画のイメージが強すぎて困りました。映画を観ることによって小説を読む必要が無いのかもしれません。メランコリックな音楽に映像が綺麗で哀しかったのが、当時20歳の私に強くイメージとして残っています。
映像を思い出しながら読む小説の1冊です。

余談ですがベアトリス・ダルのひねくれた顔が好きでした。



フランソーワーズ・サガン 悲しみよこんにちは 

2005-05-27 09:00:59 | 思想・文学
「映画で見たセシルのように嘘はつきたくない」と歌ったのはアイドル時代の浅香唯でした。
これはジーン・セバークのことでしょうか(実はこの映画は観ていない私です。ただ、ジャン・リュック・ゴダールの「勝手にしやがれ」は銀座の映画館で観ました。12年くらい前、ゴダール特集を銀座の映画館が催していました。仕事を終えた私は週ごとに変わるゴダールの映画を観に通ったものです。ゴダールの映画はモノローグのシーンなどが心地よい眠りを・・・・・・)。

さて、小説の方ですが、前にも一度触れているこの作品は訳が気になります。
大御所の訳なのでしょうが、そろそろ新訳を出した方が読者には親切なのではないでしょうか?朝吹登美子(まだ健在?)は日本語がおかしいと誰かが声を大にして言う時期にきているような気がします。ちゃんとした日本語が書けないのでは?明らかにサガンは訳者により敬遠されている(サガンのいい時期の小説はすべてこの人の訳です)のです(私がサガンに出会ったのは英訳です。何のことは無い英語の教師の趣味)。私はこの訳者の本を修行と思って数冊読みましたが、薄い本だから我慢しえるのです。

読了本
「悲しみよこんにちは フランソワーズ・サガン 新潮文庫」
セシルの父親に共感をいだいていた学生時代の私でした。あれから幾歳を経て、今はしっかりと誠実(?)な人間として更生したつもりです。

10代の後半から20代前半までには読んでおきたい小説のひとつでしょう。

郵便配達は二度ベルを鳴らす 

2005-05-26 11:07:21 | 思想・文学
小説も題に惹かれて手に取ることが多い私です。
大学生の時に生協で何か読む本を探していた私の目に、薄いこの本が飛び込んできました。
独特の影を感じさせながら進むストーリー。
高校生では早すぎるものの(高校生以下のガキから「いい小説です」といわれるとアホかと思うことでしょう)、ぜひ大学生、せめて20代で読んでおきたい作品の一つです。

読了本
「郵便配達は二度ベルを鳴らす ケイン 新潮文庫」
どうしてもジャック・ニコルソン主演の映画の方に目が行きそうですが、本も傑作です。ハードボイルドですね、これは。

今考えると大学生の時には本の薄さが読む原動力になっていたものです。集中力が無かったんですね、私。愛読書がフランソワーズ・サガンでしたから。

トルーマン・カポーティを「冷血」から読み始めるのは、ちょっと?

2005-05-25 23:26:00 | 思想・文学
トルーマン・カポーティというアメリカ人作家。
近年ではクリマス物の翻訳が数冊でますが、どのようなイメージを一般的に持たれているのでしょうか(日本ではこのクリスマス物が出るまで、忘れ去られた作家という印象もありますが、読了本「アメリカの鱒釣り」のブローディガンよりまし?ご両人とも村上春樹の紹介で息を息を吹き返した?作家です)?

読了本
「冷血 トルーマン・カポーティ 新潮文庫」
24歳の時に読みました。これがトルーマン・カポーティとの遅い出会いでした。
「ティファニーで朝食を 同上 新潮文庫」
映画のイメージが強すぎていけません。
「遠い声 遠い部屋 同上 新潮社文庫」
不思議な印象の小説と記憶しています。
「夜の樹 同上 新潮文庫」
読んだと言う記憶しか残っていません。

思った以上に、読んでいました。ただ、冷血が一番面白く、興味深く、読めました。ぐいぐいと惹きつけるものがあるのです。しかし、この感覚はトルーマン・カポーティ好きの人にはちょっと?かもしれません。やはりトルーマン・カポーティは初期の作品を10代の時から楽しむものなのでしょうね。

トルーマン・カポーティ、扇子を持って踊る変な写真が私のカポーティ像です。


ジョアン・ジルベルト、想いあふれて 

2005-05-24 23:58:32 | 芸能
ボサノバが好きな私です。ボサノバの聖地、リオ・デ・ジャネイロにも行きました(シンガポールで東回りか西回りか迷い、旅行代理店に問うたところ、「同じです」との回答。西回りのエール・フランスで機内24時間、パリ乗換えの旅となりました。機内ではもちろん亡きトム・ジョビンのフィルムを観ました)。
イパネマの娘のカフェにも足をのばし、Tシャツも購入。
イパネマ海岸にも宿泊。
こうなると、もちろん、ジョアン・ジルベルトの日本公演にも一時帰国です。

生きているジョアン・ジルベルトの生演奏が聴けるとは思いませんでした。動いてる~!とまず感動。ささやくような声とギターの弾き語りに感動。

空調施設を止めての演奏(2年目はちゃんと扇子持参)。
初年度は1時間以上の開演の遅れ、2年目はのんびりとしてましたら、何とちょっとの遅れで始まりました(初年度の場内放送は笑えました。「開演時間となりましたが、アーティストがまだホテルにいる為、もうしばらくお待ちください」 これが数回の後、「今、アーティストがホテルを出ました」 そして、演奏中にはフリーズして10~20分動かなくなりました)。2年目は普通で面白くなかったですね。やっぱり、変人であるからジョアン・ジルベルトなのでしょう。2年目は彼女と行きました。熱くボサノバを語る私(といってもトム・ジョビンとジョアン・ジルベルトくらいしか持っていないのですが)に彼女は引いていました。

入手ブックレット
「ジョアン・ジルベルト Japan tour 2003」
ジョアン・ジルベルトのディスコグラフィがあり、これは重宝します。歳を追うと共に無くなる髪の毛、切実です。

読書中
「ボサノヴァの歴史 ルイ・カストロ 音楽之友社」
分厚い本です。半分で止まっています。ボサノバの生い立ちが書かれています。ボサノバ好きには必読との本。

余談ですが、お行儀のよい日本の観客を大好きになったジョアン・ジルベルトでしたが、シンガポールに来たら・・・・・・途中で演奏止めて帰るだろうな、と思います。

赤と黒 スタンダール 上巻読了

2005-05-23 18:55:28 | 思想・文学
本日はベサックデイの代休の為、シンガポールは祝日です。
朝はボタニック・ガーデン(写真は見取り図)にてウォーキング後、カフェにて朝食。ホーランド・ビリッジに移動して買い物をし、帰宅。
昼食後のお昼寝までのひと時を読書にてすごしました。

本日読了本
「赤と黒 上巻 スタンダール 新潮文庫」
キリスト教の思想的バックグランドがない私にはちょっと分からないところがありますが、それをぬいてもやはり読みつがれる小説はひきつける何かを持っています。私としてこれは多感な十代後半もしくは20代前半に読めばよかった小説です。このような本に出会った時の後悔は30代後半となった今どうしようもないのですが、人に何歳までによめばいいと勧められる程度でしょうか?揺れ動くジュリアンが下巻でどのような宿命の元にどう自らの道を定めていくかを楽しみに読み続けます(破滅するのだろうな~とは思っていますが)。

ところで、ジュリアンの歳は?ご存知のたかがいらっしゃったらご教授の程(読み落としているかも?)!
また、教会の職務的地位(当時のフランスにおける司教とその下の司祭の地位、どれくらいの教区があり、1教区内に何人の司祭が存在するのか?など)とジャンセニスト(辞書によると1713年に教皇によって禁止されているのが、1830年代には存在しえたのか?)とは?

余談ですが、上巻が91刷、下巻が76刷ですので、上巻での挫折者の人数を想像させます。

映画「Kingdom of heaven」を観て思い出した本、「娼婦 アラン・コルバン」

2005-05-22 21:32:06 | 歴史・戦争
本日は映画を観に行きました。
「Kingdom of heaven」という十字軍を題材に取った映画です。まあ、ラストサムライ、十字軍バージョンといったところでしょうか。首切りもありますし。
ところで、亡くなった賢王は梅毒だったのでは?仮面を取ったあの顔は、ある本の参照写真を思い出しました。

途中までで投げ出し本(途中で読むのがつらくなりました)
「娼婦 アラン・コルバン 藤原書店」
さすがアナール学派(なんのこっちゃ)、写真がどぎついです。新刊でこの本を買った私も私ですが・・・・・・。この本は重かった記憶があります(実家に保管)。当時の私は本代、月に5万円以上は使っていました。使いすぎです。給料の大半を本代に使っていたと言う永田鉄山みたいな人は別格ですが。
ところで、藤原書店はまだ存在するのでしょうか?同社発刊のブローデルの地中海は勧められましたが、まだ買っていません。

海外に住むと人が読まないような本と出会えないのがさびしく感じます。

ちょっと疲れはじめたタイ滞在3日目

2005-05-20 14:52:49 | その他
本日は朝からミーティング、午後は空いているので必要な資料を集め(購入)、午後5時からの次のミーティングまでの時間を過ごすつもり。また、その後もう一人と面会予定。

今週は仕事をしております。我ながら偉い!
明日は最後のミーティングをし、シンガポールへ帰国予定です。日本に行った時でさえ、シンガポールの空港に着くとほっとするのは、やはり自分の暮らしがシンガポールにあるからでしょうか?

本日読了本
「天皇家の戦い 加瀬英明 新潮文庫」
今朝、起きてからまずは読書。この本は天皇の敗戦時からマッカーサー元帥解任帰国までをさらっと追った本です。敗戦がなくともいずれゆるやかに今のような形に天皇制は移行していたのではないでしょうか。
私にとって、「天皇」とは昭和天皇を連想します。今生天皇もお年を召されたものです。

蛇足ですが、タイの最後の不安要素は次期国王の選出ですね、やはり。

高級デパート、エンポリアムのインターネットカフェにて

タイ語の発音は難しい(タイ語を勉強するにあたって)?

2005-05-19 13:49:34 | その他
昨晩は以前からお話してみたいと思っていたタイ語専門家(?)と話ができました。いくつかの語源めいた話も含めて有意義な時間を過ごせてハッピーです(シンガポールではこのような話をしあえる人がいないので)。

結論はカタカナで覚えるタイ語には発音だけでなくその意味あいを考える上でも低い段階で限界があるというところでしょうか。タイ語習得を目指す人たちにはいちはやい文字の習得をおすすめします。

オススメ読了本
「タイの僧院にて 青木保 中公文庫」
タイのお寺に入り修行をした著者の本。タイを語るに書かせない本の1冊でしょう。昨晩も話題にあがりました。

バンコクのインターネットカフェより

タイのインターネットカフェより

2005-05-18 20:34:19 | その他
本日はお昼発のフライトでバンコクへやって来ました。空港でホテルを予約したところ、自分が思っていたホテルと違うホテルでした(どおりで安いと思った)。ちょっと、とほほですが、仕方ありません。土曜日にチェックアウトするまでこのホテルです(タクシーの運ちゃん曰く、昔GIの定宿だった、と)。

バンコクはしばらく来ないうちに風景が変わります。今日も見たことのないビルを見ました。シンガポールと比べて街が生きているような気がします。

飛行機の中では、「天皇家の戦い 加瀬英明 新潮社」を読んでいました。
しかし、TGのエコノミーの機内食は私の口には合いません。

久しぶりにタイ語を話して疲れました。