日本が交渉に参加して、2ヶ月あまりで大筋合意の報道には驚くとともに、安倍、甘利、自民党政権のでたらめ振りには怒りを感じます。また、彼らに何の権利があって日本の制度、産業構造を抜本的に変更する権利があるのかを問いたいと思います。
第一に、アメリカオバマ政権のご機嫌取り、アメリカ多国籍企業の利益に供するために日本が犠牲にならなければならないか。本当にそのことが今後の日本社会の構造を大きく変えること。その変化は、アメリカ、カナダ、ベトナムなどの外国を巻き込み、長期にわたる日本の制度を縛ることになるのは確実です。日米軍事同盟が締結されて、軍事、経済、政治をどれだけ、アメリカ奉仕のために日本を縛り付けてきたかを見ただけでも理解できることです。その日米軍事同盟が沖縄県民を苦しめ、危険なオスプレイを配備されてもものも言えない関係を規定しています。
第二は、協定の前提であるとしている交渉内容の秘密です。そもそもその秘密こそ、多国籍企業、アメリカ・日本の大手輸出企業の意図とぴったりと利害が一致しているから他なりません。アメリカ政権、アメリカ政治が多国籍企業の政治献金に完全に支配されていることを証明しています。堂々と国家として、内容をあきらかにすることを要求すれば言いだけですが、安倍、自民党政権は何も要求をしない。本当に売国奴、また、アメリカに対する態度は卑屈としかいようがありません。秘密な交渉、国民をすべて拘束するような協定をあきらかにできない協定に参加しないと宣言し、離脱すればよいだけですが、安倍、自民党政権はその意思が全くありません。
第三に、外国との協定は、歴史教科書で学んだように、長期に亘り、国と国の関係を規定し、外交、防衛、経済の関係を固定化します。そのために、日本が協定から受ける様々な影響を日本国内の法律、制度の変更へと政治経済を転換させなければならなくなります。安倍、自民党政権が責任を問われて3年後に政権を降りても、日本はTPP協定の影響を消すことは簡単に出来ないのです。これこそが政治的には大きな損失、弊害です。自民党が野党になろうが、政権を降りようが、安倍の政治責任が問われようがどうでもよいのですが、その彼らの後始末を日本人、日本の中小零細企業すべてが受けるのです。こんなことが許されてよいはずはありません。
<社説:大筋合意>
環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉は、8日の首脳会合で「大筋合意」する公算が大きい。ところが、参加国間の秘密保持義務もあって、交渉の実態はほとんど表に出てこない。
国内にはTPPを巡ってなお、根強い不安がある。アジア・太平洋地域の貿易・投資ルールを決める交渉であり、国民の生活や経済活動に大きな影響を与えるからだ。大筋合意は、大きな節目といえる。政府の独断専行は認められない。
交渉は2日までの首席交渉官レベルに続いて6日まで閣僚会合を行い、7、8両日の首脳会合で大筋合意を目指す。もっとも、焦点である関税分野や医薬品の特許期間等に関する知的財産分野など、各国の利害対立が深刻なために本格交渉が今後に持ち越されそうな分野も多い。その意味で今回は、あくまで各国首脳が最終合意への決意を確認し合う意味合いが強いようだ。
それでも首脳同士が「合意」する意義は大きい。日本政府は交渉参加に際して、「国益を損なう場合は離脱できる」と説明してきた。しかし、参加12カ国中で米国に次ぐ経済大国である日本が離脱する影響は大きい。「合意」後に離脱する選択肢は事実上、取り得ないだろう。
一方で、国民の間には農業はじめ医療保険制度や食の安全への悪影響、外国に進出している企業がその国の政府を訴えられる「ISDS条項」の乱用などを心配する声が根強く残っている。
ところが、交渉に参加して以降、政府からそうした不安に応える情報はほとんど出ていない。閣僚会合に先立って甘利明TPP担当相は「攻め込まれたら『倍返しだ』という場面もあろうかと思う」と述べた。しかし、「倍返し」の決意で何を攻め、何を守るのか、基本的な戦略は明らかにしていない。
与党自民党などはコメ、麦、乳製品などの農産5項目を「聖域」として、その関税を守り抜くよう求めている。政府は「最大限の国益を追求する」という方針は示しているものの、何が「国益」なのか、国民には判然としないままだ。
確かに、秘密保持義務の壁はある。各国の思惑が交錯する外交交渉で、手の内をさらすわけにはいかないことも理解できなくはない。
しかし、今回の首脳会合で「大筋合意」を目指す背景には、来年秋に中間選挙を控える米オバマ政権が、経済政策での実績を強調したいという政治的な思惑がある。
何の説明もなしに合意し、対米追従との批判を受けては、今後の交渉にも支障が出るはずだ。政府に国民の理解を得る努力を求めたい。
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