短期間の総選挙運動期間が最終日を迎えました。宣伝カーも回らず、政策ビラもなんだか分からないものが数種類、民主党の候補は宣伝カーも全く目にしませんでした。こんな状況で有権者が何を知り、何を目安とした判断材料を得ることが出来るのでしょうか。
この傾向は低投票率、なんだか分からない選挙という消化不良のまま最終日になだれ込みました。その結果、自民党、公明党に圧倒的有利な選挙情勢を作り出しました。議会制民主主義を形骸化させれればさせるほど、その張本人である政治集団に有利な状況が作り出されるという皮肉はなんとも言えません。
しかし、今回の総選挙結果出たとしても、原発の再稼動に反対、消費税率引き上げ反対、集団的自衛権行使容認反対、TPP協定参加反対の国民意志は過半数を超えていることは事実であり、そのねじれ、矛盾を抱えた政治、政権運営は必ず行き詰まることは確実です。同時に、小選挙区制度という選挙制度の矛盾、議会制民主主義と相容れない制度である点も再び証明されます。議会制民主主義が機能しないもとで、日本の政治、経済、社会構造をどうすべきかが問われることになるでしょう。小選挙区と情報統制、マスコミを威圧して議席を掠め取っても、民意を無視した政権は長続きしないことは歴史が示すとおりです。
あと1日を有意義に過ごし、安倍、自民党極右政権、公明党に傍若無人に行動することにお灸をすえましょう。
<北海道新聞社説11月22日版>衆議院総選挙、問われる安倍政治の2年
安倍晋三首相がきのう、21日に衆院を解散する意向を表明した。総選挙は12月2日公示、14日投票となる見込みだ。
消費税率の10%への引き上げを来年10月から1年半先送りを決めた。それが理由という。記者会見で「国民生活にとって重い決断をする以上、速やかに国民に信を問うべきだと決心した」と述べた。
だが与野党を問わず、来年からの再増税実施には否定的だ。もはや選挙の争点にはならない。
本当の狙いはこうではないか。支持率が高く、野党の準備が整わないうちに解散・総選挙を実施し、衆院での過半数を維持した上で政権の再スタートを切り、長期政権の礎を築く―。大義なき解散と批判されるゆえんである。
この衆院選は安倍氏にさらに最大4年間、日本のかじ取りを任せるかを問う選挙だ。短期決戦であってもその意義をじっくり考える機会にしなければならない。
■失望は解消できたか
最近の2回の衆院選は政権交代に直結した。
2009年は競争重視政策の下で広がった格差社会に不満が高まり、自民、公明両党が政権から転落した。12年は民主党政権の内紛による「決められない政治」が厳しく批判された。
その後を受けて政権に就いた安倍首相はこの2年間で、政治に対する国民の失望を解消できたのだろうか。
当初のキャッチフレーズは「日本を取り戻す」だった。だが、その内実は限界が指摘されてきた自民党政治への回帰だったと考えざるを得ない。
国土強靱(きょうじん)化の名の下に配分された予算は従来型の公共事業に消えていった。東京五輪の誘致決定とも重なって資材高騰を招き、震災復興を滞らせた。
デフレ克服を掲げ、ことさら前民主党政権の失敗をあげつらって推進力にしてきた。従わない相手にレッテルを貼り、自分の正義を訴えるのは小泉純一郎元首相のポピュリズム型政治と重なる。
■景気回復の実感なし
金融緩和、財政出動、成長戦略の「3本の矢」からなるアベノミクスで国民に将来への期待を抱かせたが、景気回復の実感はない。
消費税増税の眼目である社会保障の充実にはほど遠く、国民に約束した「身を切る改革」も実行する意思すら疑わしい。それで何を訴えようというのか。
より問われるのは、強引に進めてきた安全保障政策や憲法、歴史認識をめぐる政治姿勢だろう。
首相の政権運営が強引になったのは、昨年夏の参院選で与党が勝利し、衆参両院で過半数を確保したことがきっかけだった。
国民の「知る権利」を脅かす特定秘密保護法を強行採決の末、成立させた。歴代内閣が憲法上許されないとしてきた集団的自衛権の行使容認も、国会でほとんど議論せずに閣議決定した。
日本の安全保障を強化するということが理由だった。だが、本当にそれに沿った政策なのか。
沖縄県の尖閣諸島周辺では中国船の領海侵犯が続く。首相の靖国神社参拝で日中関係がぎくしゃくし、首脳会談は実現したものの問題の解決は見えない。
首相の歴史認識には韓国が反発し、日米韓の連携にも影を落としている。首相の政治姿勢が安全保障にマイナスになっている側面が否定できない。
■立憲主義と相いれぬ
首相が衆院選後も政権を維持できれば、改憲という大きなテーマに乗り出すのは間違いない。
忘れてならない一言がある。
集団的自衛権行使には憲法改正が必要とする内閣法制局の長年の立場に対し、首相は国会で「最高責任者は私だ」と答え、解釈改憲を先導した。選挙で審判を受けるのは自分だ、という理由だった。
たとえこの衆院選で勝利しても、首相による憲法の拡大解釈を国民が認めたことにはならない。憲法が国家権力を縛る「立憲主義」は法治国家の根幹をなす。
注意すべきは立憲主義と相いれない憲法観を持っていることだ。これは子や孫の世代にどんな形の国を残すかという重要なテーマである。見過ごすことはできない。
国会は現在、自民党の「1強多弱」の状況にある。自公の与党協議が政策決定の場となり、国会の議論が形骸化している。数の力を振りかざす政治手法は議会制民主主義に危機をもたらしている。
政策や路線をめぐる内部対立で与党との対立軸を示せない野党の責任も大きい。一部で選挙協力を模索しているが、政策の一致がなければいずれ破綻するだろう。
今のような政治が続くか、与野党の新たな緊張関係が生まれるか。それは衆院選の結果にかかっている。各党が選択肢を示すのが民主主義の基本だ。
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