「今回の一連の抗議行動には、沖縄に平然と基地を置き続ける「人ごとの論理」と決別して痛みを分かち合い、新基地建設断念を迫る主権者意識が色濃く打ち出された。」
「沖縄に犠牲を押し付けて私たちはのうのうと暮らしていいのか。そこが問われている」と述べ、沖縄の苦痛を共有しようと訴えた。」
「沖縄の民意を無視し、民主主義と地方自治を危機に追いやる強権体質への反発は強い。安倍政権は新基地建設を断念すべきだ。」
自分の痛みは、誰でもが感じることができる現実の痛みです。しかし、他者、地元以外の政治経済問題は、関係性が薄いがゆえに、人間にとって関心が低くなります。この感情は当然です。しかし、その感情を利用して、沖縄に米軍基地を押し付け、基地がるゆえの苦痛、犠牲に対して無関心を装うことは止めなければなりません。他者を思いやり、連帯する。他者の痛みを自らの問題として考え、受け止める。それこそが政治的分断を乗り越え、多くの問題を改善解決する道だと思います。
<琉球新報社説>国会を最多包囲 人ごとの論理決別の契機に
沖縄戦後70年を超えてもなお、豊かな海を埋め立てて新基地を造る強権政治に抗(あらが)う民意が広がっている。民主主義を国民の手に取り戻そうとする行動だ。心強い。米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設を伴う新基地建設計画の断念を求め、国会を取り囲む行動に過去最多の2万8千人が結集した。前日を含め全国9都市で同時行動があり、3万1千人を超える市民が参加した。
国会周辺、全国の会場には辺野古の海を示す青い服を着込んだり、プラカードを持ったりした老若男女が参加した。「基地を造るな。埋め立てやめろ」などの訴えが寒空に響いた。
新基地を拒む沖縄と手を携えた民意のうねりが強さを増している。安倍政権は目を背けてはならない。
ルポライターの鎌田慧氏は「沖縄に犠牲を押し付けて私たちはのうのうと暮らしていいのか。そこが問われている」と述べ、沖縄の苦痛を共有しようと訴えた。
残念ながら、基地が集中し、新たな基地建設が進む沖縄の苦難に「見て見ぬふり」をする国民がまだ多数を占めていよう。在京大手メディアの中では、今回の国会包囲を全く報じなかった社が多い。
安倍政権が推す現職が再選を果たした1月の宜野湾市長選挙が示した民意は「辺野古移設容認」ではなかった。だが、1週間後の共同通信の世論調査は政府方針を支持する回答が上回り、逆転した。
「辺野古が唯一の解決策」と繰り返す政府の印象操作が沖縄への無関心と相まって効果を上げている。それを断ち切らねばならない。
今回の一連の行動には、沖縄に平然と基地を置き続ける「人ごとの論理」と決別して痛みを分かち合い、新基地建設断念を迫る主権者意識が色濃く打ち出された。
新基地ノーを訴える国会包囲は4回目だ。回を重ねるごとに参加者が増えている。2万2千人が結集した2015年9月の前回の後、翁長雄志知事が辺野古埋め立て承認を取り消した。だが、国は代執行訴訟を起こして知事権限を剥奪する挙に出た。県は抗告訴訟などで対抗している。
さらに防衛省は名護市の頭越しに地元の久辺3区に補助金を直接交付した。裁判と同様、地方自治への露骨な介入である。
沖縄の民意を無視し、民主主義と地方自治を危機に追いやる強権体質への反発は強い。安倍政権は新基地建設を断念すべきだ。
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