日本人が失業、低賃金で悩んでいるときに、外国人だから低賃金で使えばよしとする厚生労働省、政権の考え方は浅はかで、正統性を持たない判断です。
自国の国民が就労することができない就労条件、賃金であることを問題視し、改善するのでなく、他国の国民であれば、よしとする考え方が如何に他国民を愚弄しているかわからないところに愚かさが出ています。
就労条件の改善、労働環境の改善を行なうことこそが政治、政権が行うことです。同時に、他国の労働条件の低さ、悪さを利用するのではなく、日本がもつ科学技術、生産能力を相手国にも有効に役立つような支援策こそが外交上の重要課題なおです。関係国の本質的な問題で、発展、改善に貢献するのではなく、日本にとって都合のよいことでしか利用しないことは、後世に良い関係、結果をもたらさないことは自明のことです。
<信濃毎日社説>介護に外国人 実習制度拡大は筋違い
外国人技能実習制度の対象職種として、新たに介護分野を加える方針を厚生労働省が固めた。2015年度中を目指している制度改定に盛り込む。
背景にあるのは、介護現場の深刻な人手不足だ。しかし、実習制度の拡大で対応することは問題がある。制度の趣旨にそぐわないだけでなく、介護職の待遇改善を妨げたり、介護の質が低下したりすることにもつながりかねない。再考すべきだ。
実習制度は、開発途上国などの労働者が一定期間日本で働いて技術を習得し、母国の発展に役立ててもらう目的で1993年に創設された。本来、日本国内の人手不足を補うための制度ではない。
一方で、製造業などの現場で「安い労働力」を確保するためにこの制度が利用されている実態がある。過酷な環境に置かれている実習生も少なくない。最低賃金を下回る低賃金での長時間労働、残業代の不払い、雇い主によるセクハラなどが後を絶たない。
実習生は来日前に多額の手数料を借金していることも多く、ひどい扱いをされても泣き寝入りしているという。こうした実情は、国連や米国から「人身売買」などと厳しく批判されてきた。日弁連は制度の廃止を求めている。
厚労省による13年の調査では、受け入れている事業所の8割で労働関連法違反があった。目的と実態がかけ離れた制度の拡大は、劣悪な条件で働く外国人をさらに増やすことになりかねない。
高齢化に伴い、25年に介護職は最大250万人が必要と推計されている。一方、確保できるのは220万人の見込みで、30万人不足する可能性がある。
外国の人材の活用を求める声は介護現場からも上がっている。08年からは、経済連携協定(EPA)に基づく外国人の受け入れも始まったが、日本語の習得の難しさもあり、人手不足を補うほど広がってはいない。
介護職の平均賃金は全産業に比べ月額で10万円ほど低い。それが人手確保がままならない要因となっている。待遇を改善し、国内で働き手を増やすことが、何より優先して取り組むべき課題だ。
それでも足りない場合に、外国人を労働者として受け入れるかどうか。社会全体でしっかりと議論していく必要がある。
介護は人を相手にする仕事だ。言葉を含め、担う能力の育成も欠かせない。人手不足解消のめどが立たないからと、実習制度に安易に頼ってはならない。
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