日本経済が低迷、デフレに見舞われているのは、国内消費が回復しない。回復しないどころか、低下している。そのために活動範囲が国内主体の企業業績は、廃業、赤字、低迷を余儀なくされていること。したがって、多国籍企業、大手金融機関、大手企業以外は賃金を上げる余裕すらない。これが現実です。
では、どうしたら日本経済がデフレを抜け出し、国内企業の活動が一定程度回復するのか。
第一は、国民が消費を回復できるように所得を増やす。労働している世帯は賃金を上げる。年金生活者の年金を切り下げない。子育て世代への保育所増設、保育料の減免、義務教育の経費を限りなく無償化する。その財源は、大手企業から徴収する。したがって、法人税率の引き下げなどはできるはずがない。もともと製造業を中心とした多国籍企業は海外に生産拠点を移転しており、法人税率の引き下げ、円安なども経営との関係では大きな影響は受けない。むしろ原油ガスなどのエネルギーの高騰が物価の上昇を引き起こし、国民生活を苦しくするだけである。
第二は、産業構造の変化を受けて、新しい産業を育成すること。再生可能エネルギーなどを育て、地域の活性化、雇用の受け皿として活用する。また、地球環境を保全する技術開発と産業の育成を行う。これから、多くの新興国でも活用できる技術の開発を行う。これらを雇用の受け皿とする。
第三に、非正規労働をやめる。正規雇用を労働の基本とする。そのことで、手賃金労働者をなくす。また、年金制度、健康保険制度の財源も増やすことができる。結果的に、増税幅も抑えることができる。
株式市場の高騰、地価の高騰などで、日本経済が閉塞状況から抜け出すことはあり得ません。
<東京新聞社説>企業の内部留保 継続的な賃上げ原資に
デフレ不況下で企業が貯(た)め込んだ巨額の内部留保に厳しい目が注がれている。経済界は弁明するだけでなく、継続的な賃上げや国内への積極投資で応えなければ、デフレ脱却はおぼつかない。
「賃金や配当、設備投資に月二兆円は使える。企業は金を貯めるのが目的ではないはずだ」
先日、都内で講演した麻生太郎財務相の批判は手厳しかった。
二〇一三年度末までの一年間だけで内部留保は三百四兆円から三百二十八兆円へ、二十四兆円も増えた。一カ月に二兆円。麻生発言は今春闘で企業に賃上げの圧力をかけ、アベノミクスを再浮上させる狙いがあるが、内部留保の実態を示している。
企業の内部留保は売り上げ増加、人件費などのコスト削減、配当金の抑制で生まれる利益の蓄積だ。利益剰余金ともいわれ現金・預金だけでなく工場などの生産設備、海外子会社の株式などになっている。三百二十八兆円は十年前の約一・六倍。この間、日本経済はマイナス成長だったにもかかわらずだ。
貯め込む一方で、なぜ賃金の引き上げや投資に向かわないのか。
「リーマン・ショックのような経済危機への備え」「国内市場の縮小」「海外には投資している」-企業の弁明はバブル崩壊後の経営危機、〇八年の金融危機のショックを引きずる守りの姿勢を浮き彫りにする。
企業の姿勢の転換と、デフレ脱却には何が必要か。まず政府が役割を果たす。法人税減税などアベノミクスの評価は分かれるが、企業が賃上げや国内投資に踏み切れる環境づくりが求められる。
一方、企業は積み上げてきた巨額の内部留保を、賃上げと国内投資の原資とすべきだろう。
デフレになった一九九〇年代末から賃金は低下しており、この長期の賃金下落がデフレの原因だという指摘がある。暮らしの先行きに見通しが立てられる賃上げがなければ消費にはつながらない。長年にわたる内部留保に見合う、継続的な賃上げが不可欠だ。
もう一つは国内での積極投資。戦後の経済は繊維、造船、鉄鋼、家電・IT、自動車というモノづくりを基幹産業に伸びてきた。その先を担う産業を興す企業家精神と投資が求められている。
それができなければ巨額の手元資金を貯め込む企業への批判、「企業悪者論」は収まらず、景気の本格的な回復も望めない。
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