脅迫、暴力による思想信条の自由、大学の自治が脅かされる問題を放置してはならないと思います。そのことは当事者、当該の大学だけの問題ではないことも確かです。しかし、右翼による脅迫、暴力に当事者が断固として拒否し、反撃することなくして全国的な運動は存在しません。
安倍、自民党極右政権の犯罪的役割は、このような右翼による暴力、脅迫を野放しにし、民主的な運動、識者への攻撃を意図的に誘導している点です。それこそが彼らが願う狙いそのものです。そのような政治姿勢を感じ取り右翼的潮流が増長しつつある社会状況を批判し、包囲する必要があります。彼らは、自らの主張を科学的、論理的に組み立て、論証できないからこそ暴力、脅迫という手段に訴えるのでしょう。ナチスヒトラーがデマ、宣伝により、当時のドイツ共産党を弾圧し、自らの政敵を謀略により暗殺、弾圧することをこの日本で再現させてはなりません。
毎日新聞メディア時評 大学脅迫問題 問われるのは覚悟
北星学園大学教授 阪井宏(ジャーナルリズム倫理)
朝日の慰安婦報道にかかわった元記者が教壇に立つ大学が、相次いで脅迫を受けた。脅されたのは、帝塚山学院大学(大阪狭山市)と、私の勤める北星学園大学だ。両大学は今春以降、文書、電話、メールで脅迫を受けた。「辞めさせなければ、学生に痛い目に遭ってもらう」と学生への危害をほのめかす文書もあった。
問題が表面化してから、各紙は社説でこの脅迫行為を非難した。「暴力は、許さない」(10月2日朝日)、「看過できない卑劣さ」(同3日毎日)、「言論封じを狙う卑劣な行為だ」(同3日読売)などの見出しが並んだ。
帝塚山の元記者は自ら辞職した。北星は当初、脅しに屈しない姿勢を示した。全国から応援の声が寄せられた。市民団体「負けるな北星!の会(通称・マケルナ会)」が東京と札幌で生まれた。大学教員、ジャーナリスト、弁護士らが名を連ね、学生5000人足らずの私大がにわかに注目の的となった。しかし10月31日、学長が元記者の本年度での雇い止め方針を表明すると、空気が変わった。報道には弱腰の大学を嘆くかのようなニュアンスも漂う。
毎日は今月8日、全国の弁護士380人が脅迫の容疑者を本人不詳のまま刑事告発するという動きを社会面準トップで取り上げた。地元紙はマケルナ会のシンポジウムを紹介し、「大学が間違った選択をしないよう応援する」との北大教授の発言を伝えた。
ありがたい応援である。ただ、この事件は北星だけの頑張りで済む話ではない。あらゆる組織が、いつ何時、同様の脅迫によって活動を阻害されるかも分からない。ところがそんな事態の深刻さが報道からは伝わってこない。
志ある大学教員に提案したい。自らが勤務する大学に、元記者を講師として招く授業をぜひ検討してほしい。マスコミ各社にもお願いしたい。多彩なカルチャー講座の一コマに、元記者を呼んではどうか。市民の方々にも問いたい。集会所の会議室を借り、元記者と語る手があるではないかと。
自らのフィールドでテロと戦う。その決断は口で言うほどたやすくはない。単独ではきつい。しかし、大きなうねりとなれば話は別だ。元記者を招く動きが全国に広がれば、脅迫者は的を絞れない。
この国の民主主義を人任せにしてはいけない。試されているのは我々一人ひとりの当事者意識と覚悟だろう。(北海道支社発行紙面を基に論評)
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