全袋検査を行うことで消費者には、安心感をもたらすことが出来ます。その一方で、生産者、検査する機関は非常に大きな負担がかかっています。これでもまだ、大飯原発稼動、大間原発の工事を再開すると民主党政権が判断するところが理解できません。
これだけの負担、苦しみを福島県一次産業に与えているのですが、野田、枝野経産大臣の判断は正当性を持っているでしょうか。
<[全袋検査ピーク]新米・年内出荷不安 作業追いつかず>
コメの放射性物質を調べる全袋検査がピークを迎えているが、県内各地で検査が間に合わず出荷が滞っている。現在の人員では検査が追い付かず、県の予想よりはるかに米袋の搬出・搬入に時間を取られているためだ。県の全袋検査とは別に、国が旧市町村単位でモニタリング検査を義務付けているのも、出荷まで時間を費やす一因となっている。検査場では検査待ちの米袋が山積みとなり、関係者は「新米」として年内に出荷できるか懸念している。
■見込み違い
県の予算で購入されたベルトコンベヤー式の放射性物質測定器は計193台。平成22年産米の生産量を基に市町村への配置数を決めた。しかし、年内に全量検査を完了させる県の計画に早くも「赤信号」がともるケースも出ている。
会津坂下町の全袋検査用会場となっている米穀販売業者の倉庫には、検査や出荷を待つコメの袋が天井近くまで積まれている。配備された測定器は1台。連日、3000袋前後の袋が運ばれてくるが、検査は1日8時間の稼働で1400~1500袋にとどまる。1日数100袋が倉庫に増えていく計算だ。
県は当初、1台で1日2000袋の検査が可能と見込んでいた。試験運用に基づく結果だが、実際には農家から集荷した米袋をトラックから運び込む作業や、検査を終えた袋の運び出しに予想以上に人手と時間を取られ、2000袋には届かない。
検査の速度を上げれば測定ミスが発生する可能性もある。
JA会津みどりは会津坂下町を含め管内7町村で約75万袋の検査を予定しているが今年中に24年産米の検査を完了できる可能性は、ほぼないとみている。
県は24年度の全袋検査に掛かるコメの運搬費や人件費として60億円を確保している。東京電力に賠償を求めるが、「予算上、人員の増加や測定器の追加は難しい。作業の効率化など工夫を凝らしてもらうしかない」との立場だ。
■二重検査
24年産米の全袋検査と併せ、国は原子力災害対策特別措置法により旧市町村単位の抽出によるモニタリング検査を県に指示している。県は304の旧市町村を対象に実施しているが、10日までに完了したのは58%の176にとどまる。全袋検査が済んでも、旧市町村全体のモニタリングが終了していなければ出荷できず、農家は気をもんでいる。
抽出調査に時間を要しているのは、土壌に含まれている放射性物質濃度などに応じて検査対象件数を増やしているためだ。いわき市勿来町の農家女性(63)は「稲刈りは終わったのに流通しないのはおかしい」と訴える。
当初、国のモニタリング検査だけが行われる予定だったが、県が独自に全袋検査の実施を決めたため「二重検査」の形となった。郡山市は国に制度改善を要望しており、農林水産省は11日、旧市町村内で検査の終了していない農家がある場合でも、終わった農家から順次、出荷を認め改善につなげる方向で調整に入った。
■豊作
東日本大震災などで作付面積が減り、全国の市場に流通する23年産米が不足した。このため24年産の価格は前年産より1割前後高くなっている。
ただ今年は県内を含めて全国的に豊作。県内の米穀業者は「出荷時期が遅れればコメがだぶつき、値段が下がる」と指摘する。さらに別の業者は「年が明けると『新米』として扱われない。検査が遅れるほど価格に響くのでは」と不安を口にしている。
【背景】
東京電力福島第一原発事故で、県内の平成23年産米から当時の国の暫定基準値(1キロ当たり500ベクレル)を超える放射性セシウムが検出されたことを受け、県は24年産米について全袋、放射性物質検査を実施した上で出荷することを決めた。要望のあった50市町村に配置したベルトコンベヤー式の測定器で1袋(玄米30キロ)ずつ調べ、基準値(100ベクレル)を上回るコメの市場流通を防ぐ。対象は計1200万袋に上るとみられ、検査は今月10日までに早場米を含め203万8511袋が終了した。
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