安倍政権は、選挙時は国民受けすることばかりを宣伝してきました。景気対策、福島の復興なくして日本の再生はない。選挙公示日は福島第一声から始める。などなどです。本音は、憲法改悪、自衛隊の国軍化、TPP参加、消費税率引き上げ、原子力発電所再稼動であり、国民生活の向上、平和への願い、貧困層の削減と仕組みの変更などには全く関心がありません。そのことが現実と事実を持って1つ1つあきらかになりつつあります。
選挙後にやったことは、憲法解釈の変更、集団的自衛権の行使を容認する内閣法制局長官の人事変更、TPP参加のための決断・交渉促進、国会審議の軽視でした。将来の日本のありようを根本的に変更してしまうような憲法解釈の変更、関税撤廃などを国会審議にかけないで進めています。こんなことが長く続き、選挙民、国民が分からないはずがありません。必ずこのような政権運営に抗議する声が巻き起こるはずです。
しかし、問題なのは憲法解釈の変更、関税撤廃などは制度の変更であり、長期的に国家、国対国の関係を根本から変更してしまう重要な政策課題であることです。そのことで、自衛隊の国軍化、装備の購入、秘密保全法などの実体化、一次産業後継者の急減、廃業などが進むことです。このようなことが進めば、元に戻ることが極めて困難となるからです。
3.11震災復興なども口先だけで、すべて、官僚まかせにしています。被災者、被災地の復旧には全く関心がないことを示しています。弱者、貧しい人々がどうなっているか、どうなっていくのかなどを想像することすら出来ない政権です。
<社説>
東京電力福島第1原発事故による避難者らが国の支援策の具体化を求めて東京地裁に提訴した。昨年制定された「子ども・被災者支援法」は対象地域を決めて支援の基本方針を策定するよう政府に義務付けているが、いまだに定めていない。法律ができて1年以上になる。政府の不作為は明らかだ。避難者の不安を考えれば提訴は当然である。
震災復興に対する姿勢が問われている。誠意をもって支援の具体策を明示するのが国の責務だ。
提訴したのは避難指示区域以外からの避難者と、避難せずに暮らす住民たちだ。基本方針を定めない政府の違法性と、原告が支援を受ける地位にあることの確認を求めた。損害賠償額を1人1円とし、政府の責任をただすことに主眼を置く。
支援法は国が原子力災害から国民を守る責任、原子力政策を推進してきた社会的責任を負っていることを明記した。放射能被ばくへの自主判断を尊重し、避難した人も住み続ける人も同様に支援を受けられる。避難者は子供たちの健康、住宅の確保、就労などの悩みを抱えて暮らしている。北海道に避難している家族も多い。こうした人々を名実ともに支援することを約束し、負担を軽減する。それが支援法の意義だ。
その鍵となる基本方針を定めようとしない政府の姿勢は到底許されない。政府が法律を守ろうとせず、国民の不信感が増大すれば、国の基盤を揺るがしかねない。
一義的には復興庁の仕事である。しかし短文投稿サイトのツイッター上で暴言を繰り返した元参事官はこの支援策の担当で、基本方針の先送りも示唆していた。復興庁の「やる気のなさ」を象徴する事件だった。基本方針のもたつきについて根本匠復興相は責任を免れない。
忘れてならないのは支援法が超党派の議員立法として成立したことだ。自民党は当時野党として立法を主導した。その責任を自覚し、政府に努力を促さなくてはならない。安倍晋三首相は「福島の復興なくして日本の再生はない」と言った。言葉が踊るばかりで行動が伴っていない。首相は復興庁の長でもある。態勢を立て直し、少なくとも基本方針をいつまとめるのか示すべきだ。
提訴後の記者会見で原告の一人は「国は原発を推進して重大な結果を招いておきながら、誰も責任を取らず、被災者を救済せず、原発を再稼働して海外に輸出しようとしている」と厳しく批判した。
被災者の多くは苦しい中でじっと我慢している。提訴は被災地を置き去りにするかのような国に対する全被災者の怒りと受け止めるべきだ。
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