憲法に基づく教育を受ける権利を政治が保障するのは当然のことですし、経済的な理由で教育を受ける権利が侵害されることを防がなければなりません。
そもそも、貧富の格差が極端に拡大し、膨大な貧困層、生活保護世帯を生み出したのは自民党政権の政策そのものです。規制緩和の名の下に、非正規労働、派遣労働を無制限に拡大した結果、もたらされた貧困の拡大が招いた結果です。一度貧困層に陥れば、その貧困層から抜け出すことは非常に困難です。これが階級の形成にも大きな影響を与えています。アメリカ、日本、イギリスなどの新自由主義政治経済が席巻する国々で共通する現象です。この貧困からの抜け出す道は、教育を受ける権利を政治が保障し、子供たちの教育を受ける権利を保障することが有効であると言われています。
富裕層は、塾、留学、私学費用などを豊富に負担することができるために、国立大学、有名私立大学の多くの生徒の家庭所得は年間1000万以上あると言われています。この事実ひとつをとっても、教育を受ける権利が経済的な理由で大きく差別選別されていることが分かります。
国の発展と、人材、科学技術の発展、大学などの高等教育の充実は切り離せない関係にあります。日本の未来を託すべき青少年が経済的な理由で教育を受ける権利を持てるようにするのは政治の責任です。
<琉球新報社説>無料塾補助半減 貧困で教育の機会奪うな
県内11市町で実施されている生活保護世帯の児童・生徒への無料塾という学習支援事業が来年度以降は事業縮小もしくは実施できなくなる懸念が出ている。国の制度変更で補助率が全額補助から2分の1補助に引き下げられるためだ。2011年度に始まったこの事業が県内で広がり、着実に効果を上げている。貧困の連鎖を断つためにも、国の補助減額で事業が頓挫する事態は避けなければならない。
無料塾に通う小中学生は今年6月現在、238人おり、県内の生活保護世帯の全児童生徒2400人の約1割を占める。支援を実施している11市町のうち7市町は支援を受けた生徒の高校進学率が100%に達している。この事業が効果を上げていることの証しだ。
事業はこれまで名護市を除いては国の「緊急雇用創出事業臨時特例基金」を利用して実施してきた。この制度が本年度で終了し、来年度からは「生活困窮者支援法」の枠組みに引き継がれる。対象が生活保護世帯だけでなく、生活困窮者世帯にも広げられる。支援範囲が拡大することは喜ばしい。問題なのは国の補助額が全額から2分の1に減額されることだ。なぜ減額する必要があるのか。
昨年6月に成立した「子どもの貧困対策推進法」は「子どもの将来が生まれ育った環境によって左右されることのない社会」を実現することが目的だ。国と地方自治体が協力し、そのための対策を実施する責任があることを明確にしている。国の補助減額は推進法が定めた趣旨に反していないか。減額方針の再考を求めたい。
本年度まで国が全額補助していたにもかかわらず、県内の30市町村が無料塾の事業自体を実施していなかったことは驚きだ。住む場所によって対象児童生徒の学ぶ機会を奪うことがあってはならない。全市町村が参加して一律に学習支援を享受できるようにしたい。
県は本年度から経済的理由で塾に通えない大学進学志望の高校生を対象にした無料塾を始めた。事業費は沖縄振興交付金(一括交付金)を活用している。国が補助を減額する小中学生の制度でも、県が減額分を一括交付金で補填(ほてん)することはできないか。知恵を出してもらいたい。
「貧困の連鎖」で子どもたちの教育を受ける機会を奪うことは許されない。平等な教育を保障するためにも事業を継続させたい。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます