そらまめ日記・猫と暮らす会(猫とクラス会)

静岡県浜松市を拠点に、人と猫とが上手に暮らせることを願い
共生をテーマに自分なりの言葉で日々を綴っています

ベルちゃんのお話し

2024-07-18 19:50:29 | 天に還った猫たち犬たち
さかのぼること3年前、
自宅で餌をあげていて猫が増えてしまったため
手術の相談に乗ったTさん。
その方から連絡をもらいました。
先月6月25日のことです。

同じ職場で働く女性が、職場内で子猫を拾ったけれど
お世話することができないから引き受けてもらえないかという内容です。

駆虫の代金をいただいて引き取ることにしました。
急がないといけないような状況だったので、
細かいやり取りをしている時間がありませんでした。

近くに住んでいるスタッフさんに、緊急でお迎えを頼みました。
会のベテランのスタッフさん宅まで搬入をお願いしました。



相談の子猫は保護できましたが、すぐ近くで
兄弟と思われる子猫は亡くなっていたことをお迎え時に聞いたそうです。

とりあえず安全地帯にたどりつき、やれやれと思っていました。



別のスタッフさんから美女と野獣の主人公の名前
ベルちゃんと名づけてもらいました。

点滴をして、何か口にするかと試してくれましたが
飲み込みません。
元気がないのです。



低体温でもなく、どこが・・・なにが・・・がわからないままです。

それどころか、その後ゲロゲロ吐き戻したものを見て
おったまげてしまいました。



何か骨のような・・・?
鳥かネズミか何かかと思っていたら、
その後の吐瀉物の中身が足でした。



長いこと活動していますが、小さな500グラムの子猫から
こんな物が出てきたのは初めての体験でした。

お世話してくれてるスタッフさんはリアルに見てしまいましたし
わたしから日ごろゲロッた物をしっかり分解して
中身を確認するようにと言われていますから、
鳥肌を立てながらがんばったと思います。

ネット検索したねずみの足


手足の形や毛からねずみだとわかりました。

ベルちゃんが、どれほど飢えていたのか。
まだ口にするには早いものを無我夢中で食べるしかなかった状況を思い
スタッフさんみんなが涙しました。

翌日、早急に受診しました。
内容物がうんちとして出てくるか、全部吐ききるのを待つしかないと言われ
いったん帰宅します。



ただ、そこから2日経過しましたが、
点滴を続けているのにおしっこをしないと報告がはいります。
後ろ足を踏ん張って立つことができないとも・・・。
お腹はぽっこりと栄養失調の子供のように膨れているのです。



嫌な予感がして、翌朝一番で再受診をしてもらいました。


診察前、可愛い表情でキャリーから覗くベルちゃん

レントゲンなどでしっかりと何が起きているのか確認してもらわないと
その後のことに関わってきます。

そして、その嫌な予感は的中してしまいました。

大腿部の骨が折れていました。
骨盤もゆがんでいます。
複雑骨折で亀裂も確認できます。
たぶん、膀胱も避けてしまって尿がお腹に漏れているのではとのことでした。



先生は、どうしてもの手術を考えるなら膀胱を縫う選択肢があることを
お話しくださったそうです。
ただ、縫えない場所ならそれまでです。



スタッフさんにはいったん帰宅してもらって、そこからずっとどうするのが
いいのかを考えました。
オペに舵を切ったとして、こんな小さな子猫の麻酔の負担やリスク
予後のこと
ベルちゃんにとって何が最善なのか、思いっきり悩みました。

そして本当に悔しいし張り裂けそうな胸中ではありましたが
これ以上ベルちゃんを苦しませることがいいことではないだろうと判断し
安楽死の決断をしました。

スタッフさんに今一度、夕方ベルちゃんを病院に連れて来てねと。
残された時間を、ベルちゃんと向き合って過ごしてくれたスタッフさんには
感謝の気持ちでいっぱいでした。

わたし自身が心から信頼できる優秀なスタッフさんです。
猫たちに優しく、守りたい気持ちの強いスタッフさんです。
ベルちゃんの最後に過ごす数日が、残りの数時間が
彼女の元で本当に良かったと思いました。

しかたないとわかっていても、限られた時間を向き合うのは
どれほどつらいことだったろうかと・・・。
でも、ベルちゃんはちゃんと甘えられたと思うのです。
苦しい中でもきっとたくさんの愛情は伝わったと思うのです。

約束の時間を少し過ぎてから、
スタッフさんがベルちゃんを連れてきてくれました。
これ以上ない重たい道中だったと思います。
先生からももう一度レントゲン写真を見てせていただき
ベルちゃんについて話し合いました。
無理をして助かるなら、どんな無理でもしようと思いましたが
やはり結論をくつがえすような要素は見つかりませんでした。

最期は腕の中で逝かせたいというスタッフさんの希望を
先生も快諾してくださって、わたしたちの見守る中
静かに静かに眠りながらベルちゃんが旅立っていきました。
6月28日18:45のことでした。

おうちに来てくれてほんとにありがとうね
彼女が意識の薄れていくベルちゃんに何度も何度も話しかけていました。
ベルちゃんを持っている手が、小刻みにずっと震えていました。
神様に祈るしか他、何もありませんでした。



片頭痛がするほど泣いて
数日、情けないことに気の抜けた炭酸状態の自分がいました。
無力さを痛感していました。

でも、ベルちゃんが確かに存在していた事実をしっかりと
覚えていてあげないといけません。
命の終わりを決めてしまった責任もあります。

みじめな状態の子猫たちを増やさないようにしていくしかないし
それは、誰かががんばるだけの問題じゃないだろうと思うのです。
ひとりひとりが、命が尊いとか大切とか思ったり言ったりするなら
人任せにしないようにしていくしかないし
そういう仕組みだったり、そういう風潮だったり
そういう教育だったりをしていかないといけないと思うのです。

時間がかかるかもしれません。
でもね
今のこの1歩1歩が、
後々の大事な1歩になっていると信じるしかないです。

ひとりでも多くの人の心に、良き種をまいていけたらいいです。
この悔しさ悲しさは、もしかしたら土壌づくりにかかせない
大事な肥料の役割になっていくのかもしれません。

コメント
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