そらまめ日記・猫と暮らす会(猫とクラス会)

静岡県浜松市を拠点に、人と猫とが上手に暮らせることを願い
共生をテーマに自分なりの言葉で日々を綴っています

最期を看取る~クロちゃんのこと

2023-10-12 08:33:05 | 天に還った猫たち犬たち
8月の最後の相談会・展示会のあと、
佐鳴湖の北岸管理棟の方から連絡をいただきました。

わたしが2013年に手術を手伝ったTさんが、どうしても
わたしと連絡を取りたいと言ってますとのことでした。

わたしの連絡先などがわからなくなってしまったようです。
お電話して訪ねました。

あのときTNRをしたクロちゃんを
ずっとお庭でお世話してくださっていました。
手術時すでに何度かの出産をし、推定3歳くらいでしたから
13歳になろうかと思われる猫です。
お外で暮らす猫としては、ものすごく長生きです。
きっと賢くて、生まれ持った体力もあり
環境にも恵まれていたんだと思います。

体調を崩し、思わず室内に入れたものの
その後どうしたらいいのかさっぱりわからなくて・・・。
という内容のご相談でした。

床の間で動けなくなっているクロちゃん。
高齢で真夏の暑さも加わり終わりの時が近づいていました。



弱っていたため触ることができました。
洗濯ネットにいれて、脱水していることを確認。
何も食べられていないようでしたので、ひとまず必要量の点滴をしました。

点滴のおかげか顔をあげられるようになってきました。
翌日、動物病院を受診してもらえないかとお話しをしました。
もちろん、料金の話がネックなようでした。
80歳過ぎて・・・どのくらいの受診料なのかを懸念されていました。

野良猫に診察代まで出すのは・・・。
と考える人はまだまだ大勢います。
手術はしても、餌はあげても、それ以上はと思う方が多いのは事実です。

後悔しない方法を考えてくださればと思って、いろんな方法を
ひととおり説明させてもらっています。
もちろん、どうするのか決めるのはご本人。

洗濯ネットとキャリーは貸し出してきました。

さっそく翌日ご連絡をくださいました。
受診してくださったそうです。
血液検査の結果
慢性腎不全と肝機能障害。
今日、明日の命だろうと言われたそうで、室内の安全なところで
看取ることにしてくださいました。
家で看取ってあげようと決心がついたら
心が軽くなったそうです。



クロちゃんは、結局翌々日の火曜日の8月29日に亡くなりました。
ただ、わたしが貸し出したものを取りにいくと
クロちゃんはまだ浅く、呼吸をしていました。

亡くなったと思って痛まないようにアイスノンで冷やしたら動いた!
などとTさんが言うのでよく見たら、クロちゃんはまだ生きていました。
もう、間もなくだということはわかりましたので
いっしょにそばにいることにしました。

高齢で猫を飼ったことのないTさんですが
最後の最後に、クロちゃんの逝く場所を提供してくれて
受診もしてくれて、恐る恐るの看取りに入ってくださったことに
感謝の気持ちでした。

クロちゃんを見送るまでの30分
クロちゃんを撫でながら、いろんなお話をしてくださいました。



2年前から認知症で施設に入っていらっしゃる奥様の容体が思わしくなくて、いつ病院から呼ばれるかわからない状況だとか。
それもあって、人でも猫でも関わったらきちんと見送ることが
大切なんだと痛感されたんだそうです。

『黒猫は魔法猫で、厄落としの猫と言われてますよ』とお話ししました。
家内も喜ぶかなと、少し嬉しそうな表情を見せてくれました。

その後ゆっくりと・・・クロちゃんは還っていきました。
きちんと身だしなみを整えて送ってあげたいのでと伝えて
きれいに拭いて、ブラッシングしました。
泣きながらその様子を見ていらっしゃいました。

長い間関わった子の最期。
おうちの中で安全に安心して逝けたことは何よりだったと思います。
クロちゃん、少しだけでも家に入りたかったのかな。

『看取ってくださって本当にありがとうございます』と
深く一礼してお宅を後にしました。
【1匹の野良猫と言われる猫の終わり】が、こうしてあたたかいもので
よかったと思います。

Tさんは画家なので、お家の中には素敵な絵画が何枚もありました。



クロちゃんを看取る時、クロちゃんに似合ってるなぁなんて
勝手に感じていたわたしです。
向こうで、『絵描きのおじちゃんにお世話になったよ』なんて
きっとみんなに話しているかもしれませんね。

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2 コメント

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Unknown (スズキリク)
2023-10-12 11:53:17
BUMP OF CHICKENと言うアーティストの、「K」と言う曲を思い出しました。黒猫と画家さんが出てきます。クロちゃんは幸せでしたね。ご冥福をお祈りします。
スズキリク様 (そらまめ)
2023-10-13 06:40:34
Kの中では、黒猫が嫌われる感じで描かれてますよね。でもその裏側では最も愛すべき猫ということでしょうか。

クロちゃんと同じような立場の猫はたくさんいます。
餌をあげている方が、最期にその子とどう向き合うのかでずいぶん変わってくるんだろうと思います。

リクさんの悼む気持ち、クロちゃんにもきっと届いてますね。ありがとうございます。

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