猫の世界の血縁関係をいちいち人間社会に置き換える必要もないと
わかってはいるのですが・・・。
昨年の9月のことです。
餌をあげているという方から相談がありました。
『近所で野良猫が子どもを産み、
かわいそうなので捕獲していただけないでしょうか』
スタッフさんが対応してくれました。
お隣の方といっしょに餌をあげていたそうです。
餌だけあげるのはNGだとお伝えすると、お腹がすいてて気の毒だったからと。
出産したママ猫が、子猫6匹におっぱいをあげる姿を見て、
かわいそうだけではなく、初めてまずい!と感じたのかもしれません。
担当スタッフさん、
お電話でママ猫の手術と子猫の保護の話しをしてくれました。
もちろんママ猫の手術代金、子猫のワクチン・駆虫の費用を
相談者さんが負担してくれることをお約束をしての話しです。
さっそく現場に向かってくれました。
確認したところ、ママも子猫も隣家のブロック塀と家のトタン塀の間に
挟まるように隠れていたそうです。
ガリガリに痩せたママをちゅーるで油断させて塀の上から手を伸ばして捕獲。
野良猫とは思えないほど慣れています。
子猫たちは草木の中に入り込んでしまったそうです。
許可をもらってそこに入ることを決めますが
木が邪魔をしていて人間が入っていけなかったようです。
これまた許可を得て、ゴリゴリと木を切って・・・
そこから進んでいったみたいなんですが、
後から木まで切った話しを聞いて、めちゃうけてしまいました。
やんちゃすぎる😂😂
トタン塀の下5センチくらいの隙間から中に入ってしまった子猫を
ちゅーるで誘い出し、時間をかけて1匹ずつ保護していったようです。
最後のいちばん警戒心の強い子猫が出てこなかったのですが
ここで、もうひとり別のスタッフさん参上です。
トタン塀の向こうが、隣家の中につながっていることに気づき
そちらのお宅にお願いして入れてもらいます。
土間の荷物を片付けていたら、子猫発見。
無事に御用となりました~✨と連絡をもらいました。
こうしてママと6匹の子猫たちは1日で保護できてしまいました。
それからは・・・
子猫を預かってくれたスタッフさんが、一生懸命育ててくれました。
駆虫したりワクチン接種したり、慣らしたり・・・
その後もいろいろと、紆余曲折ありましたが、
現在はママ猫も子猫たちも、みんな無事に譲渡できて幸せに暮らしています。
今回は、その続きの話しです。
この6匹のパパ猫くんと思われる猫の相談です。
しばらく餌を食べに来ていなかったけれど、久しぶりに現れたパパ猫くんは
顔の傷が化膿しているから、捕獲して治療して自宅で飼いたいと・・・。
捕獲器を貸し出して無事にパパ猫くんが捕まりました。
幸せなこれからが待っていると思えたのですが
間に合わなかった、つまり手遅れ・・・だったんです。
7月10日のことでした。
顔の半分が崩れて手当ができず、先生とも相談して安楽死を選んだとのこと。
苦しい決断だったと思います。
安楽死はときに優しい選択だと思います。
その子のことを思って選んだものなら、最良だと思うしかありませんが
同時に苦しかったと思います。
相談者さん、お家の子にしてもいいとまで考えていましたから
間に合わなかったこと、助けられなかったこと
きっとずっと澱のように心の底に残るんじゃないのかなと考えると
なんと言葉をかけてあげたらいいか・・・。
そしてこの相談者さんを担当してくれているスタッフさん宅で
お家の子として迎えてくれているのは、
秋にやんちゃぶりを発揮して保護した6匹の中の1匹。
つまり、今回安楽死したのは担当スタッフさんが
お家で迎えた子のパパ猫くんだということ。
1匹の雄の野良猫が旅立っていき、そこに関わりました。
でもただの雄猫ではなかったというのは
何か意味があるのかもしれないですね。
顔に大けがをして、ようやく相談者さんのところに戻ってきたパパ猫くん。
最後はこの場所に戻ってきたかったんだね。
その魂がどうか安らかでありますように・・・。