7月の初旬に入った相談にようやく目処がたってきました。
たぶん子猫が4匹いて大人がだいたい5~6匹
子猫たちは里親さんを探してあげたくて、大人猫は手術をしたいです。
そういう内容のご相談でした。
まずは内容を確認するために現場を見に行きました。
7月5日の夜10時30分の待ち合わせです。
駐車場は有料を使用。
捕獲器を扱うのは慎重にしなければいけない夜の街です。
田舎とはまた異なる様々な問題を抱えた現場でした。
真夜中の仕事帰りに、猫にご飯をあげて帰る人も大勢いそうな気がしました。
慣れていそうな子もそんなにいないように見えました。
ただ、あまりに同じ柄ばかりで、本当の数の把握ができなくて
相談してきたよりも、こういう場合って必ず多くなるのがお決まりです。
実際、結果として捕獲したのは22匹でした。
いろいろ頭の中で考えて・・・そして、手術にかかる費用負担を相談者の方がきちんと支払えるのかを確認しました。
品のいい高齢のその女性は、80歳。
この場所を数年先には離れると決めていました。
離れる前に、どうしても全部生まれないようにしておきたいというのが希望でした。
子猫が捕まったときは、この相談者の方は何もできませんから
それでも現場に入るかどうかは、今度はこちらの腹を決めなければいけません。
なんとかなるかな、なんとかするしかないか
と、あまりそこは考えず、スタートしたわけです。
はじまってみれば、本当にいろんな問題が次々に浮かび上がってきたのですが
今回、もっとも重たくわたしにのしかかってきたのが病気を患っていた雌猫のことでした。
7月13日、捕まりました。
破水してると相談者がいうのです。
深夜のことなので心配になり夜間救急に行きましたが・・・。
なんともあまりはっきりしない回答です。
飼い猫ではなくて野良猫だったからでしょうか。
こちらも、避妊手術の事業をしている現場でウンタラカンタラ説明しましたが
夜間救急の先生にはよく理解してもらえなくて(あたりまえかもしれませんね)
結局、朝を待って説明できる先生にお願いすることになりました。
手術後1泊して帰ってきましたが・・・・とてもとてもリリースはできそうにない状態でした。
しっかり餌を食べださないと、とても元には返せそうにありません。
他のリリース待ちの猫たちがいる倉庫に連れていきましたが、翌日にはその場で大量のおしっこを垂れ流した状態で
動けなくなってしまいました。
受診のためにキャリーに入れようとしたのですが、
そのときばかりは威嚇しまくり渾身の力で逃げようとするのです。
かなり容体が悪くなっても、そこはやはり野良猫なんだと痛感
皮手袋に長袖、いつもの捕獲体制で捕まえてキャリーに入れます。
手早くやってあげるのが一番です。
それから数日、今度は別の病院で静脈から点滴してもらい入院しましたが
血液検査の結果は腎不全
クレアチニンの数値の異常な高さに、これでは食事が摂れないのも無理もないと納得しました。
破水したかもの大量の水のようなのは、もしかしたら尿???
今となってはわからないことですが、ともかくこの子が大変な状況下にあるのだけは確かです。
そして、入院すれば当然ながらかなりな費用がかかるのです。
その費用は野良猫だからと言って、病院側で出してくれるわけではありません。
相談者の方に話をしなければならず、費用を負担してもらえたとしても
治ることもなく、その後のことも抱えなければならず・・・。
退院後はわが家に置いてみてあげるしか、他にこの子の行き場はありませんでした。
いろんなことを考えました。
何がいちばんいいのか答えが出せず、本当に悩みました。
また、静脈からの点滴は本当に時間もかかります。
腕が少し曲がったりすると止まってしまうし、何よりも生粋の野良猫で
ちょっとでも身体に触れると噛んでくるのです。
弱っていても、口は出る手は出るで、うまくお世話ができないのです。
点滴のおかげで何とか生きていてくれてましたが、ケージの中で大量のオシッコをしてしまうのです。
そしてその上に横になる・・・のかわいそうな状態なのです。
そこで、一日に何回か厚手のペットシートを敷いたケージを二つ並べて、移動させていました。
最悪のお腹びっしょり状態が回避できるようになり
匂いの問題や、この子自身が少しは気分も良かったかもしれません。
相談者の方とも、病院の先生とも(数件の意見をうかがいました)いろいろ話しました。
最後は相談者の方に決めていただくことにしましたが
ご本人は、安楽死を強く望んでいました。
そうしましょうと決めたのに・・・決めきれずにいたのは私でした。
点滴を続け、シーツを交換し、何か食べないかといろいろ鼻先まで持って行ったりしました。
怖くてわけのわからない場所で、わけのわからない人のお世話で
何が幸せなのかと思いっきり悩みました。
弱ってはいても生きています。
威嚇しながら生きています。
何が正しいのかが、もうまったくわからなくなっていました。
そのわたしの悩みを見切ったかのように、この子は27日の未明に息を引き取りました。
人の手によってではなく、自らの天命をまっとうしてくれました。
ありがとうと感謝しながら、この子の尿で汚れてしまった体をきれいにきれいに洗い
天に還すことができました。
安楽死でも致し方ない状況・・・?とはいえ
でも、なかなか選びきれませんでした。
お腹にいた6匹の赤ちゃん猫に、今頃会えているでしょうか。
手術せずとも出産できたのかどうか、できたとしても育てきれずに母子ともに絶命するパターンかもしれません。
こういうケースもあるのだと、今後こういう場合のことも心にしっかりとどめ
活動を続けようと思います。
もしみなさんだったらどうされますか?
わが身に置き換えて考えていただけたら幸いです。
破水ママと呼んでいましたが、この子の魂が安らかでありますように・・・。
子どもたちの魂も安らかでありますように・・・。
2週間ほぼ毎晩、夜な夜な通い詰めて捕獲し、手術をしましたが
今日の夜、リリースして終了です。
わたしが捕獲する猫たちのお世話を朝晩がんばってくれた仲間がいたこと、
快く倉庫を貸してもらえたことが
手順良く短期間で終了するに至った大きな要因でした。