猫周りの場所にチャトランが現われたのがいつだったのか
実はあまり正確には覚えていません。
というのも、ふらふらと現れたものの定着することはなく
来たり来なかったりだったのです。
付近にいる人によれば、誰かの飼い猫説、隣町で餌をもらってる猫説
いろいろでした。
あえてすぐに手術もせず、ご飯もあげずにいましたが
かれこれ半年ほどして、大きな大きな玉をぶら下げているのに
目をつぶっておくことができなくなり、去勢手術を済ませました。
立派な体格で元気も良くて、きっと誰かが餌あげている子かなと思いました。
本来は、ご飯をあげている人がきちんと手術をするべきだと思います。
そういう当たり前のことができない人はまだまだ大勢います。
とはいえ、犯人捜しをしていても仕方ないですから、きちんと手術をして
生きていきやすいようにしてあげたいと思った次第です。
さて、事件が起きたのは昨年9月18日の水曜日の夜のことです。
猫周りしている場所の近くから、ただならぬ悲鳴に近い泣き声が聞こえてきました。
チャトランが上半身だけを持ち上げた姿で必死に呼んでいたのです。
ダーリンが泣き声の場所を探し出してチャトランを見つけ
抱きかかえ車に乗せてくれました。
動けない下半身に痛みがあるようだったので、すぐに夜間救急に行きました。
両足ともに複雑骨折だったのです。
かかりつけの先生と打ち合わせをし、金曜日に手術になりました。
再度検査しレントゲンも撮り直した結果、大腿部の骨が見事に粉砕しています。
這って生活することになってもそれはそれでかまわないけれど
万が一、今後排尿排便ができない身体になっているようなら
そのときは・・・・わたしの腕の中で逝かせたいと伝えました。
そこからは先生にすべてを委ねました。
結果は・・・・無事に手術は成功し、骨はピンを入れて押さえて
しばらく創外固定の生活に。
安静にしていないといけないので、ケージに入れていましたが
イライラするのか、毎日ケージの中はアナ雪状態です。
ピンの固定がうまくいったので、トイレには何とか行けるようになりました。
少しづつ、少しづつ回復するようにサポートするほかありません。
そのうちケージの外に出して、ちょっと目を離すとやっぱりアナ雪です。
チャトランの楽しみはご飯タイムだけ。
わたしの楽しみは、先生が巻いてくれるテープの色。
カラフルさを楽しんでいました。
いっしょに生活してみて、チャトランは飼われていたことがあるのかもと思いました。
威嚇もなく、爪を出すこともありません。
他の猫たちにも大変友好的で、むしろ遠慮がちです。
子猫たちには大人気でした。
11月の末に、創外固定を外すオペをしました。
そこからのチャトランはみるみる回復して、普通の家猫みたいです。
院長先生の的確な判断、先生方のオペの技術
そして病院のスタッフさんたちもいっしょに頑張ってくださったおかげです。
顔も可愛いし、もっとしっかり歩けるようになったら
譲渡できるかもって希望も見えてきました。
骨の折れ方を見ると、太ももだけが砕けています。
寝ているところを人間の足で踏みつけたか、
傘などで思いっきりたたいたか・・・・。
交通事故ではないことは一目瞭然でした。
嫌なことは考えたくないけれど、おかしな人間がいるのは事実で
弱い者いじめする人は後を絶ちません。
野良猫稼業をやっていくのなら、なつっこい猫は要注意なのです。
助けたいと願う人も大勢いますが、死んだっていいと思う人間も
いじめたっていいとひどいことができる人間も大勢います。
命がつながって本当に良かったです。
そしてそして、チャトランは2月の終わりに、とある若いご夫婦に見初められ
別のスタッフさんのお家にいたまるお君と2匹で
里親さん宅に行ってから、
風邪ひきで体調を崩すというアクシデントもありましたが
家猫としての幸せな道を手にすることができたのです。
半年の間に悲しいこと苦しいこと、痛いこと怖いこと
様々な経験をしたチャトランです。
そのいばらの道の先に大きな幸せが待っていました。
わたし自身も、ずっとこの先忘れることのできない経験をしたと思います。
チャトランは茶虎くんというお名前になりました。
運の悪い猫だったけれど、それをはるかに凌ぐほど強運の持ち主でした。
君の幸せを祈っているからね。
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チャトランを保護する直前、グレト・シマトを相次いで見送っていました。
大けがをしたチャトランを何とか助けたいと思ったことで
わたし自身が悲しみに埋もれてしまうことがなかったと思います。
ボロボロの気持ちでも何とかなるものですね。
助けたつもりで、助けてもらったのはホントはわたしの方でした。