かれこれ1か月前の出来事です。
とある方からご連絡をもらいました。
借りている駐車場で餌をあげていたら
三毛の女の子が出産してしまったということです。
子どもを4匹連れて現れて、できたらこの子たちに里親さんを探したい、
ママの三毛はご自身が自宅で飼えないものだろうか。
という相談でした。
子猫は、茶白、キジトラ、三毛、白黒です。
現地調査を兼ねて、餌をあげているという駐車場まで行きました。
ママの三毛ちゃんが、車の下にいます。
子猫たちは普段は隠れていて
お仕事帰り、かなり夜遅い時間に姿を見せるというお話しでした。
捕獲器を貸し出ししてきました。
それから3日ほどして、こちらから捕獲状況はどうなっていますか
の問いに、子猫たちがあの日から1匹ずつ姿を見せなくなり
茶白の子しか来ていないと・・・。
ひとまず、1匹ずつ順番に保護していきましょうとなりました。
大きな音のしない仕掛けの手動タイプの捕獲器で
まず1匹捕まったと連絡をもらいましたが、時刻は
真夜中12時過ぎでした。
子猫を受け取ったら、すぐに次の捕獲に移ってもらおうと
真夜中でしたが、わたしの自宅付近の待ち合わせ場所に来てもらいました。
車から降りてこないのでどうしたんだろうと思ったら
子猫といっしょにママ猫も車に乗せてきたというのです。
いっしゅん意味がわからなかったのですが
ママが自分から乗ってきたから、キャリーにも捕獲器にもネットにも
何も入れない状態でいっしょにここまで来ましたと。
知らない場所で、万が一逃げられたらと凍り付いてしまいました。
なんとかドアを少し開けてキャリーを渡し、
中で格闘してもらうことにしました。
でも、後部座席に置いた手動捕獲器が邪魔で
うまく捕獲できずに時間ばかりが過ぎてゆきます。
後部座席の手動捕獲器を先に出してくださいというのです。
捕獲器の中には捕まったばかりの子猫がいます。
しかたない、いっしゅんで捕獲器を外に出そうと後ろのドアを開けました。
開けた瞬間、足元をささっと何かが動く気配がして
茶色い物が駆け抜けて行きました。
まさか!
そうです。
手動捕獲器は、猫が捕まったら必ずひもやクリップで前扉が開かないよう
きっちり固定して移動するのです。
そして貸し出した際もその説明をし、紐や洗濯ばさみも付けて
お渡ししたのです。
でも、実際は留めてありませんでした。
留めていなかったせいで、前扉から子猫は逃走してしまったんです。
怒るに怒りきれないですが、ママまで逃げられてはどうにもならないので
何とか捕まえてもらいました。
ママを囮に、子猫を保護しようとそのまま預かって
相談者の方には、真夜中でしたし帰宅してもらいました。
子猫が知らない場所で生きていくなんて絶対無理です。
ひとまず付近を歩いて、逃げ込みそうな場所を数か所チェックしました。
明るくなった明け方から体制を整えて捜査しようと帰宅です。
すぐにスタッフさんたちに共有し
緊急でポスティング用のチラシデータを作成して送ってもらいました。
譲渡会当日のことで・・・バタバタの日です。
譲渡会が始まる前に、探しにきてくれたスタッフさんやご家族。
どんよりした気分の中で、ずいぶん励まされました。
何としても見つけてあげなければと思いました。
まだまだ暑さもあり、ママをいつまでも囮にしておくこともできないので
譲渡会のあと返すことにしました。
仕掛けてあった何台かの捕獲器の餌は、どれもまったく手付かずでした。
ありんこがいっぱいになるんです。
チラシも印刷して近所に配布したりポスティングしました。
直接お話しできる方には事情を説明して歩きました。
犬のお散歩中の方にも声をかけました。
夜になって、遅い夕食を取っていたら電話が鳴りました。
チラシを見た方がお電話くださったんです。
ダーリンとすっとんでいきました。
なんとマンションの植え込みの中にいて、連絡をくださったご家族が
みなさんでいっしょに捕獲に協力してくれました。
生きて確認できたことに感激でした。
かれこれ1時間、植え込みの中の子猫との攻防戦です。
が、いっしゅんの隙をついてまたしても逃げられましたが
そちらのご家族には夏休みに帰省していた息子さんがいて
逃げる子猫の後を素早く追い、近くの駐車場に入り込んだところまで
見ていてくれました。
で、そこの駐車場のとある1台の車の下にいたのですが
いきなり姿が消えました。
車の下から中にもぐっていったんだと思います。
あるだけの段ボールで車をきっちり覆いました。
もちろん車に傷をつけないようフリースとかも使いました。
この作業もなかなかの時間がかかりましたが
先ほどお電話をくださったおうちの方が、ずっとそばで
子猫がふいに逃げ出さないかを見ていてくれたので
本当に心強かったです。
1か所隙間を作って、捕獲器をセットしました。
上手くいけば、この捕獲器に入ってくれているはずです。
すでに、日にちが変わる直前でした。
車の所有者さんに説明をしないといけないので
かなり朝早くから待っていました。
待つこと2時間。
お話ししたら、今日は車を使わなくていいとのこと。
会社の車で出勤されている方で、丸1日猶予をもらうことができました。
今日一日で捕獲器に入ってほしいと切に願って、
何度も中を確認に行きました。
で、悲しかったのがその日の夜。
土砂降りになってしまったことです。
何度も段ボールを直しにいきましたが、
自分たちもびしょ濡れで作業がはかどらないし
雨の強さで段ボールもベロベロになってしまいます。
なんだかそれがやたら焦りとか、あきめに近い気持ちにさせます。
気力体力が損なわれてしまうんですね。
大雨の翌日、車の所有者さんにボンネットを開けてもらって
子猫がいないことを確認し、次の方法を考えることにしました。
濡れて重たくなった段ボールの片付けや、濡れて汚れたフリースを
袋に丸めて帰宅するわけですが、余計に足取りを重たくさせました。
懐中電灯の明るさが思っていたより明るくないことに腹が立ったり
あのとき、捕獲器の前扉は固定してますよねと
どうして確認しなかったんだろうと悔やまれたり。
当事者が一度も探しに来ないのは
どういうわけだろうかと思ったりもしました。
いなくなった他の兄弟たち、せめてそっちを探してほしいとも思いました。
いろんなことを考えました。
嫌な自分になっていきそうで怖くなります。
探すあてがなくなりました。
ポスティングの範囲を広げてチラシを配布しました。
夜遅くなるのを待って、山勘ですが
たぶんいるかもと思える場所に捕獲器を3台仕掛けました。
真夜中の2時、丑三つ時
この時間なら向こうに見送った子たちの助けが借りられる気がして
捕獲器の確認作業に行きました。
もう神頼みしかない感じでした。
そして・・・・本当にあの子たちの力を借りられちゃったみたいです。
段ボールを撒いた車のすぐ後ろに仕掛けた捕獲器に
ちゃっかり入っているではありませんか。
見つかって本当に良かったんですが、逆になんというのか
驚いてしまって、嘘じゃないよね~みたいな感じでした。
自宅に連れ帰ってケージに移すとき
実はまた逃げました笑
もちろん今度は室内ですから、簡単に御用になりますが
おとなしく見せておいて、ぴゅーって逃げちゃいます。
こうして9月7日の土曜の夜捕まって、8日になった瞬間逃げて
9月11日水曜日無事保護できました。
2か月の小さな子猫が、飲まず食わずで4日間
まったくの見知らぬ場所で、良く生きていました。
この子は現在
駆虫してワクチン接種して、スタッフさんのお宅で
里親さんを募集しながら、かつ人馴れ修行に精進しています。
いろいろ思うこと考えさせられることの多かった逃走期間でした。
また猫の脱走はいっしゅんで起きることも
改めて認識しました。
いろんな方に助けていただきました。
困ったとき、いっしょに手助けしてもらえるのって
本当にありがたいことだと痛感しました。