goo blog サービス終了のお知らせ 

ワニと読むミステリ(お菓子の家の大騒動)

お菓子の家の大騒動 (コージーブックス)
ヴァージニア・ローウェル
原書房


When the Cookie Crumbles (A Cookie Cutter Shop Mystery)
Virginia Lowell
Berkley

読むと、封をした過去はちょっとしたきっかけで飛び出る。

(ヴァージニア・ローウェル著)
 オリヴィア・グレイソンは“ジンジャーブレッド・ハウス”のオーナー。クッキーに関するものなら何でもそろうという楽しい店です。親友で共同経営者のマディーは素晴らしくおいしいお菓子を焼きます。しかし“ジャンジャーブレッド・ハウス”の経営はなかなか厳しくて。
 小さな町チャタレーハイツは250周年記念を迎えようとしてお祝いムードが高まっています。オリヴィアとマディーも有名なチャタレー邸をモデルにして、ジンジャーブレッドで作ったお菓子の家を完成させようと懸命です。そこへ死んだと思われていたペイン・チャタレーが現れて、チャタレー邸を継承する権利を主張しはじめると、町は大騒ぎになります。祝賀会の最中に修復なったチャタレー邸の見学ツアーが催されることになっていたのですが、ペインは屋敷に立ち入ることを拒否し、祝賀会のために準備したものが無になりそうです。
 しかし、ペインがバスタブの中で死んでいるのが発見され、チャタレー邸の貴重な品々は破壊されています。オリヴィアは事件の調査を開始しますが、チャタレー家の隠された過去がだんだんと明るみに出されます。

 またクッキーカッターがこのお話で重要な役割を果たしますが、ヴィンテージものだと非常に高価なものになるのですね。オリヴィアたちもそのヴィンテージもののクッキーカッターを見つけようと屋敷の中を探しまわるところがでてきます。日本でもクッキーカッターをコレクションしている人がいるのでしょうか。あまり聞いたことがありませんが。
 本国ではもう4作目が出版され、そこではオリヴィアがマディーの婚約パーティのために特別なお菓子を焼くようです。どんなものか楽しみですね。しかし、残念ながらこのシリーズにはレシピはついていません。

  ■既刊
  既刊は2冊です。
フラワークッキーと春の秘密 ← 抜型コレクターのクラリスが自宅で急死
野菜クッキーの意外な宿敵 ← 隣にできた自然食品店から嫌がらせ

 ■クッキーと言えば
 クッキーのミステリといえば、ジョアン・フルークの書くクッキー・ジャーのオーナー、ハンナ・スウェンセンのシリーズですね。もう14作です。
 デビルズフード・ケーキが真似している ← 牧師が殺されます

リヴィア・J・ウォッシュバーンのクッキー交換会の隣人たちではクリスマス・クッキー交換会が行われます。
レスリー・メイヤーの史上最悪のクリスマスクッキー交換会でもクリスマスにクッキー交換会があります。


主人公: オリヴィア(リヴィー)・グレイソン(〈ジンジャーブレッドハウス〉オーナー) 
場所:  USA、メリーランド州チャタレーハイツ
グルメ: クッキー(レシピはなし)
動物: イヌ:スパンキー(ヨークシャーテリア。オリヴィアの飼い犬)
ユーモア: 中
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

ワニと読むミステリ(黒いダイヤモンド)

黒いダイヤモンド (警察署長ブルーノ) (創元推理文庫)
マーティン・ウォーカー
東京創元社

Black Diamond (Bruno Chief of Police 3)
Martin Walker
Quercus


読むと、子は親に似る。

(マーティン・ウォーカー著)
 いつもは静かなサンドニ村で何かおかしげなことが起こっている。ヴェトナム人の屋台が襲われ、アジアレストランでは放火があった。質の悪いトリュフが中国から密輸され、この近くの市場から出荷されているらしい。ドルドーニュ地方にとってトリュフの取引は年に数百万ドルの価値があるのに、これは脅威だ。
 ブルーノはワインを愛し、上手な料理人で、愛すべき警察署長。彼にとっても頭の痛い問題だ。彼の狩猟仲間で有名なトリュフの目利きであるエルキュールが殺されて、ブルーノが調査を開始するといろいろな出来事が少しずつ明らかとなっていくが事態はなおさら混迷を深める。ただの舌の肥えた美食家で狩猟仲間と思っていた彼の友人は実は伝説の秘密警察官だったとわかったのだ。いったい誰がエルキュールの死を望んだのか。

 トリュフがどこで採れるのか、みんな秘密にしているのですね。日本でのマツタケみたいな感じでしょうか。最上級品は1kgあたり千ユーロ(1ユーロ=141.17円。2014/04/24)もするらしいです。これを読むと、フランスにおけるトリュフ取引の様子がよくわかります。
 それとフランスに移民したヴェトナム人と新興勢力の中国人との覇権争いが恐ろしいです。暴力的でとどまるところがない。現在のフランスの移民事情も垣間見えます。
 イザベルとの別れを経験し、新たにパメラとの付き合いが始まったブルーノですが、レストランのオーナー、ポンスという強敵が現れます。さらにパメラが仕事で村にやってきて、ブルーノの恋愛もややこしいことになってしまいます。 それでも相変わらずブルーノの料理はとてもおいしそうで、今回はとっておきのトリュフの食べ方もでてきます。
 4作目では発掘現場で白骨が発見されるようです。

 ■既刊
  すでに2冊日本語版が出ています。

緋色の十字章 ← 戦功十字章を授与された英雄である老人が殺害されます
葡萄色の死 ← ワイン樽の中で死体が発見されます

主人公: ブノワ・クレージュ(ブルーノ) (サンドニの警察署長) 
場所:  フランス、ぺリゴール地方ドルドーニュ県サンドニ
グルメ: フランス田舎料理 (レシピはなし)
動物: イヌ:バセットハウンド(ジジ)、ブルーノの飼い犬
ユーモア: 中
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

ワニと読むミステリ(おめざめですか、アイリーン )

おめざめですか、アイリーン (アイリーン・アドラーの冒険) (創元推理文庫)
キャロル・ネルソン・ダグラス
東京創元社

Good Morning, Irene
Carole Nelson Douglas
Tor Books


読むと、残った人を見つけるのはなかなか難しい。

(キャロル・ネルソン・ダグラス著)

 パリ郊外。ヴィクトリア朝のオペラ歌手で素人探偵のアイリーン・アドラーは鉄道事故で死亡したことになっていますが、夫のゴドフリー・ノートン、友人のペネロピーとともに静かな生活を送っています。しかし、セーヌ川岸に打ち上げられた水夫の死体に出くわしたところから、またもや事件に巻き込まれてしまいます。死体には奇妙な刺青があり、アイリーンはそれがかつてブラム・ストーカーのダイニング・テーブルに寝かされていた死体の入れていた刺青と非常に似ているのを発見します。ゴドフリーは若い女性をセーヌ川から救いますが、その女性は死んでしまったと聞かされ、納得のいかないアイリーンたちはモンテカルロへと赴きます。そこではかのシャーロック・ホームズとの再会がアイリーンを待っていました。

 1888年のパリとモンテカルロが舞台となったミステリです。なにやら怪しげな刺青を負った人たちが死体で発見され、アイリーンはその関連を追及していくのですが、それはある隠された財宝へとアイリーンたちを導いていきます。というわけで、犯人捜しと財宝のありかという2つの楽しみがあります。
 財宝というとすぐに宝島を連想してしまい、海賊か、と思いましたが、それほど単純ではありませんでした。
 変装あり、フェンシングの闘いあり、ロマンスありの活劇で、ちょっと長めの話(541ページ)なのにそうは感じさせないですね。
 このシリーズはまだたくさんの日本語未訳があるようで、これからもアイリーンにお目にかかることができるようです。

 ■他の作品
黒猫ルーイのシリーズは、ラスベガスでフリーランスの広報をしているテンプル・バーとその飼い猫ルーイのミステリです。 これは6作目。
黒猫ルーイと交霊会の夜

主人公: アイリーン・アドラー・ノートン(元女優・オペラ歌手) 
場所:  フランス、モナコ(パリ、モンテカルロ)
グルメ: なし
動物: なし
ユーモア: 中
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

ワニと読むミステリ(犬猫探偵と月曜日の嘘)

犬猫探偵と月曜日の嘘 (ヴィレッジブックス)
L・A・コーネツキー
ヴィレッジブックス
864円(価格は変わる場合があります)

COLLARED (A Gin & Tonic Mystery)
L.A. Kornetsky
GALLERY TP
1,305円(価格は変わる場合があります)

読むと、イヌをもっと自由に。

(L・A・コーネツキー著)
 ジニー・マラードはシアトルに住みコンシェルジュサービス業をしていますが、ジニーとその飼い犬シャーペイのジョージーはそろそろ食料と現金がつきようとしています。早いとこ新しいクライアントを見つけなければ。 ジニーはバー〈メアリーズ〉に向かい、そこでギムレットの1杯か2杯の勢いを借りて仕事のチャンスを嗅ぎつけようとします。そこでジニーにチャンスが訪れ、そこの顧客の伯父とともに消えたある重要書類を探す仕事を得ます。この仕事にはジニーの調査スキルだけでは足りないようで、いつもは何かと闘いを挑んでくるバーテンダーのテディ・トニカをパートナーに頼むことになり、さらにジョージーとバーのネコ、ペニーもこの危険な事件に一緒に立ち向かいます。

シャーペイという犬種は初めて聞きました。シワシワですね。 → http://www.dogfan.jp/zukan/non_sporting/Sharpei/
ジョージーも調査に行きたいのですがなにしろいつも繋がれているので、ネコのペニーほどの機動性は持てませんね。
事件全体はちょっと盛り上がりに欠け、ジョージーとペニーの活躍ももう少しかなという感じです。すでに本国では2作目がでているようなので、2匹の今後の活躍に期待します。

 ■イヌ・ネコつながり
リタ・メイ・ブラウン&スニーキー・パイ・ブラウンの書くシリーズもイヌとネコが協力して事件解決に奮闘します。こちらはみんな活発に動き回ります。
ネコ:ミセス・マーフィ。ピュータ。
イヌ:コーギー犬(ティー・タッカー)

新聞をくばる猫
散歩をこよなく愛する猫
アルバムをひらく猫
病院が嫌いな猫


主人公:  ジニー(ヴァージニア・ルイーズ・マラード)(コンシェルジュサービス業を営む33歳)
場所:  USA、ワシントン州シアトル
グルメ: なし
動物:  ネコ:ペニー(〈メアリーズ〉にあらわれるサバトラ猫)
イヌ:ジョージー(ジニーの飼い犬、シャーペイの雑種)
ユーモア: 小
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

ワニと読むミステリ(カップケーキよ、永遠なれ )

カップケーキよ、永遠なれ (コージーブックス)
J・B・スタンリー
原書房
977円(価格は変わる場合があります)
Black Beans & Vice (A Supper Club Mystery)
J.B.Stanley
Midnight Ink
1,533円(価格は変わる場合があります)
読むと、何か隠したいことがある。

(J・B・スタンリー著)
 デブ・ファイブの新たなダイエット法は何? 催眠療法! みんなで試してみることにします。
 さらにジェイムズは、クリスピー・クリームの誘惑に負けないという強い意欲があります。なぜかというと、それはかわいい息子エリオットの存在と元妻ジェーンとのやり直しのロマンスです。しかしクィンシーズ・ギャップの町に過激な動物愛護主義グループが現れ、町に騒動が起こります。そして2つの死体があり、事故死なのか殺人なのか、デブ・ファイブのメンバーは、おいしい食べ物とともに事件解決に協力します。

 デブ・ファイブのシリーズはこれで完結だそうです。ちょっと残念。いろいろなダイエット法に挑戦しつつもなかなか成果のあがらない5人組に、わかる、わかるとうなずいていたのですが、それもこれでおしまい。
 しかし、催眠療法ってほんとにダイエットに効果があるのでしょうか。デブ・ファイブのメンバーにはあるような、ないような。要は本人の意欲ってことなんでしょうか。
 デブ・ファイブのメンバーが受ける催眠療法ですが、主要登場人物のリストでは、“睡眠療法士”と書かれていますが、“催眠療法士”の間違いでしょうか。
 ジェイムズの息子エリオットは、4歳にしてベジタリアンになってしまいます。あわてたジェイムズは農家のフェスティバルに連れて行って食育をしようとするのですが、どうなることか。
 各章のタイトルは糖分含有量です。もっとも糖分が多いのは、“15章 冷たいホワイトチョコレート・モカ・ラテ 54g”。
では少ないのは何でしょう。

 
 ■既刊
これまで5巻。これでおしまいなのはちょっと寂しい。
ベーカリーは罪深い
アイスクリームの受難
料理教室の探偵たち
バーベキューは命がけ
とんでもないパティシエ

 カップケーキのウェディング・ケーキが出てくるのですが、そういえばジョアン・フルークのハンナ・スウェンセン(クッキー・ジャーのオーナー)シリーズのどこかにそんな話がありました。どこだったかな?
 デビルズフード・ケーキが真似している ← これは最新刊

主人公:  ジェイムズ・ヘンリー(図書館長。〈デブ・ファイブ〉のメンバー)
場所:  USA、ヴァージニア州クィンシーズ・ギャップ
グルメ: お菓子
動物:  なし
ユーモア: 中
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

ワニと読むミステリ(フラテイの暗号)

フラテイの暗号 (創元推理文庫)
ヴィクトル・アルナル・インゴウルフソン
東京創元社
1,197円(価格は変わる場合があります)

The Flatey Enigma
Viktor Arnar Ingolfsson
AmazonCrossing
1,522円(価格は変わる場合があります)

読むと、事件は集約します。

(ヴィクトル・アルナル・インゴウルフソン著)
 
 1960年。西アイスランドの無人島では、春の始まりはその土地の野生生物たちに新たな生命をもたらすものです。しかし、3人のアザラシ猟の猟師たちに発見された死体には春は訪れないでしょう。発見された死体はデンマーク人の教授で、失踪して数カ月がたっていました。その後の調査で彼と“フラテイの書”と呼ばれる中世の手書きの書物との間に不思議なつながりがあるのがわかりました。
 まもなくしてもう一つの死体が発見されます。古いヴァイキングの伝統にのっとって、犠牲者の背中はいわゆる血のワシの形に切り開かれています。
地区長代理のキャルタンは事件調査のために派遣されましたが、しだいに自身の心の闇に引きずり込まれてしまいます。古代からの伝説、記号論や秘密結社の存在、それらキャルタンにとっては忘れたい過去がフラテイ島の犯罪につながっているように見えます。
 キャルタンがこの謎を解明するまで本を置くことはできないでしょう。

 アイスランドのミステリは初めて読みました。このごろ北欧のミステリがだんだんと出版されていますね。いろいろな国のミステリが読めるのは大歓迎です。
 事件に深くかかわる“フラテイの書”ですが、これは実際に存在する書物だそうです。中世以来長い間デンマークの所有するものでしたが、1971年にもう一つの貴重な羊皮紙写本『エッダの詩』とともにデンマークより返還され、今はアウルニ・マグヌソン・アイスランド文化研究所のコレクションになり、ユネスコの世界文化遺産に登録されているそうです。その豪華な写本というのを一度見てみたいですね。
 事件はアイスランドに点々とするの小さな島の一つで起こります。島民たちの生活が事件の調査とともに静かに語られていくのですが、そこに都会からやってきた新聞記者がさざ波を起こし、秘められた過去が現在によみがえってくるのですが、静かに淡々と語られていく島の生活が読んでいるうちにじーっと引き込まれてします。
 不思議な魅力を持った作品です。

主人公:  エトリザグリムル・エイナルソン(フラテイ教会の会衆代表)
キャルタン(地区長の代理)
場所:  アイスランド、フラテイ島
グルメ: なし
動物:  なし
ユーモア: 小
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

ワニと読むミステリ(葡萄園の骨)

葡萄園の骨〔ハヤカワ・ミステリ文庫〕
アーロン・エルキンズ
早川書房
945円(価格は変わる場合があります)

Dying on the Vine (A Gideon Oliver Mystery)
Aaron Elkins
Berkley

読むと、とっさのシナリオは矛盾に注意。

(アーロン・エルキンズ著)
 人類学教授のギデオン・オリヴァーはスケルトン探偵と呼ばれています。ギデオンとその妻ジュリーはイタリア、トスカーナ地方にある友人の果樹園を訪ねてクビデュ一家の家に滞在しています。そこで、名声の誉れ高いスケルトン探偵は家族にまつわる悲劇の調査を依頼されました。先代のピエトロ・クビデュはヴィラ・アンティカの創始者でしたが、一年ほど前にピエトロは人里離れたアペニン山脈の山小屋付近で妻を殺して自らも自殺したと思われています。妻の不倫を疑っていたピエトロによる犯行とされていましたが、二体の白骨死体を調査し始めてすぐに、ギデオンはこれは殺人・自殺ではないと推理します。家族内には、対立があり、争いや不信が渦巻いているのが明らかになってきて、さらにもう一人のクビデュに終わりが訪れます。まだ事件は終わっていないのです。

 今回はギデオンはフィレンツェで開かれている第14回国際科学捜査シンポシウムの講演者としてイタリアを訪れています。妻ジュリーも同行していますが、さらにギデオンの親しい友人であるジョン・ロー夫妻も一緒です。ギデオン=ジョンのコンビのボケ・突っ込みのようなやりとりはこのシリーズには欠かせないものになりましたね。
 クビデュ一家の果樹園やワイナリーでの催し物の様子が描写されているのですが、イタリアの家族の成り立ちってこうなんだ、ととてもよくわかります。地方によっても違うのでしょうが。 
いまだに“血の復讐”とかあるのですね。(ほんとかな)
 二体の白骨をつぶさに見て、どのように死に至ったか、それから1年間山中でどう変化していったか、そんなことがギデオンの調査で徐々に明らかになるのですが、そのあたりはいつものように、ほー、そうなのかぁ、と感心してしまいます。スケルトン探偵シリーズの醍醐味の1つですね。
 シリーズは18巻あるようですが、日本語訳は17冊しかないので、どれかが抜けてるんですね。
 どれかな?

■既刊
 シリーズはもう17巻目だそうです。イギリス、ペルー、メキシコなど、いろんなところの骨を鑑定しています。

骨の島
水底の骨
骨の城
密林の骨
原始の骨
騙す骨

主人公: ギデオン・オリヴァー(人類学教授)
場所:  イタリア、トスカーナ地方
グルメ: なし
動物:  なし
ユーモア: 中


コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

ワニと読むミステリ(貧乏お嬢さま、古書店へ行く)

貧乏お嬢さま、古書店へ行く (コージーブックス)
リース・ボウエン
原書房
980円(価格は変わる場合があります)

A Royal Pain (A Royal Spyness Mystery)
Rhys Bowen
Berkley


読むと、何かのふりをするのは本物ではありません。

(リース・ボウエン著)
 1930年代のロンドン。ジョージアナ(ジョージー)はラノク公爵家の令嬢で、王位継承順位は34番目。そして現在は一文無し。ジョージーは、英国王妃から命じられてバイエルンの王女ハニを自宅でもてなすことになります。王妃の計画としては、ちょうど良くデイヴィッド皇太子の目にとまるところに王女を配し、なんとか結婚にもちこうというのです。しかし、ジョージーはお金もなければ使用人もいません。なにしろ変装してメイドとして働いているくらいですから。王妃はお金のことは少し考えていないのでジョージーは一計を案じます。家をきれいに掃除してお屋敷らしく見せ、おじいちゃんとその隣人に頼んで屋敷の使用人のふりをしてもらうことにしました。 
 ハニ王女の英語はアメリカのギャング映画から学んだというちょっと乱暴な言葉遣いで、万引きをするという困った性癖があり、パーティではよく見張っていないといけません。書店では死体を発見し、無邪気にも共産主義のパーティに行ってみたいと言い出し、ジョージーは気が気ではありません。

 王妃からの無理難題、ジョージーがどう対処するかがみどころですね。デイヴィッド皇太子がシンプソン夫人に恋をしているのをなんとか阻止しようとの王妃のたくらみ、どこまで成功することか。
 このころの英国では、共産主義が次第に力を増してきているところなのでしょうか。集会の様子などが描かれています。
 古い建物の中のカビ臭いような雑然とした書店。店主はやっぱり白い頬ひげで、ペイズリー模様のベストです。イギリスっぽい感じかな。
 ダーシー・オマーラが要所要所でジョージーを助けてくれますが、彼にはどうも人に知られたくない任務のようなものがありそうな感じです。これから彼の正体がじょじょにわかってくるのでしょうか。
 すでに4巻まで出版されているようですので、これからの翻訳が楽しみです。

■既刊&貧乏貴族
 第1巻目はこれです。
貧乏お嬢さま、メイドになる

リース・ボウエンの別のシリーズです。
押しかけ探偵
口は災い
 
貧乏貴族ならば、アラン・ブラッドリーの化学大好き少女フレーヴィア・ド・ルースのシリーズがあります。
    人形遣いと絞首台
パイは小さな秘密を運ぶ
水晶玉は嘘をつく?
サンタクロースは雪のなか

主人公: ジョージアナ(ジョージー)(ラノク公爵令嬢)
場所:  イギリス、バークシャー(スコットランド)、ロンドン、サセックス州メイフィールド近く
グルメ: なし
動物:  なし
ユーモア: 中
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

ワニと読むミステリ(年寄り工場の秘密)

年寄り工場の秘密 (創元推理文庫)
コリン・ホルト・ソーヤー
東京創元社
1,260円(価格は変わる場合があります)
The Geezer Factory Murders (Benbow/Wingate Mystery)
Corinne Holt Sawyer
Dutton Adult

読むと、デリバリーにはご注意

(コリン・ホルト・ソーヤー著)
 高級老人ホーム〈海の上のカムデン〉はただいま好調です。近くにできた老人ホーム〈黄金の日々〉から引っ越してくる人々がいるからです。
〈海の上のカムデン〉に長年暮らしていたトッツィは〈黄金の日々〉移ってしまっていますが、ある日アンジェラ・ベンボウとキャレドニア・ウィンゲイトに会いに〈海の上のカムデン〉にやってきます。浮かぬ顔のトッツィが言うには、夜中に幽霊が出るとのこと。〈海の上のカムデン〉の誇る探偵であると自負する二人はさっそく〈黄金の日々〉に体験入居して幽霊騒ぎの真相をつきとめます。
 グールド夫妻は〈黄金の日々〉から〈海の上のカムデン〉に移ってきたところで、夫のハワード・グールドが殺されてしまいます。いったい何が起こっているのか。アンジェラとキャレドニアは危険をも顧みず、いつものように調査を始めます。そして紡ぎあげた真相は、大変ショックなものでした。

 〈海の上のカムデン〉シリーズも、もう7作目だそうです。相変わらずアンジェラとキャレドニアは好奇心いっぱいで、今回は近くにできた老人ホーム〈黄金の日々〉に体験入居をしてしまいます。この2つの老人ホームの比較がなかなかです。古い建物を改装したものと、極めて現代的な造りのものとの比較も、老人ホームを考えている人もまだそうでない人も、何かと参考になるかも。
 〈海の上のカムデン〉ではペットは禁止だったのですが、ちょっとお試しということでネコは飼っても良いということになります。2匹のネコがあちこち神出鬼没ですが、ちょっとだけ事件に関係します。
 今回は麻薬犬のロデリックも登場し、動物だらけになっています。うれしいことです。

■既刊
 もう7作目です。最初から読んでも途中から読んでもおもしろさは変わりません。
 老人ホームが舞台のミステリはこれ以外に知りません。これから増えるかもしれませんね。

ピーナッツバター殺人事件
殺しはノンカロリー
メリー殺しマス

 
主人公: アンジェラ・ベンボウ(老人ホーム住人。故提督夫人)
キャレドニア・ウィンゲイト(老人ホーム住人。故提督夫人)
場所:  USA、カリフォルニア
グルメ: なし
動物:  インコ:チェーザレ(キャレドニアのペット)
ネコ:プリン(コンラッド・ストーンの飼い猫)
        デズモンド(グールド夫妻の飼い猫)
イヌ:ロデリック(麻薬犬、ゴールデンレトリバー)
ユーモア: 中
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

ワニと読むミステリ(デビルズフード・ケーキが真似している )

デビルズフード・ケーキが真似している (ヴィレッジブックス)
ジョアン・フルーク
ヴィレッジブックス
903円(価格は変わる場合があります)

Devil's Food Cake Murder
Joanne Fluke
Camden
1,909円(価格は変わる場合があります)
読むと、牧師でないと結婚は無効?

(ジョアン・フルーク著)
 クッキー・ジャーのオーナー ハンナ・スウェンセンの人生は極めて順調のようです。ハンナの店クッキーも焼くそばから売れていくし、ロマンスもよさそうです。 ハンナの友人クレアは新婚の夫ボブ・ニュードスン牧師と新婚ほやほやですが、なかなかハネムーンの時間がとれないでいます。そこへボブの幼なじみのマシュー・ウォルターズが長期休暇で町にやってきて、ボブの代理を引きうけてくれることになり、二人は待ち望んだハネムーンへ出かけることができました。申し分のない状況のようでしたが、ハンナは1発の銃弾で命を落としたらしいマシュウが、ハンナのデビルズフード・ケーキにつっぷして死んでいるのを発見するまでのことでした。

 今回はクレアとボブがハネムーン中の事件です。いつものとおり、おいしいお菓子がたくさん出てきて、レシピもあります。
 しかし、なにもかも順調そうに見えるのですが、ハンナは密かに悩んでいます。それはノーマンの行動がどうもおかしいということ。ノーマンの以前の婚約者ベヴが町へやってきて、ノーマンの歯科医の共同経営者になってからです。これまでのノーマンとの関係が微妙にずれていくようで、ハンナの心は落ち着きませんね。ハンナの妹アンドレアは、ベヴはどうも偽物くさいとにらんでます。 二人の関係はどうなっていくのか、気がかりだなあと思いながら読んでいたら、最後に大変なことがノーマンから告げられます!
 次回作が待ちきれません。こうなったらCINNAMON ROLL MURDERを翻訳を待たずに読まないとだめかなぁ。

■既刊
 もう第14作目です!
これまでのブログはこちらです。
ファッジ・カップケーキは怒っている
シュガークッキーが凍えてる
ピーチコブラーは嘘をつく
チェリー・チーズケーキが演じている
キーライム・パイはため息をつく
キャロットケーキがだましている
シュークリームは覗いている
プラムプディングが慌てている
アップルターンオーバーは忘れない

 
主人公: ハンナ・スウェンセン(クッキー・ジャーのオーナー)
場所:  USA、ミネソタ州レイクエデン
グルメ: お菓子・料理 (レシピ有り)
動物:  ネコ(モシェ、カドルズ)
ユーモア: 中

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

ワニと読むミステリ(サイン会の死)

サイン会の死 (本の町の殺人2) (創元推理文庫)
ローナ・バレット
東京創元社
1,134円(価格は変わる場合があります)
Bookmarked For Death (Booktown Mystery Series)
Lorna Barrett
Berkley
838円(価格は変わる場合があります)
読むと、創作の泉はどこから来るのか。

(ローナ・バレット著)
 ニューハンプシャー州ストーナムは本屋の町です。不況にあえいでいた町は多くの特徴ある本屋を誘致することで町の再生をはかっています。 トリシア・マイルズはミステリ専門書店〈ハブント・ゴット・ア・クルー〉の経営者です。今夜は、ベストセラー作家のゾウイ・カーターを招いてのサイン会を催していて、作家と話そうと多くの人がイベントに参加しています。しかし、、その作家が店の奥で死体となって発見されたのでは、イベントは悪夢と化してしまいました。ゾウイのアシスタントもしている姪は、イベントの間とても感じが悪いのですが、有力な容疑者と考えられています。 町の記念碑となるはずの大理石の本は何者かによって破壊され、これも事件の一部かと思われますが、関連がまったく見当もつきません。事件現場のトリシアの店は封鎖され、トリシアは自分で事件解決するべく調査を開始します。

 本の町の殺人のシリーズ2作目です。1作目ではトリシアの隣の書店で事件が起きますが、その店はこの作品ではトリシアの姉、アンジェリカが料理本の店として経営しています。トリシアとアンジェリカのやり取りが、反目したりいがみあったり、それでも暗黙の了解で助け合ったりと、姉妹の関係が微妙に変化していくところが描かれています。
 今回は町にカナダガンがたくさん飛来してどこもかしこも鳥のフンだらけ。撃ってしまおうという乱暴な解決案がでたりして、ちょっとヒヤヒヤものです。
 〈ハブント・ゴット・ア・クルー〉の従業員になったエヴァリットが、前作で危ういところを助けられたグレイスとお友達になっています。人間関係が変化していくのも1つの見所ですね。
 まだまだ未訳のものがありますが、3作目ではトリシアは大学のルームメイトを泊めてあげることになるようです。

■書店つながり
 書店のミステリと言えば、キャロリン・G・ハートのミステリ書店「デス・オン・ディマンド」店主アニー・ローランスのシリーズがありますね。ワニはみな読みました。
 舞台裏の殺人
アニーの店のネコの名前は、アガサです。
 
 ここもミステリ専門書店です。アリス・キンバリー作の幽霊つきのミステリ書店シリーズです。
 ミステリ書店(1) 幽霊探偵からのメッセージ
幽霊探偵の5セント硬貨
幽霊探偵とポーの呪い
幽霊探偵と銀幕のヒロイン
幽霊探偵と呪われた館

 ローレンス・ブロック作のバーニイ・ローデンバーは泥棒から古書店主兼泥棒になりました。
泥棒は深夜に徘徊する

主人公: トリシア・マイルズ(ミステリ専門書店〈ハブント・ゴット・ア・クルー〉の店主)
場所:  USA、ニューハンプシャー州ストーナム
グルメ: なし
動物:  ネコ:ミス・マープル(トリシアの飼い猫)
ユーモア: 中
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

ワニと読むミステリ(本の町の殺人)

本の町の殺人 (創元推理文庫)
ローナ・バレット
東京創元社
1,029円(価格は変わる場合があります)
Murder Is Binding (Booktown Mysteries)
Lorna Barrett
Berkley
829円(価格は変わる場合があります)
読むと、被害者は難問。

(ローナ・バレット著)
 ニューハンプシャー州ストーナムはいろいろな特徴のある本屋がたち並ぶ本の町です。トリシアは離婚を機にニューヨークからここに移り住んでミステリ専門書店を開き、ストーナムの町の心地よさをとても気に入っていました。しかし、それはトリシアが隣の料理専門書店〈クッカリー〉の中で肉切り包丁で殺されているドリス・グリースンの死体を発見するまでのことでした。ドリスが最近手に入れたばかりの貴重な料理の初版本を狙っての犯行と思われます。トリシアは保安官から第一の容疑者と疑われ、自らの潔白を証明するためにこれまでに読んだミステリをお手本にして犯人探しを始めます。

 訳者あとがきによると、ストーナムの町のモデルになったのは英国ウェールズのヘイ・オン・ワイという小さな田舎町だそうです。戦後に地場産業が衰退していたのを、1960年代に本の町として再生し、いまでは“古書の聖地”としてたくさんの観光客も訪れているそうです。ちょっと行ってみたいですね。トリシアの店のようなミステリ専門書店、ドリスの料理本専門書店など、特徴のある書店が並んでいるようです。最初神保町をイメージしたのですが、それより特化した分野を扱う書店が多いようです。
 トリシアにはアンジェリカという姉がいるのですが、この二人の関係が微妙ですね。反目するところあり、張り合うところあり、意見の合わないところもたくさんあるのですが、やっぱり姉妹の絆は強く言葉に出さずとも目配せだけで通じるところがあり、それが事件解決に役立っています。今後二人の関係はどうなっていくのでしょうか。
 ワニとしては、ミスター・エヴァリットがとても気にいってます。彼は〈ハブント・ゴット・ア・クルー〉に入り浸りの銀髪の年配の紳士です。開店とともに現れて、たびたび夜においだされるはめになる常連客だったのが、従業員になってしまいました。生き生きと楽しそうに働いている姿が良いですね。
 
■書店つながり
 ここもミステリ専門書店です。アリス・キンバリー作の幽霊つきのミステリ書店シリーズです。
 ミステリ書店(1) 幽霊探偵からのメッセージ
 幽霊探偵の5セント硬貨
 幽霊探偵とポーの呪い
 幽霊探偵と銀幕のヒロイン
 幽霊探偵と呪われた館

 ローレンス・ブロック作のバーニイ・ローデンバーは泥棒から古書店主兼泥棒になりました。
 泥棒は深夜に徘徊する

主人公: トリシア・マイルズ(ミステリ専門書店<ハブント・ゴット・ア・クルー>の店主)
場所:  USA、ニューハンプシャー州ストーナム
グルメ: なし
動物:  ネコ:ミス・マープル(トリシアの飼い猫)
ユーモア: 中
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

ワニと読むミステリ(あったかスープと雪の森の罠)

あったかスープと雪の森の罠 (コージーブックス)
ローラ・チャイルズ
原書房
966円(価格は変わる場合があります)
Stake & Eggs (A Cackleberry Club Mystery)
Laura Childs
Berkley
832円(価格は変わる場合があります)
読むと、地位を脅かしてはいけません。

(ローラ・チャイルズ著)
 スザンヌは夫を失ってから、友人のトニ、ペトラとともに卵料理の店、カックルベリー・クラブをオープンしています。店の経営は順調ですが、思いもよらず、3人は探偵としても活躍することになってしまいました。
 カックルベリー・クラブの裏の森でスノーモービルがクラッシュし、スザンヌが駆けつけてみると、町の嫌われ者の銀行の新頭取が雪の中に仕掛けられたワイヤーで首を切られていました。殺人の動機を持つ人は多く、その中にはカックルベリー・クラブのお客さまも多数含まれています。スザンヌたちは“氷と炎の祭典”の準備に忙しいのに、容疑者にされた人たちが次々に助けを求めに来ては調査をせざるをえません。近くでは家出少年が見え隠れし、事件解決の鍵を握っているかもしれません。

 卵料理のカフェのシリーズも、もう4巻目なんですね。今はキンドレッドの町は真冬ですっかり雪に覆われています。寒そうですね。スノーモービルでの追跡劇は、読んでいると凍ってしまいそうです。
 新頭取の殺され方を読んで、ある映画を思い出してしまいました。テレンス・スタンプ主演の「悪魔の首飾り」。かなりうろ覚えだったのでちょっと調べてみたところ、この映画は、1967年制作のオムニバス形式の3部作の1つです。怪奇映画で原作は、エドガー・アラン・ポー。どおりでぞくぞくしたはずです。アル中の俳優の幻想が現実化するような、実際あってもおかしくない気になるようなお話で、そしてラストの少女の微笑みがトラウマになる恐ろしさ。いつまでも脳裏にやきつくような、夢に出てきそうな不安な気持ちにさせます。さすがフェデリコ・フェリーニです。また見たい、と切実に思いました「。

■既刊
 ローラ・チャイルズのカックルベリー・クラブ(卵料理のカフェ)シリーズはすでに3巻が出ています。もう3巻ですよ。早いものです。もう5巻目も出版されているようですので、日本語版が出るのが楽しみですね。

 あつあつ卵の不吉な火曜日
 チェリーパイの困った届け先
 ほかほかパンプキンとあぶない読書会

 インディゴ・ティーショップのシリーズは、日本語では12巻出ています。本国ではもう15巻まであるので、まだまだ期待できます。
 オーガニック・ティーと黒ひげの杯 ← これは12巻目。最新です。

 
主人公: スザンヌ・デイツ(カックルベリー・クラブの経営者)
場所:  USA、中西部キンドレッド
グルメ: 卵料理とお菓子
動物:  イヌ:バクスター(スザンヌの愛犬、アイリッシュ・セッター)、
     スクラッフ(コリーとシェパードの雑種)
ユーモア: 中
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

ワニと読むミステリ(氷の娘)

氷の娘 (創元推理文庫)
レーナ・レヘトライネン
東京創元社
1,260円(価格は変わる場合があります)

読むと、なんとなくの疑念は正しいときもある。

(レーナ・レヘトライネン著)
 ノーラはフィギュアスケート ペアの花形選手です。オリンピックも期待される才能豊かな16歳の少女です。マリア(エスポー警察の巡査部長)は、ノーラの“白雪姫”のステージを見て、その素晴らしい演技に驚いてしまいました。それから10日ほどたって、ノーラはショッピングセンターに駐車中の車のトランクから死体となって発見されます。暴行のあとがあり、ノーラは外傷によって死亡したようです。スケートリンクを出てからのノーラの足取りは不明で、容疑者を絞ることが難しく、捜査はなかなか進みません。有力な容疑者とされたのは、ノーラの母としばらくつきあっていた男で、別れた後に母につきまとうようになり、ノーラにもストーカー行為をしていました。しかし、犯人であるという決め手に欠け逮捕まではいたりません。マリアは、ノーラの日記を読み少女の心の微妙な変化を感じ取っていきます。

 この作品を読むと、フィンランドのフィギュアスケート界がどういう風に成り立っているのかがわかるようです。ワニとしては、もっとフィンランドの国全体でスケート競技に力をそそいでいるのかと思っていました。何の根拠もないワニのイメージだけですが。
 それとフィンランドのカラオケがおもしろかったですね。
 カラオケの司会のような人が専属で店にいて、歌いたい人やグループがいると出てきます。曲をかけてその紹介やらステージの司会のようなことをするのです。そして自分も歌を歌って場を盛りたてます。日本のようなカラオケボックスのようなやり方とは違うようです。こういう風にカラオケという呼び方は同じでもやり方は違うというのはとても面白いですね。そのうちフィンランドでもカラオケボックスができてくるのでしょうか。
 この作品の最後でマリアに赤ちゃんが生まれます!

■既刊
 マリア・カッリオのシリーズ、第1弾は、これです。

   雪の女  ← 女性限定のセラピーセンターで殺人が起こります

 
主人公: マリア・カッリオ(エスポー警察の巡査部長)
場所:  フィンランド、エスポー
グルメ: なし
動物:  ネコ:アインシュタイン
ユーモア: 小


コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

ワニと読むミステリ(まったなしの偽物鑑定)

まったなしの偽物鑑定 (コージーブックス)
シャロン・フィファー
原書房
880円(価格は変わる場合があります)

The Wrong Stuff (Jane Wheel Mysteries)
Sharon Fiffer
SMP Paperback
1,840円(価格は変わる場合があります)

読むと、みんな守りたいものはいろいろ。

(シャロン・フィファー著)
 ジェーン・ウイールはフリーランスの拾い屋(ピッカー)です。ヴィンテージもののフラワーポット、絵はがき、ベークライトのボタンなどいろいろなものをガレージセールなどで集めています。ただし問題があって、買い物は多く、売るものは少ないということです。買い込んだ品物の箱はキッチンに詰め込まれ、息子のニックの学校行事の大事な用紙はどこかへ忘れ去られてしまいました。ジェーンは平謝りで、今後はしっかりと片付けもやりますと誓いをたてます。 しかしオー元刑事から妻のクレアが逮捕されてしまったので調査に協力してほしいとの依頼を受け、アンティーク家具の偽造事件に巻き込まれてしまいます。

アンティーク雑貨探偵ジェーンのシリーズ第3弾です。
ジェーンもピッカーとしてだんだんとプロっぽくなってきましたね。セールの用語解説あり。
 今回はアンティーク家具の偽造がテーマです。家具についてのイラスト付きの説明があります。
 家具の偽造をするにはずいぶんといろいろな準備が必要なのですね。木材、塗料など資材が必要で、さらに偽造ができるほどの技術がないといけないわけで、その技術を磨くのも多大な才能と努力が必要、そして売りさばくルートがないといけない。
 これまでそれほど顔をみせていなかったジェーンの幼なじみのティムですが、ジェーンと一緒にアンティーク家具製造現場に入り込み、家具作りの知識を披露してくれます。
 次回作では、ジェーンの両親の隣人の家から骨が見つかるようです。これまであまり多く語られませんでしたが、この作品では夫のチャーリーが事件にかかわるようです。

■既刊
 既刊の2冊はこちら。だんだんとピッカーとして成長していく過程が見えますね。
 最初は別居していた夫チャーリー(地質学者)との関係も変化していきます。

   掘り出し物には理由がある ← ピッカーとして駆け出しです
   ガラス瓶のなかの依頼人 ← 男性の親指をセールで買ってしまいます

 
主人公: ジェーン(ジェイニー)・ウィール(フリーランスの拾い屋(ピッカー))
場所:  USA、イリノイ州エヴァンストン
グルメ: なし
動物:  なし
ユーモア: 中
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« 前ページ 次ページ »
 
 
<script async src="//pagead2.googlesyndication.com/pagead/js/adsbygoogle.js"></script> <script> (adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({}); </script>