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ワニと読むミステリ(女郎蜘蛛)

女郎蜘蛛 (創元推理文庫)
パトリック・クェンティン
東京創元社


(パトリック・クェンティン著)
 ピーター・ダルース(演劇プロデューサー)の最愛の妻アイリスは母親の病気静養につき従ってジャマイカにいっています。留守中ピーターはパーティで20歳の作家志望のナニ―と知り合い、何回か会ううちに彼女の執筆が進むようにと自分のアパートメントの鍵を渡し、日中ピーターが不在の時に使っても良いといいます。やっとアイリスが帰って来た日、ピーターは空港まで迎えに行きアパートメントに戻ったところでナニ―の死体を発見します。しかも寝室で。ピーターは第一容疑者になり、アイリスからは浮気を疑われてしまいます。必死で真相を探ろうとするピーター
 
 ピーターとアイリスのシリーズの最後の作品です。
 アイリスの留守中にピーターはナニ―と親しくなり、ピーターの寝室で死んでいたことからピーターは浮気を疑われるわけですが、最初はアイリスもピーターの潔白を強く信じているのですが、次から次へとピーターに不利な状況が明るみに出て、アイリスさえも疑いの目で見るようになります。いろいろな人が自分が見たことから想像し、こうに違いないと思い込み、さらに少しの嘘をつく人が加わると、すっかりピーターは犯人と思われてしまいます。こういうことって誰にでも起きそうで、そう考えると怖いですね。作家志望のナニーも人の心を操るのがうまく、操られている方は自分の自主的な考えだと思い込んでしまう。これも身近にありそうで、怖い。パトリック・クェンティンはありふれた日常の中に潜む怖さを静かーに出してきます。
 ティモシー・トラント警部補は、『二人の妻をもつ男』『わが子は殺人者』にも出てきますがこれが最初の登場です。
 読み出したら止まらないおもしろさです。こういうミステリが読みたい。

 ■既刊
   ピーター・ダルースとアイリス・ダルースのシリーズです。この二人のシリーズは全部で8つの長編があるそうです。
   悪女パズル
   迷走パズル
   俳優パズル
   人形パズル


主人公:ピーター・ダルース(演劇プロデューサー)
場所: USA、ニューヨーク
グルメ: なし
動物:  なし
ユーモア: 中

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ワニと読むミステリ(誰の墓なの? )

誰の墓なの? 〔ハヤカワ・ミステリ文庫〕
ジェイミー・メイスン
早川書房

Three Graves Full
Jamie Mason
Pocket Books

読むと、殺したのは誰? いかようにも作ります。

(ジェイミー・メイスン著)
 
 庭に死体が埋まっているのだから気の休まるときがない、とジェイソン・ゲティは思っていました。しかし、まさかもっと悪いことになろうとは想像もしませんでした。生来温厚にできているジェイソンでしたが、どうしようもない理由から男を殺してしまい、家の敷地内に問題を抱え込むことになってしまったのです。そこへ庭仕事を頼んだ造園業者が新たに2つの死体を発見して警察の捜査が始まるという騒ぎになり、ジェイソンは正気を失いそうな衝撃を味わっています。さらに、婚約者が行方不明になったという女性がジェイソンの庭に探しにきて、事態はどんどん複雑になっていきます。

 イヌのテッサが最後の追跡で大活躍します! 大変なケガを負いますが、大丈夫です。ホットしました。
 巻末の解説にもありますが、カール・ハイアセンを思い出すようなどんどん事態が悪化するブラックユーモア的な面白さです。男を殺して庭に埋めるだけでも気味が悪いのですが、誰かが殺した死体が2つも見つかるのですから、もうどうしていいかわからなくなりますね。男を殺すにいたるいきさつも、最初はこんなのあるわけないと思うのですが、それがだんだんとあるかもしれないと思われるようになりそれが恐ろしいです。
 浮気された男、女がどう反応するのかも、いろいろな犯罪のワイドショウ的な展開です。
 解説によるとこれは映画化されるようです。ジェイソンを演じるのは誰でしょうか?
 
 ■カール・ハイアセン
いつもフロリダが事件の舞台です。湿地帯にそーーとワニが登場し、たまりませんね。

  復讐はお好き?
  ロックンロール・ウイドー
  迷惑なんだけど?
  トード島の騒動(上下)

主人公:ジェイソン・ゲティ(家の持ち主)
場所: USA、スティルウォーター(架空の田舎町)
グルメ: なし
動物:  イヌ:テッサ(フォード刑事の愛犬)
ユーモア: 中
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ワニと読むミステリ(春にはすべての謎が解ける)

春にはすべての謎が解ける (創元推理文庫)
アラン・ブラッドリー
東京創元社

Speaking from Among the Bones
Alan Bradley
Orion (an Imprint of The Orion Publishing Group Ltd )


読むと、何度も殺されます。

(アラン・ブラッドリー著)
 
 11歳のフレーヴィア・ド・ルースは化学大好きのアマチュア探偵です。なんでも知りたいフレーヴィアは実験室で化学実験に熱中し、あるいはなにかと敵対することの多い姉たちの日記から何かを発見しようとし。
今は復活祭まであと1週間足らず。イギリスの小さな村ビショップス・レーシーでは守護聖人の聖タンクレアウス没後500年を祝って、お墓の発掘をしようとしています。地下霊廟の中が覗けるとフレーヴィアは大興奮していましたが、見つけたのはそんなお祝い気分を吹き飛ばすものでした。6週間ほど前から行方不明になっていたオルガン奏者のコリカットさんが、棺の中に横たわり、グロテスクなガスマスクをつけたまま亡くなっていたのです。誰かの復讐?神聖な霊廟から見つかった死体に好奇心を抑えられないフレーヴィアは独自に真相を見つけようと決心します。

 フレーヴィアのシリーズももう5冊目です。もうすぐ12歳になるそうです。
 今回はガスマスクをつけた死体ということで、なんでガスマスクなんだ?と気になりますね。奇妙な死体と奇妙な殺人動機が重なり合って死体がいじり回される話で、『ハリーの災難』を思い出してしまいました。
 それと今回は上の姉フィーリーの結婚という大きな問題が生じます。なにかというと喧嘩したりいじわるしたりと仲の悪いところばかりをみせている姉妹ですが、やっぱり姉が困らされているときは思わず怒りの叫びをあげてしまいます。
 フレーヴィアの住むバックショー荘が差し押さえられ売りに出されるというのだけでも心配なできごとですが、しかし!最後にフレーヴィアの父の口から驚きの言葉が飛び出します。次回作が待ちきれません。

 ■既刊
4冊出ています。
   人形遣いと絞首台
   パイは小さな秘密を運ぶ
   水晶玉は嘘をつく?
   サンタクロースは雪のなか

■ハリーの災難

ハリーの災難 [Blu-ray]
クリエーター情報なし
ジェネオン・ユニバーサル


主人公:  フレーヴィア・ド・ルース(11歳の化学大好き少女)
場所:  イギリス、イングランド
グルメ: なし
動物:  なし
ユーモア: 中
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ワニと読むミステリ(逆さの骨)

逆さの骨 (創元推理文庫)
ジム・ケリー
東京創元社

The Moon Tunnel
クJim Kelly
Penguin


読むと、愛と憎しみはいつでも交錯します。

(ジム・ケリー著)
 ある時、1人の男がひどく狭い地下トンネルの中を這っていた。沼沢地の中の戦争捕虜収容所からの脱出用のトンネルだった。ふと音がしたような気がして顔を上げると、そこに待っていたのは死だけだった。
 そして現在。フィリップ・ドライデンは、古い戦争捕虜収容所あたりで行われている考古学の発掘現場でその様子を取材していたが、そこから1つの遺体が見つかった。不思議なことに男は頭を撃たれている上に、位置関係をみると彼は逃げようとするのでなく収容所の中をめざしていたようだ。この謎はドライデンを興奮させたが、さらに新たな殺人犠牲者が見つかった。

 古い遺体と新しい遺体。そのつながりを時を遡って見つけだしていくのです。イギリス国内のイタリア人の戦争捕虜たちの生活が語られているのですが、彼らと村人たちとの関係が奇妙ですね。捕虜の中のいく人かは村の屋敷の手伝いに駆り出され、夜になるとそれらの屋敷に盗みに入っては金品を強奪していたりというのはちょっとびっくりものです。戦争終了後は捕虜がそのままその土地に住み着いてしまうというのもなんだか予想外です。
 グレーハウンドのブーディッカはドライデンを助けようとしてケガをしますが、幸い命には別条ありませんでした。ほ。
 ドライデンの妻ローラは必要な医療器具を揃えて、ローラの両親が引退生活を送っている家に移ることになりました。ローラは回復していくのでしょうか。これもこのシリーズで見逃せないところですね。
 話は前2作同様とても入り組んでいるので、しっかりと注意深く読みましょう。

 ■既刊
すでに2作品出ています。
水時計  
火焔の鎖

主人公:  フィリップ・ドライデン(週刊新聞『クロウ』の主任記者)
場所:  イギリス、イーリー
グルメ: なし
動物:  イヌ:ブーディッカ(グレーハウンド)
ユーモア: 小
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ワニと読むミステリ(鐘楼の蝙蝠)

鐘楼の蝙蝠 (創元推理文庫)
E・C・R・ロラック
東京創元社


読むと、金は大きな動機です。

(E・C・R・ロラック著)
 作家のブルース・アトルトンはパリへ行くと言ってでかけたまま消息がわかりません。ブルースはドブレットなる人物につきまとわれていたようで、心配した友人から頼まれた新聞記者のグレンヴィルはドブレットの住みかである鐘楼を見つけます。訪ねていくと髭と眼鏡の男に追い返されますが、翌日留守を狙って鐘楼に入り込んだグレンヴィルは、ブルースのスーツケースを地下室で発見します。後日、鐘楼の部屋を捜索すると、壁の中から首と両手のない死体が発見されます。これはブルースなのか? 行方をくらましたドブレットを街で見かけたグレンヴィルは追跡を開始しますが、やがてグレンヴィル自身が倒れているところを発見されます。

 1937年に出版されたミステリです。マクドナルド首席警部が活躍するシリーズです。どうしてこれが本邦初訳なんでしょう、こんなにおもしろいのに。このころの人たちはロラックの作品を読む機会がなかったのですね。なんて残念なんでしょう。
 新聞記者のグレンヴィルが張り切って事件に挑むのが、マクドナルド警部の沈着なところと良い対比になっていますね。 恋人エリザベスのためとしゃかりきになるところがちょっとおっちょこちょいで作品におもしろみを添えています。
 時代の流れを感じるのはDNA鑑定の存在でしょうか。死体は首と両手がなくなっているので、死体の鑑別を難しくしているのだなと思うのですが今ではDNA鑑定があるのでこれはあまり意味がないですね。こういう技術の進歩はミステリを創作するのに違った手法が必要になってきているのでしょうね。
 ロラックの作品はまだまだたくさんあります。これからもマクドナルド首席警部に会うことができると思うとちょっとニヤニヤします。

 ■既刊
すでに1作品出ています。
悪魔と警視庁 ← 霧のロンドンでの殺人
  霧のロンドンってなんだか幻想的ですね。
■鐘楼の蝙蝠の意味
頭が混乱することを意味する成句になっているのだそうです。どおりでこのキーワードで検索したらたくさんの本がヒットしたはずです。

主人公:  マクドナルド(首席警部)
ロバート・グレンビル(新聞記者)
場所:  イギリス、ロンドン
グルメ: なし
動物:  なし
ユーモア: 小
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ワニと読むミステリ(ヴァイオリン職人の探求と推理)

ヴァイオリン職人の探求と推理 (創元推理文庫)
ポール・アダム
東京創元社

The Rainaldi Quartet
Paul Adam
Endeavour Publishing

読むと、ヴァイオリンは金のため?

(ポール・アダム著)
 長い間行方不明になっていた値段のつけようもないほど高価なヴァイオリンを追跡する殺人ミステリです。数百年におよぶ音楽とミステリの世界をちらっとみている間に、ペースの速い激しいリズムの中に巻き込まれています。
 トマソ・ライナルディはイタリアの閑静な街クレモナに住む気取らないヴァイオリン職人です。それが無惨にも殺されてしまいます。これには伝説的な名器ストラディヴァリのヴァイオリンが関係しているようで、友人でヴァイオリン職人仲間のジャンニ・カスティリョーネは刑事グァスタフェステに協力を頼まれ事件の調査を開始します。しだいに驚くべきことの連続に巻き込まれ、謎めいた英国人の存在が見え隠れし、ジャンニはイタリアと英国にまたがる謎を解き明かしていきます。

 ヴァイオリンのウンチク満載です。有名なヴァイオリン職人たちの作ったヴァイオリンがその後どうなったのか、英国やその他のヨーロッパの国に運ばれたヴァイオリンの運命が語られていくのですが、なかなかにワクワクします。
 ヴァイオリンのコレクターが厳重な金庫にたくさんのヴァイオリンをしまいこんで誰にも見せない、触らせない、演奏もさせないというところが出てくるのですが、単に金銭的な価値があるからというのでコレクションしているのが、とても楽器としてもったいない気がします。しかし、それにしてもあのように贋作が多いというのは驚きです。それとストラディヴァリの時代とはヴァイオリンの演奏が違うので、古いヴァイオリンはその構造を変えるというのもびっくりでした。ヴァイオリンのオークションの競りもすごいですね。いろいろ教えられます。
みんないつでもどこでもワインを飲むのですが、それがとても自然で楽しんでいるのがヨーロッパだなあと思いました。これがアメリカだと少し後ろめたそうに飲んでる気がします。
 ジャンニのほんわかした感じが良いですね。気持ちよく読み進めることができるミステリです。もう次の作品は出版されているので、翻訳が出るのがとても楽しみです。早く出してほしいです。

 ■ヴァイオリンつながり
 ヴァイオリンが事件の重要な要素になるのは、ジュール・グラッセ作悪魔のヴァイオリンです。司祭が殺されヴァイオリン奏者に嫌疑がかかります。
  悪魔のヴァイオリン

 ■贋作作りというと
 こちらは絵の贋作です。ヘイリー・リンド作画家兼疑似塗装師(フォーフィニッシャー)のアニー・キンケイドが主人公のシリーズです。アニーのおじいちゃんが腕の良い贋作師です。
   贋作と共に去りぬ
   贋作に明日はない
   暗くなるまで贋作を

主人公:  ジョヴァンニ(ジャンニ)・カスティリョーネ(ヴァイオリン職人)
場所:  イタリア、クレモナ
グルメ: なし
動物:  なし
ユーモア: 中
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ワニと読むミステリ(エクレアと死を呼ぶ噂話)

エクレアと死を呼ぶ噂話 (コージーブックス)
ジェシカ・ベック
原書房

Evil Eclairs: A Donut Shop Mystery (Donut Shop Mysteries)
Jessica Beck
Minotaur Books

読むと、もっと近くを見よう。

(ジェシカ・ベック著)
 スザンヌ・ハートはドーナッツ・ハートのオーナーです。ドーナッツがまったくの健康食品とは思っていませんが、地元のラジオ局のキャスターのレスター・ムアフィールドから殺人行為であると言われるほどではないと思います。ラジオでレスターはスザンヌのドーナッツは命を縮めるものだと非難し、ボイコットしようと呼びかけているのです。そして翌日レスターは死体となって発見されますが、口にスザンヌのエクレアを詰まらせているのです!エイプリル・スプリングスのだれもがレスターとスザンヌの間の確執を知っていますから、それはスザンヌを第一容疑者にするのに十分です。ドーナッツは人を殺さないとスザンヌは主張しますが、クリームたっぷりのエクレアは町を疑惑で満たします。誰がレスターを殺したのか明らかにしないとスザンヌの店、ドーナッツ・ハートの運命も危ういものになりそうです。

 ドーナッツ・ショップのミステリ第4弾。食べ物関係のミステリが多いですね。誰もが心ひかれるからでしょうか。
 またもスザンヌは親友グレースの全面的協力のもと事件解決のため町中を調査していますが、元警官のジョージがスザンヌのために始めた調査がもとで事故にあい重傷を負ってしまうのがはらはらしますね。毎回有益な情報をさぐりだしてきてくれるジョージですからこのシリーズでずっと活躍してほしいものです。
 スザンヌの恋人ジェイク、元夫のマックスと恋愛事情はややこしいことになってます。 さらにスザンヌの母ドロシーは警察署長からのデートの申し込みを受けます! 
 毎回いろいろなドーナッツが登場し、新製品もあり、まあ、そんなにバクバク食べなければおいしいだけで健康被害はそれほど気にしなくてよいでしょう。何事もやりすぎはいけません。
 
 ■既刊
すでに3作品出てます。
午前二時のグレーズドーナツ ← 店の前に死体を捨てられます
動かぬ証拠はレモンクリーム ← 町のキッチン・ツアーで殺人
雪のドーナツと時計台の謎 ← ウインター・カーニバルの最中に殺人

 ■ノースカロライナ州つながり
 ノースカロライナ州が事件現場というミステリはあまりみつかりませんでした。プロゴルファーのリー・オフステッドのシリーズがあります。

疑惑のスウィング

 
主人公:  スザンヌ・ハート(〈ドーナツ・ハート〉のオーナー)
場所:  USA、ノースカロライナ州エイプリル・スプリングズ
グルメ: ドーナツ(レシピあり)
動物:  なし
ユーモア: 中
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ワニと読むミステリ(火焔の鎖)

火焔の鎖 (創元推理文庫)
ジム・ケリー
東京創元社

The Fire Baby
Jim Kelly
Penguin

読むと、年月をかけて明かされた秘密は許しが難しい。

(ジム・ケリー著)
 沼沢地の農場に飛行機が落ちたのは、1976年の夏のことだった。若き日のマギー・ベックは炎の中から赤ちゃんを救い出してきた。墜落した飛行機の乗客の子どもだった。それから27年がたった。新聞記者のフィリップ・ドライデンは昏睡状態にある妻のローラを病院に訪ねていたが、隣の病床にいるマギーの臨終の告白の証人になってしまった。しかし秘密はそのまま秘めておいたほうが良いこともある。ドライデンは調査を始め、もうほとんど忘れらている飛行機事故の唯一の生存者にまでおよんでいく。ほかにどんな秘密をマギーは隠しているのか。そしてフィリップの妻ローラは半覚醒のときにドライデンに何かを伝えようとしている。

 いくつかの事件が同時進行するので良く内容をかみしめながら読まないとするりと抜けてしまいそうです。その1つがトーチカの中で鎖につながれ拷問されて殺されたらしい男の死体が発見されたものです。しかも殺された男はどうしてこのような拷問をされているのか少しも理解していないのですから恐ろしい。その理由はのちほど明かされますが。
 ドライデンの妻ローラはこの作品中では、昏睡状態ではあるもののCOMPASSという機会を使って少しの間意思を表現することができるようになっています。COMPASSに打ちこまれるのは大半は意味不明の内容ですが、時折は隣のベッドに横たわるマギーについてドライデンに伝えようとするローラの苦心がうかがわれます。ローラはドライデンをサプライズで驚かせようと思い、まだ言っていないことがありましたが、この作品の最後のところでそれで危うくドライデンの命を救うことになります。
 大旱魃にあえぐ沼沢地で起こる事件ですが、暑くて大旱魃というのがいままでイギリスについて持っていた観念と一致しない感じです。なんでも決めつけてはいけませんね。

 ■既刊
『火焔の鎖』は2作目です。すでに3作目の『逆さの骨』も出版されています。
水時計
逆さの骨 (創元推理文庫)
ジム・ケリー
東京創元社

 
主人公:  フィリップ・ドライデン(週刊新聞『クロウ』の主任記者)
場所:  イギリス、イーリー
グルメ: なし
動物:  なし
ユーモア: 小
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ワニと読むミステリ(エリザベス王女の家庭教師)

エリザベス王女の家庭教師 (創元推理文庫)
スーザン・イーリア・マクニール
東京創元社

Princess Elizabeth's Spy (Maggie Hope)
Susan Elia MacNeal
Constable Crime

読むと、見えないくらい近くが危険。

(スーザン・イーリア・マクニール著)
 一作目ではチャーチル閣下の秘書だったマギー・ホープは、ここではMI-5のスパイになるためのトレーニングを受けています。大陸は第二次世界大戦の真っただ中で、英国はドイツからの攻撃にさらされています。マギーには、誰にも負けない精神力、強い意思、数学の知識、暗号解読の能力があり、彼女は前線の情報収集のため外国に送られるものと思っていました。が、体力に問題があり訓練を続けることができません。マギーは、ウインザー城に疎開している王女エリザベスの数学を教える仕事を与えられます。がっかりするマギー。しかしマギーは王女をめぐるある陰謀を阻止するために秘密捜査官として派遣されたのです。やがて殺人が起こりそれはだんだんと広がりを見せ、王室全体を危険な状態に追い込む大きな陰謀へとつながっていきます。

 ナチスの大きな陰謀が全体の流れですが、ここに描かれているようなエリザベス王女の誘拐計画というのは本当にあった話なのでしょうか。ウインザー公がナチスと親しかったような描写があったのでネットで調べてみたところ、これは事実のようですね。ナチスがイギリスを占領したら、ウインザー公を復位させて傀儡政権にしようという陰謀があったようです。ウインザー公と言えばシンプソン夫人との王冠を捨てた恋というロマンチックな側面ばかりが話題になりますが、実際はどろどろした話のようです。
 最後に、マギーの父母の衝撃の事実と生存は絶望的と思われているマギーの恋人の行方が語られ、これからどうなるんだ―と次の作品が待ち遠しいです。

 ■時代が近い
リース・ボウエンの貧乏お嬢さまシリーズは時期的にちょっと前。まだウインザー公はシンプソン夫人と結婚していなくて、王妃はなんとかそれを阻止しようとがんばっているところです。 
貧乏お嬢さま、古書店へ行く

 ■既刊
  マギーの最初の仕事は、チャーチル首相のタイピストでした。
チャーチル閣下の秘書
 
主人公:  マーガレット(マギー)・ホープ(MI-5の工作員)
場所:  イギリス、ロンドン
グルメ: なし
動物:  なし
ユーモア: 小
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ワニと読むミステリ(アガサ・レーズンと貴族館の死)

アガサ・レーズンと貴族館の死 (コージーブックス)
M・C・ビートン
原書房


Agatha Raisin and the Walkers of Dembley
M. C. Beaton
Robinson Publishing


読むと、上がるには踏み台が必要。

(M・C・ビートン著)
アガサ・レーズンは半年間のロンドンでの仕事を終えて、コッツウォルズのカースリー村に帰ってきました。かわいい猫たちにも会える。そしてハンサムな隣人のジェームズ・レイシーともまた話ができると思うと胸がときめくのですが、ジェームズの方はさほどわくわくはしていないようです。アガサが戻ってすぐに殺人事件が起こり、犠牲者はハイキングクラブのリーダーでハイキング途中の畑の中で死体となって発見されたのです。彼女は地主たちと対決することに喜びを見いだし、古い文書から権利通路を探しだしてきては作物の植えられているその道をむりやり突破することに生き甲斐を感じているのでした。アガサはこの事件を調べてほしいと頼まれるのですが、ハイキングクラブのメンバーはいずれも何か隠しているように見え、権利通路の地主の準男爵もなにやら怪しい行動で、追わなくてはならない手がかりが多すぎるくらいです。みんな殺人を犯しそうにみえるし。

 アガサ・レーズン、やっとカースリー村に帰ってきました。ロンドンで太ってしまったのでジェームズが案内役をしている<カースリー・ハイカー>に参加したのにジェームズが冷たくてアガサはちょっぴり傷ついてしまいます。ちょっとかわいい。それに殺人現場の準男爵を訪ねていって、執事にバカにされるととたんに委縮するところなど、日頃の向こう気の強さが影を潜めてしまいますね。しかし、ロンドンでのアガサはすご腕のPR担当者です。いじきたない記者をぐうの音も出ないくらいにやっつけてしまうところなどは笑ってしまいます。
 権利通路というものがあるのですね。文中の説明によると、権利通路とは昔からその土地が公衆の通路として使われてきて、現在も通路として使われているのであれば、誰もが自由にそこを通り抜けられる、という通行権が認められている通路、のこと。教会まで行くとかそういう目的で使われていたそうです。
 最後にジェームズがびっくりするようなことを言いだします。

■既刊
 すでに3巻出ています。とんがっていたアガサ・レーズンがだんだん丸くなりますね。でも、憎たらしいところも時々は見せてほしいです。

アガサ・レーズンの困った料理
アガサ・レーズンと猫泥棒
アガサ・レーズンの完璧な裏庭

主人公:  アガサ(アギー)・レーズン(元PR会社経営者)
場所:  イギリス、コッツウォルズ
グルメ: なし
動物:  なし
ユーモア: 中
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ワニと読むミステリ(骨と翅)

骨と翅 (ヴィレッジブックス)
サイモン・ベケット
ヴィレッジブックス

Whispers of the Dead
Simon Beckett
Bantam Books (Transworld Publishers a division of the Random House Group)


読むと、最後まで神経は研ぎ澄まして。

(サイモン・ベケット著)
 法人類学者デイヴィッド・ハンターはロンドンからテネシー州ノックスヴィルへ出張しています。1年前の事件での大きな傷がようやく癒えてきたところです。彼が今いるのは、「人類学実験場」だが人はここを単に「死体農場」と呼んでいます。 事件の一報が入り、ハンターは所長のトムに助手を頼まれ事件現場の山荘へと向かいますが彼らを待っていたのは実に奇妙な死体でした。まだそれほど殺害されてから時間がたっていないはずなのに判別が不可能なほどに腐乱しているのです。拉致され残忍にも拷問されたような跡が見えます。しかし、これは悪夢の始まりにすぎず、連続殺人犯は活動を続け次々と犠牲者が増えていきます。そして魔の手はハンターたちにまで伸びてくるのです。

 法人類学者デイヴィッド・ハンターのシリーズ3作目です。今回はロンドンを離れてデネシーに出張で、アウェイでの冷遇、よそ者扱いにあっています。前作の最後で襲われて危うく命を落とすところだったのですが、その時の傷はまだ痛むようですね。この作品では様々な条件下の死体がでてきて法人類学から解説されるのですが、おぞましいと同時に実に興味深い内容です。それと、法生態学および法植物学も深く捜査にかかわって、ある昆虫が場所の特定に大いに貢献するのですが、ここのところが大好きです。
 犯人はなかなか正体を現さず、話は終わったのかと思ったらまだ続きがあって最後まで二転三転のわくわくがあります。
 もうすでに4作目も出版されているようなので、日本語版も近いうちに読めそうです。

 ■死体農場
 死体農場のことを初めて知ったのはパトリシア・コーンウェルの「死体農場」です。最初に読み始めた時は作者の創作かと思いました。今ではいろいろな国に同じような施設があるそうです。日本にはなさそう。
 
死体農場 (講談社文庫)
パトリシア・コーンウェル
講談社

■既刊
 すでに2作あります。
   法人類学者デイヴィッド・ハンター  ← イギリスの片田舎マナムで医者をしていたデイヴィッド・ハンターは腐乱死体の事件の捜査にかかわります
   骨の刻印 ← イギリスの最果ての孤島で謎の死体が発見されます
 
主人公:  デイヴィッド・ハンター(法人類学のエキスパート。英国人)
場所:  USA、テネシー州ノックスヴィル
グルメ: なし
動物:  なし
ユーモア: 小
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ワニと読むミステリ(殺人者と恐喝者)

殺人者と恐喝者 (創元推理文庫)
カーター・ディクスン
東京創元社

Seeing Is Believing (A Sir Henry Merricale Mystery)
Carter Dickson
Kensington Pub Corp (Mm)

読むと、したたか者はどこまでも。

(カーター・ディクスン著)
 ヘンリ・メリヴェール卿はフィリップ・コートニーを相手に回想録の口述の真っ最中。数々の自慢話にコートニーが辟易していると、近くのフェイン邸で事件が起こったとてメリヴェール卿へ出動要請がきました。誰が実際に殺したのか、それははっきりしているのですが、しかし事件全体は不可解でどうも説明がつきません。フェイン邸の人たちに話を聞いてみるともうひとつの犯罪が浮かび上がります。若く美しい妻ヴィッキーは夫アーサーがポリー・アレンという娘を殺したのを知ったといい、それを同居する叔父ヒューバートも知っているというのです。今度の事件はこの昔の殺人と関連があるのだろうか。ヘンリ・メリヴェール卿は口述を続けながらコートニーをワトソン役にして事件を解明していきます。

 原書は1941年の出版です。前の翻訳ですでに読んでいるのですが、ところどころしか記憶にありませんでした。やっぱりカーター・ディクスン、おもしろくてのめり込んでしまいますね。催眠術をパーティの中でやって見せたりするのですが、このころは催眠術がブームだったのでしょうか。目新しい趣向だったのかなと思ってしまいました。今催眠術をパーティでやったりしませんね。それとマジックハンド。最新の面白グッズだったのでしょう。こういうところが昔のミステリを読んでいて楽しくなることのひとつです。時代背景がミステリに溶け込んでいます。こんなに世の中が変わったのかと一番の驚きは女性の描き方です。女性は弱い者、犯罪の詳細は聞かせるのは忍びない、かばってやらないと、とか。女性は事件のことをひも解くような知性はない、とか。現在の女性探偵の活躍するミステリを読んだらカーター・ディクスンはどう反応するでしょう。それを考えると思わず口元がほころんでしまいます。ミステリの中に時代がみえますね。

 ■催眠術
 催眠術が出てくるミステリを見てみました。
ノルベルト・ジャックの作品、1920年代が舞台です。
ドクトル・マブゼ

ケイト・キングズバリーはペニーフット・ホテルでの事件を書いていますが、これは1907年に設定されています。
支配人バクスターの憂鬱

主人公:  1.ヘンリ・メリヴェール卿(元陸軍省情報部長)
2.フィリップ・コートニー(ゴーストライター)
場所:  イギリス、グロスターシャー州チェルトナム
グルメ: なし
動物:  なし
ユーモア: 中
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ワニと読むミステリ(黒のクイーン )

黒のクイーン (創元推理文庫)
アンドレアス・グルーバー
東京創元社

Schwarze Dame: Peter Hogarts erster Fall
Andreas Gruber
Festa Verlag

読むと、家族は明暗あり。

(アンドレアス・グルーバー著)
 ペーター・ホガートはウィーンのフリーランスの保険調査専門探偵です。国際保険会社メディーン&ロイドのウィーン支社長から、失踪した保険会社の調査員の行方を探して報告するように依頼されます。プラハの美術館で火事があり、ウィーンの美術館から展覧会に貸し出した絵画が焼失したので保険調査のために派遣されていた調査員は、絵画はすり替えられた偽物だという伝言を残した直後に消えてしまったのです。ホガートは調査員の最後の足取りを追ううちに暗黒街のボス、グレコに行きあいそこでプラハの連続殺人事件を調査する女探偵イヴォナと知り合います。ホガートは彼女の調べている連続殺人と美術調査とが関連があることに気がつきます。
ドイツ大使館員は事件にどう関係しているのか。すり替えられたとおぼしき絵画はどこにあり、失踪した調査員はどうなってしまったのか。いろいろな謎が交錯します。

 アンドレアス・グルーバーを読むのは2冊目ですが、両方とも大量殺人で、読み進むうちに何人犠牲者なのかわからなくなります。プラハの街の迷路のような道は明かりも少なく歩いていると影がちらちらうごめいて思わず後ろを振りかえって確かめてしまいそうです。伝説的チェスプレイヤーが事件の鍵となるチェスの対局についての情報を提供するのですが、チェコのチェスチャンピオン、ルディック・パハマンがモデルのようです。
 ホガートのシリーズ第2作はウィーンが舞台だそうです。もともと3部作として予定されているそうですので。あと2回はホガートに会えそうです。

 ■既刊
 最初の翻訳本では、オーストリアの弁護士とドイツの刑事が協力して事件解決にあたります。

夏を殺す少女

主人公:  1.ペーター・ホガート(フリーランスの保険調査専門探偵)
2.イヴォナ・マルコヴィチ(私立探偵)
場所:  オーストリア、チェコ (ウィーン、プラハ)
グルメ: なし
動物:  なし
ユーモア: 小
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ワニと読むミステリ(サイモン・アークの事件簿V )

サイモン・アークの事件簿V (創元推理文庫)
エドワード・D・ホック
東京創元社


読むと、目が曇ってはいけません。

(エドワード・D・ホック著)
 サイモン・アークのシリーズ5作目です。日本独自の編集で、8編の短編集です。
 トランプ・カードが手掛かりになる事件。以前はどの家にもトランプの1組や2組はあったものですが、今はそうはいかないのでしょうね。
 サイモン・アークと“わたし”が一緒に開業した<アーク探偵事務所>に持ち込まれた緊張すると服を引き裂いてしまうという奇妙な症状に悩まされる女性。
 日刊紙を出すことで復讐しようという男。
 シェークスピアの直筆原稿は本当に見つかったのか。
 海岸に流れ着いたミイラは誰なのか。
 魔女だと主張し、呪いをかけて殺したという。
 砂漠で一人箱舟を造る男の目的は?
 夜中に礼拝堂から聞こえてくる鈴の音が意味するものは?

 巻末の解説(木村仁良さん)によるとサイモン・アークの事件簿はこれでひと区切りだそうです。 どうも今のところ続編はなさそうですが、これも売れ行き次第ということのようなので、みなさん友人にも紹介してせっせと読みましょう。
 1950年代から2編、60年代から1編、70年代から2編、80年代から2編、2000年代から1編の全部で8編が選ばれています。年代が1950年代から2000年代とずいぶん期間が長いのでそれぞれの時代の空気も違っているのがまた楽しめます。
 どれも奇妙な始まりなのですが、サイモン・アークが解明するといずれも確かに納得できるような理由があるので、ひとつひとつの話にうなってしまいます。
 とても好きな作家のシリーズなのでまだ6作目、7作目と続けられるように切に願っています。

 ■既刊
 サイモン・アーク以外のシリーズ作品は、田舎医者サム・ホーソーンの解く事件簿が6巻まで出ています。
 このシリーズもこれが最終だそうです。
 
  サム・ホーソーンの事件簿 VI

  夜の冒険 ← 奇妙な事件のオンパレード

主人公: サイモン・アーク(オカルト探偵)
場所:  世界中
グルメ: なし
動物: なし
ユーモア: 中
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ワニと読むミステリ(これ誘拐だよね? )

これ誘拐だよね? (文春文庫)
カール・ハイアセン
文藝春秋

Star Island
Carl Hiaasen
Grand Central Publishing


読むと、困ったらスキンクを呼ぼう。

(カール・ハイアセン著)

チェリー・パイは22歳のちょっと落ち目になりかけのポップ・スター。今ドラッグ漬けとアルコール漬けから回復しようとしています。アン・デルシアはチェリーの影武者で、チェリーが人前に出られないくらい酔っぱらっているような時にチェリーの代役を務めているが、その存在は秘密にされています。ある夜アンはチェリーと間違えられてマイアミのホテルから誘拐されてしまいます。犯人はチェリーにとりつかれているパパラッチのバン・アボット。チェリーの周りの人たち、世界で最も押しの強いステージママ、好色なレコード・プロデューサー、双子の広報担当者、芝刈り機を腕に仕込んだボディガード、はなんとかアンの存在を秘密にしたままアンを救出しようと考えています。
 バンはチェリーのプライベート写真の撮影に成功するのか? チェリーはコンサート・ツアーのため口パクの練習ができるほどしらふでいられるか? アンはチェリーの影武者から逃れられるのか?

 カール・ハイアセンらしくおかしな人ばかりがでてきます。こんなおかしな人は実際にはいないだろ、と最初は思うのですが、読んでいるうちに誰かの顔とダブってきそうになるという奇妙な感じになります。もっともあきれた人物設定は、左腕をバラクーダに食べられたのでその代わりに芝刈り機を取り付けたというボディガードのケモでしょう。整形手術を失敗したりなどして大変なご面相になっている乱暴なケモですが、言葉遣いにはうるさくて、いちいち訂正を入れます。それと、復讐はお好き?からまた登場したスキンクですね。フロリダの沼沢地に潜んでいますが、アンからの救助要請に応えて姿をあらわします。スキンクくらい魅力的な人物はいませんね。
 
 ■既刊
  とにかくどの作品もめちゃくちゃで、ありそうもないことだけど、あってもおかしくないような、あったらおもしろいなの世界です。

 復讐はお好き?
 ロックンロール・ウイドー
 迷惑なんだけど?
 トード島の騒動(上下)

主人公: アン・デルシア(チェリーの影武者。女優のタマゴ)
     バン・アボット(チェリーを追うカメラマン。本名クロード・アボット) 
場所:  USA、フロリダ州
グルメ: なし
動物:  なし
ユーモア: 大
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