・渓流にかかる木

陽射しがやわらかい土曜日の午後、水墨画のお稽古に出かけた。珍しく8人全員がそろい、談笑しながらそれぞれのテーマ、お題に取り組む。もう梅も終わりだよね。でも昨年は梅郷に行ったから今年は桜にしようか。あのお寺から山に向かう途中の景色もいいよね、と、ぽかぽかと暖かいプレハブ別館でスケッチ行きの話がはずむ。

写真は先週の御岳渓谷。実際のスケッチはもう少し低い視点から、川原の岩の上部くらいまでを描いたのだ。光と影のボリュームを意識して筆で当たりをつけて筆をとる…。うーむ、と2枚目の途中で腕組みしていると師匠が覗きこむ。この位置も面白いけれど、横画面にしてもう少し右まで入れて、背景の山の斜面と岩を中景として取りこんだらどうだろうと言う。たとえば、とスケッチブックに紙をついで、デジカメのプリントに目をやり、さらさらと右側部分を鉛筆で描く。

なるほど、そのほうが風景としての奥行きが出る。問題はそう簡単に、手前の木々とバランスのとれた背景を描けないことだ。想像力と実力、技術のへだたりが大きい。男と女の間には深くて暗い川があるぅ、のだった。ふう～っ。でも少しずつ。スケッチ画を見つめ、筆で描いた時のイメージを浮かべる。絵だってイメージトレーニングだ。よし、次回は形にしてみよう。

4月の最初の回、晴れてたらスケッチに行くことが決まった。