堺北民主商工会

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忘れ難き日に

2007年04月20日 10時24分36秒 | 世間の話
 また「悪夢の日」がやってくる。
 鈴木順子と言う名前の女性は全国に恐らく、数知れず居る中でここで取り上げる鈴木順子さんは2005年4月25日AM9時20分に起きた「JR西日本福知山線列車脱線事故」の被害者の一人である。
 彼女は当時(29歳)、2両目の車両に乗車していて突然の惨劇に襲われた。この脱線事故は列車事故で史上空前の107名もの尊い命が一瞬にして奪われた最悪の結果となった。
 当然の事ながら、彼女もすぐさま大阪都島区の救急病院に運び込まれ、救命治療が施された。そして、医師の懸命な治療により一命を取り留めた。
 しかし、彼女は今まで当たり前のように出来ていた事がこの事故以来、全く出来なくなった。それでも2年間にわたり、彼女は長く辛いリハビリに耐え、今では母の介助を得ながら、車イスでの外出まで出来る程に回復した。まさに驚異的な生命力である。
 最近、彼女は救命治療に携わった命の恩人である主治医を尋ねることが出来た。その彼女の姿を見た主治医は我が目を疑わんばかりに驚愕した。そして、暫くして主治医は我に返り、こう言った。……「私はあの時(彼女の救命手術)、不覚にもご家族の皆さんに「死」も覚悟しておいて下さいね。と言ってしまった。今、考えると、あの一言が悔やまれます」と(列車脱線の凄まじい衝撃によって、彼女の脳は正常の時の2倍にもパンパンに腫れ上がり、意識不明の昏睡状態だったのだから無理もない)。
 この主治医の言葉を聴いていた彼女は医師を見上げて呟くように「先生、私を助けてくれて本当にありがとう。私だけが生き残ってしまった」と。
 彼女の淡々とした話し方、それでいて健気な様子を見ていると、グッと胸が詰まり、そこはかとなく涙が溢れてくる。
 それにしてもJR西日本の企業体質はどうだろう。
「徹底した企業合理化と効率化の追求」
「日勤教育の名による(社員の)人格否定」
「赤字解消のためなら「何でも有り」の経営」
 こんな企業が多くの国民の「命」を毎日、運んでいる。果たして、JR西日本は「安全」を何よりも最優先している企業と言えるのだろうか?
 誰がどう言おうとJR西日本福知山線脱線事故は資本主義経済(社会)の「競争原理」が齎した「最悪の産物」である。
 私達は「この事故」を決して忘れてはならない!
そして、鈴木順子さんには一刻も早い回復を願わないではいられない。
 彼女の生き様こそ、この事故(惨劇)の「生き証人」なのだから。
 だけど、彼女の一言がいつまでも胸をきつく締め付ける。……「私を事故の前の「私」にして!」

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