メソッド俳優の主演映画

2011年01月30日 | 人物 -


私の大好きな韓国俳優:キム・ミョンミン(KMM)の主演映画が、
はじめて日本の劇場で公開になる。

映画のタイトルー「私の愛、私のそばに」。

日本国内で、彼の映画が劇場公開されるのは、これが初めてで、
この事実は大変喜ばしいことだ。
テレビでもなく、DVDでもなく、平面媒体の雑誌などでもなく、
ロードショーというのは、本当に特別の感慨がある。

私は、その公開日を、とても楽しみにしている。


このたび、公開される映画は、TV「ベートーベン・ウィルス」終了後に
撮影した作品で、彼は難病におかされた男性(主人公)を演じる。
その病気は、進行とともに、筋肉がかたまり、動けなくなっていって、
2~3年で死にいたるという原因不明の難病(ルーゲリック病)。
彼は、俳優として、この役を演じるにあたり、10㎏近い減量をしてから
撮影初日を迎え、どんどん病気が進むにあたって、身体もどんどんと
やせ細っていくのを目指し、結局は20㎏以上は減量したのだと思われる。
韓国では、公開とともに(ある程度は)ヒットしたが、その一方で・・・
「俳優がそこまでやるべきか」・・・というような論争が起きるほど、
極限状態まで自分自身を追い込んで、撮影を続行したキム・ミョンミンの
役者魂には感服する人も多かった。

リアルな姿を演じるために、内面から作りこんでいく「メソッド演技」。
キム・ミョンミンは、韓国のメソッド俳優と呼ばれている。
(メソッド演技は、ハリウッドなどで有名な演技方法)


減量としては、クリスチャン・ベールが、20~30㎏を減量した経験があり、
何かと話題にのぼり、当時は比べられたりすることがあったようだ。
しかし、キム・ミョンミンと違う点をあげるとするならば・・・
彼は撮影をしながら、減量をしたというハードなスケジュールをこなしたが、
クリスチャン・ベールは専門的に減量を終えてから実際の撮影に入っている。
これは、演技を生業とする俳優としては、大きな違いがあると思う。
日本にも、同じように減量して撮影に入る俳優さんはいるが、やはりみんな、
クリスチャン・ベール式のやり方である。

映画の撮影現場は、非常に厳しく、あわただしく、かつ、忙しいものだ。
真摯な創作活動の他に、気を遣うことも多く、ストレスがたまるのが現場!
微妙な心情を描く演技を日々繰り返しながら、同時に、減量もしていくのだ。
撮影だけでもハードなのに、「一体どこまで自分を追い込んでいくのか」と
信じられないぐらいの「強固な意志力」を、私は彼に感じる。
愛する人を残し、死に対峙していく心情に、ただ向かい合っていたのだろう。
彼は、撮影が終われば自室にこもり、遮光カーテンをひき、太陽の光をさけ、
「うつ病になってくれ」とさえ願いながら、「役」に没頭していったという。
食事は自炊で、豆腐、野菜、ささみがほどんどで、着実に日々痩せていった。
結局、低血糖発作などが起こったり、しばらく体調がもどらなかったりして、
彼の身体は ぼろぼろになってしまった作品である。
相当、過酷なことを、当然のようにやっていたのだろうと、予想する。



しかし、いくら俳優が自分の解釈と熱意でがんばって演技しても、
結局、「映画は監督のものである」。
どの作品にもいえることだが、編集をはじめ、どのように作り上げられるのか、
俳優には決定権がない。それが、映画だ。(舞台とは完全に違う)
結局、俳優は、役を演じるための“一人の出演者”でしかない・・・。
それでも、キム・ミョンミンは、一作品ごとに全力を尽くす。
努力を怠らない俳優だ。

彼は、全く違うイメージのキャラクターを演じられることが何よりの特徴だ。
そのために、最近の評価は、どんどんとあがっている。
キム・ミョンミンのように、台本の中の「役」を演じるだけではなく、
役における内面から噴出するものまでを計算しつくし、やり遂げる俳優は珍しい。
「どんなキャラクターを演じても、○○だね」・・・という俳優ではないのだ。



数日前に韓国で公開された新作映画は、コメディ時代劇で、おとぼけ探偵を演じ、
またもや「新しい役作り」を漂わせている。
肋骨にヒビが入りながら撮影をしていたことを隠していたらしく、最近になって、
一つのエピソードとして披露しているが・・・とにかく、このようにして、
彼の仕事に対するプロフェッショナル・ストーリー(逸話)は多い。
この作品は予告編を観ただけで、すごくボケたキャラクターとして笑えるし・・・
コメディとしての「彼の演技を観たい」と思わせる雰囲気がある「面白い役」である。
ちなみに、この作品は、たった数日で、早くも週間興行成績一位を獲得した。




キム・ミョンミンは、遅咲きの俳優だから、これだけ一生懸命になれるのか・・・。
それとも、性格的なものなのか・・・。
本当に、本人のコメントの一つ一つが深かったり、自然人みたいに純粋だったり、
素顔の彼もまた、とても魅力的な人だと、勝手に想像している。




●「私の愛、私のそばに」  



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