あかねさんシリーズ002 男が女de女が男 324 あこがれアイドル! カバちゃん! がんばれ! オカネスキーはテレビをつけた。 「あっ、カバちゃんだわ」 オカネスキーといっても、こちらの世界のオカネスキーではない。 女尊男卑の世界のオカネスキーである。 「すてき!」 夢中になっている。 「どうしたの?」 中根は驚いている。 しかし、あちらの世界の茜は驚かない。 オカネスキーはピンクジェントルの大ファンであることを知っているからだ。 ピンクジェントルとは、こちらの世界でいえばピンクレディーの存在である。 女装と男装が入れるかわるのだから、女尊男卑と男尊女卑がいれかわるのだから……。 そうなるのが自然というものだろう……。 「カバちゃん、もっと華やかな格好がやっぱり似あうわよ」 むこうでは、アイドル! でも、少し時代はたっているから、懐かしのアイドル! 若い人たちには知らない、おじさんたちの若かりし頃のアイドル! 「ペッパー警視よ! うほほほ!」 ちょっと歌詞もこちらとあちらの世界では違う! そして、ダンスはどちらかといって、カバちゃんの方がうまい! こちらの世界では振付師をしているくらいである。 華やかな舞台、ピンクジェントルの舞台を思いだす。 「その歌、ピンクレディーの曲の編曲?」 あちらの世界の人間ではない中根が質問。 「あっ、そうだよね! オカネスキー」 「そうでありんす!」 カバちゃんに夢中になって、ござんすというのを、すっかり忘れている! --青春時代を思い出す! 華やかな舞台、そして華麗に踊るカバちゃん! 舞台のすみで、派手なおっかけの若者たち! その一人にオカネスキーがいる! 「カバーちゃん! すてき! 私もカバちゃんみたいになりたい!」 「キャー!」 時というもの、文化というものが、人間を規定している……。 そんなものから自由になりたいと……。 それこそが、本当の芸術ではないだろうか? --この世界のカバちゃんはアイドルなんかじゃなかった……。 ゲイである苦悩を人間らしく語っているカバちゃん! しんみりとするオカネスキー。 「がんばれ! カバちゃん! カバちゃんは、どうあってもカバちゃんよ! あちきのアイドルでありんす!」 必死に応援するオカネスキー! 不思議そうにみている中根。 オカネスキーらしいや! と微笑んでいる茜。
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