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「北朝鮮で権力闘争が幕開け」

2011-12-24 08:48:46 | 日本
「北朝鮮で権力闘争が幕開け」

「北朝鮮で権力闘争が幕開け①」

黒川文太郎さんは、これからの北朝鮮のキーパーソンの顔ぶれについて分析している。
参考になるため、要約したものを2回にわたり掲載する。


12月17日に金正日総書記が死去し、三男・正恩が後継者として、この世界で最も独裁色の強い国家を統治していくことになった。
三男への世襲は、故・金正日自身が決定した既定路線だが、年長者を敬う儒教思想の影響力が強いこの国で、現在28歳の正恩はあまりに若い。そのため、父・正日は特に2010年9月以降、病身にムチ打って後継者の基盤作りに全力を挙げてきた。当面、北朝鮮指導部は、金正日が遺した体制で運営されていくことになる。その体制とは、基本的には金日成直系のロイヤルファミリー、すなわち金王朝のメンバーが中心となり、軍の最高幹部が支えていくという集団指導スタイルだ。ロイヤルファミリーでは、金正日の実妹の金敬姫・党軽工業部長(党政治局員・大将)とその夫の張成沢・党行政部長(国防委員会副委員長・党中央軍事委員会委員・党政治局員候補)がそれに相当する。
軍では李英鎬・総参謀長(党中央軍事委員会副委員長・党政治局常務委員・次帥)を筆頭に、金正覚・軍総政治局第1副局長(党中央軍事委員会委員・国防委員会委員・党政治局員候補・大将)、金明国・総参謀部作戦局長(党中央軍事委員会委員・大将)などが相当する。

中でも金敬姫、張成沢、李英鎬の3名が、金正恩の後見人の“トップ3”と言っていいだろう。

ただし、金正日という突出した権力者が不在となった今、その権力基盤は必ずしも安泰ではない。北朝鮮は構造的に国民経済が破綻しており、半ば慢性的な食糧危機状態にある。これまでは、そうした失政はすべて誰かのせいにされ、政権幹部が粛清されるなどして責任追及は終わっていた。もちろん金正日の過ちが糾弾されることなど、あり得なかった。だが、これからはそうはいかない。新体制下で急に経済が安定するなどということは考えられず、食糧危機などの経済破綻状態は今後も続くことが確実だが、その場合に新指導部はじわじわと責任追及の圧力を受けることになるだろう。金正恩本人に批判の矛先が向かわなくとも、その取り巻きは苦しい立場に立たされるはずだ。特に、新体制で最高位の責任者となった現在69歳の李英鎬・総参謀長は、70~80代の長老がひしめく朝鮮人民軍上層部において、金正日の指名によって並み居る先達をゴボウ抜きしてトップに据えられた人物であり、軍全体を完全に掌握しているとは言えない。
なお、金正日は晩年に、いわば世襲シフトの一環として、実質的な権力の仕組みを非公式に組み替えていて、公式な最高指導機関である「国防委員会」よりも、党の「中央軍事委員会」を重視してきた。正恩はその副委員長という肩書きで、後継者として名乗りを上げたという経緯がある。

その党中央軍事委員会は、李英鎬・総参謀長が同じく副委員長に就任しているほか、委員には主に軍の実務責任者クラスが配置された。彼らは金正日によって“金正恩派”となることを命じられたようなものだ。
同委員となった主な人物を列記すると、以下のような面々である。

崔富日・軍副総参謀長(軍指揮系統の事実上のナンバー2、大将)
金元弘・軍保衛司令部司令官(憲兵部門トップ、大将)
金英哲・軍偵察総局長(特殊工作部門のトップ、上将、韓国哨戒艦撃沈事件の指揮官と見られる)
鄭明道・海軍司令官(大将)
李炳鉄・空軍司令官(大将)
尹正麟・護衛司令官(大将)
チェ・ギョンソン 第11軍団長(特殊部隊指揮官、上将)
崔相旅・ミサイル指導局長(上将)
また、党中枢からも金慶玉・組織指導部第1副部長や崔竜海・党書記が委員に任じられている。



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