薄味を基調とする京料理に古くから使われてきた液状の塩「水塩(みずしお)」が近年、スプレー式のボトルに入って売られている。少量でも満遍なく吹き付けられるため、健康意識の高まりを受け、スプレーしょうゆのように減塩につながると好評である。塩こうじ、塩レモンと塩味の調味料のブームが続く中、スプレー塩の利用が広がるか注目される。
水塩に昆布などのうまみを加えたスプレー調味料「昆布の水塩」を販売する大阪・心斎橋筋の昆布海産物製造販売の老舗、松前屋によると、水塩はしょうゆが普及する以前に調味料のように用いられ、室町時代後期の長享3(1489)年の料理書「四条流包丁書」に、海水を煮詰めて作る調理法がみられる。
昆布をメーンにシイタケやかつお節などのうまみを利用し、少ない塩分でもおいしく食べられる。スプレーボトルを採用したことで、むらなく味付けできる。用途は卓上しょうゆの代わりやおにぎりの手塩、ドレッシング、肉・魚の下ごしらえなど。中華や洋食にも合い、料理の仕上げに使える。
塩分濃度が15%の商品の場合、1回のプッシュの塩分量が0.03グラムなので塩分量をプッシュ回数で簡単に調整できる。家族の健康状態に合わせて調整でき、塩分を控えたい人にお勧めである。
減塩ニーズが強まる背景には、高齢化の進展に伴う健康意識の高まりと、生活習慣病の脳卒中や心筋梗塞につながりかねない高血圧の予防への関心がある。日本人の食塩摂取量は1日約11グラムと世界的にも多く、減塩が国民的な課題ともなっている。
ただ、今のところ塩こうじや塩レモンのブームには及ばない。使い方が分かりづらく、なかなか定着しなかった。
ステーキにソルトとガーリック、ペッパーをプッシュしたり、サラダにソルト、バルサミコ酢、バジルなどを組み合わせたりすることで、自分好みに調整して楽しめる。