龍の声

龍の声は、天の声

「高齢者向けサービスの問題」

2016-11-30 07:17:14 | 日本

老後の不安を解消するサービスが増えているが、行政への届け出を怠る業者もあって、トラブルにつながるケースも少なくない。「高齢者向けサービスの問題」について、読売新聞調査研究本部の福永聖二さんがまとめている。
以下、要約し記す。



◎急増する孤独死

「独り暮らしの高齢者がどんどん増えています。特に都市部で増えており、どうしても孤独死も増えていく。公的なサービスでヘルパーさんが週一回か二回入れば見守りが保たれるのですが、介護保険の縮小でこのサービスが削られると厳しくなる」
「介護保険のサービスが縮小されていくと、民間が独自にそこのマーケットに参入してきます。介護保険は自治体の一定の基準を経た上でサービスが提供できるようになっていますが、民間のヘルプサービスは誰もチェックする人がいませんから、その点で問題が出てきます」
・孤独死増加には三つの側面があります。まず高齢化社会が進み、核家族化で独り暮らしのお年寄りが増えているということ。熟年離婚や配偶者の死去で、独り暮らしになるケースも多い。次に地域の人間関係が希薄になり、地域社会の機能が弱まっていること。互いに見守り合う関係がなくなってきています。さらに、介護保険の見直しで、要介護一、二の人たちが切り捨てられている。こうしたことが複合的に絡み合っています。

・以前は家族で支え合っていたのですが、家族のあり方が変わってきて、お年寄りの独り暮らし、高齢者夫婦が増えています。特に都市部で爆発的に増加しています。個人情報保護法に関連して、民生委員も地域のお年寄りの状況を把握しにくくなっている面もあります。


◎高齢者向け新サービス

「孤独死を防いだり、身の回りの支援をしてもらったりするほかに、入院するときや老人ホームに入居するときに必ず身元保証人が求められるのですが、高齢者の中には、親族で立てられない人もいる。そうしたとき、お金を払って民間の業者に身元保証人になってもらうというニーズがあり、業者が増えています」
「施設によっては保証人がいなくても受け入れますよ、という所もありますけど、全体的には少数派。お金の取り損ねの問題とか、医療同意という、たとえば延命治療をどうしますかなどという問題もあるので、やはり親族とかに保証人になってもらわなくてはいけない」

・身元保証人を立てられない高齢者が増え、そうしたことを代行する民間サービスが出てきました。中には一括して一〇〇万円以上払って会員になり、身元保証人の引き受けだけでなく、定期的な安否確認、身の回りの生活支援、死亡後の葬儀や納骨までしてくれる所もある。少なくとも一〇〇社以上あると見られ、三〇〇〇人以上の会員を抱える大手もあります。



・日本は契約社会なので、身元保証人が必要になる。普通に生活していると気づきにくいのですが、独り暮らしのお年寄りなどの弱者にとっては深刻な問題になる。保証人がいないと入院すらできませんからね。それを代行する民間業者というのは言わば隙間産業。納骨までやってくれるというのには驚きました。

「身元保証をうたって老後の不安解消サービスを提供する事業者というのは、行政の許認可のいらない事業なので、誰でも参入できる。トラブルがあったとしても基本的には加入した高齢者が自分で解決しなくてはいけない。いざ退会するときにお金が戻ってこなかった、などという事例につながっている」
・利用者が高齢者だけに、理解不足からトラブルが起きやすい。身の回りの生活支援をすると言いながら、やってくれなかったり、不必要なサービスが付加されていたり。契約書をきちんとチェックしなくてはいけませんが、高齢者には難しいかもしれません。

・行政に届け出る必要がないということですが、きちんと監視しないと高齢者相手の詐欺まがいになりかねない。業界団体すらできていないと言いますから、全く野放しの状態です。やはり、何らかの形で行政がチェックする仕組み作りが必要だと思います。


◎無届けホームの課題

「高齢者を住まわせて食事や介護、生活援助等のサービスを提供する場合は、公的施設以外の事業者は必ず自治体に届けなければいけない。その届け出を怠ったまま、空きマンションや空き家を活用して、高齢者、要介護者を住まわせて介護を提供する事業者が最近増えている」「届け出をしていないので、自治体の目が届きにくく、不当に介護サービスを多く提供したり、手抜きをしたり、または身体拘束もしくは虐待をするケースも出ています」「中には要介護五の重い人を受け入れて、胃瘻といって、食事のできなくなった経管栄養の人ばかり集めて、寝かせきりにしておむつに排せつ物垂れ流しでサービスを提供しているような所もある」
「特に都市部では特別養護老人ホームにはなかなか入りにくい。家族もセカンドベスト、サードベストとして、無届けと知りながらやむを得ず入ってしまうということもある」「自治体が、見て見ぬふりをしているというのも実際にある。これがもしなくなると、受け入れ先がなくなってしまう。特に都市部で介護難民があふれることになる」

・地域で医療や介護をしている人の話を聞くと、同じ高齢者といっても格差が非常に激しいようです。統計的には預貯金がたくさんある高齢者が多いのですが、きちんと医療を受けられない人もいる。生活保護のお年寄りばかりを集めて狭いアパートに押し込め、生活保護費の大部分を取り上げるような業者の話も聞きます。

・公的な老人ホームには多くの待機者がいて、なかなか入れない。そもそも要介護一、二の人は特別養護老人ホームに入れません。グループホームのようなところに流れていますが、それでも需要のすべてを満たせない。無届けのホームが受け皿になっているのが現状です。悪質な業者もありますが、誠実に対応しているところも多い。無届けだからダメ、というのでなく、何らかの監視のシステムを作り、公的施設と民間とが上手に共存していくことが必要ではないでしょうか。















「11月25日と26日は歴史に記すべき日である」

2016-11-29 07:46:58 | 日本

西村真悟さんが掲載している。
以下、要約し記す。



毎年、十一月の二十五日と翌二十六日が来れば、心に浮かぶ。それは、昭和四十五年(1970年)十一月二十五日の三島由紀夫・森田必勝の市ヶ谷台の自衛隊東部方面総監部における自決、明治三十七年(1904年)十一月二十六日の日露戦争旅順要塞攻防戦における三千名の白襷決死隊の突撃と玉砕。

今年の十一月二十五日も、穏やかな温かい小春日和の日差しが、紅葉と枯葉を照らしていた。
それは、昭和四十五年の十一月二十五日と同じ日差しだった。
 その日の正午頃、京大の学生だった私は、大学から吉田山を下って東の浄土寺馬場町にある住まいの学生寮の方向に歩いていた。
白川通りを渡って寮の垣根沿いに門のところに近づくと、中から飛び出してきた寮生と出くわした。
彼が言った。「三島さんが自衛隊に押し入って立て籠もっている」
彼の顔を見つめた。その顔に穏やかな陽が照らしていて枯葉の影が映っていた。
その陽と影を見ながら思った。
三島さんは死ぬんだ、と。
寮生の顔に映る枯葉の影の形が今も瞼に浮かんでいる。


この日、三島由紀夫と森田必勝は、自決し、我々が命を懸けて守らねばならない日本、我々の血に根ざす価値、を示さんとした。

我が国の歴史を動かす根底には、戦死するために敢然と湊川に赴いた楠木正成の事績から明らかなように、自決した者が後世に遺す力が流れている。

幕末の志士たちと城山で戦死した西郷南洲は、楠木正成を敬仰し、その西郷の計り知れない偉大さを三島由紀夫は深く感じていた。

昭和四十五年十一月二十五日の昼ころ、三島由紀夫は、割腹自決の直前に、市ヶ谷台のバルコニーから、下に集まった自衛官に叫んだ。
 
男一匹が命を賭けて訴えているんだぞ、聞け、静聴せいっ!
 
 そして、割腹し自決した。
 これによって、三島由紀夫と森田必勝は、命を賭けて何事かを歴史に刻みつけ、我が国の歴史を動かす根底にある、楠木正成や西郷南洲の系譜に連なる強烈な力を遺した。


よって、西郷南洲について、江藤淳が、明治十年九月二十四日の朝、西郷の首実検をした山県有朋の感慨を借りて記した一文を記しておきたい。この文は、西郷南洲を慕った「三島由紀夫という思想」について述べた一文でもあると思うからである。次の文の「西郷南洲」は「三島由紀夫」である。
 
西郷の首を両手を差し伸べて受け取ったとき、実は山県は、自裁せず戦死した「西郷南洲」という強烈な思想と対決していたのである。
陽明学でもない、「敬天愛人」ですらない、国粋主義でも、排外主義でもない、それらすべてを超えながら、日本人の心情を深く揺り動かして止まない「西郷南洲」という思想。

マルクス主義もアナーキズムもそのあらゆる変種も、近代化論もポストモダニズムも、日本人はかつて「西郷南洲」以上に強力な思想を一度も持ったことがなかった。

この三島由紀夫と森田必勝の自決から六十六年前の、十一月二十六日早朝、日露戦争における旅順要塞への第三回総攻撃を開始するにあたり、乃木希典第三軍司令官は、整列した三千名の白襷隊の全将兵に次の訓示をした。

今や陸には敵軍の大増加あり、海にはバルチック艦隊の廻航遠きにあらず。
国家の安危は我が攻囲軍の成否によりて決せられんとす。
この時に当たり特別予備隊の壮挙を敢行す。
余はまさに死地に就かんとする当隊に対し、嘱望の切実なるものあるを禁ぜず。
諸子が一死君国に殉ずべきは実に今日に在り。
こいねがはくは努力せよ!

この訓示ののち、乃木軍司令官は、整列する将兵の間をめぐり、涙を流しつつ主たる者に握手して、ただ「死んでくれ、死んでくれ」と言った。

白襷隊三千は、午後六時行動を開始し、午後九時前に旅順三大永久堡塁の一つである松樹山方面の敵陣に猛然と突入した。
これに対するロシア軍は、火砲、機関銃、手榴弾、地雷などで激烈な反撃を開始し、白襷隊は中村覚隊長が重傷を負い、実に隊の三分の二におよぶ二千名の死傷者を出して敗退した。

何故、二十五日の、三島由紀夫・森田必勝自決に続いて翌二十六日には、この白襷隊を思うかと言えば、司馬遼太郎が「坂の上の雲」で、乃木希典軍司令官を無能と罵り、白襷隊将兵の永久堡塁松樹山に対する突撃を、「兵の」と犬死したように見下し、国家に対する何の貢献も認めないからである。

この「坂の上の雲」がなまじっか広く読まれるから、さらに白襷隊を思うのである。
何故なら、ロシア軍の記録によると、ロシア軍を精神的に屈服させたものこそ、第三回総攻撃における白襷隊の肉弾突撃であると記しているからである。

余は敢えて屈服という。
されど1905年1月1日の旅順開城にあらざるなり。
その前年の暮れ、即ち11月26日における白襷抜刀決死隊の勇敢なる動作こそ、まことに余輩をして精神的屈服を遂げしめる原因なれ・・・
(砲撃による)天地の振動に乗じ、数千の白襷隊は潮のごとく驀進して要塞内に侵入せり。
総員こぞって密集隊、白襷を血染めにして抜刀の形姿、余らは顔色を変えざるを得ざりき。
余らはこの瞬間、一種言うべからざる感にうたれぬ。曰く、屈服。

乃木第三軍は、旅順要塞攻略に十三万の兵士を動員し、五万九千余の死傷者を出した。
旅順開城後の明治三十八年一月十四日、第三軍は雪が舞う中で戦没将兵の招魂祭を水師営北方高地で行った。
祭壇に進んで祭文を朗読する
乃木軍司令官の声は詰まり、整列した将兵の群れのなかに抑えきれない嗚咽が、雪を舞わす風とともに流れていた。

十一月二十五日と翌二十六日は、我々の生きた同時代とその六十六年前に、ともに、命を賭けて守らねばならない日本のために、現実に命を賭けた勇士達が、歴史に刻まれた日である。










「性奴隷を否定した韓国人教授の勇気]

2016-11-28 07:44:19 | 日本

森 清勇さんが日韓両国における「慰安婦問題」の鎮静剤になるかについて掲載している。以下、要約し記す。



2014年10月号『SAPIO』に掲載された1枚の写真が忘れられない。キャプションには「元慰安婦の前で〝土下座〟をする李栄薫教授。女性たちから罵詈雑言を浴びせられる様子が新聞・テレビで報じられた」とある。

ソウル大学経済学部の李栄薫(イヨンフン)教授は、朝鮮時代末期から植民地時代までを経済史的観点から再検討し、日本による土地と食料の収奪を誇張する従来の歴史を否定してきた。

教授は、2004年には、史実に基づいて慰安婦の「強制連行」を否定したが、社会的な非難を受け、ソファーに居並ぶ慰安婦たちの前で土下座させられた。写真はその時のものであった。

こうした民族主義の呪縛が、史実に忠実であろうとする教授を一層奮い立たせ、2006年には反日史観など従来の歴史観にとらわれない新しい歴史教科書を見据えて開催されたフォーラムに参加する。

だが、ここでも反対する勢力から殴る蹴るの暴力を受けたと言われる。しかし、教授はそれにもめげず、2007年に『大韓民国の物語』を上梓し、韓国民に歴史の真実を語りかけた。
(参考・関連記事)「天に唾する慰安婦問題、韓国の言論弾圧に世界も注目」


◎歴史の書き直しが始まる

土下座のような「ひどい目にあった不快な記憶から解放されたかった」という教授は、フォーラムで「脱民族主義という観点から解放前後史を再解釈した国内外の優れた学術論文を一書に纏める編集作業を行う。

この一書が新聞や放送で大々的に報じられ、韓国社会を支えている多数派層が、「民族・民衆・階級などという彼らの日常生活と乖離した歴史によってどれほど苛まされてきたのかを、そして自由と信頼による法治の文明として明るく描かれた、新しい歴史をどれほど渇望しているのかを痛感した」という。
そして、「韓国の歴史教科書の内容は事実ではない。誇張されていたり、誤って解釈されたものが大部分だ。そのような話はすべて、教科書を書いた歴史学者の作り出した物語」だと述べる。

そこには、民族主義に占領された国民に、正しい史実を知ってもらいたいという不動の意志が見て取れる。
こうした意識で教授が上梓したのが『大韓民国の物語』である。副題は「韓国の『国史』教科書を書き換えよ」という提案になっており、民族主義にとらわれない人間を歴史の基本単位として書かれた私本・歴史物語とでも言えよう。

日本語訳の帯には「韓国内で猛攻撃を受けたベストセラー遂に翻訳!」「親北朝鮮、反日の韓国の歴史は間違っている」「ソウル大教授の歴史学者が書いた本当の韓国の歴史。これを機に『新しい歴史教科書』作りがはじまった」と書かれている。

反日教育を受け、反日政治が常態化した中で生活してきた多くの韓国人にとっては目から鱗の内容ばかりで、衝撃の本であったに違いない。
このような本を手にすること自体が反韓・親日の烙印を押され兼ねない状況の中で、ベストセラーになったわけで、韓国人には複雑な気持ちが混交したことが想像できる。

目次の中の小項目をざっと見ると、「民族主義の陥穽から抜け出でよ」「『植民地収奪論』批判」「日本軍慰安婦問題の実相」「日帝がこの地に残した遺産」などがある。民族主義の色眼鏡で歴史を見るのではなく、また善悪抜きに史実を直視しようとする視座が伺える。

本論の前に「書の扉を開くにあたり」の一文が添えられている。従来は使用する用語に気を使うあまり表現を曖昧にしたり、事前に友人に読んでもらうと「日本びいきの右派にされてしまう危険性がある」という指摘を受けることがあったなどととして、「いつの頃からであろうか。文章を書くときに自己検閲をかけるようになった」と告白し、この検閲者は「韓国の横暴な民族主義」であったと述懐する。

そして、「そのような検閲を強いる韓国の民族主義を批判し、過去50年の間、民族主義の歴史学が、二十世紀の韓国史の道筋をどれほど深刻に歪めてきたのかを晒そうとした」と出版の目的を語る。


◎恣意的な挺身隊=慰安婦 混同

問題の慰安婦については「日本軍慰安婦問題の実相」と、続く「あの日、私はなぜあのように言ったのか」に詳しく書かれている。
韓国の今日の中学・高校の歴史教科書には、「日本が朝鮮の純潔な乙女を挺身隊という名で動員し、日本軍の慰安婦とした」と書かれているが、1960年代初めまでは「慰安婦と挺身隊は内容も経緯も全く別個のもの」と理解し、「1979年までの歴史教科書は挺身隊や慰安婦に関してこれといって言及していません」と歴史的事実に触れる。

教授は約175人の女性が自身の慰安婦としての不幸な過去を告白したが、誰一人当初は挺身隊として動員されたと証言した人はいなかったという。
しかし、その後、慰安婦問題のために結成された市民団体は「韓国挺身隊問題対策協議会」の名で活動してきたし、マスコミは「女子挺身勤労令」を探し出して、日本が半島で組織的に慰安婦を挑発した証拠と1面トップで特筆大書。

 また12歳から13歳の若い生徒は勤労挺身隊に、15歳以上の未婚女性は従軍慰安婦として連行されたと書いたことなどを指摘する。
この頃から、小説に女子挺身隊の「令状」が来て、「風聞」で慰安婦にされていったなどの描写も現れてくる。教授は歴史家の立場から、女子挺身隊に令状が出されたことはないので「正確なものではありません」と否定する。

このようにマスコミが先を争って、幼い少女たちが挺身隊という名で慰安婦として強制連行されたと報道する中で、小説、映画、そして歴史教科書にまで「挺身隊=慰安婦」が登場し、韓国民の間に定式化が進んでいったとみる。

ただ、こうした認識に火をつけたのは図らずも日本人であったとも述べる。
こうした中で、教授は藤永壯(たけし)氏の論文(「上海の日本軍慰安所と朝鮮人」)を引用する形で、日本人女性だけでなく、「朝鮮女性たちも1931年以降、活発に上海へ入ってきてい」たという事実が重要だと述べる。
1931年の韓国人慰安婦は139人であったが、36年には913人となり、同年からは朝鮮人経営の慰安所もできる。また、2000円でスタートした資本金が3年後の40年には6万円にも膨れ上がったという。

慰安婦を集めるために活躍したのが女衒(ぜげん)である。女衒が親に大金を見せて誑かし、「就職斡旋詐欺」や「脅迫及び暴力」で女性を集め、あるいは「軍慰問団」や「女子軍属」の募集などと偽って集めた事実を述べる。
いずれにしても、朝鮮人女衒が甘言を弄して女性を集めたというわけで、決して「(日本人や日本軍による)強制連行」などではなかったので、朝日新聞が2014年にようやく虚言と判定した「吉田清治の告白(本)」を、10年も前に「事実ではない」と否定していたのである。
また、軍による管理売春は朝鮮戦争当時の韓国でもソウル、春川、原州、江陵、束草などで行われており、慰安婦たちは「第5種補給品」(ちなみに第1種は糧食、第2種は装備品などである)と呼ばれ、未成年者も少なくなく、「売春市場を経由した韓国女性が、1980年代までに百万人を超えた」とも述べる。
当時健在であった慰安婦に取材して確認しながら書いた李教授の本書に、朝日新聞や性奴隷などと主張する日本の学者・知識人たちは目を通さなかったのだろうか。多分目を通したが、事実よりもイデオロギーが先にあり、イデオロギー的主張を変えることの方が難しかったのであろう。


◎性奴隷もきっぱり否定した勇気

李教授は2004年に強制連行を否定した。
しかし、「上海の慰安所においてちょっと驚くほどの大金を稼いだ慰安婦の話」があるが、「いろいろな記録を見ると、これはそれほど稀なことでもありません」などと述べ、中国の漢口で働いていた朝鮮人慰安婦が「5万円(すでに3万円貯金)になったらソウルに戻って小料理屋を開く」と語っていたことを聞いた日本人司令官が「大したオナゴである」と表彰したことや、1942年から3年間、ビルマ戦線で過ごした文玉珠は5千円を実家へ送り、なお通帳には2万5千円(「週刊新潮」2016.10.20付、櫻井よしこ氏の「日本ルネッサンス」では、2万6千円と述べ、家26軒分としている)があったことなどを例示する。

しかし、慰安婦の生活状況については、吉見義明中央大学教授の主張に賛成の立場から、行動の自由がなかった、定期的な衛生検査を受けねばならなかった、自由な外出は禁止されていたなどを挙げ、「女性たちは性奴隷に他なりませんでした」と書いていた。
同時に「韓国内では未だ専門的な研究が不足しているのが実情」と語っていた。

また、教授は歴史的経緯を重視し、韓国軍にも慰安婦制度があったことや米軍のための韓国人慰安婦が1990年代までいたことなどを統計資料などで示し、歴史家として「日本軍慰安婦という事件を過去の歴史としてのみ見るのではなく、今日我々の周辺にまで深く浸透している現実として感じている」とも述べている。

ところが、今年8月に行った「慰安婦の女たち」の講義では、「性奴隷説」も明快に否定したのである。
講義は「李栄薫教授の幻想の国」と題して12回行った連続講義の最終回で、22日と23日に3回に分けて、計2時間10分余にわたって講義したという(上記週刊誌および「産経新聞」28.10.20付「阿比留瑠比の極言御免」)。

有力な資料源となったのは『日本軍慰安所管理人の日記』(日本語未翻訳)のようである。奴隷には法的人格が認められないが、「慰安婦は高賃金で廃業の自由があった」「著しい乱暴をした日本兵士を刺殺した慰安婦が正当防衛を認められ無罪となった」、また「日々の生活でも、月2回の休日があり、その時は勤務地を離れる自由もあった」ことなどから、慰安婦には法的人格が認められていたとして、「性奴隷ではない」と言い切る。
過去の日本の慰安婦制度が性奴隷であるならば、同様の制度を近年に至るまで持ち続けていた韓国の制度も「性奴隷」と言わざるを得ないという認識に立ったこともあろう。

こうした考察の結果として、現在も「慰安婦性奴隷説」を主張している吉見教授を指して、「氏の本は根拠が不十分だ」と退け、「日本軍慰安婦性奴隷説」を見直すべきだと結論付けているそうである。


◎慰安婦は20万人でなく、5000人

慰安婦の数についても20万人説を荒唐無稽と否定し、多くて5000人(秦郁彦氏は『慰安婦と戦場の性』で、約4000人と試算。JBpress拙論「天に唾する慰安婦問題、韓国の言論弾圧に世界も注目」参照)と見積もっている。

また、元慰安婦たちは証言をころころ変えており、資料として使う場合は慎重さが必要と戒めてもいる。
従来、慰安婦の証言に食い違いが見られても、一種の天の声でもあるかのように疑問を呈することさえ憚られたことからすると、瞠目すべき発言であり、韓国民の歴史認識が改めて問われよう。

韓国で本当のことを言うのは、いかに勇気がいることであり、ましてや日本を評価するような発言は教授などの地位を剥奪され、作家は不買運動に巻き込まれるなど、社会的に抹殺されかねない。以下に幾つかの事例を紹介する。

慰安婦は帝国主義がもたらした問題で、日本だけに特有のものではなく多くの国も大なり小なり関係しているとした朴裕河(パクユハ)教授の『帝国の慰安婦』は出版を差し止められている。また、元慰安婦たちからは名誉棄損で訴えられ、現在裁判沙汰になっている。
朴教授は日本を免責するものではないが、韓国も感情からではなく事実を事実として追求し、「韓国も変わらなければならない」という考えに至り、上梓したのであった。しかし「韓国も・・・」が慰安婦や支援団体を刺戟したのである。

2014年4月、大型旅客船セウォル号沈没事故があった。その直後から7時間、朴槿恵大統領の行動が不明なことについて韓国紙等を引用してコラムを書いた産経新聞の加藤達也支局長(当時)が名誉毀損で訴えられ、事情聴取のため拘束された。
日本の報道機関ばかりでなく、米欧諸国や報道機関などから「理解できない」と轟轟たる批判を受けたにもかからず8か月余にわたって拘束され、出国を禁止された。

最終的には無罪放免になるが、韓国民や大統領の意図で動くとも揶揄される検察には、慰安婦問題を追及してやまない産経新聞が、またその支局長が、感情的に許せなかったのであろう。


◎親日では生きていけない

この件に関して、SAPIO誌(2014年10月号)が、19人の韓国人識者にインタビューを申し込んだところ、13人が「言いたいことはあるが、韓国批判をすれば社会で生きていけない」などの理由で取材拒否し、応じたのは6人だけであったという。
取材に応じた呉善花氏は、日韓の文化比較を分かりやすく書いた『スカートの風』がベストセラーとして一躍有名になるが、新宿歌舞伎町で働く韓国人ホステスなどを取材したことから売国奴と批判され、氏の著作を読んだことがない人までが「犬畜生の呉善花をぶっ殺せ(社会的抹殺の意)」などの罵詈雑言を浴びせられたそうである。

日本に帰化した後、肉親の葬儀と親族の結婚の2度、韓国への入国を拒否され、その揚げ句に「日本右翼に買収された現在の従軍慰安婦」だの、「実在の人物(韓国人)ではなく日本人」などと、低俗かつ出鱈目な記事で人格否定まで行われたと語っている。
作家の金完燮(ワンソプ)氏は『親日派のための弁明』を出版した際、竹島は日本領、慰安婦は兵士の士気を高め、一般子女の強姦を防ぐ点で日本が発明した素晴らしい制度などの記述もあり、青少年有害図書に指定された。また、脅迫を受けると同時に、一時は出国禁止にもなる。
ブロガーの歯科医は、韓国の反日思想に警鐘を鳴らし続け、『韓国人による恥韓論』や『韓国人による沈韓論』などを上梓しているが、本名でなく「シンシアリー」というペンネームで発言し続けている。
作家の柳舜夏氏は『あなたたちの日本』を出版後、ネットで容赦ない糾弾を受けたし、書評は否定的なものばかりで、「韓国の改善点を指摘するには覚悟がいる」と述懐する。

そうしたうえで、「今、韓日両国が目指すべきは、貪欲な中国をコントロールできる良好な関係を構築することだ」と主張し、「反日はレベルの低い感情的な排泄行為以上の意味を持ち得ない」と指摘する。

文化人類学者で、日本学科の主任教授であった崔吉城氏は、「韓国語浄化」を掲げる学生が木の下で花札に興じていたので、「花札は日本の文化だ。それなのに韓国語の浄化だとはどういうことだ」と問うと、(暴力などがあったかは不明であるが)「学生らは大いに怒った」と告白する。
そして、東南アジアでは強い反日は聞かれないし、韓国における反日も植民地時代に醸成されたのではないと述べ、「少なくとも教育、農村振興、インフラ整備については邪念を交えず(日本を)正当に評価すべきである」と主張する。

韓国陸軍元大佐の池萬元氏は、反日親中を強めていた朴槿恵大統領について「政治家としての能力とバランス感覚が余りにも欠如している」と批判し、「韓国の国益を損ねる愚行」と断言している。

一事が万事、真っ当な意見が暴力によって封じ込まれてきたのが韓国社会である。
インタビューに応じた作家たちの勇気を称える意味で、足跡を簡単に紹介した。勇気ある彼等であるが、インタビューの中で、等しく「私は親日派ではない」と断りを入れているところに、自己検閲が見られる。
◎おわりに
李栄薫教授は、経済学者として歴史的事実を踏まえて、あえて火中の栗を拾おうとしているわけである。その勇気に対する賞賛の言葉は容易には見当たらない。

教授は「私たちが先進国になるためには、すべての幻想を消さなければならない。まず外交的な葛藤にまでなった歴史から解放されてこそ、本当の意味で近代人になれる」と、韓国人に呼びかける。
「慰安婦性奴隷」の否定など、従来は炎上したであろう国民世論もこの講義ではさほどでないのは、昨年末の慰安婦問題に対する日韓合意が効を奏しているからであろう。

慰安婦問題も南京虐殺問題も火元は日本であり、朝日新聞である。この姿勢は朝日新聞が大東亜戦争の敗戦情報を知りながら、政府や世論に気兼ねしてさらなる戦闘を煽り続け、国民を無駄な死に追いやったこと(細川隆元『実録 朝日新聞』)と二重写しである。
慰安婦性奴隷説の否定で韓国に後れを取っては、末代までの語り草となり、購読者の激減になることは必定であろう。










「宇宙の摂理②」

2016-11-27 07:55:13 | 日本

◎道を求めた中国人と、初めから道があった日本


道(Tao)とは、人や物が通るべきところであり、宇宙自然の普遍的法則や根元的実在、道徳的な規範、美や真実の根元などを広く意味する言葉である、と云う。

・老子は、老子道徳経でタオ(道)を説いた。
道とは、名付けることのできない(仮に名付けている)ものであり、天地一切を包含する宇宙自然、万物の終始に関わる道を「天道」といい、人間世界に関わる道を「人道」というと、説明した。

・孔子は天道を継承し、詩経、書経で人道についても語り、天地人の道を追究した。

その他四書の『中庸』では、「天之道」「人之道」が「誠」であると云う。

また【菜根譚】では、「道を守って生きれば孤立する。だが、めざめた人は、現世の栄達に迷わされず、はるかな理想に生きるのだ」とし、道を守る事が肝心と説いた。

しかし、大陸で道を説く偉人が多くいたことに関して、国学者の本居宣長は『古事記』を解釈する過程で次のように指摘する。

中国の史実を述べた上で、「道」にそむいた事を口実に国を滅ぼし、新たに国を創り、今度はその国に忠誠を誓わせる為にまた「道」を利用し、周囲を巻き込み、多大な犠牲を生みながら、これを繰り返していると儒学批判を展開している。

本居宣長は言う。

中国には古来、国を奪った者が帝王であり、奪われた者が賊である。国を奪い取って、国を良く治めた人を「聖人」といい、その聖人が定めたところを「道」といっている。
だから儒学で「道」とは、「人の国を奪う為のもの」「人に国を奪われないようにする用意」の2つを指す、とする。

それに対し、日本の「道」は違う。
中国では、仁義礼譲孝悌忠信などと作り、人々に 計(たばかり)を厳しく教えようとするが、日本にはそのような教えは無いにもかかわらず、良く治まってきた。
それが日本なのだ(古事記伝)。…という、

加えて、中国では「道」にそむいた事を口実に国を滅ぼし、新たに国を創り、今度はその国に忠誠を誓わせる為にまた「道」を利用し、周囲を巻き込み、多大な犠牲を生みながら、これを繰り返していると、儒学を批判する。

ところが日本の道は、万世一系に基づいているとする。

    ◇

これらのことは、日本の開闢史が、竹内文献、ホツマツタヱ等に書かれているように、天地創造から始まるのに対して、中国の始まりは、「初めに盤古が生まれた」という『盤古神話』であり、それは呉の時代(3世紀)に成立した神話集『三五歴記』による。

中国の歴史は、まるで新しく、だから、道を求めていたのだ。
日本のスメラミコトは、天地創造主の後裔であり、初めから道を示していたと、日本の古伝は伝えているのだ。












「宇宙の摂理①」

2016-11-26 07:30:59 | 日本

◎天地創造


旧約聖書の 天地創造の話と、『ホツマツタエ』の天地開闢の話が、ほとんど同じだと云う話です。

[ 旧約聖書 ]

 初めに、神は天地を創造された。
 地は混沌であって闇が深淵の面にあり、 神の霊が水の面を動いていた。
 神は言われた。「光あれ。」こうして、光があった。
 神は光を見て、良しとされた。神は光と闇を分け、光を昼と呼び、闇を夜と呼ばれた。夕べがあり、朝があった。
 第一の日である。
 ・・・以下略

【 要約 】
 1日目 暗闇がある中、神は光を作り、昼と夜が出来た。
 2日目 神は空(天)をつくった。
 3日目 神は大地を作り、海が生まれ、地に植物をはえさせた。
 4日目 神は太陽と月と星をつくった。
 5日目 神は魚と鳥をつくった。
 6日目 神は獣と家畜をつくり、神に似せた人をつくった。
 7日目 神は休んだ。


[ ホツマツタエ ]

【 要約 】
 0 アメノミヲヤ(大宇宙の根源の意識)の  「生の一意気(意志・念い)」は 天元神を生む。

 ① 天元神のエネルギーは陽(昼)と陰(夜)に分離し、  【 陰陽 】
 ② さらに陽は空・風・火、陰は水・埴に分れる。

【 五行 】
 ③ 水・埴は地球をつくる。
 ④ 陽の核は日となり、陰の核は月となる。
 ⑤ 天元神は歳徳タマメを生み、タマメをして「キ・ツ・ヲ・サ・ネ」の五座の神を生む。
 ⑥ 空・風・火・水・埴の5つが交わって、 地球に初めて人 (ミナカヌシ) が生まれる。

ホツマの天元神は、七日目にも休まなかった。

いかがでしょうか? ソックリではありませんか?
 
そのあとホツマツタエはこう続く・・・・・
⑦ ミナカヌシは地球の八方に万子を生むが、天元神もミナカヌシの子として地上に肉体を持ち、『ト・ホ・カ・ミ・ヱ・ヒ・タ・メ』の八国を創る。
⑧ 『ヱの尊』と『トの尊』は日本に生まれ、はじめ『ヱの尊』がヲウミの中央政府を治め、『トの尊』はトシタ国 (ホツマ) を治める。 
以後『ヱの尊』と『トの尊』の尊は交代で世を継ぐ。
⑨ 天に帰って、ミナカヌシと天元神は星とされる。 【 九星 】
⑩ 天元神は人の魂の緒を下し、それで魂と魄と結び合せて、世における人の寿命を得さしめる (天つ政)。

ホツマツタヱでは、アマテルの功績により日本は長く平和になります。
そして、アマテルの孫のニニキネ(日本書紀の瓊瓊杵尊に相当)は、最初は関東にいたのですが、新田を開発するため九州に移住したという筋書きになっています。











「トランプ政権が日本に突きつける2%の試練」

2016-11-25 07:39:52 | 日本

北村 淳さんが「トランプ政権が日本に突きつける2%の試練」について掲載している。
以下、要約し記す。



大統領選挙前後の日本の主要メディアには「トランプ勝利により日米同盟がぐらつきかねない」という論調が氾濫していたようである。しかしながら、この見方はまったく的外れと言わざるをえない。フォーブス氏をはじめとするトランプ陣営の安全保障関係アドバイザーたちの顔ぶれからは、「トランプ陣営の誕生によって日米同盟は強化される」と考えるのが至当である

トランプ陣営が打ち出している海軍力増強を中心に据えた米国軍事力再興策には、莫大な国防予算を必要とする。そのため、オバマ政権下でGDPの3.5%以下まで低下してしまった国防費をGDPの4%レベルまで引き戻すことをトランプ陣営は明言している。

ただし、国防費をそのような水準にまで引き上げて米軍戦力を大幅に強化したとしても、第1次世界大戦以降最弱レベルまで落ち込んでしまったと言われているアメリカ軍が、自前の戦力だけでアメリカ自身の国防を全うできるほど国際社会は平和ではない。同盟国や友好国との連携は、再興した米軍にとっても欠かせない状況となっているのだ。

その際、同盟国の軍事力が弱体では、同盟関係を維持しておく意味がなくなってしまう。かつて米国は巨額の軍事予算を投入して同盟国や友好国を全面的に防衛する戦力を確保していた。しかし、もはやそれは望めない。必然的に同盟国には国防費の増加が求められることになる。
既にトランプ陣営からは、次のような声が上がっている。

「軍事的脅威が次から次へと出現する現在の国際状況では、世界中の同盟国も軍事力強化のために国防費を増大させなければなない。NATO諸国でも、GDPの2%を支出しているのは5カ国に過ぎない。アメリカは現在3.5%程度だ。アメリカが国防費をGDPの4%水準に引き戻すからには、NATO諸国も少なくとも国際平均の2%のレベルに引き上げて同盟国全体として軍事力を強化する必要がある」

その要求が日本にも向けられることは必至である。トランプ次期政権がフォーブス議員をはじめとする対中強硬派の人々の路線を採用して、「中国封じ込め」という軍事政策を推進していく場合、最大の共同事業パートナーと位置づけられる日本の軍事力が弱体では、この共同事業は成り立たない。トランプ政権は、GDP比1%を堅持しようという“非常識”な日本に対して、自主防衛力強化のための国防予算の大増額要求を求めてくるであろう。

それぞれが強力な自主防衛能力を有した国家同士の同盟関係こそが、同盟関係の強化である。その原理を認識して、口先だけの日米同盟の強化ではなく、国防費を少なくとも国際平均のGDP比2%レベルに引き上げて自主防衛能力を高めてほしい。














「トランプ米国 vs 習近平中国はどうなるか?」

2016-11-24 09:26:08 | 日本

軍事から経済まで完全予について福島香織さんが緊急寄稿している。
以下、要約し記す。



米大統領選は大方のメディアの予想を裏切ってトランプの勝利に終わった。トランプ政権がスタートするのは来年1月20日以降なので、新政権の対中政策がどのようなものになるのかは今のところ不明だ。

だが、中国共産党当局はおおむねトランプ政権を歓迎している。というよりヒラリー・クリントン政権よりまし、と判断しているというべきか。この傾向は、中国国営メディアの報道ニュアンスを見れば、選挙のかなり前から顕著であった。

では、中国は何を期待してトランプ政権をヒラリー政権よりましだと考えたのか。実際に中米関係はどのような局面を迎えると予想されるのだろうか。

 
トランプ当選の速報は、米AP通信やNHKよりも環球時報のネット速報のほうが小一時間ほど早かったように思う。そのぐらい、中国メディアも米大統領選の行方を注視していたのだ。そしてその日のうちに習近平は国家主席名義でトランプ氏に祝電を打った。その祝電の内容は次のようなものだ。

 「最大の発展途上国家、最大の発展国家、世界の二大経済体として、中米両国は世界の平和安定を維持し、グローバルな発展反映を促進するという点において、特殊な重要責任を担っており、広汎な共同利益を保持している。中長期的に健全で安定的な中米関係を発展させることは両国人民の根本利益に合致し、また国際社会の普遍的な期待でもある。私は中米関係を高度に重視し、あなたと一緒に努力していくことを期待し、衝突せず対抗せず、相互に尊重し、Win-Winの原則を守り、両国の二国間において、地域において、グローバルな各領域において協力試合、建設的な方法で意見の対立をコントロールし、中米関係を新しい起点から推進してさらに大きな発展を得て、さらに両国人民、各国人民の幸せをつくりあげましょう」

半分以上リップサービスだとしても、米国との関係を改善したいというサインを先に中国から出していることは大きい。

ちなみに2012年12月26日に第二次安倍政権が発足した当日、当時の温家宝首相は祝電を打たなかった。尖閣諸島国有化問題で、日中関係が先鋭化していたからだ。速報の速さといい、賀電の速さと言い、中国当局がトランプ政権の登場になにがしかを期待していることは間違いない。

共産党中央ハイレベルと人脈を持つ筋によれば、その理由は主に四つという。
まず一つ目は、トランプがTPPに反対であるという点。ヒラリーもTPP反対を選挙運動中に打ち出していたが、ヒラリーのTPP反対は選挙に勝つための妥協であり、その本音はTPP賛成派であると中国はみている。だがトランプは、オバマの政治的遺産であるTPPには絶対反対すると思われている。TPPは、中国にしてみれば経済的中国包囲網の形成を目指しているのだから、それがご破算になることは歓迎すべきことだ。

 
二つ目に、トランプ政権は日米同盟やNATOとの関係をオバマ政権ほど重視せず、結果的にアジアリバランス政策が後退する可能性が強いとみている。復旦大学米国研究センターの呉心伯教授はドイツ華語メディア・ドイチェベレに次のように語っている。「トランプ政権下は、為替の問題や貿易赤字問題については、中国に一層の圧力を加え、貿易摩擦あるいは貿易戦争を引き起こす可能性はある。だが、地政学政治と戦略方面においては、トランプ政権のほうがおそらく調整しやすい。オバマ政権のように、アジアリバランス政策によって西太平洋の地縁政治競争を引き起こすようなことはないだろう。この一点についても、トランプ政権の登場は中国に利する」

中国軍事科学院中米防務センター前主任の姚雲竹も環球時報に対し「もし、トランプが(選挙運動中に発言したように)同盟関係をこれまでの政権のように重視しないのだとしたら、アジアの安全保障の枠組みに大きな変化が起きる。この過程で権力と実力の真空が形成され、各国がこの状況をもとに調整に出てくるだろう」とみている。

中国人民大学国際関係学院副院長の金燦栄もよく似た意見を言っている。「現行のアジアリバランス政策はオバマ政権の政治的遺産だ。トランプはオバマに反感を持っており、そのまま継承することはないだろう。共和党はもともとその党綱を見ても、欧州とアジアの利益に関してはバランス重視で、民主党のほうがアジア太平洋に入れ込んできた。共和党は軍需産業利益重視だが、アジア、欧州、中東、バルカン対応を、もっとバランスよくやるのではないか。少なくともオバマ政権のように軍事力の六割をアジア太平洋に傾倒するようなことはないのではないか」(環球時報)。

中国の国際政治の専門家たちの予想が当たれば、アジアの米軍のプレゼンスが縮小し、中国が軍事的プレゼンスを強化できるまたとないチャンスとなる。
三つ目はトランプの本質は「打交道(取り引き、駆け引き)」ができるビジネスマンだとみられている。つまり、信念や理想で動くのではなく、利害で判断して行動する。とくに西側的な自由や人権といった価値観を振り回して、経済的政治的利益を損なうような真似はしない。中国サイドはフィリピン大統領ドゥテルテもこのタイプであると考え、接近してきた。

もちろんトランプは選挙運動中には米国の経済利益のために、中国に対し関税の引き上げや為替操作国認定を行うなどと言っており、あたかも中国に対し経済貿易戦争を仕掛けかねないような印象も持たれるが、「彼は物わかりのいい人間だ。もし(対中経貿戦争が)米国の利益を損なうとわかれば、その政策を調整してくるだろう。恐れることはない。一、二年しのげば、必ずその過程で、条件が成熟し、対立は緩和される」(現代国際関係研究院米国研究所長・達巍、環球時報)といった楽観論が少なくない。

また、トランプの資金的バックであるトーマス・バラックの運営するコロニー・キャピタルは2004年から中国に積極的投資を行っている。またトランプホテルチェーンの中国展開の話も進められている。このことから、米国も中国経済の破綻は困るのだという見方が楽観論の根拠だ。

実際、トランプ政権の安全保障問題の顧問となるジェームズ・ウルジーは香港英字紙サウスチャイナ・モーニングポスト紙に「オバマ政権がAIIB(アジアインフラ銀行)への参加を見送ったことは戦略的誤りであった」と語り、習近平政権の「一帯一路構想(現代版シルクロード構想)」に対するトランプ政権の反応は「ずっと温かな」ものになる、としている。ちなみにウルジーは今年2月にも、中国の専門家たちとフェニックステレビの討論番組に出演、このときに、AIIBやシルクロード構想への参加にいわゆる敷居はない、との説得を受けていた。

「一帯一路構想」は、ありていにいえば、中華経済圏のアジア、ヨーロッパに向けた拡大、中華グローバリズム戦略の一環であるから、それを「温かな」反応というなら、オバマ政権が頑として抵抗していた米国が中華グローバリズムと世界を二分するG2時代構想に対して、トランプ政権は受け入れる用意があるのではないか、と中国側が期待しても不思議ではない。


四つ目は、トランプの当選は、いわゆる米国的民主主義の敗北であり、米国式グローバリズムの衰退であるとみており、民主主義など欧米的な普遍的価値観を否定し、中華グローバリズム拡大の野望を抱く中国にとっては愉快であるということ。

シンガポール国立大学の東アジア研究所長の鄭永年が今年3月にシンガポール聯合早報に「トランプ主義と米国民主主義の苦境」という題でトランプ現象についての論評を寄稿している。

 「トランプは米国エリート階層が打ち立てたルールを無視して、過激な言論によって米国の政壇上のポリティカルコレクトネスの教条を端に追いやった」「米国はずっと自分を民主主義の典型モデルだと考え、民衆は国家の“イデオロギー”の制約を受けて、自分たちの国家が最高であると信じてきた。少数の冷静な学者を除けば、ほとんどの人たちが民主主義の疲弊について反省することはなく、民主的な政治的運動を行わない政治家など存在しなかった。民主主義を世界に拡大し、民主化すればそれでよし、と考えた」その結果「グローバル化が米国民主主義の内部均衡、政治と社会のバランスを崩してしまった」として、今の米国民主主義の混乱を説明している。

さらに言えば、在米政治学者のフランシス・フクヤマがフィナンシャルタイムズに「トランプ勝利は世界秩序の分水嶺となる」という寄稿をしている。「トランプの選挙中の意外なほどのヒラリー攻撃は、米国政治の分水嶺というだけでなく、世界秩序全体に対する分水嶺となる。われわれはまさに新たなポピュリズムとナショナリズムの時代に突入したようだ。この時代において、前世紀の50年代から構築されてきた自由主義的な秩序が憤怒の大衆に攻撃を受ける。世界はナショナリズム競争のリスクに陥る可能性も同様に大きい。それが事実ならば、1989年のベルリンの壁が崩れたときと同様の重大な時代の転換のシグナルとなるだろう」











「トランプ氏に借りを作った安倍・トランプ会談」

2016-11-23 07:06:23 | 日本

渡瀬裕哉さんが「トランプ氏に借りを作った安倍・トランプ会談」について掲載している。
以下、要約し記す。



◎外務省が己の失敗をリカバリーするために行われた会談

安倍首相・トランプ氏のニューヨークにおける会談は穏やかな形で終わった模様です。現段階では両者が話す内容も特に無いでしょうから予定通りといったところでしょう。

筆者は大統領選最中の9月にヒラリーにだけ会った外交上の失策で面目を失った外務省が自らの立場を挽回するためにセッティングしたものと推測しています。安倍首相としてもヒラリーとだけ面談した稚拙な外交について世論の批判が噴出する前に火消しを図りたかったことでしょう。

評価としては「とりあえず、「早めにトランプ氏に会っておくべき」という場当たり的な対応ではあるものの、同会談は行わないよりはマシというぐらいでしょうか。

しかし、トランプ氏側から見ると、この会談は特に行う必要は無いので「日本側はトランプ氏に対して借りを一つ作った」ことになります。したがって、「取引」を重視するトランプ氏に早くも一つ得点を取られた形になりました。

外務省の誤った判断によるツケを払う結果になったと言えるでしょう。


◎国務省長官が決まる前に訪米して面談することは意味があるのか?

面談時間は約1時間半だったということですが、事前にアジェンダが詰まっていたわけではないと思われます。したがって、会談内容は本当に挨拶程度のものだったと捉えるべきでしょう。

国務長官すらまだ内定していない状況の中で外交的な話が進められるわけがありません。

一方、同会談にはトランプ氏の娘婿夫婦が同席されていたことばかりが注目されていますが、トランプ氏が信頼する外交アドバイザーであるフリン氏も参加していました模様です。

この事からフリン氏は今秋に来日して日本の対米外交関係者と懇親した経緯もあり、今後もトランプ政権における対日政策のキーマンとなることが分かります。腕利きの情報機関出身者です。

同氏はネオコン及びオバマ政権の中東政策と鋭く批判した人物であり、選挙が終了した後もトランプ氏の外交政策面で重要なアドバイザーとして留任していることになります。安倍・トランプ会談自体というよりもフリン氏が参加していたことはトランプ政権の外交方針を推し量る意味で重要だったと思います。

今回はほとんど意見を交わすこともない挨拶程度の参加だったと思いますが、大駒の意図というものは周辺の動向から自然と悟ることができるものです。


◎安倍首相とメルケル首相を比べる愚説は何の意味もない

一部にはドイツのメルケル首相の発言などと比較し、安倍首相の行動を批判する声もありますが、それらは失笑ものの勘違いだと思います。批判のための批判は建設的なものとは思えません。

欧州諸国も渋々ではあるものの、トランプ大統領就任後は自らの発言を顧みる必要が出て来ることになるでしょう。他国が大統領選挙を行っている最中に、各国首脳が片方の候補者を批判する外交的な非礼を繰り返してきたのは欧州諸国のほうです。

ロシアの脅威を目の前に抱える欧州諸国(特にドイツ)と中国の脅威を目の前に抱える日本では外交的な立場も全く異なるものです。その意味で安倍首相は下手をうったので早急にリカバリーを行うことは日本の国益を考えるなら当然の行為です。

また、トランプ氏は民主主義の手続きで選ばれた人物であり、しかも経済的には自由主義的傾向が強い共和党大統領です。そのトランプ氏と会談することは何らおかしなことではありません。左翼運動家には不快かもしれませんが、単なる民主主義国同士の実質的なトップ会談です。

むしろ、欧州諸国は自国の中で台頭するファシズム勢力を責任を持って抑える責任があり、他国の大統領に対して論評している場合ではありません。欧州の人々には是非頑張ってほしいものだと思います。









「トランプ氏、強硬派を登用 米民主党の反発必至」

2016-11-22 06:58:32 | 日本

ワシントンの吉野直也さんと川合智之さんが、掲載している。

トランプ次期米大統領は国家安全保障担当の大統領補佐官にマイケル・フリン氏(57)、司法長官にジェフ・セッションズ上院議員(69)、米中央情報局(CIA)長官にマイク・ポンペオ下院議員(52)を指名した。テロ対策や安全保障の分野で人種差別など強硬な発言をする人物を登用したが、上院承認手続きで野党の民主党から反発を呼びそうだ。
 
 
◎安保担当補佐官にフリン氏 イスラム教徒に厳しく
 
国家安全保障担当の大統領補佐官に就くフリン氏は30年以上にわたり軍で情報畑を歩んできた。アフガニスタンやイラク戦争には情報将校として参加(退役陸軍中将)。オバマ政権で国防情報局長に就任したものの、中東政策で意見が折り合わず、任期途中で解任された。
 
それ以降、オバマ大統領批判に転じた。共和党予備選に出馬したトランプ氏の目にとまり、外交アドバイザーとして起用された。トランプ氏はフリン氏の補佐官起用について「イスラム過激派組織を打ち負かすため、側近として迎え入れる」と説明した。フリン氏はイスラム教徒に対する厳しい発言で知られる。
 
国家安全保障担当の補佐官は国家安全保障会議(NSC)を仕切る。ニクソン政権で米中国交正常化に道筋をつけた際のキッシンジャー氏もこの補佐官だった。現在はオバマ氏側近のスーザン・ライス氏が務める。フリン氏は大統領選で一時、副大統領候補にも名前が挙がった。
 
フリン氏は日米同盟重視派と位置づけられる。10月に日本を訪問したときに日本経済新聞とのインタビューで「トランプ氏も今のような日米同盟が今後も続くと考えている」と指摘した。17日の安倍晋三首相とトランプ氏との初会談にも同席した。
 
一方で対テロとの戦いではロシアとの協調を説き、トランプ氏の対ロ観にも影響を与えている。トランプ氏は選挙戦でテロ容疑者らの尋問方法として水責めなども提唱した。フリン氏もそれをも否定しなかった。国際人権団体はフリン氏の補佐官指名に関して「人権の原則を無視しており、深く憂慮する」との声明を出した。
 
 
◎司法長官にセッションズ氏 目立つ人種差別発言
 
司法長官に就任するセッションズ氏は南部アラバマ州選出の上院議員で、保守強硬派として知られる。トランプ氏支持を表明したのは2月。上院議員で最も早く、トランプ氏の最側近の一人だ。
 
人種差別発言で長年批判を浴びてきた。黒人を弁護した白人弁護士を「白人の面汚しだ」と非難したほか、白人優越主義者の秘密結社クー・クラックス・クラン(KKK)を肯定的に語ったこともある。
 
1986年に連邦判事に指名された際、上院は人種差別を理由に異例の非承認とした。
 
司法長官に就任した後はメキシコ系不法移民やイスラム教徒への厳しい措置をとることが予想される。地球温暖化に懐疑的で、同性婚や女性の妊娠中絶の権利などにも批判的だ。民主党上院議員からは司法長官就任を拒否しようとする動きも出ている。
 
 
◎CIA長官にポンペオ氏 容疑者の拷問を容認
 
CIA長官になるポンペオ氏は陸軍出身(米陸士卒・退役陸軍大尉)で、2010年の下院選で保守派草の根運動「茶会」(ティーパーティー)の支持を受けて当選した。12年にリビアのベンガジで米大使ら4人が殺害された米領事館襲撃事件に関する下院特別委員会で、ヒラリー・クリントン国務長官(当時)に厳しい質問を浴びせた。
 
CIA元職員スノーデン氏の暴露で、情報機関による市民の通話記録の大量収集が発覚し、オバマ政権は収集方法を見直した。ポンペオ氏はスノーデン氏を「死刑にすべきだ」と述べ、大量収集の再開を求めている。
 
CIAによる容疑者の拷問を容認しているほか、イスラム教徒への差別発言で批判を受けたこともある。
 











「トランプ政権に“史上最強”の海軍長官が誕生か?」

2016-11-21 07:26:59 | 日本

北村 淳さんが 海軍を中心に「強い米軍」の復活を誓うトランプ新大統領について掲載 る。
以下、要約し記す。



アメリカの「反トランプ」メディアが垂れ流す報道を受け売りし、トランプ候補の“暴言”を興味本位に取り上げていた日本のメディアにとって、トランプ大統領の誕生は「青天の霹靂」といったところであったようだ。
 
しかしながら、トランプ陣営による「350隻海軍の建設」や「フィラデルフィア海軍工廠の復活」をはじめとする海軍増強策や、その他の軍事力強化策に期待を抱いていたアメリカ軍関係者やシンクタンクの研究者たちにとって、クリントン氏の敗北は青天の霹靂でもなんでもなく、まさに期待していた通りの結果であった。
 
トランプ陣営が打ち出す軍事力強化策や国防政策は、88名に及ぶ現役の提督や将軍たちに公的に支持され、幅広い国防関係者たちの間でもトランプ支持が広まっていた。そうした状況を、日本の多くのメディアは把握していなかったようだ。
 

◎トランプ次期政権の軍事力強化策
 
トランプ陣営が打ち出す軍事力強化策は「350隻海軍」だけではなく、より広範囲にわたっている。
 
選挙期間中にトランプ候補が直接公言した施策や、トランプ陣営の軍事アドバイザーたちが語った増強策などのうち、主だったものは以下の通りである。
 
(1)オバマ政権によって45万まで削減されることになっているアメリカ陸軍兵力を、54万のレベルにまで増強する。
 
(現在の兵員数はおよそ49万だが、オバマ政権の削減案が達成されると、2018年度には45万になる。)
 
(2)現在のところアメリカ空軍は、戦闘機を1113機しか保有していないが、それを1200機以上のレベルに増強する。
 
(3)アメリカ海軍と行動を共にする“アメリカの尖兵”であるアメリカ海兵隊はオバマ政権下で兵力18万まで削減されたが、それを20万まで戻す。
 
(4)最先端のサイバー技術への投資を加速し、サイバー防衛能力ならびにサイバー攻撃能力を飛躍的に強化する。
 
(5)最新の弾道ミサイル防衛能力を強化する。
 
(6)現在およそ250隻の主要戦闘艦艇を350隻レベルに増強する。
 
(7)フィラデルフィア海軍工廠を復活させ、「アメリカの鉄で、アメリカの技術者・労働者の力で、アメリカの軍艦を建造する」能力を飛躍的に増大させる。
 
(8)海軍関係の艦艇船舶建造費として、毎年200億ドル(およそ2兆円)の予算を計上する。
 
(9)タイコンデロガ級巡洋艦の近代化改修を急ぎ、すべての巡洋艦に弾道ミサイル防衛能力を付与する。
 
(未改修22隻の巡洋艦にこのような改装を施すには、およそ50億ドルと数年間の時間が必要となる。)
 
(10)オバマ政権が建造数を40隻程度に削減してしまった、21世紀型海軍戦略での活躍が期待される沿海域戦闘艦(LCS)を50隻レベルに引き戻す。
 
(11)財政的理由により新規建造が足踏み状態に陥ってしまっていた攻撃原子力潜水艦を毎年2隻のペースで建造し、配備数を速やかに増強する。
 
これらの軍事力増強策のなかで最も予算を必要とするのは、言うまでもなく、多数の新鋭軍艦を建造することになる海軍力増強策である。海兵隊も海軍とともに海軍省の一員であるため、トランプ次期政権の軍事力増強案の根幹は「海軍力増強」であると言っても過言ではない。
 
アメリカが地政学的には広大な疑似島国である以上、海軍力の強化を中心に据えて「強いアメリカの再興」を計る方針はごく自然なものであると言えよう。
 

◎海軍長官の筆頭候補、フォーブス議員
 
アメリカ海軍をはじめ、海軍関係専門家たち、それにアメリカ軍指導者たちや軍需企業関係者たちは、トランプ陣営が打ち出す海軍増強策が現実のものとなるであろうと考えている。その理由は、トランプ次期大統領の軍事政策顧問の1人にランディ・フォーブス連邦下院議員が名を連ねているからである。
 
バージニア州選出のフォーブス下院議員は、下院軍事委員会・海軍遠征軍小委員会委員長の重責を担ってきており、海軍政策のエキスパートとして海軍関係者や海軍戦略家・研究者などからも高い評価を受けている人物である。
 
かねてよりフォーブス議員は「350隻海軍」「200億ドル建艦費」を唱道してきており、トランプ陣営はフォーブス議員の提案を全面的に受け入れていることが明白だ。そして、このような海軍増強策を前面に押し出してきたランディ・フォーブス氏が、トランプ政権における海軍長官の筆頭候補と目されているのだ。
 
だからこそ、海軍首脳や海軍関係者たちはトランプ政権の誕生を期待し、選挙で勝利した現在、“大海軍建設”計画が始動する可能性がほぼ確実になったことに胸をなで下ろしているのである。
 

◎中国海軍にとっては“最悪の海軍長官”
 
アメリカ海軍関係者たちとは逆に、中国人民解放軍とりわけ中国海軍は、フォーブス議員が海軍長官に就任することに関しては大いに当惑しているはずである。
 
というのは、海軍戦略に造詣の深いフォーブス議員は、当然のことながら中国海軍の動向にも精通しており、アメリカならびに日本などの同盟諸国の安全保障を全うするためには中国が推し進めている覇権主義的海洋拡張戦略を食い止めなければならないと主張しているからである。
 
海軍戦略分野における対中強硬派の代表格であるフォーブス議員による、中国に対して封じ込め的なスタンスをとるべきであるとする主張は、以下のように本コラムにもしばしば登場しているので再確認していただきたい。
 

◎国防長官候補のさらに強力な助っ人
 
トランプ陣営には、フォーブス議員以上に強力な軍事政策顧問が控えている。アラバマ州選出のジェフ・セッションズ上院議員である。
 
上院軍事委員会委員であるセッションズ上院議員は、トランプ陣営が安全保障政策の根幹に据えている「PEACE THROUGH STRENGTH」すなわち「強力な軍事力こそが平和な国際関係を実現するための原動力となる」という平和哲学の権化であり、トランプ政権における国防長官の筆頭候補と目されている。
 
同議員はリアリストの立場から、アメリカの国防政策、そして軍事力の再編を推し進めようとしており、フォーブス議員が提案している海軍拡張計画を財政的に実現化させるべく、国防戦略のレベルにおける諸提言を展開している。
 
セッションズ“国防長官”とフォーブス“海軍長官”が誕生すれば、トランプ次期大統領の「偉大なアメリカの再現」の原動力となる「強い米軍の復活」が極めて現実的なものとなることは間違いない。
 
ただし日本にとっては、アメリカから大幅な防衛費の増大と自主防衛能力の強化が強力に求められることになるのは確実である。








「人気者」

2016-11-20 07:16:45 | 日本


「人気者」について 記す。




今いる環境で 人気を簡単に上げる方法をご紹介する。

その方法とは「スピードを上げる」こと

たったこれだけ

●明日締切の仕事を、今日中にやり終える。

●納期よりも3日早く納品する。

●トイレから早足で戻ってくる。

●返事を間髪(かんぱつ)をいれずにする。

●電話をすぐにとる。

これらのことを ほかの人に比べて早いスピードで やってしまう。

するとたちまち 人に好かれるようになってしまう。

スピードアップは 自分力を高める上で必須な要素なのです。











「流れに乗る」

2016-11-20 07:15:45 | 日本

「流れに乗る」について 記す。



偶然の出来事や出会いと遭遇したとき
 
それを自分の可能性を広げる「チャンス」と気付けるかどうか

「偶然の出会い」こそ

自分に取って 予想外の展開を連れてきてくれるのだ

その数を増やせば増やすほど 人生は面白くなっていく!!

予想外の誘いを受けたら まず受けてみましょう










「変化の先」

2016-11-20 07:14:54 | 日本

松本守正さんのブログ「変化の先」について記す。



変わり続けなければ 会社も個人も生き残ってはいけません

自分で変化を起こすことが困難な場合は 
 
・頼まれごとを引き受ける
 
・人の誘いに乗る
 
というような他人が運んできてくれる変化を 積極的に受けてみよう
 
そうすると 今までとは異なる可能性に出会うことができるのです









「変化」

2016-11-20 07:13:07 | 日本

「変化」について 記す。



技術発展により 過去に比べて変化が早くなったと言われる現代

自分の生き方や考え方を 柔軟に変えていかなければならない時代です

変化が激しい時代では 「基準」や「価値観」もスゴい速度で変わっていく

あらゆることで 古い価値観を捨てることができなければ生き残れないのです

私は自分らしくあるために 変化し続ける!









「温かい家庭を作るには一杯の味噌汁で十分だ!」

2016-11-19 07:37:12 | 日本

麻木久仁子が『一汁一菜でよいという提案』の提案をしている。
大変興味深いので要約し記す。



“食育では、一緒に食べることの大切さ、家族揃って食卓を囲むことの大切さが説かれます。けれど、商売をやっている家庭や、親が働いている家庭では、一緒に食卓を囲めないのは当然で、親が用意した汁を自分たちで温めて、子どもだけで食べる。そんな家庭はたくさんあると思います。それでも、大切なものはもうすでにもらっています。それが手作りの料理です、愛情そのものです。だから、別に一緒に食べることばかりが大切じゃないのです。”
“だれもいない夜、両親の帰りが遅いとき、鍋焼きうどんの材料が全部入った皿が台所に用意してあったら嬉しいでしょう。うどん、鶏肉、かまぼこ、しいたけ、ねぎの切ったものが入っています。一人用の土鍋に入れて、だし汁を張って火にかけて煮立てて、うどんを煮込みます。熱々の鍋焼きうどんをテレビの前で一人で食べた夜は、私にとって大切な思い出です。”

このくだりを読んで、胸がじんとして、涙が出てしまった。しばらくページをめくる手が止まったのである。思えば、子育てと仕事に追われながら精一杯やってきたつもりでいても、心のどこかに、いつもいつも子どものそばにいてやれる訳ではないことへの後ろめたさがあった。キャラ弁など他のお母さんが作る手の込んだ弁当に比べたら、手抜きと思われないかしらと気になったこともある。品数の多さが愛情の量のような気がして、なんとかあと一品と思い、ヘトヘトになったこともある。

怒涛のように忙しい時が過ぎ、子育ても一段落して、ふとあの頃を振り返ると、頑張っているつもりだったけれど足元はいつも不安定だったのかなあと思う。品数とかひと手間とか、そんな目に見える形で愛情を示さないと、親としての自信を失いそうな気がしていたのだと思う。
 だからこの一節を読んで、なんだか許されたような気がしてホッとしたのだろう。
 同じように感じる方も多いのではないだろうか。


◎基本形は、飯と具沢山の味噌汁と香の物

飯と具だくさんの味噌汁があれば、あとは香の物で良い。これが基本形である。

おかずを付けたなら、味噌汁の具は減らして全体のバランスをとる。膳はきれいな三角に整う。毎日毎食手に触れる、それぞれの茶碗や箸や湯のみは、きちんと選んで、自分に似合うものを大事に使う。ハレの日のご馳走とは違って、ごくごく日常の、シンプルな味付けで、だけどそれだからこそ飽きのこない味のものを。

家庭ではいつもいつも新鮮な最上の材料を使えるわけではないけれど、例えば時にうまく煮えない芋や傷みそうな残り物もあったとしても、「ごめんね」や「もうこれは食べないで」という会話がある。おじいちゃんの分は少し柔らかくとか、子どもの分は小さく盛り変えてとか、ほんのちょっと出来ることをすることで、「これは自分のための料理だ」ということが心に溜まっていく。プロの真似などする必要もない。穏やかで清々しいお膳・・・。
愛情を目に見える形にしなくてはというプレッシャーや、プロの料理人の味こそ目指すべきと思い込んで“日常”を見失ったことで、複雑になりハードルが上がってしまった「家庭の料理」を“初期化”しようというのが土井さんの提案なのだ。

現実的で持続可能で、余計なストレスを抱かなくて良い「一汁一菜」を守ることでそれが実現する。
どんなに手順の少ない料理でも、作る人が美味しい瞬間を全力で感じながら作れば愛情いっぱいだ。家族のために作る料理でも、一人暮らしで作る料理でも、食べることで癒される心と体がそこにある。