龍の声

龍の声は、天の声

「華夷の弁」(吉田松陰 留魂録より)

2024-01-31 06:57:36 | 日本

「華夷の弁」(吉田松陰 留魂録より)
 

「華夷の弁(かいのべん)」を明らかにするというのが、この「松下村塾の記」の主柱をなすものである。
もともと華夷思想は、儒教とともにわが国に渡ってきた。とくに江戸時代、儒学が全盛期を迎えると、中国礼賛の風が一部学者のあいだに高まり、日本そのものがいやしむべき夷狄の国土だと考える者さえいた。

 このような先進国に対する拝外的な風潮を是正しようとするのが華夷弁別で、浅見絅斎らによってそれが強調された。

「夫れ天地の外をつつみ、地往くとして天を戴かざる所なし。然れば各々其の土地風俗の限る所、其地なりなりに天を戴けば、各々一分の天下にて互いに尊卑貴賤の嫌(きらい)なし」
自分の生まれた土地がどのような僻地であろうと、それに劣等感を抱く必要はなく、その場所で励めばそこが「華」だというのである。

松陰が松下村塾の教育理念としてかかげた華夷の弁とは、松下村という辺境に英才教育の場を興そうとする壮大な意図をうたったものだ。そして、長門国が天下を奮発震動させる奇傑の根拠地になろうという松陰の期待と予言は、彼の死後において、ついに実現されたのである。   






『松下村塾記』概略要旨

2024-01-30 08:48:13 | 日本

『松下村塾記』概略要旨

長門の国は僻地であり、山陽の西端に位置している。そこに置く萩城の東郊にわが松本村はある。人口約一千、士農工商各階級の者が生活している。萩城下は既に一つの都会をなしているが、そこからは秀れた人物が久しく顕われていない。しかし、萩城もこのままであるはずがなく、将来大いに顕現するとすれば、それは東の郊外たる松本村から始まるであろう。私は去年獄を出て、この村の自宅に謹慎していたが、父や兄、また叔父などのすすめにより、一族これに参集して学問の講究に努め、松本村を奮発震動させる中核的な役割を果たそうとしているのである。

叔父玉木文之進の起こした家塾は『松下村塾』の扁額を掲げた。外叔久保五郎左衛門もそれを継いで、村名に因むこの称を用い、村内の子弟教育にあたっている。その理念は「華夷の弁」を明らかにすることであり、奇傑の人物は、必ずここから輩出するであろう。ここにおいて彼等が毛利の伝統的価値を発揮することに貢献し、西端の僻地たる長門国が天下を奮発震動させる根拠地となる日を期して待つべきである。私は罪囚の余にある者だが、幸い玉木、久保両先生の後を継ぎ、子弟の教育に当たらせてもらえるなら、敢えてその目的遂行に献身的努力を払いたいと思う。 

(『吉田松陰』 古川薫著 創元社より)
 
 
 
 
解 説
 
「松下村塾記」は、当時松下村塾の名で以て私塾を経営していた外叔久保五郎左衛門の求めに応じて松陰が書き贈ったものである。それは村の名前を冠した塾の教育の理想とその責務の大きさが述べられており、その抱負はまことにおおきい。文章もまた雄渾で口誦して士気の高まりを覚えるものがある。松陰自ら、「略ぼ志す所を言ふ」(小田村伊之助宛書簡、安政三年十一月二十日)と述べており、自信の作であると言えよう。
ここで松陰は、教育の使命を、君臣の義をわきまえ、「華夷の弁」を明らかにした「奇傑非常」の人を育成するところに置いている。この考え方は後に自ら主宰者となった松下村塾においてはもとより、彼の終生変わらぬ教育観であった。なお本文については、それが自然の形勢からある種の哲学的見解をさぐり出している考え方は東洋的であるという指摘もある。

『吉田松陰撰集』(財)松風会刊行より
 






玉置先生のご遺言・・

2024-01-28 09:57:53 | 日本

玉置先生のご遺言・・

「政治家が自分の生命(いのち)にかえてでも、という肚(はら)は、一朝一夕で出来るものではない。人様から笑われ、叩かれ、突き放された中から、この国の一大事に対処できる肚が出来るのだ。」




◎どん底から這い上がる言葉

2024-01-27 09:34:28 | 日本

①ここまで落ちれば、後は上がるだけ
②ひとは笑われて、強くなる
③苦しいから逃げるのではない、逃げるから苦しいのである
④暗くならなければ、星は見えない
⑤強いから、賢いから生き延びるのではない、変化への対応が出来るから生き延びる








「勧進帳(かんじんちょう)」

2024-01-26 07:53:03 | 日本

関所を通ることはできるか、できないか。
逃げる者と調べる者の緊張感にあふれた攻防。
主君を生きのびさせるため、家来が選んだ道は。
源義経(みなもとのよしつね)は、家来武蔵坊弁慶(むさしぼうべんけい)らと逃避行を続ける。北陸道(ほくろくどう)安宅の関で彼らを待っていたのは、関守富樫左衛門(とがしのさえもん)。身を隠しきれない義経、主君を助けようと必死の弁慶、その強い思いにふれる富樫。ぶつかり合う三人の立場と心。終始気の抜けない名場面が続く。


◎富樫の名乗り

ここは北陸道の関所、安宅の関。鎌倉幕府将軍の源頼朝と不和となった弟の義経は、山伏に変装して陸奥国(むつのくに)へ行こうとしているとの情報がある。義経を捕らえるため、幕府から関守(せきもり)となるよう命令を受けた武士、富樫左衛門は、部下の番卒(ばんそつ)たちとともに警戒している。


◎花道の出

源義経と家来の武蔵坊弁慶らの一行が、陸奥国の藤原一族をたよりに逃げのびてくる。義経は源平の合戦で、敵の平家を滅ぼすのに大きな働きをし、後白河法皇から任じられた官職名から判官殿(ほうがんどの)とも呼ばれた。しかしそのためかえって兄にも反逆するつもりがあるのではないかと疑われている。弁慶は比叡山で修行した本物の山伏なので、自分と他の家来は山伏となり、主君の義経は荷物を持つ強力(ごうりき)に変装させて関所を通ろうと計画する。


◎勧進帳の読み上げ

安宅の関に着いた弁慶一行は、山伏を厳しく調べているから通せないと言われ、富樫たちと押し合いになる。火事で焼けた奈良の東大寺再建のため、各地を回って勧進(寄付)を募っていると言う弁慶に、富樫は「それなら勧進の目的を書いた勧進帳を持っているはずだ、読んでください」と言う。弁慶はありあわせの巻物を広げ、書かれてもいない勧進の目的を考えながら読み上げる。


◎山伏問答

読み上げを聞いた富樫は、あなたは本物の山伏のようだが、ではついでに山伏のいかめしい格好にはどういう意味があるのか、また「九字の真言」という奥義はどんなものなのか、お聞かせ願えないかと尋ねる。弁慶は尋ねに応じて、山伏が身につけているものは仏の姿をかたどっていてそれぞれ意味があることを述べ、「九字の真言」の使い方を明らかにする。


◎打擲(ちょうちゃく)

弁慶の答えを聞いた富樫は感心し、袴や黄金を布施物(寄付品)として渡す。しかし、去ろうとした弁慶一行について行く強力が義経に似ていると番卒が告げ、富樫は一行を呼びとめる。疑いを晴らすため、弁慶は杖を取り、義経を打つ。それは家来として絶対にはたらいてはいけない無礼であった。あえてそうしてでも主君を助けようとする弁慶の姿に富樫は心を打たれ、関所を通る許可を与える。


◎主従の述懐

富樫がいったん去ると、義経と他の家来たちは弁慶の機転をほめ、助かったことを喜ぶ。だが弁慶は主君を打ち叩いた罪にうちひしがれて涙する。その様子を見た義経は手をさしのべてなぐさめ、これまでの戦いのつらさと自分たちの武運のなさを悲しむ。


◎延年の舞

関を去った一行を、富樫が追いかけてきて、疑ったおわびのしるしとして酒をすすめる。大杯を重ねて酔った弁慶は、昔の恋の話をしてから、比叡山で修行をしていた時に延年(寺院で行われた芸能の一種)の稚児として行った舞を舞ってみせる。


◎飛び六方

弁慶は舞の間に義経と他の家来たちを先に立たせる。そして自分も笈(おい)を背負い、金剛杖を手にして、陸奥国をめざし旅立って行く。いったん立ち止まって富樫と神仏の助けに感謝したのち、弁慶は「飛び六方」で花道を勢いよく入って行く。







「男児三日会わずんば刮目して待つべし」

2024-01-24 08:40:04 | 日本

分かりやすい意訳があった。
以下、ご参考に!

「男子、三日会わざれば刮目(かつもく)して見よ」という慣用句があります。原文は『三国志演義』が出典で、呉(ご)の武将(ぶしょう)呂蒙(りょもう)の故事から出ています。
こんな逸話(いつわ)です。

呂蒙という人は、呉王(ごおう)孫権(そんけん)に度々重んじられてきましたが、家がもともと貧しく、学問に触れる機会もなかったこともあり、武力一辺倒で学問に全く興味のない人でした。そのため、書類なども自分が話した内容を聞き取らせて、部下に作成してもらっていたそうです。そんな呂蒙の学識のなさを笑って、人々は、「呉下の阿蒙(ごかのあもう)」とからかっていたのです。「阿蒙」というのは、今で言う「蒙ちゃん」といったニュアンスで、さげすんだ言い方ではなく、親しみを込めて、「おばかな蒙ちゃん」的な感じでからかっていました。
そんないつまでも「阿蒙」のままでいる呂蒙を見かねた呉王孫権は呂蒙に学問を勧めましたが、はじめのうち呂蒙は「軍中は何かと忙しく、書物を読む時間を取れない」と言い返していました。しかし、孫権は「博士になろうとしなくていいから、歴史を見渡して見識を広めてみてはどうか」と、どの書物を読んで学ぶべきかを教えたともいいます。国王にそこまで言われたら、やらざるをえません。呂蒙は発奮して、勉学にも本腰を入れ、やがて本職の儒学者たちをもしのぐほど読書をし、勉強を続け、見る見るうちに教養を身につけます。
勇猛(ゆうもう)なだけで無学であった呂蒙を軽蔑(けいべつ)していた知識人の魯粛(ろしゅく)は、日に日に上がる呂蒙の評判を聞いて挨拶(あいさつ)に向かいました。実際に語り合った呂蒙は、以前とは比べ物にならないくらい豊かな学識を兼ね備えた大人物へと成長していたのです。

おどろいた魯粛は、「昔言われていた『呉下の阿蒙』であったとはとても思えない」と称賛(しょうさん)しました。これに対して呂蒙は「士別れて三日、即(すなわ)ち更(さら)に刮目(かつもく)して相待すべし」、つまり「士たるもの、別れて三日もすれば大いに成長しているものであって、また次に会う時が目をこすって違う目でみなければなりませんよ」と答えたのです。
人間だれもが能力を持っている。外見からはわからないほど、色々な能力をもっているのである。この慣用句も、三日間というわずかな時間でも人間は変わることができるということを言っているのですが、この呂蒙の逸話から、みなさんには3つの大切な事をわかってもらいたいのです。

一つは、孫権が呂蒙に学問を勧めたこと。つまり、変わるための「きっかけ」があったとうこと。
一つは、呂蒙が変わることができたのは、変わるために勉学に励むなど努力を続けたということ。つまり、人は自分の考え方や行いを「変える」ことで、変わるんだということ。
一つは、呂蒙は、自分のためを思って言ってくれる孫権の言葉を「素直」に受け入れたこと。
つまり呂蒙は、孫権の言葉を「きっかけ」に、「素直」にその言葉に従い、自分を「変える」ための努力を惜しまなかったことで大いに成長できたのです。








「。」に威圧感や怒りの感情を読み取る若者 

2024-01-22 07:54:34 | 日本

私自身も知らなかったことだが、今までのまともな文章が、今は通じなくなっている。否、逆な受け止め方をされているらしい。
これは、由々しき問題だと思う。
日教組教育の弊害だと片づけることは最早できない。団塊世代とIT世代の時代の断絶といえる。まともな言葉を失うことは、民族の歴史を喪失させることに通じる。
であるから、IT世代をさらに一歩、前進させることを考え、対処していく必要がある。




◎背景にタイパ重視世代の“気遣いと正義”

若者のSNS利用に詳しいITジャーナリストの高橋暁子さんも、世代間でLINEの使い方にはギャップがあると話す。 「ガラケー世代で、相手がいつ読むかわからないメールの文化を引きずっている大人は、挨拶から入り要件を伝えて結びの言葉、と文章が長い。当然、そこには句読点が多く入る。でもリアルタイムでのやりとりが当たり前の若い世代は、句読点を一切使いません。だからたまに目にするLINEでの句読点に、『かしこまっている』という印象や威圧感、怒りの感情を読み取ってしまうのだと思います」  一方で若い世代は、自分からあえて「LINEで句点を使う」こともあるという。前出の22歳の大学生の場合はこうだ。 「『笑』がついていたら怒ってないということ。『爆笑』がついていたら冗談。絵文字も『笑』もついてなかったら少し怒ってる。『。』がついていたらその怒りの強調、という感じです」  たとえば「いいと思うよ笑」なら賛成だが、「いいと思うよ。」だと気に入らないけど好きにすれば?というニュアンスになり、それを受け取る側も共有しているという。高橋さんはこうみる。 「実際に句点がついたメッセージを受け取ったときに『あ、怒ってる』と自分が感じた感覚を再現する意味で、じゃあ自分も怒りを伝えるときには句点をつける、そうして広がっていっているのではないかと思います」


◎句点複数で共感性表す
 
SNSのやりとりで、受け取る側に思わぬ感情を伝える句点。孤独を抱えていたり、虐待やDVで自殺リスクもある若い世代からのオンライン匿名チャット相談を受けるNPO法人「あなたのいばしょ」理事長の大空幸星さんも、句点の使い方には細心の注意を払っていると言う。 「若い世代が句点から怒りの感情を読み取るのは、句点で会話が切られることで『コミュニケーションを続けたくない』という意思表示に受け取るからかなと思います。一方で、私たちはチャット相談の中であえて句点を使うこともあります。
相談とは基本的には傾聴の姿勢が大切で質問がメインではないが、必要なときもある。たとえば、先方の状態について質問したいとき、「あなたのいばしょ」ではイエスかノーかを迫ることになる「?」は使わないことにしているという。 「かといって句点で止める問いかけをしてしまうと会話を切ることになるので避けたい。そんな場合はたとえば『そうだったんですね。。。。。。』と打ちます。句点を複数にすると逆に、共感性が生まれてくるんです」


◎気遣いのすれ違いが
 
質問するということは、相手の気持ちに踏み込んでいくことであり、「侵襲性」が生まれやすい。それをなるべく軽減するためにも、若い世代の間で広く使われている句点の複数利用を心がけていると大空さんは言う。 「チャット相談には声色などの非言語情報がなく、感情の変化や揺らぎはチャットの文字に目を凝らし、読み取るしかない。改行なしの長文で思いの丈を書いてくる人は『かなりいろんな思いを抱えておられるな』とか、句点が多い人は『相手のことも少し気遣いながら話をしておられるんだろうな』など、そこからパーソナリティーの側面を判断することもあります」  句点の使い方ひとつで、異なる世代との間に共感を生んだり、思わぬすれ違いが生まれたり。気をつけるべきことは何か。高橋さんは、「無理解なままお互いを否定しないこと」を挙げる。 「若い世代が句読点を廃し、短い言葉でやりとりする背景には、タイパの意識が強い世代であることも大きい。無駄なやりとりはせず相手を待たせない、ということも彼らにとっては正義だし、気遣いでもあるわけです」  一方で大人世代にとっては相手が読みやすいように句読点もつけながら、長文になってもきちんと伝える。それが相手への気遣いだ。つまりは、双方の気遣いのやり方がすれ違っているだけだと高橋さんは言う。 「少し歩み寄ってみるのもありかなと思います。大人が若い世代にLINEするときは句読点を減らしてみる。逆に若い世代は、失礼と思うらしいし冒頭に少し挨拶でもつけておくか、とかその程度でもいい。大事なのはふだんのコミュニケーションです。LINEで怒ってるかなと感じても、対面で『すみません、何か怒らせましたか』『そんなことないよ』みたいなやりとりができる関係を日頃から築いておけば、それほど深刻な問題にはならないと思います」

(編集部・小長光哲郎) ※AERA 2024年1月22日号 より抜粋















「政治に望む三つの仕事」

2024-01-18 09:40:36 | 日本

藤村コノヱさんが掲載している。(一部要約)
参考に!

年末の衆院選はほぼ予想通りの結果で、個人的には気候変動問題や将来世代への配慮を欠いた、経済重視の政治がしばらく続くのかと思うと、重い気分のまま年を越した感があります。安倍総理には、過去最低の投票率に示された国民の政治への不信感、自民党は有権者の1/4の明確な支持しか得ていない事実を深く認識し、「お任せ頂いた」などと誤解せず、先送りしてきた諸課題に謙虚に向き合ってほしいと望むしかありません。
一方、今回の選挙でもこの国の将来を明確に語る政党は殆ど見られませんでしたが、選挙後、

政府は人口減対策の長期ビジョンを示しました。それによると、50年後に総人口1億人を確保するには2040年の出生率を2.07人まで引上げる必要があるとのこと。しかし、2013年の出生率は1.43人、多くの人が将来に不安を抱え、子どもを大切にしない現在の社会を考えると実現不可能な数値に思えます。
では、安心して子どもを産み育てられる社会とはどういう社会か。それはまさに私たちが目指す持続可能な社会です。その要件は多様ですが、実現に向け、政権や政治家には最低限、次の事に真剣に取り組んでほしいのです。

①全ての生命の基盤を守るため、早急に気候変動問題に取り組む

昨年も気候変動に伴う異常気象が国内外で頻発。このまま対策を拱いていれば、自然災害はますます激化し人類社会は危機的状況に追いやられることになります。にもかかわらず、国際交渉はなかなか進みません。特に日本政府は原子力発電の割合が不確定なことを言い訳に、国連が求めるCO2削減の目標値も時期も示していませんし、米国、EUの内15か国、中国、韓国などが策定済みの適応計画もまだです。地震や火山爆発は人間には止められませんが、温暖化は時間はかかるものの今ならまだ人間の手で解決できるはずです。

②富の分配に知恵を絞り格差を縮小する

日本の子供の6人に1人は貧困状態にあるという危機的状況が示されました。こんなに豊かな国で、と思いますが、母子家庭や非正規の増加などの大人の事情、この社会が子どもを貧困状態に追いやっていることは間違いありません。OECD報告によると、主要7か国中、日本の相対的貧困率は16.0%で、最低のアメリカ(17.4%)に次いで高い割合です。また国連が発表した世界幸福度報告でも日本は43位です。経済の規模を拡大すればいずれ下にも流れるとして、現政権は資金、公共事業をばらまき将来世代への借金を増やしながら経済成長を追い求めています。しかし、有限な地球の中で量的成長を続けることは所詮無理です。まして、日本人が今の生活を維持するには地球が2.5個必要と言われるように、既に限界に達した現状では、経済成長のための費用の方が生み出される便益より大きくなるのは明らかです(「定常経済」は可能だ!ハーマン・デイリー)。そんな理に適わない愚かな経済政策をいつまでも続けるのではなく、限りある財・資源をいかに公平に分配するかという政治家本来の使命に沿った政策に転換すべきです。一部の豊かな人がより豊かになっても、6人に1人の子供が貧困状況にある国は決して持続的ではありません。何より、そんな国で子供を産み育てようとは思わないものです。

③真の民主政治を育て根付かせる

現政権になって以降、国民の意見を聞かず重要事項を閣議決定で進めるなど、民主主義の根底を揺るがす事態が頻繁に見られます。そうした政権運営を許す野党に大きな責任がありますが、選挙に行かない私たち国民にも責任はあります。一票の格差是正も含め選挙制度自体の見直しが必須ですが、その際もっとも大切なのは、自分たちの声が政治に届くという実感を多くの人が持てる制度にすることです。その手始めとして、原発再稼働など地域の暮らしに密接にかかわる事項に関しては住民投票に法的拘束力をもたせるべきです。住民投票は自分たちの思いを政治に反映させる直接的手段であると同時に、そのことに関して自分たちも何らかの責任を負うことの表明でもあります。住民投票の結果が政策に反映されるようになれば無責任な投票はできません。スコットランドのように、若者から高齢者までが自分たちの問題として考え、悩み、議論し、判断し、投票する、その結果決まったことには従うという真の民主主義に近づく一つの有効な手段ではないでしょうか。加えて、そうした力を育む教育も民主主義を育てる基本です。前出の幸福度1位のデンマークは国政選挙の投票率も88%と高いのですが、初等教育から民主主義を教育し、教科書も授業方法も国からの制約は受けないそうです。




「台湾総統選と中国」

2024-01-17 10:03:11 | 日本

◎頼氏「中国の攻撃や軍事的威嚇に直面した時、台湾を守る」

[ロンドン発]台湾総統選の投開票が13日行われ、中国との統一を拒否する与党・民主進歩党(民進党)候補の頼清徳副総統(64)が558万6019票(得票率40%)を獲得して初当選した。
ただ同時に実施された立法委員(国会議員)選(議席数113)では、政党別の得票率でこそ民進党はトップに立ったが、議席数では対中融和路線の最大野党・国民党が52議席を得て第1党になった。

総統選の開票結果は国民党の侯友宜・新北市長(66)が467万1021票(得票率33.5%)、野党第2党・台湾民衆党の柯文哲・前台北市長(64)が369万466票(同26.5%)。国民党と民衆党が候補を一本化できなかったため選挙戦は頼氏優位に進んだ。頼氏も他の2候補と同じく統一でも独立でもない「現状維持」を唱えたが、中国は独立派とみなしている。

頼氏は当選後の記者会見で「2024年世界選挙イヤーにおける民主主義陣営最初の勝利を台湾は成し遂げた。民主主義と権威主義の狭間で台湾は民主主義の側に立つことを選択したと世界に発信した。外部勢力の介入に抵抗することに成功した。しかし立法院で過半数を維持できなかった。有権者は有能な政府と効率的なチェック・アンド・バランスに期待している」と語った。
「台湾海峡の平和と安定の維持は私の総統職の重要な使命だ。現状を維持し、相互の尊厳を前提に“封じ込め”を“交流”に、“対立”を“対話”に置き換え、中国との交流と協力に取り組む。両岸(台中)の人々の幸福を増進し、平和と共栄の目標を達成する。しかし中国の攻撃や軍事的威嚇に直面した時、台湾を守る決意だ」(頼氏)


◎中国が決して譲らない「台湾は中国の台湾」の姿勢

これに対し、中国国務院(政府)台湾事務弁公室の陳斌華報道官は早速「今回の選挙で民進党が台湾の主流世論を代表できないことが明らかになった。台湾は中国の台湾である。今回の選挙は両岸関係の基本的な情勢や発展傾向を変えるものではない。『台湾独立』を目指す分離主義的な活動や外国の干渉に断固として反対する」と頼氏や西側を牽制した。

30年以上のキャリアを持つ英国の元外交官で駐台英国代表を務めたこともある英ノッティンガム大学のマイケル・ライリー上級研究員は「誰が総統になっても根本的な問題は最終的に中国が台湾を取り戻したいということだ。彼らはそれを再統一と呼ぶ。習近平国家主席は『時間はわれわれの味方だ。急ぐな』と言ってきたが、辛抱できなくなっている」という。
「習主席が権力を握って以来、中国は対話に関してより厳しい態度をとるようになった。陳水扁総統(2000~08年、民進党)は過激で、ワシントンや欧州で彼の海峡政策に懸念が寄せられた。しかし陳水扁時代でさえ双方向の対話は行われていた。習主席の下では蔡英文総統が事実上中国の前提条件に同意しない限り一方的に対話を停止すると決定した」(ライリー上級研究員)
ライリー上級研究員は次のように断言する。

「中国が報復措置をとったり、妥協しなければならないと主張したりするかもしれない。頼総統の就任式の前に台湾海峡で何らかの行動を起こして新指導者を挑発し、その反応を見ようとする可能性も高いと思う。民進党にとっては心配な時期だが、結局のところ、海峡を挟んだ台湾と中国の目的は相容れない」


◎習主席「中国の国家主権、統一、発展の利益を断固として守る」

英シンクタンク「ヘンリー・ジャクソン・ソサエティー」インド太平洋研究センターのダーレン・スピンク准研究員は、頼氏の当選で中台関係の緊張が高まるのは避けられないと語る。
「頼氏は総統選で勝利した場合、両岸の現状を支持し、北京との『前提条件なし』の対話の可能性を排除しないと表明しているが、中国共産党は好戦的な姿勢を強めており、脆弱な台湾海峡の安定を脅かしている」
頼氏は昨年8月の訪米で中国共産党幹部から徹頭徹尾トラブルメーカーのレッテルを貼られている。「戦猫」と呼ばれる副総統候補の蕭美琴氏は熱烈な独立分離主義者とされ、中国への入国を禁じられている。

 習主席は大晦日「中台統一は歴史的必然だ」「両岸の人々は同じ家族のメンバーだ」と述べ、その数日後に複数の中国スパイ気球が台湾上空に飛来した。

習主席が「中国の国家主権、統一、発展の利益を断固として守る」と台湾に対する姿勢を強める中、米中央情報局(CIA)のウィリアム・バーンズ長官は習主席の台湾への意図を「過小評価すべきでない」と警告する。スピンク准研究員は10日発表した報告書《英国と台湾の関係を強化することがいかに台湾海峡の安定を維持するのに役立つか》の中でこう記す。
「中国が台湾に侵攻すれば人民解放軍海軍は台湾を越えて第1列島線を北上し、英国の安全保障上の重要なパートナーである日本や米国領土を含む第2列島線に向かって勢力を拡大できる」

ついこの間まで筆者が安全保障に関する討論会で台湾有事について質問すると一笑に付されたことを思い出す。現在は遠く離れた英国も台湾有事に備えている。


◎中国初の国産空母「山東」ほか20隻の艦船による台湾東方最大の演習

実際、中国は“台湾統一”の準備を着々と進めている。
人民解放軍は昨年9月、日本、フィリピン、台湾を囲むインド太平洋で中国初の国産空母「山東」ほか20隻の艦船による台湾東方最大の演習を実施した。専門家は台湾封鎖を想定した訓練だと考えている。1日で103機の中国空軍機が台湾上空や台湾周辺を飛行したと報道され、台湾国防部によると40機が防空識別圏(ADIZ)を通過した。
「台湾は人民解放軍の侵攻だけでなく、経済封鎖やその他のグレーゾーン戦術(例えばサイバー戦争)の脅威に対しても脆弱だ。経済封鎖は台湾当局に中国の要求をのませる危険性がある。台湾は8日分の天然ガスしかなく、中国が海底通信ケーブルを切断すれば通信が遮断される恐れがある」(スピンク准研究員)

中国が台湾を強制的に統一すれば民間人の死傷率が高くなることが予想され、人的被害も壊滅的なものになる。米国防総省は台湾紛争が発生した場合の死者数を約50万人と見積もっている。抑止が失敗し、中国が台湾侵攻を命じた場合、台湾の防衛を持続させるためには人道的な空輸と数十万人の市民を避難させる必要がある。
海や空の貿易ルートも寸断され、世界のサプライチェーンが混乱、先端半導体の90%を生産する台湾の半導体ファウンドリが破壊される恐れがある。中国研究で定評のあるロジウム・グループの分析では半導体が不足するだけで世界経済は壊滅的な打撃を受ける。最近の調査では世界市場は2兆ドル縮小すると推定されている。


◎米国だけでなく、パートナーや同盟国のコミットメントが必要だ

「英国は米国と協力し、インド太平洋のパートナーに主要な半導体生産の中国への輸出を制限するよう促す政策を策定すべきだ。半導体製造に必要なレアアースの確保、中国が英国の半導体メーカーを確保しようとする試みの阻止に加えて、人民解放軍の軍事近代化に使用される半導体の中国への輸出を制限するよう台湾に働きかけるべきだ」とスピンク准研究員はいう。
イスラエル・ハマス戦争で中東全域が不安定化し、ペルシャ湾や紅海で米海軍のコミットメントが高まる中、台湾海峡の安全確保を米国だけに期待することはできない。インド太平洋における中国の拡張主義を抑止するには英国をはじめとするパートナーや同盟国のコミットメントが必要だと強調する。

中国主導の台湾有事を防ぎ、人民解放軍が台湾海峡の海路と航空路を覇権的に支配するのを阻止するには、まず台湾の軍隊が十分な武装と訓練を受ける必要がある。欧州の北大西洋条約機構(NATO)加盟国はウクライナの武装に責任を負わなければならない。そうすれば米国は台湾の武装にもっと資源を集中させ、インド太平洋に軍事資産を展開できる。
台湾は21年に環太平洋経済連携協定(TPP)への加盟を申請した。「英国は引き続きTPPへの台湾の参加を提唱すべきだ。台北に実質的な独立宣言を促すことは、不必要に中国のレッドラインを越え、経済安全保障上の利益を脅かすことになる」と西側は台湾海峡の現状維持に努めることが不可欠だとスピンク准研究員はいう。


◎頼氏「中国の攻撃や軍事的威嚇に直面した時、台湾を守る」

[ロンドン発]台湾総統選の投開票が13日行われ、中国との統一を拒否する与党・民主進歩党(民進党)候補の頼清徳副総統(64)が558万6019票(得票率40%)を獲得して初当選した。
ただ同時に実施された立法委員(国会議員)選(議席数113)では、政党別の得票率でこそ民進党はトップに立ったが、議席数では対中融和路線の最大野党・国民党が52議席を得て第1党になった。

総統選の開票結果は国民党の侯友宜・新北市長(66)が467万1021票(得票率33.5%)、野党第2党・台湾民衆党の柯文哲・前台北市長(64)が369万466票(同26.5%)。国民党と民衆党が候補を一本化できなかったため選挙戦は頼氏優位に進んだ。頼氏も他の2候補と同じく統一でも独立でもない「現状維持」を唱えたが、中国は独立派とみなしている。
頼氏は当選後の記者会見で「2024年世界選挙イヤーにおける民主主義陣営最初の勝利を台湾は成し遂げた。民主主義と権威主義の狭間で台湾は民主主義の側に立つことを選択したと世界に発信した。外部勢力の介入に抵抗することに成功した。しかし立法院で過半数を維持できなかった。有権者は有能な政府と効率的なチェック・アンド・バランスに期待している」と語った。
「台湾海峡の平和と安定の維持は私の総統職の重要な使命だ。現状を維持し、相互の尊厳を前提に“封じ込め”を“交流”に、“対立”を“対話”に置き換え、中国との交流と協力に取り組む。両岸(台中)の人々の幸福を増進し、平和と共栄の目標を達成する。しかし中国の攻撃や軍事的威嚇に直面した時、台湾を守る決意だ」(頼氏)


◎中国が決して譲らない「台湾は中国の台湾」の姿勢

これに対し、中国国務院(政府)台湾事務弁公室の陳斌華報道官は早速「今回の選挙で民進党が台湾の主流世論を代表できないことが明らかになった。台湾は中国の台湾である。今回の選挙は両岸関係の基本的な情勢や発展傾向を変えるものではない。『台湾独立』を目指す分離主義的な活動や外国の干渉に断固として反対する」と頼氏や西側を牽制した。

30年以上のキャリアを持つ英国の元外交官で駐台英国代表を務めたこともある英ノッティンガム大学のマイケル・ライリー上級研究員は「誰が総統になっても根本的な問題は最終的に中国が台湾を取り戻したいということだ。彼らはそれを再統一と呼ぶ。習近平国家主席は『時間はわれわれの味方だ。急ぐな』と言ってきたが、辛抱できなくなっている」という。
「習主席が権力を握って以来、中国は対話に関してより厳しい態度をとるようになった。陳水扁総統(2000~08年、民進党)は過激で、ワシントンや欧州で彼の海峡政策に懸念が寄せられた。しかし陳水扁時代でさえ双方向の対話は行われていた。習主席の下では蔡英文総統が事実上中国の前提条件に同意しない限り一方的に対話を停止すると決定した」(ライリー上級研究員)
ライリー上級研究員は次のように断言する。

「中国が報復措置をとったり、妥協しなければならないと主張したりするかもしれない。頼総統の就任式の前に台湾海峡で何らかの行動を起こして新指導者を挑発し、その反応を見ようとする可能性も高いと思う。民進党にとっては心配な時期だが、結局のところ、海峡を挟んだ台湾と中国の目的は相容れない」


◎習主席「中国の国家主権、統一、発展の利益を断固として守る」
英シンクタンク「ヘンリー・ジャクソン・ソサエティー」インド太平洋研究センターのダーレン・スピンク准研究員は、頼氏の当選で中台関係の緊張が高まるのは避けられないと語る。
「頼氏は総統選で勝利した場合、両岸の現状を支持し、北京との『前提条件なし』の対話の可能性を排除しないと表明しているが、中国共産党は好戦的な姿勢を強めており、脆弱な台湾海峡の安定を脅かしている」
頼氏は昨年8月の訪米で中国共産党幹部から徹頭徹尾トラブルメーカーのレッテルを貼られている。「戦猫」と呼ばれる副総統候補の蕭美琴氏は熱烈な独立分離主義者とされ、中国への入国を禁じられている。
次期台湾総統の頼清徳氏(左)と、中国の「戦狼外交」に対して自身の外交スタンスを「戦猫」と称する副総統候補の蕭美琴氏(写真:AP/アフロ)
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 習主席は大晦日「中台統一は歴史的必然だ」「両岸の人々は同じ家族のメンバーだ」と述べ、その数日後に複数の中国スパイ気球が台湾上空に飛来した。
 習主席が「中国の国家主権、統一、発展の利益を断固として守る」と台湾に対する姿勢を強める中、米中央情報局(CIA)のウィリアム・バーンズ長官は習主席の台湾への意図を「過小評価すべきでない」と警告する。スピンク准研究員は10日発表した報告書《英国と台湾の関係を強化することがいかに台湾海峡の安定を維持するのに役立つか》の中でこう記す。
「中国が台湾に侵攻すれば人民解放軍海軍は台湾を越えて第1列島線を北上し、英国の安全保障上の重要なパートナーである日本や米国領土を含む第2列島線に向かって勢力を拡大できる」

ついこの間まで筆者が安全保障に関する討論会で台湾有事について質問すると一笑に付されたことを思い出す。現在は遠く離れた英国も台湾有事に備えている。


◎中国初の国産空母「山東」ほか20隻の艦船による台湾東方最大の演習

実際、中国は“台湾統一”の準備を着々と進めている。
人民解放軍は昨年9月、日本、フィリピン、台湾を囲むインド太平洋で中国初の国産空母「山東」ほか20隻の艦船による台湾東方最大の演習を実施した。専門家は台湾封鎖を想定した訓練だと考えている。1日で103機の中国空軍機が台湾上空や台湾周辺を飛行したと報道され、台湾国防部によると40機が防空識別圏(ADIZ)を通過した。
「台湾は人民解放軍の侵攻だけでなく、経済封鎖やその他のグレーゾーン戦術(例えばサイバー戦争)の脅威に対しても脆弱だ。経済封鎖は台湾当局に中国の要求をのませる危険性がある。台湾は8日分の天然ガスしかなく、中国が海底通信ケーブルを切断すれば通信が遮断される恐れがある」(スピンク准研究員)

中国が台湾を強制的に統一すれば民間人の死傷率が高くなることが予想され、人的被害も壊滅的なものになる。米国防総省は台湾紛争が発生した場合の死者数を約50万人と見積もっている。抑止が失敗し、中国が台湾侵攻を命じた場合、台湾の防衛を持続させるためには人道的な空輸と数十万人の市民を避難させる必要がある。
海や空の貿易ルートも寸断され、世界のサプライチェーンが混乱、先端半導体の90%を生産する台湾の半導体ファウンドリが破壊される恐れがある。中国研究で定評のあるロジウム・グループの分析では半導体が不足するだけで世界経済は壊滅的な打撃を受ける。最近の調査では世界市場は2兆ドル縮小すると推定されている。


◎米国だけでなく、パートナーや同盟国のコミットメントが

「英国は米国と協力し、インド太平洋のパートナーに主要な半導体生産の中国への輸出を制限するよう促す政策を策定すべきだ。半導体製造に必要なレアアースの確保、中国が英国の半導体メーカーを確保しようとする試みの阻止に加えて、人民解放軍の軍事近代化に使用される半導体の中国への輸出を制限するよう台湾に働きかけるべきだ」とスピンク准研究員はいう。
イスラエル・ハマス戦争で中東全域が不安定化し、ペルシャ湾や紅海で米海軍のコミットメントが高まる中、台湾海峡の安全確保を米国だけに期待することはできない。インド太平洋における中国の拡張主義を抑止するには英国をはじめとするパートナーや同盟国のコミットメントが必要だと強調する。

中国主導の台湾有事を防ぎ、人民解放軍が台湾海峡の海路と航空路を覇権的に支配するのを阻止するには、まず台湾の軍隊が十分な武装と訓練を受ける必要がある。欧州の北大西洋条約機構(NATO)加盟国はウクライナの武装に責任を負わなければならない。そうすれば米国は台湾の武装にもっと資源を集中させ、インド太平洋に軍事資産を展開できる。

台湾は21年に環太平洋経済連携協定(TPP)への加盟を申請した。「英国は引き続きTPPへの台湾の参加を提唱すべきだ。台北に実質的な独立宣言を促すことは、不必要に中国のレッドラインを越え、経済安全保障上の利益を脅かすことになる」と西側は台湾海峡の現状維持に努めることが不可欠だとスピンク准研究員はいう。

(国際ジャーナリスト・木村正人)