八朔の雪
2012-12-24 | 読書
疲れ切った体と心を癒やすため、先週の土曜日はゆっくり寝ていた
寝過ぎてもいけないので、ふとんの中で本を読んでいた
読み終わったのは高田 郁のシリーズ第一作「八朔の雪」だ
感想を一言で言うと面白かった
単なる料理本かと思ったが、主人公の周囲のひとびとの描写・感情をしっかり表しながら
神田須田町にある登龍楼(とりゅうろう)との料理対決となる
強みは主人公澪(みお)の庶民に対する愛情の濃さから研究された季節を大切にした一品の数々だ
出て来た料理はいたってシンプルな品々
●ぴりからカツオ田麩(でんぶ)
●ひんやり心太(ところてん)
●とろとろ茶碗蒸し
●ほっこり酒粕汁
もともとそば屋「つる屋」の店主種市が雇った澪が店を任されていくその姿が美しい
江戸っ子の人柄が随所に出てきて、盛り上がる
ねこマタギの戻りカツオをいかにして江戸庶民に食べさせたか
関西では酒粕汁には出世魚のブリを入れるが、関東の出世魚はシャケだからこれを入れて人気を博した
様々なアイデアが読者への好奇心をそそる
その文章の書き方、展開のうまさはなかなかのもの
結局、第二巻の「花散らしの雨」を読み始めてしまった私であった
こうなると和田 はつ子などもどんどん読んでみたいものだ