東京パラリンピック、今日閉幕を迎えまし
たね。
私はスポーツ観戦が大好きなので、この夏
は本当に夢のような時間を過ごしました。
だって……国内で開かれる五輪・パラリン
ピックが見られるなんて、本当にラッキー
なことですものね。
もちろん、このコロナ禍の中での開催には
反対もあって当然。
最悪の場合は、中止もあり得たでしょう。
そんな中、無観客など、通常とは違う形に
はなったけれど、開催が実現し……
多くの競技をテレビ中継で観られたことは
一スポーツファンとしてこの上ない喜びで
した。
見応えのある技、感動的なシーンは多過ぎ
て、一つひとつ挙げるのはとても無理だけ
れど……
個人的には、職業柄(日本語教師です)、
新しい言葉との出会いが印象に残ったの
で、そのことについて書いてみようと思
います。
その言葉というのは……
「ビタ」という日本語のオノマトペ。
東京五輪のBMX(自転車のモトクロス)
競技の実況中に、解説者の瀬尻稜さんが
「ビタ着」「ビッタビタ」という表現を
されていたのですが……
私はこれは初耳でした。
「ピタ」(「ピタリ」「ピッタリ」)はも
ちろん日常的に使っているけれど、この半
濁音が濁音に置き換わった例は、これまで
見聞きしたことがなかったように思いま
す。
ちなみに、手元の『広辞苑』(第四版)を
確認してみましたが、やはり「ビタリ」
「ビッタリ」「ビタビタ」のいずれも載っ
ていませんでした。(最新版は未確認。)
「ピタ」が「ビタ」になった理由は恐ら
く、「もっと意味を強調したい」という意
図からなのでは?
インパクトの強さを伝えるために、もっと
激しい響きの音が欲しくて、半濁音( ° )
を濁音に変えて使っているのではないかと
推測されるのです。
「そうか。今、私は、新しい擬態語(擬音
語?)のメジャーデビューの過程を目撃中
なのか。」
そう思った矢先に五輪が終ったのですが、
そこで終わりではありませんでした。
今度はパラリンピックのボッチャの中継の
中で……
「ビッタビタ」が飛び出したのです。
解説者の新井大基さんが、選手がジャック
ボールに自分のボールを隙間なく密着する
位置に投げた時に……
「ビッタビタにつけてきましたね」などと
使われていましたね。
今回、日本選手の活躍が目覚ましかったこ
ともあり、五輪・パラリンピックのテレビ
中継に熱中した人も多かったでしょうから
……
「ビタ」というオノマトペの認知度が、日
本語使用の場において急速に高まったと思
われます。
そして、このまま一般に浸透していけば、
いずれはごく普通に使われる言葉として
定着し……
国語辞典にも収録されるようになるかも
しれませんね。
そういうわけで、私にとって今回の東京五
輪・パラリンピックは、スポーツを観る楽
しさとともに……
新しい日本語の仲間入りの現場を見届ける
という、実に貴重な体験の場となりまし
た。(こういうのは、そうざらにあること
ではないと思うので。)
その意味も含めて……
大会に関わった全ての存在に感謝の気持ち
を伝えたいと思います。
ありがとう!!
それにしても……
車いすバスケの鳥海選手、カッコよかった
ですねえ。
すっかりファンになってしまいましたよ。
どうしよう?(どうにもならないって。)