1974年の9枚目のアルバム、All The Girls in The World Beware!!!(全米10位)。
ついた邦題が“ハード・ロック野郎!”なんともセンスのない場当たり感満載で古参のファンであればガッカリ。
副題として “世界の女は御用心”と添えられているが、All The Girlsときているので“女”と訳すのもどうかな…
それはともかく、プロデューサーが前作、前々作のトッド・ラングレンからラズベリーズや後期のスリー・ドック・ナイトなどを手掛けたジミー・イエナーに変わった事から、以前のグランド・ファンクと比べると、各人それぞれの好き嫌いは別として、全体的にポップさが増し軽快になったって感じで。
その極めつけの曲が、マーク・ファーナー作の心地良いメロディーが展開されるライト・ポップ・ナンバー、Bad Time(全米4位)と言っても差し支えない。
ふと思い出したのが、時は流れて21世紀になってからの話であるが、とある喫茶店で一杯のコーヒーを楽しんでいると、アルバイトと思われる若い女性が、ちょうど有線で流れていたBad Timeについて、“この曲中々いいですね。”と年上のスタッフに言っていたのが背中越しに聴こえた。
当然彼女はグランド・ファンクの事なんか知らないだろうし、“71年後楽園で雷雨の中、伝説のハード・ロックのライブを行ったバンドと同じ連中が後にBad Timeなる曲を世に出した。”なんて言っても、ギャップが大きく想像もつかないであろう。
客とはいえ見知らぬ人に急にロック講座を聴かされても、“ああーそうですか”って感じで、そのアルバイトの女性にとっては有難迷惑になるのは間違いない。
コーヒーを飲み終えた後、さっと席を立った。
言いたかったのは、
いい曲は何時誰が聴いてもいい曲である。
そして、うんちくを掲げて接近する見知らぬおっさんには、All The Girls in The World Bewareとでも言っておきたい。