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雲跳【うんちょう】

あの雲を跳び越えたなら

本当はちがうんだ日記/穂村 弘

2010-12-19 | 小説


 菓子パンが主食の四十過ぎのオッサンのどうしようもなく哀れで切ないエッセイ集……。
 と、いうわけでもなく、なんだかとにかくおもしろい。まったくもって、この人の言い分(というか言い訳)を読んでいると、イライラしてもくるし呆れ果てたりもするのだけれど、なんでだか、最後には「ふふっ」と微笑っている自分がいる。はっきりいって自分自身が気持ち悪い。なにが気持ち悪いかって、この自意識過剰過多で菓子パン好きのマニア系のオッサンにかなり共感してしまえているのだから……。
 正直、今いちばん会いたい人かもしれない……いや、自身の名誉にかけてやっぱいちばんとか言いたくない。
 けど、あったら言ってしまうだろう

「わ、わかりますよ……(泣」

 と。


 哀しくも切なく、そしてこの上なく可笑しい。人生に卑屈な人は必ずや共感せられるであろう穂村弘の言葉は、寂しい自分をより寂しくさせる珠玉の翳りに溢れている。
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