雲跳【うんちょう】

あの雲を跳び越えたなら

灰色猫のフィルム /天埜 裕文

2010-02-23 | 小説
 第32回すばる文学賞。ケータイで十ヶ月かけて書き上げた、ということが凄いのかどうなのかはよく判らないが、22歳という年齢でここまで描ききる、というか、22歳だからこそ描ききれたのだろうと深く頷ける文体であった。しかし、内容的には真新しさなどはない。母親刺して、逃げて、ホームレスになって、そしてやがて……。ラストは少しグッとくるものの、やはりストーリーの波はあまりない。が、しかし、文芸作品に於いては特に問題のないことだろう。ストーリー云々よりも、その描写力、息遣い、不確かな確かさ、が際立っていた。が、やはりベタ褒めできるわけではない。
 それはたぶん、肌に合うか合わないか、くらいの問題なのだろうけれど、そこがいちばん肝心なところなので。もし二作目が出ても、自分は読まないと思う。

 先日ある文芸誌に彼のエッセイを見つけて思わず手に取った。読んでみて思ったことは、「金を払う価値のない文章だな」だった。
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2 コメント

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おひさ (ぱんちょばんちょ)
2010-02-24 00:08:08
俺もこれ読んだよ。まぁ同意見やわ。
表紙に騙された感は否めんね…。(ジャケ借りしました)
まぁ作者と同年代ぐらいには受け入れられるのではと考察してみたり…
何はともあれ仕事復帰おめでとう
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やあ ()
2010-02-24 22:50:07
なにかと話題性はあったみたいね。作者は「ひきこもり」だった、とか。ケータイで「初めて書いた小説」とか。あと、やっぱ若さか。
一応、それらの話題性を抜きにしても、作品自体はいいもんだと思うよ。でもこの彼、これ以外に果たして書けるのかなぁ? 書くことあるのかなぁ? って感じた。それでエッセイ読んでみたら、いたってフツーの、ってかあまりにも稚拙で、参った。単に自分が若いコについていけんだけかも知れんが、参った。

仕事のほうは、まぁ、まだ先行き不透明だけど、どうにかこうにかヤッてる、ってカンジ。
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