疾風怒濤の80年代

日本中が熱い風に包まれていた1980年代
そのころの音楽・映画・テレビなどを語る30代のための
広場です!

エリザベート その2 小池修一郎氏とその演出

2005年09月16日 09時03分50秒 | 演劇
エリザベートの話を続けましょう。
演出の小池修一郎氏は、宝塚歌劇出身です。そして宝塚の座付き作家の
得意技として、【群舞による感情と、状況の説明】があると思います。

これはオリジナルで付け加えられたという、革命のシーンに顕著なのですが、
大人数で群舞をすることで、主人公が翻弄されている時代背景と、
どうしようもなく抗いがたい人生を表現する手法です。

宝塚歌劇は一組に80人の団員がいて、それを均等に使い切ることを要求される
そうで、そうした場合、群舞や大人数でのコーラスは、1公演に数回使う
ことになるわけです。
逆に普通の劇団なら、極力少ない人数でやりくりしたいわけですから、そういう
贅沢な人の使い方をしないで演出する方法を身につけていくので、これは
宝塚出身者の得意技となるわけです。

くわえて黒い服・紫と青の光というと、小池氏の師匠筋に当たる、宝塚随一の
レビュー作家 岡田敬二氏のロマンディック・レビュー シリーズを想起せずには
いられません。
特に【PUCK】とともに上演された【ル・ポワゾン】は緞帳が上がると
いきなり漆黒のホリの前に黒と紫の男達が立って、そこに真っ白なスポットライトがあたり、スターが唄いだすというレビューで、
小池氏が宝塚という文脈の中にある作家だということが良く分かります。

あと、これはネガティブな面ですが、シシーが木から落ちるシーンで、スクリーンに映る映像のチープさは、この作品唯一のダメなところだと思います。
これも宝塚の文脈で言うと、90年ごろの【ベルサイユのバラ】でオスカルが
白馬で野を駆ける映像が挟み込まれるのですが、それが、白馬の映像の
引きの絵(ルーズショット)をバックに、アップになったオスカルがカメラ目線で
唄いだす絵が合成されているという、ダッサダサなもので、それを強く思い出しました。
普通は、あんな人が落っこちる絵を合成したりせず、大切に見につけているハンカチとか帽子とかが、人が落ちると同時に、しかし遅れて、ひらひらと落ちてきて、地面に落っこちて汚れてしまうとかなんとか、もうすこしオブラートに包むのが、映像の専門家の立場から言うと普通だと思います。

まあ、なんにせよ非常に良くできたミュージカルだと思います。
さすが即座にチケットが完売するわけです。



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