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疾風怒濤の80年代

日本中が熱い風に包まれていた1980年代
そのころの音楽・映画・テレビなどを語る30代のための
広場です!

田中康夫 ついに年貢を納める

2010年11月02日 17時34分20秒 | 書籍
ついに、あの田中康夫が ペログリ日記でおなじみの
元スッチー W嬢と結婚するそうです。

いやあ、「噂の真相」読者なら
札幌のW嬢との交際はリアルタイムで知っていますよね!

その前は 5股ぐらいかけてましたが
M嬢とかF嬢とかがメインだったと思いますが、
料理がうまいW嬢が正妻の座をゲットしたわけですね。

思えば「噂の真相」時代のペログリ日記は
本当にばかばかしくて面白かったですね。
スッチーばかり5股ぐらいかけて、帝国ホテルやら京都の俵屋旅館を
ラブホ代わりに PGPG
今の「SPA]の連載は全く別物です。

もともと彼の「なんとなくクリスタル」自体が、
表層的なストーリーは 女子大生の都会的な性を、まぁ薄っぺらく書いた
小説でしたが、
その物語の中に出てくる固有名詞を事細かに解説した
注釈こそが、実はこの物語の本編でした。

つまり「きらびやかに見える都会の営みと言うのは、人の行いではなくて
店の情報によって支えられている」という非常に皮肉な物語でした。

ポストモダンを、非常に悪意を持って理解したようなところがあり
それを一橋大学の学生が書いたというところに大きな意義があったと思います。

ただ、その方法は2回は使えませんよね?
「ブリリアントな午後」も同じ手法で書かれていますが、
あまり効果がありませんでした。

ただ、彼は今度 自分でそれを実践して見せたわけです。
それは非常に筋の通った事だと思います。

なんとなく、クリスタル (新潮文庫)
田中 康夫
新潮社


東京ペログリ日記
田中 康夫
幻冬舎
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「死の棘」 島尾敏雄の妻 亡くなる

2007年03月28日 18時55分47秒 | 書籍
小栗康平監督によって映画化された「死の棘」のモデル
島尾敏雄さんの妻が86歳で、昨日なくなったそうです。

http://www.zakzak.co.jp/gei/2007_03/g2007032812.html

この小節は、浮気をした島尾敏雄が、心身症を患いどんどんと攻めてくる妻との
攻防を描きつつ、それでも離れられない夫婦の不思議な絆を、エグイ人間描写で描いた、自然主義文学の名作です。

そのモデルとなった奥さんは、結構長生きしたのですね・・・。

ちなみにその孫が「女子高生ゴリコ」でおなじみしまおまほちゃんだったとは
知りませんでした・・・。

まあゴリコちゃんもちょっともうサブカルのメインストリームに入るとはいえませんが・・・。
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ガルシア・マルケス 80歳の誕生日

2007年03月07日 06時58分36秒 | 書籍
昨日は、あのノーベル賞作家 ガブリエル・ガルシア・マルケスの80歳の誕生日だったそうです。

若いですよね!あんな巨匠でマジック・レアリズムで世界の文学を席巻した
人なのに、やっと80歳ですよ!

だって、確か「百年の孤独」でノーベル賞を取ったのが1980年代初頭だった
ような気がします。その前は新聞記者だった時期もあるわけで、もしかして50代でノーベル文学賞とったんですかね?すごいですね。

「百年の孤独」は、ものすごく大雑把に言うと、ある若い女がアマゾンの原野にやってきて、流れ者革命家と恋に落ち、子供を産み落とすことがきっかけとなって、家族が増え、その一族がやがて森を切り開き、家を作り 街を作り 都市を作っていき、その都市が戦争によって荒廃し、やがて森に帰っていくまでの物語です。
そんな壮大な物語が80年代に語られていたことに驚きです。

言ってみれば、ドストエフスキーと同世代に生きてるみたいなもんですから、我々はラッキーですね。
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「金・ビの金魂巻」 80年代を象徴する書籍と著者の死

2007年02月21日 09時43分49秒 | 書籍
1985年に発売された 「金・ビの金魂巻」はイラストレーター渡辺和博氏が
さまざまな業種における金持ち派とビンボー派を戯画化して分類した
ライトブックスで、その年の流行語ともなりました。

当時、バブルの前兆に沸く日本では、誰もがビンボーな70年代の呪縛からはなれ、一発当てて金持ちになりたかったし、なれる可能性があったのです。
今で言えば「格差社会」「下流社会とは」という著書になるのですが、
当時はマジョリティーが、「勝ち組になれる!」という気分に満ちていたので
コメディーとして受け入れられていたのですね。

80年代とは、「Japan as No1」といわれたOptimism(楽観主義)の時代でした。
そんな暢気な時代が懐かしいですね。

その著者 渡辺和博氏が癌でひっそりとお亡くなりになったそうです。
次にバブルが来たとしても、マジョリティーはその波に乗れないのかもしれませんね・・。
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メーテルリンク 「青い鳥」

2007年02月03日 08時48分06秒 | 書籍
童話「青い鳥」はチルチルとミチルという幼い兄妹が
幸せの青い鳥を探すというお話です。

ちゃんと原作を読んだことがなかったので、今回読みました。

ちょっとびっくりしたのですが、原作って戯曲なんですね。
チルチルが幼女から与えられた帽子についたダイアモンドを
まわすと、森羅万象の妖精が話しかけてくるようになる。というお話なのです。

そういうお話なので、子供向けというよりは詩的イメージに満ちた大人向けの寓話という要素のほうが強いお話で、非常に魅了されました。
正直言って「このねたははじめにやった人を超えられない」と思いましたし、はじめにやったからこそ、メーテルリンクはこの作品でノーベル文学賞を獲ったのでしょう。

特に感心したのが、これから生まれてくる未来の子供たちと
チルチルたちが会う、「未来の王国」のシーンです。
ここはブルーに統一されたモスクのような場所に、これから生まれてくる子供たちがいて、彼らは必ず何か一つ以上地上に持ってくものを見つけないと、生まれてこれない。しかしすばらしい発明品を持っていったり、すばらしい考えを持っていく子供もいれば、病気を持っていって、すぐ死ぬ子供や、災いを持っていく子供もいる。
しかし、生まれてくる子供たちは、すべて悪意があるわけでなく善意で生まれてくるのだということを、リアリズムを交えながら詩的な表現で描いているのがグッと来ました。
とくに「ぼくチルチルさんの弟になります」という子供が、未来の兄と「お母さんは優しい人なの?」「おうちはどんなところ?」「僕のことを好きになってくれるの?」なんて会話の後に、
彼が持っているのが、はしかと猩紅熱で、「ぼくはこの猩紅熱で死にます」とチルチル・・つまり兄に明るく言うところに、普通の童話でない凄みを感じました。

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「一九三四年冬ー乱歩」

2006年10月22日 22時25分24秒 | 書籍
一九三四年冬―乱歩

新潮社

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私の師匠 故久世光彦は「時間ですよ」「寺内貫太郎一家」と言ったテレビドラマの巨匠でしたが、作家としても晩年 名を成しました。

この作品は、山本周五郎賞を獲得した、久世の作家としての代表作です。
作家 久世光彦は非常に耽美的な作家でした。
特に震災後から戦争直前の昭和の日本の、ヨーロッパからアールデコが日本に輸入された辺りの、ファサード・色ガラス・モザイクタイルといった町並みに代表される美に惹かれていました。それは、ある意味遊郭建築などにも通じ、秘めた性という彼のテーマにも通じる美意識でありました。
つまり、永井荷風が玉の井の青線で「ぬけられます」と書いた路地を見つけ、ドキドキしながらその路地へ入っていくと、物憂げな娼婦に出会ったという「墨東季譚」を書いたメンタリティーと似たところがあったといえるのです。

1934年(昭和9年) 40歳の江戸川乱歩は、ある朝スランプにさいなまれ、家を無断で飛び出して、溜池辺りの小道にひっそりと立つ外人向けホテル 張ホテルに逗留します。そこで隣室のミセス リーとの淡い交流・中国人美少年ボーイとの交流などを通して、世にも妖しい中篇 「梔子姫」を書き上げるというストーリーです。

この、作品中作品といえる「梔子姫」が素晴らしい出来なのです。久世はその作品の中で必ず「老いらくの性」を取り上げていました。それはいつも空回りすることも多かったのですが、今回のこの「梔子姫」は久世エロスの最高傑作ともいえます。むしろこの「梔子姫」を書こうとして、乱歩を借りたといってもいいぐらいです。
他の作品と違うところ、それは久世エロスの表現にいつも見え隠れする女性への視線の冷たさが今回は非常にやわらかく、「畸形」が「常ならぬ愛」「母性」のメタファーとして非常に効いている点にあると思います。



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村上春樹 ノーベル文学賞 ならず!

2006年10月13日 02時26分07秒 | 書籍
今年のノーベル文学賞の候補に挙がっていた村上春樹は残念ながらダメでしたね。
今年はトルコの作家が受賞しました。

日本で今までノーベル文学賞を取ったのは、川端康成(美しい日本の私)と大江健三郎(あいまいな日本の私)の2人だけです。

川端康成は、非常にオリエンタリズム溢れる作家で、日本の四季や・光の中の描写を通して、ストーリーの中の人物の心を同時に描く、きわめて日本的な作家でした。

大江健三郎は、もちろんテーマが非常にセンセーショナルな人々の対立構造を描き、自身も強い厭世観の中にありながら、それが四国の森の深い漆黒に包まれることで、強い心や強い対立が、やがて融和されていく様を描いた、非常に戦後的な作家でした。
彼自身は非常にフランス文学の影響が強いのですが、その彼が四国の森にたどり着く背景には、やはりガルシア=マルケスの「百年の孤独」があるのではないでしょうか?

村上春樹は、どちらかというと日本文学の系譜で話してはいけない人かもしれません。つまり、海外から見た日本の強い異国情緒から解き放たれた作家といえるのです。
逆に村上龍のトパーズなどは「Tokyo Dekadance」というタイトルで、結構外国で読まれてますが、これはアラーキーの写真と同じで「混沌と悪徳の都 東京」というオリエンタリズムに起因した人気といえます。

本当はこういう、「何処の国の人でもいいけど、たまたま日本人だった」という作家がノーベル文学賞を取るのが良いと思うのですが、なかなかそうは行かないですね。

今回のことで存命中の大物で取っていない人を探すと、リョサ「族長の秋」とジョン・アービングがまだなんですね。
少なくとも村上春樹はこの二人の後だと思いますけどね・・・。

あと、本当に何処の国でも読まれている日本の作家は、もちろん三島由紀夫です。
ロンドンの大きな本屋のワールドコーナーには、普通4~5冊は置いてあるほどの「世界的に常識」という作家の一人です。
この人は自殺するのが2年遅ければ絶対獲ってたでしょうね。それは間違いないです。それに、獲らなきゃいけなかったですよ。

三島が候補に挙がっていた1968年から1970年ごろというのは、フランスで第五共和制に移行する革命があったり、アメリカで公民権運動が高まったりして、非常に左翼的な時代背景がありました。

文学において左翼的というのは、何も労働者文学、小林多喜二みたいな事を言うのではありません。
強い一つのストーリーに登場人物が帰属せずに、登場人物やそこに出てくるあらゆる記号がそれぞれ独立していながら、組み合わせると、それぞれの細胞がもつ自律的なベクトルがたまたま、ストーリーを生み出すというのが左翼的であるということなのです。
逆に三島は非常に右翼的な作家で、ある、ものすごく強いストーリーのために文章内の全ての要素・記号が配置されている
作家なのですが、その構成が超人的に素晴らしいので、時代背景と関係なくノーベル賞を取れる作家だったわけです。

それだけに確実にあと数年のうちには取れた筈なのに、自殺してしまったのは惜しいですね・・・。






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いしいしんじ 「ぶらんこ乗り」

2006年06月22日 01時34分24秒 | 書籍
先日 新潮文庫のいしいしんじ「ぶらんこ乗り」を読みました。

解説にあるとおり、確かにものすごい寓話作家が出てきましたね。
声を失った早熟な弟と、姉の物語なのですが、
弟が中で語る「物語」も、姉と弟の関係も、そして最後にやって来る
家族の物語りも、それぞれがリンクしていて、決してハッピーエンド
ではないにも関わらず、非常に有機的に結びついていて、読んでいて興奮しました。

以後ねたばれ注意!


早熟の弟が、姉をとっても慕っているというキャラクター設定。
「指の音」という皮膚病のイヌのお腹を、町の人が伝言板にしているという
設定。
亡くなった母からの手紙を、弟が死後、姉が悲しまないように作っていたという
のが分かったときの、深い姉と弟の間の愛情。
すべてが、度肝を抜かれました。

こういう、「半径3Mの青春」ではない物語をきちんと作れる人が
現れれたのは、本当に喜ぶべきことです。



ぶらんこ乗り

理論社

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1980年の少年マガジン その2

2006年05月12日 02時48分21秒 | 書籍
私は、いわゆる少年漫画に触れたのは、小学校3年生のときでした。
ちょうどそれは1980年。とある旅館に泊まって呼んだ週刊少年マガジンに
心をとらわれました。

以前にも書きましたが、柳沢きみお「翔んだカップル」や、もとはしまさひで
「微笑みによろしく」ちばてつお「俺は鉄平」永井豪「凄ノ王」などが
連載中でしたが、特に私が好きだったのが、

沼よしひで作 「ツッパリ刑事彦」(つっぱりでかひこ)
です。

これはナンセンス刑事ストーリーなのですが、スピード感といい、
ギャグの上品さといい、かっ飛び具合といい、非常に優れた作品でした。

人気も当時は高かったように思います。
しかし、今に至るまで文庫化も愛蔵版化もされず、いわば消えてしまった
作品になっています。

確かに今から考えると「マカロニほうれん荘」の影響はあるかな?という
作品ですが、私は本家より面白いと思います。

もし、古本屋で見かける機会があれば、是非一読をお勧めします。






ツッパリ刑事彦 [少年向け:コミックセット]

講談社

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サラカンとパチスロひとり旅

2005年07月24日 16時15分21秒 | 書籍
コンビニで先週一週間で、サラカンとパチスロひとり旅の新刊が出てましたね!
とくに名波さんのパチスロひとり旅は、借金完済編ですから、必見ですよ!
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野坂昭如 「エロ事師たち」

2005年07月08日 00時06分44秒 | 書籍
最近、文庫本を読むのにはまっています。
それで先日この野坂昭如の「エロ事師たち」を初めて読みました。

もともとタイトルは知っていたんですけど、「まあある時代の風俗を描いた
通俗小説だろう」と思って読まなかったんですが、読んでみたら、
これはすごい小説ですね。

関西弁で描かれた、昭和30年代のブルーフィルム制作現場の話なんですが、
おかしゅうて、やがて悲しいというか、人間の性の不思議さと言うか、
重くゆがんだ題材を、ユーモアと軽みを交えて一気に描ききった傑作じゃないですか!

正直私はこのタイトルのせいもあって、敬遠していたのですが、野坂昭如と言う人の
才能にびっくりしました。

昔、今村昌平が「重喜劇」と題して「にっぽん昆虫記」とか「盗まれた欲望」とかを
撮っていましたけど、まさにああいう、重くておかしい喜劇って中々普通の才能では
描ききれるものではありません。こういう土着っぽい性が、そうとう都会派のイメージのある
野坂昭如からつむぎだされたところに、さらにおかしさがありますね。
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