アベノミクス相場は2/12で半値押しを達成、そこからの半値戻しもほぼ達成した(4/25先物高値)。そこで日柄から二番底を測定するとどうなるか?まずこれを考えてみる。(山崎和邦)
本記事は有料メルマガ 山崎和邦 週報『投機の流儀』(罫線・資料付)*相場を読み解く【号外・山崎動画】も配信(2016年5月15日号)の一部抜粋です。興味を持たれた方はぜひこの機会に初月無料の定期購読をどうぞ。
日経平均から為替操作国認定まで、相場暦55年の山崎氏が斬る!
一番底(2/12半値押し)から二番底までの日柄測定
アベノミクス相場は2月12日で半値押しを達成した。そこからの半値戻しも、ほぼ達成した(4月25日、先物高値)。そこで、日銀パフォーマンスを引き金として戻り相場は一旦休止に入ったか、またはリバウンド相場は終わった。
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そこで2月12日の半値押しを一番底とし、二番底を日柄から測定すると如何になるか。まずこれを考えてみよう。
内外の諸要因があるから種々の理屈を並べて分析して人間の認識脳力をアテにすれば、錬金術師のエルメス哲学体系の様な不可能に陥る。こういう時はテクニカルに限る。
京大卒のインテリゲンチャであるはずの若林栄四氏なども、(その的否はまた別だが)100%近くが黄金分割比の日柄からの測定である。
そこで単純に日柄から考えるとこうなる。
一番底から二番底までを日柄で数えると80年代は営業日で平均65日、90年代以降は平均54日だそうだ。だそうだ、と述べたのは、これが野村証券マーケティング部による数値だからである。野村も大和も、相場観は万年強気でアテにならないが、そのデータは100%信用してよい。
但しこの日柄は大相場の始動点ではなく、所詮は中間反騰にすぎなかったものをも含む。
今、この平均営業日54日を数えると2月12日からのそれは4月28日だから既に過ぎた。では、65営業日を当てれば5月18日になる。「Sell in May, and go away.」は5月前半で終わるという意味になるが果たしてどうだろう?
これを二番底とするには、大天井からの日柄が短すぎる。僅か11か月しかないことになる。大相場(本稿では日経平均が2倍~2倍半になる相場を指す。今回のアベノミクスを含めてこの50年間に5回あった)を懐胎する底値にしては日柄が短すぎる。所詮、中間反騰の可能性は高い。
だが、九星気学から言うとこうなる
既報でも述べたことがあるが、2016年は二黒土星(じこくどせい))で「9」の年である。二黒土星は土から問題が生ずる。「9」の年はそうである。
震災がそうである。東北震災は2011年3月11日(2+0+1+1+3+1+1=9)、2016年の熊本震災もそれである(2016=2+0+1+6=9)。
原油暴落も土から生まれた。「9」の年は非常に強い何かが生まれる。二黒土星は、母なる大地が非常に強い何かを生むと解される。良いことも悪いことも含まれて大きな現象を生ずる。吉事もあり凶事もある。
2007年が(2007=2+7=9)小泉改革相場の大相場総仕上げであった。始動値から2倍半になった。1989年は平成バブルの大相場を生み史上最高値を示現した(1989=1+9+8+9=27=9×3で、9が3回あるから非常に強い)。
2016年の二黒土星は何を生むか。
これは鬼神のみが知る実相をヒトの浅智恵で覗き見るという儀式だから、その解釈の仕方によって現実の実相を透徹できるか否か、である。
易学の構造は遺伝子の構造に酷似しているという事が最近分かった。難しい。だが、何か大きなことが起きる、吉事か凶事かは鬼神のみぞ知る。「大きなことが起きる」と言ったが、上記の「大相場を懐胎するにしては日柄が短かすぎる」からいえば矛盾する。
そう、矛盾するところがいいのだ。矛盾せず理路整然と説明出来たらその時はすでに相場は別の世界へ行っている。
フィボナッチ級数が示唆する「タダでは済まない2016年」
過去、重要な転機を迎える年はフィボナッチ級数を加算することによって得られた。この数値は、黄金分割を生み、それは蜘蛛の巣や巻貝の巻き方、木の枝の付き方、などの自然現象によく現れて、相場の動きにも時々現れる。
これを使って2016年を見るとこうなる。
1:所得倍増計画・高度経済成長の大相場の大天井:1961年+フィボナッチ級数の55=2016年
2:日経平均1万円台での大相場始動の年:1982年+フィボナッチ級数の34=2016年
3:プラザ合意以降で円相場が初めて80円を割れた1995年+フィボナッチ級数の21=2016年
4:失われた13年が終わり不良債権処理が完結し小泉相場が始動した2003年+フィボナッチ級数の13=2016年
5:リーマンショックが発生した2008年+フィボナッチ級数の8=2016年
6:東日本大震災と福島第一原発事故が発生した2011年+フィボナッチ級数の5=2016年
図 フィボナッチ級数からは2016年はタダの年ではない
このように、重要な事件の年にフィボナッチ数を加算するとすべてが「2016」になる。こう見ると、2016年はタダの年ではなさそうだ。
麻生財務相は「為替操作国」認定に対し「米国債売り」で対抗せよ
3月以降の世界株高の中での日本株式の一人負けは、企業の本源的価値という観点からは不当なものであり理屈の上では適正株価でない。
とはいえ、市場がつけた価格が市場価格なのだ。そしてその原因は一に円高株安の悪循環が際限なく進行していることである。
世界大不況が始まろうとしているなら、日本株の独歩安ではなく、世界的株式大暴落となるはずである。
それではなぜことさら、経済のファンダメンタルズや中央銀行の姿勢とは逆行する形で円の独歩高か進行したのか。その原因は、自国の利益のためなら何でもやるという米国の一方的ルール変更にあったことが4月29日に露呈した。
米財務省は4月29日に半年ごとの為替報告書を発表したが、そこで新たな「為替監視国リスト」が設けられた。
そして米国勝手な3条件、
1:対米貿易赤字200億ドル以上
2:経常黒字がGDP比3%以上
3:為替介入がGDP比2%超
が設定され、このすべてに抵触した場合「為替操作国」と認定し制裁を発動するとされたのである。
これをルー財務長官などは世界新秩序 The New World Orderと言い出すだろう。アメリカのいう「世界レベル」は「アメリカレベル」のことであり、「グローバリゼーション」は実は「アメリカナイゼーション」のことである。何度もその試練に遭遇してきた日本は既に「静かに強硬に」それを言い返せる時期であろう。
一方、トランプは、アメリカの日本駐在兵の費用を日本に支払わせると言うが、日本はすでに毎年1000億円くらいは支払ってきているはずだ。
「貴国の国債を最大に保有してやっているのは日本なんだぞ。もっと支払えというなら、この国債券面で支払おう」と麻生財務相があの顔でジロリ睨みながら言ってやったらどうだろう。
「モノで支払うのは嫌だと仰るなら、日本がこれを市場に売りに出して換金して現金で支払おう。市場に日本が貴国の国債を大量に売りに出したら貴国はどうなる?お困りではないかね?」とでも言ってやれないものか?
トランプが「国防経費をもっと負担せよ」と言うなら「アメリカ国債を換金して充当する」と答えたらいかがだろうか?
彼が大統領の権限を持たないうちに、今のうちに言っておく方がいい。トランプの言い分は人気取りの弁舌かも知れない、だが、売られた喧嘩は買う時期ではなかろうか?
新人同士の大統領選年は要注意~トランプが示す米国の孤立主義
11月の大統領選は共和党vs民主党ではない。
グローバル化と自由貿易に明確に反対する男を大統領候補に指名するのはアメリカ史上初めてのことであろう。筆者はアメリカ史に詳しいわけではないが、リンカーン以来、レーガンという実績ある大統領をも排出した共和党が、いきなり1世紀半の価値観を覆して見せた例はアメリカ史上まずないであろう。
11月の大統領選は共和党vs民主党ではない。
「造反者」vs「ありきたり女の支配者」
「思い付きの暴言連発者」vs「ありきたりの政治家的発言者」
「混乱惹起者」vs「現状維持者」
「自国第一のポピュリスト」vs「ありきたりの国際協調者」
「公職に一回も就任したことがない者」vs「国務長官・上院議員経験者」
である。
図 新人同士の大統領選年は要注意
図 2000年、2008年の新人同士の大統領選時のNYダウ(月足)
保守党の保守本命の長老たちから嫌われながらも本番で勝ちそうになった人は今までになかった。
犯罪者もどき、国家反逆罪容疑者もどきの女クリントン
一方、ヒラリー・クリントンのような「前科者」(※1)が民主党の代表になることもアメリカ史上なかった。
彼女は女性有権者にも「人気」がないという。アメリカ大統領は日本の首相と違って国民投票で決まる。故に日本の首相と違って国民に顔を向けていなければならない。ましてや56年前のケネディ対ニクソンの時以来、テレビ映りで決まる時代だ。「人気」が大切なのだ。
(※1)『困難な選択』上下(ヒラリー・クリントン著、日経新聞社 2015年刊)を昨年通読した。この中でクリントンは国務長官として海外指導者と会ったときの状況や、政策課題 について綴ったが、自分が国務長官だった時の最大の仕事は、パレスチナとはいえ一人前の主権国家に軍事ヘリコプターで領空権を犯して勝手に夜中に乗り込み、銃撃戦を展開してオサマ・ビン・ラディンを死体にして強奪するというギャング顔負けの仕事だった。
これでは犯罪ではないか?しかも死体を船から海中に捨てて魚のえさにした。自伝で得意になって書いている。オサマ・ビン・ラディンはイスラム教徒として頭部をメッカの方向に向けて埋葬されるべきだが、射殺して死体を強奪したアメリカ海兵隊シールズはイスラム教徒でないからとて、メッカに足を向けて埋葬するわけにもゆかず、海に投げ込み「海葬」として魚のえさにしてしまった。こうすればメッカの方向へ頭部を向けたか足を向けたか知るところではない、という理屈だった。
まさにギャング映画顔負けだ。因みに、2015年6月1日~5月10日、アルカイダの指導者オサマ・ビン・ラディンの暗殺作戦が「すべて茶番だった」という記事が英誌『ロンドン・レビュー・オブ・ブックス』に発表されたという話だ。執筆したのは、超一流の調査報道ジャーナリストであるシーモア・ハーシュだという。
クリントンは、公用のPCを私用に使っていたという悪評があるが、これは公私混同というレベルの問題ではない。上院議員で国務長官だった者、且つ、元大統領の妻が、公用のPCで私用メールをやり取りしていたという事にFBIもCIAも神経を尖らせているだろう。国家機密が入っていたかもしれないからだ。それだけ国家への忠誠心が疑われているのだ。そう疑われる女を民主党代表とすることなど米国史上、初のことであろう。
これでは夫ビル・クリントンがモニカ・ルインスキー嬢と大統領執務室内で「不適切な関係」を持ったのも無理はない、との同情が集まろう。尤も「不適切な関係」はこれより十数年前の話だが。
(この2行半は読者諸賢の顰蹙を買うであろう。テレビで言うわけにはいかないから今書いた。批判は読者諸賢に一任したい。今、この2行半を削除したいという気持ちに一瞬なったが、「書きたいことを書いてきた」という経歴からして削除しないことにした)