彩彩日記 作詞家/シンガーソングライター 大塚利恵のブログ

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阿久悠さんの「作詞入門」最高!

2011-12-31 09:33:52 | Weblog
大晦日。真っ暗なうちに家を出発し、いま新幹線の中。朝陽を見ながらの新幹線は初めてかも!今日は毎年恒例になっている兵庫の友人に会いに行き、その後京都へ。
今年は京都で年越しはまず無理だと思っていたから、なんだか夢のよう…。震災の時、北茨城への物資運搬に寄付や応援をして頂いた京都のみなさんに、会って「ありがとう」を言って来ます。これからも復興を見守ってもらえるように…。

さて、旅のお供は、いま夢中になっている阿久悠さんの「作詞入門」!作詞の本ではあるけれど、音楽を仕事にしている全ての人が読むべき本だと思う。72年に書かれた本ではあるけれど、いや、だからこそ、今音楽を仕事にしている私たちにとって指針となる内容。
“昔の作家は良かった、最近の作品は…”と視野の狭い文句を垂れている音楽好きな人も読んでみたらいいと思う。音楽を仕事にするってこういうことだ、というのがよく分かるはず。
“昔の音楽は良くて今のはだめ”というのは、飲み屋で「昔はよかった~」って毎晩愚痴ばっかり言ってる酔っ払いみたい。ポップミュージックは常に時代とともにあるのだから、昔と同じにできる訳がない。作家の技能云々だけではなく、それが生かされる環境というものがあるのだから。「最近の音楽は~」って批判するのでなく、「どうして今の音楽はこうなのかな?そっか、こういう背景があるからか」と、良い悪いでない視点で分析してこそ先がある。
今の時代、与えられた環境の中で、自分の理想の豊かな音楽が溢れる世界を強く思い描きながら、できることから前向きにちょっとずつやってゆくだけ。中にはベクトルがおかしい作家もいるのかも知れないけど?、今生きている時代と音楽そのものへの愛がない作家は、淘汰されてゆくはず(と、願います)。
「あの頃の音楽は良かった」という時代って、時代そのもののバランスが良かったのかも知れないな。その音楽が受け入れられる環境があったということ。
阿久悠さんの時代のように、作詞家作曲家、ディレクターと音楽出版社の
担当者が「このシンガーをどう売ろうか?」と企画会議をして、作詞家が企画を映し出した歌詞を書き、作曲家が曲を付け…って、そんなことは現代はほとんど無い。一番企画がはっきり出る部分である歌詞が、最後の最後の作業になることがほとんどなのだ。
また、作家がどんなに斬新な作品を出したくても、レコード会社にしてみれば冒険しにくい時代。そう簡単にはいかない。求められたことにしっかり応えながら、ほんの一行、ほんの一言でも自分の理想を入れ込めるように、
音楽への愛を一滴でも投入できるように全力を尽くすのみ。たとえば「夢、希望、みたいな応援歌を書いてください」と言われたら、夢、希望というよく歌詞に出てくる言葉をできる限り輝かせるように、オーダー通りの歌詞を書く。「夢、希望なんてありきたりだから使わない」というワケにはいかないのだ、使ってくれと言われてるのだから。
それに、そもそも言葉自体にありきたりもへったくれもない。言葉をただの記号としてでなく、心あるものとして使い、受け取る側も心で受け取っていれば、言葉が使い古されることなんてありえない。私は夢も希望も今まで何回使ったか分からないけど、未だに毎回初めて出会う言葉のように愛おしい。そうじゃないのは、その人の感性が固まっちゃってるからでは?と思う。
素晴らしい音楽が溢れる未来に、2012年はまた一歩近づけるよう、私にできる事を頑張ろうと思います。豊かな創造性溢れる音楽の時代はきっといい時代。すぐにではなくても実現できるはず。音楽から変えられることもあるはず。

だいぶ脱線して語っちゃいましたが、いろんな意味で痛快な本。読み終わったらまたゆっくりレポートします☆

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