私の図書館

主に読んだ本の感想。日常のできごと。

京極夏彦の"後巷説百物語"

2009年06月08日 05時46分17秒 | ホラー
京極夏彦のタイトルはもうクイズの様相をていしている。
これなんと読みます? 私は読めませんでした。 なので、図書館で検索するとき大変だったのなんのって。
とりあえず、作者名のみで当てずっぽうで、この本選びました。

この本で直木賞を取ったのですが、納得の作品。"巷説百物語"PART2なので"後巷説百物語" しかし、前作をよんでいなくても十分話が通じるので心配なく。

それにしても毎回のことながら、この作者よく勉強しているなーと感心する。
京極堂シリーズでも分かると思うが、日本の古典、伝説、宗教などに詳しいだけではなく、ちゃんとアナライズしているのだから。
作者の詳細は知らないのだが、きっと人類学専攻で院にはいっていると思う。
しかし、この知識の豊富さがあだとなり、京極シリーズでは主人公の京極堂がえんえんと講釈をたれ、あのサイズの本となってしまった。
私など、一体なんページすっとばしたことか。

今回のこの本"後巷説百物語"、短編集ということもありスッキリした構成となっている。
昔話を集めて本にした感じ。 時代は明治維新10年後、登場人物はなんとか新しい日本に溶け込もうとしている若者4人とすごい年寄りの一伯翁。
この一伯翁、昔から珍しい話に目がなく、諸国を廻り、いろいろな話を聞き本にまとめたという、物知りなおじいさん。グリム兄弟のようなものである。
この若者4人が議論になり、決着がつかぬとこの老人をたずね、如何なものかと問う。そこで、この老人、昔話を始める、という構成。
文明開花、維新、近代化などの変化が、不可思議な話をうけつけない世にしているのに、この老人の話がそんな目先の新しさを賢し世の理をといていく。

今さら京極シリーズはきついという方、この本おすすめです。
ちなみに、答えは "のちのこうせつひゃくものがたり"