私の図書館

主に読んだ本の感想。日常のできごと。

浦沢直樹のPLUTO

2009年05月07日 13時18分09秒 | マンガ



私はもう浦沢直樹の大ファンになった。

100点中200点をあげたいくらい、このマンガおもしろかった。
たまたま近所の図書館でみかけたので1巻を借れてみたけれど、想像以上によかった。あまりによかったので、3日後本屋で2巻目を購入。$14(日本語版が550円だから、約3倍)もしたけれど、その価値ありと思い迷わず購入した。店員さんに聞いたところ、3巻目(英語版)は5/19発売予定らしい。もうすーごく楽しみ。久しぶりに発売日を心待ちにする心境を味わっている。

このまんが、手塚治の"鉄腕アトム地上最大のロボット"というのが原作で、浦沢直樹がこの原作を大胆にアレンジ、リメイクしたものらしい。アトムの歌はうたえるけれど、アニメをTVで見た覚えがないので、話自体は新鮮だった。だが、一体どの程度が原作で、どの程度が浦沢直樹のオリジナルなのか知りたかったので、古い"鉄腕アトム"のマンガも図書館で借りることにした。

題名のPLUTOというのが何処から来ているのか気になったので、調べてみると、PLUTOはロボットでアトムを含む4人(?)のロボットに一体だれが一番強いか勝負しようともちかける、アトムはただみんなと仲良くしたいのに、というような解説だった。

浦沢直樹のまんがではまだPLUTOの正体が定かではないけれど、アトムを含む7人の高性能ロボットがこのPLUTOによって殺される(?)か狙われるかしている。
7人のうち、今までに出てきているのは、1、ゲシュート(ヨーロピアン連邦の刑事)2、モンブラン(スイスの国立公園の山岳レンジャー) 3、ノース#2(スコットランドで執事をしている)4、ブランドー(イスタンブールでレスラーをしている)4、ヘラクレス(レスラー、ブランドーとはライバル)。5、アトム。

彼ら全ての共通点は超高性能のロボットで、4年前に起こったペルシャ戦争に行っているということ。戦争の後それぞれの新しい職を見つけているけれど、もとをただせば彼らのような高性能ロボットは大量殺戮ロボットという兵器として使用された。しかし、このようなロボットの使用法を懸念したUNは大量殺戮ロボットを作ってはいけないという条約を定めた。ゆえに、世界中で7人しかいないのである。その7人を誰かもしくは何かが殺そうとする。

というのが、今のところのあらすじなのだけれど、本当に感心するのはテーマの奥深さ。アトムのようなロボットは機会として扱われるのか、それとも人として人権などを与えるべきなのか。

中をあければ部品が並ぶ機会だし、多くの人間が信じているように、ロボットには感情もなく、美的感覚もなく、欲もなく、憎しみもない。だが、驚くべきことに、この7人のロボット、あの戦争以来少しずつ進化しているのである、人間に近づいているのである。もちろん、計算外の発展であり、まだそのことに人間は気付いていない。本人たちもあまり気付いてない様である。アトムにいったては泣くことができる。(原作でアトムが泣くことが出来るのかどうか私としては知りたい。) 感情、愛情などを手に入れはじめたロボットは一体なにになるのか? 売り買いしてもいいものなのか? 壊れたというべきなのか、それとも死んだというべきものなのか? 感情などないはずのロボットをとおして戦争を語るなど、とても手のこんだ話に仕上がっている。

長くなったが、このまんが絶対おすすめ。ちなみにこの表紙の画がアトム。

そうそう、20世紀少年英語版を発見した。1ー3巻まででている模様。でもこれはやっぱり日本語だな。