3D CG, CAD/CAM/3Dプリンタ な日常でつづる クルスの冒険ブログ

このブログは引っ越しました!引っ越し先は…「とある思索の集合演算」と検索してみてください。よろしくお願いします。

何度でも同じことを、言わせて。

2009年09月26日 | □CAD/CAMな日々
 
『3D Systems社がDeskTop Factory社を買収』
 
3Dプリンタっていうのは、特許のカタマリみたいだから…
 
まぁ、そこに双方のメリットがあったのでしょう。
 
売る方にも買う方にも、安全・安価・有利という判断が働いたのだから
 
批判することも無いのですが、少しさびしい話です。
 
しかし、この分野、我が国は遅れを取っています。特に小型機では。
 
もうそろそろ手遅れかも知れないなー…
 
昔はSONYなんかも光造形をやってたんですが、数年前にやめてしまった。
 
もともと積層による造形装置という発明は、日本人の小玉秀男氏によるものだったのですけどね。
(ほとんど同時期の技術公開だったようです)
 
周囲の人にはずっと言って来てますが、本当に小型機の3Dプリンタ市場が花開く時は、
 
Canon、EPSON、Roland D.G.、HP、Brother…辺りがこの市場に参入する時かな?…と思う。
 
漠然と、ではありますが、現在の3Dプリンタ(RP機)メーカーじゃないような気がします。
 
こちらのリンクの動画を見ていただいても、 →コチラ、ね
 
多くの皆さんが「スゴイ!ハイテクだ!」とお思いの
 
「3Dプリンタ(立体プリンタ・RP機)」は、
 
…それほどのハイテクでも無いなぁー…
 
と、お感じいただけることでしょう。その印象は当たってると思います。
 
そう、ワタシは、この機械をハイテクだなんて思っていただきたくないのですよ。
 
実際、使っていても大したもんじゃないしね。
 
それと、積層方式による違いも、あまり興味が無いんです。
 
開発している人にとっては、その方式にコミットして熱心にやっていらっしゃるのでしょうけども
 
消費者にとっては、結果とコストが大事なんであって、方式は二の次。
 
方式がお客様にいつまでも気にされているようじゃ、成熟した機械とは言えないと思うんですよ。
 
「すっげぇ!ハイテクーーー!!!」
 
と、お感じになって
 
「こりゃあ見に行かなきゃー!!!」
 
ということで秋葉原の
 
「3次元形状を活用する会:3D-GAN」事務局にお越しになる方も少なくないです。
 
もちろんそれは歓迎です。ありがたい話です。…でも、その方々が、
 
肝心の3次元形状データを全く扱えないと、
 
それ以上話が進まない、というのも事実なんですね。
 
悲しいことに
 
「3Dのデータがあれば作れるんですよー」
 
というご紹介をすると
 
「…なんだ、それじゃダメじゃん。使えないよ」
 
とか言われたりする(泣) じゃあ、何を元にこの機械が動くと思っていたのでしょうかねぇ?…
  
「立体コピー機だ!」
 
と思い込んでお越しになる方も多いです。ネットで検索してみると、
 
「スゲぇ!立体コピー機だ!」
 
というトピックは、結構多いです… うーん…誤解されてるなぁ…。
 
だから、そのトピックは長持ちしないんですよね。
 
せっかくお越しになっていただいても、3D形状データを全く扱えない方ですと、
 
機械の原理を説明して、出来上がりのサンプルをお見せして、それでお仕舞いなんです。

そりゃ、そうだ。
 
そんな状態で、
 
「まだまだ機械が高価」だの
 
「仕上げが残念」だの
 
「精度がどうの」
 
と、言われましても… ね(苦笑) これまたさびしい限りです。
 
…あー…でも、こういうことは印刷の世界でもあったのでしょうねぇ…
 
パソコンを使えない印刷業の方が普及期に入ったプリンタを見て
 
「まだまだ発色が甘い」とか
 
「これじゃあ出版には使えない」とか
 
そういう事を言われてた時期がきっとあったはずだ。 
 
まさに今、同じような展開をたどっている真っ最中なのでしょう、きっと。
 
だから…
 
ワタシはこのブログでずーっと同じ事を書いて来ていますけれども、
 
「3D形状データを作れる人、扱える人、その人口を激増させる」
 
そのことだけが、この3Dプリンタ(立体プリンタ・RP機)の市場を
 
今までとは様相が一変する、違う市場へとシフトチェンジさせる
 
と、信じて疑いません。
 
もちろんそれは、3Dプリンタだけでなく、ソフトウェアツールの市場はじめ
 
あらゆる分野に波及すると思っています。
 
そう、数の問題。人口の問題なんだ、と考えてます。
 
還元すれば、世の中にあるファイルの数の問題、となるわけですね。
 
3Dプリンタ(出口)の充実がモデリング人口(入口)を増やすか?
  
と訊かれたら、
 
「それはあるだろうけれども、画像や文字情報の時ほどではない」
 
と、回答します。
 
なぜなら、3D形状データには、画像や文字情報における従来業務(PCが出来る前の行為)…
 
「年賀状づくり」や「書類づくり」「写真撮影」なんかが無いからだ。
  
従来業務をパソコンに置き換える、という方法論は、3D形状データではとても弱い。
 
「では、どうやって人口を増やすのか?」
 
についての、第一章はすでに動き出しました。
 
それは、「CADだけでなく、3D CG人口を積極的に対象とする」
 
です。
 
これにはある程度の勢いを付けられたと思う。5~6年前と比べたら、状況は一変した。

でも、まだまだ足りない。
 
3D CADも、3D CGも、一般には仕事用のソフトウェアツールであって、
 
年賀状やデジカメに代表される、画像データを扱う人口に比べたら微々たるものだからだ。

よくご存知ない方は
 
「この先、どんどん3D CADや3D CGのユーザは増えるのだろう…」
 
と、漠然と思っているようですが、それは違います。
 
よくご存知の方は、
 
「3D CADも3D CGも、渡り切っちゃったなぁー…この先の伸びはそれほど期待できないよ…」
 
と、感じていることでしょう。ワタシもそう思っています。

少なくとも、今までの顧客層で考えていたたらこの市場は飽和した。
 
…という事で、この秋から第二章に移ることを宣言させてください。
(ちょっとブログにはそぐわない話題なので、詳しくは避けますね)
 
この状況を誰が一番楽しんでるかって、それはワタシ自身でしょう(笑)
 
心強い仲間と、強力なパーティも組めたことだし、少しずつアイテムも揃ってきた。
 
新しい冒険を始めることにしましょう。
 
…いや、チガウ(笑)
 
冷静に考えたら、同時に何個も冒険やってるようなものなんですけどね(笑)日々…
 
でもね、これも何度も言って来ましたけれども、ワタシの中では全てが一本でつながっている話です。
 
時々ブログで触れる「CutMill:カッテミル」の事業でさえ、つながっている話です。
 
どうつながっているか?というと…
 
自分の仕事上のバックグラウンドである「CAE/CAD/CAM、PLM」で得られた知識と技術を
 
「CAE/CAD/CAM、PLM以外の分野」で使って仕事をする、という点で地続き。
 
そしてそれは、最終的には「CAE/CAD/CAM、PLM」の世界でさえ変えるものになるはずだ…
 
という、その一点で矛盾なくスッキリとつながっているんです。 
 
信じるか信じないかは、あなた次第だ(笑)
 
毎度長ったらしい文章にお付合いいただいて、感謝です。
 
でもさぁー… 
 
「今日、お昼に○○食べましたよ」
 
とか
 
「お?新しいステキなお店が出来ましたね」
 
とか…
 
まったく興味、無いんだもん… 
 
復活したチキンタツタが、今一番気になる食べ物だし(笑)
 
期間が終わっちゃうまでに、あと3回は食べよう。。。
 

 

3Dスキャナは、3D-GAN事務局でごお試しください

2009年09月22日 | □CAD/CAMな日々
1000円で立体スキャナ作ってみた

 
最初に注意です。

3Dスキャナ(立体スキャナ)には、大別して2つの目的があります。

それは…
 
「カタチの特徴を測定する」 ことと 「カタチから正確に寸法を測定する」(検品です)
 
です。
 
今回は、前者についてのお話です。「リバース・エンジニアリング」なんて呼ぶ人も居る。

さて、今回も長いよ(笑)自分でも分かってるんですが、これはもう諦めてます。
 
こういう技術の話は、極力「印象」では語りたくない。
 
元々難しいことをすごく易しく話そうと思うと、嘘が生じてしまうことがある。
 
それが嫌なので、どうしても長くなる。でも、意味はあるよ。きっと役に立つ。
 
だから、お付合いください。

では、上の映像だ。
 
これを見て、「スゲー!」と言ってくれている人はありがたいですし、
 
これを作った人は、確かにスゴい。立派なもんです。
 
でも…まぁ、つまりは、3Dスキャナ(立体スキャナ)ってこんなものなんです。
 
レーザーなのかCCDなのか、とにかく原理はこんなもんだということがよく分かっていただける好例。
 
スリットの光とカメラを使う測定機材のところは分かりやすいけど、

画像を処理して立体のデータにする段になると、途端に馴染みのない話になる、というのもお分りいただけるでしょう。
   
ワタシはその道のお仕事なのであまり言わないようにして来ていますが、
 
こういう事は、CCDカメラが安くなった今、そんなに馬鹿スゴい技術でもないです。 
 
だから、もっと手軽に、もっと安価に…という流れは急加速しても全く不思議じゃありません。
 
…というか、現存する製品はどれもこれも、やりたい事に対してスペックが高すぎるんです…
 
ということもお分りいただけるだろう…
 
でもね・・・
 
こういった3Dスキャナには根源的な問題がありまして。
 
問題、というよりもその性格を、多くの人が良く分かっていないために
 
期待感と実態が大きくかけ離れている、というのが常に問題なのだと思っています。
 
先日「3次元形状を活用する会:3D-GAN」のイベント、
 
「忙しい人のための3次元データ講座」でも触れた、当たり前と言えば当たり前の話ですけれども。
 

問題その1. スキャナである以上、物体として現存しているモノを対象とする
 
つまりこれって、今売っているモノのバッタもん(デッドコピー)を作るか、

手で作った(粘土やパテなんかだね)モノを3D形状データにすることが出来る!
 
と言えますが、このやり方は
 
「わざわざ一回手で物体を作らないといけない…」 とも言えるわけです。
 
もしね、一個の積み木みたいな形状だったら… スキャナ使います?(笑)
 
そんなものは、ノギズで測ってCADやCGでモデリングすればいいですよね。
 
寸法で完全に定義できるカタチには、こんなもの不要です。
 
簡単な形状は、そうですよね。でも難しい形状だと役に立ちそうだ。
 
じゃあ、どこからがスキャナが必要になる難しい形状なんだろうか…?となる訳ですよ。
 
で… これはもう、モデリングする人のスキルによる。
 
モデリングが上手な人ほど、スキャナが必要になる局面は少ないと言っていい。
(だってモデリングが上手なんだから) 
 

問題その2. スキャンしたデータは、そこから物体を作るにも、CGとして成立させるにも、とにかく不完全なデータです。
 
このブログでも過去に

「立体コピー」とか「3Dコピー」とか というタイトルで書きましたが、
 
こういったスキャナは、必ず測定できない部分が生じます。
 
また、測定した情報も、CADやCGとしてその後の用途に使うには十分ではありません。
 
つまり、スキャンした後には、その測定結果に手を加える修正の作業が絶対に必要になります。
 
カンの良い人はもうお分かりだろう。
 
こういった「実物」→「スキャナで測定」→「3Dデータ」という作業では、
 
「スキャナ」そのものよりもむしろ、スキャナの測定結果を3Dデータに修正する作業や、

そのためのソフトウェアツールの方が、より難しくてより重要だったりするんだね。
 
実際、そういったソフトはとても高価だ。

従いまして、3Dスキャナは、

「モデリングが出来ない人を助けない。モデリング出来る人を助けてくれる道具」

であると言って間違いありません。

ここで多くの人が持つ 「これがあれば3Dモデリングが出来なくてもデータがつくれる!」
 
という期待感は、あえなく萎みますね。
 
でも。
 
モデリングが出来る人は、大抵のカタチをスキャナの手助けなしにモデリングすることが出来る…
 
とも言えるわけです。だって、モデリングできるから(笑)これは程度とスキルの問題。
 
となると…モデリングが出来る人でないとスキャナの意味はなく、
 
モデリング出来る人は、スキャナの手を借りなくてもモデリング出来るモノが多い…
 
わけですよ。
 
…なんだか役に立つんだか立たないんだか、良く分からない性格の機械だな(笑)
 
以上のことから導かれる結論としては…
 
3Dスキャナ(立体スキャナ)は、「とても限定的な条件でのみ非常に有効である」

です。
 
この「限定的な条件」を最初に満たして、現在でも盛んに使われている分野は、
 
自動車のエクステリア・デザイン(ボディですね)です。

どうしてか?うん、カンタン。

1.寸法で定義できない曲面が沢山ある
2.モノがデカい(デザインの第一は物体のボリュームですからね)
3.開発にコストをかけられる

だからですね。
 
逆に、航空機は使わないんじゃなかろうかね?
 
クルマの外側は「見たくれ」が重要で、そのためのモノですが
 
航空機は外側のカタチは「見たくれ」ではなく、イコール機能・性能ですから。
 
艦船のハル(船底)はー…どうでしょう?これも使わない気がしますね・・・
 
艦船のハルをモックアップで実験して、モックアップをヤスリで削って性能出して、
 
そのいい感じのカタチをスキャンで取り込む… って、やるのかなぁ?…
 
どなたか詳しい方、教えてください。
 
3Dスキャナを販売している営業マンさんで、
 
「3Dスキャナ、売れないナァー…」と悩んでいる人が居たら
 
以上のような事情により、その使用頻度が少ない、というのが根源的な原因です。
 
だから、機械が売れにくいのです。特に高価な製品は自動車産業以外にはなかなか活躍の機会がない。
  
逆に、使用頻度が低いのだから、相応に安価なものであれば売れるだろうか?
 
…これは、ある程度Yesでしょう。
 
でも、それはきっと20万円以下…かなぁ…? という気がしますね。
 
そうであっても、今の1万倍は売れない…でしょうね…
 
何とも、悩み多い機械なのです。
 
現実的な解としては…
 
「持っている会社さんに測定してもらい、その代金を払う」
 
でしょう。
 
その場合、測定データそのままであれば相応に安価な料金で。
 
ポリゴンまでで良い、となれば、ちょっと上乗せで。
 
全ての面がG2連続しているサーフェスデータで、となれば俄然高価な手間賃で。
 
となるのが、妥当でしょう。
 
3Dスキャナは、測定よりもデータの修正に手間がかかるものですから。
 
「3次元形状を活用する会:3D-GAN」では、事務局に設置してある3Dスキャナを
 
会員企業さんにお使いいただいています。

同じく会員企業である、Roland D.G.さんのご厚意によるものです。
 
ご自身で操作する分には、料金はいただいていません。
 
使い方も、ある程度はお教えいたします、最初は。
 
そんなに難しいものではないです。
 
これも、会員さんの特典です。
 
 

エンドミルが検索しやすい!…を、御社にも。

2009年09月17日 | □CAD/CAMな日々
 
今日は、『CutMill:カッテミル』システムご提供の案内です。
 

 
オープン以来9か月間、数多くのお客様からご注文いただき、
 
只今最も使いやすい「エンドミル検索・比較 販売Webサイト」と

ご評価いただいております 『CutMill:カッテミル』 ですが。
 
おかげ様で取扱いメーカーも「合計7社!」と、なりました。
 
新たに「ダイジェット工業」「三興製作所」のエンドミル製品を掲載です。
 
ご想像ください…
 
「7社の異なるメーカーの中から、自分の要件に合ったエンドミルが簡単に探せる…」
 
「自分で決めたサイズに合うエンドミルを、異なるメーカーで簡単に比較できる…」
 
分厚い紙のカタログでは出来なかったことが、簡単に出来るようになってます。
 
さて、この『CutMill:カッテミル』ですが…
 
『CutMill:カッテミル』を動かしているシステムそのものを、ご提供することになりました。
 
これは、
 
 ○ 自社のWebに、カッテミルのような検索・比較システムを入れたい
 ○ カッテミルのような検索・比較システムをお客様に提案したい

とお考えの、工具商社さま、工具販売店さま、システム開発会社さま…
 
など、弊社と同業とも言える皆さま向けにご提供するものです。
 
一般にはこうしたシステムを、「条件検索」などと呼びます。
 
ご存知の方であればご理解いただけると思いますが、こうした「条件検索」の仕組みは
 
開発に結構な費用がかかるものです。
 
カッテミルのレベルですと、1千万円以下というのは難しいかも知れません。
 
そういった初期投資を回避して導入いただくために
 
月々の利用料金をお支払いいただくことで、安価にご利用いただける仕組みを考えました。
 
実はこれは、同業に近い会社さんから、
 
「カッテミルみたいなのを作りたいのだけど、開発費が高いから…」 
 
とご相談を受けたことで、始めたものです。

近々、別のWebサイトで採用されているカッテミルの姿をご覧になることがあるかも知れません。
 
もちろん、ご要望に応じて現在のカッテミルをカスタマイズしてご提供することも承ります。
 
エンドミルの仕組みをドリルやベアリング、金型部品などに応用することは、結構容易に出来るものです。

ドリルやエンドミルのような工具業界は、大変な時期が続いており、
 
この業界の流通事情が大きく変化して行く予感は、皆さんもお持ちだと思います。
 
つまり、世の中の他の製品と同じようになって行くのだと、誰もがお感じでしょう。
 
自分ではヤフオクやAmazonで時々買い物をしながら、
 
「いやいや、エンドミルだけはちがうよー」
 
とは… そうは思えない時代になって来ていると思うのです。
 
そうなる時、やはりネット・Webというのは中心的な役割を果たして行くのは間違いありません。
 
ドリルやエンドミルに限らず、カッテミルのような検索・比較の仕組みは、
 
機械商社、工具商社の流通の合理化においては、大変に有効です。

私たちは、この問題に早くから取り組んで来ており、随分と知識やノウハウも蓄積いたしました。
 
ぜひ、お気軽にお問合せください。
 

『CutMill:カッテミル』システムのご提供、詳しくは…  →コチラ
 

歯科用です。 これを作れなかった工作機械、CAD/CAM業界って…

2009年09月16日 | □CAD/CAMな日々


きょうは、YouTubeから。90秒ほどの動画だからぜひご覧ください。

このネタ、ずっと伏せて(避けてか?)来たんですけどね。
 
結構以前から日本にも入っている、米国製の歯科用システムです。
 
…このブログを読んでいただいている方であれば、さほど説明は要らないでしょう。
 
3Dスキャナ+CAD/CAMソフト+NC工作機械…の、組合せです。
 
3Dスキャナを見て、「これ、何かに使えないかなぁ~…」と知恵を絞っている方。

いわゆるリバース・エンジニアリングに興味のある方。

これが模範的な回答です。
 
一品一様で、高精度で、高付加価値な、切削加工の模範的な適用例。
 
究極の少量生産であり、RM(Rapid Manufacturing)。 

これを見て、どう思うか?
 
ワタシは一言… 「敗北感」でした。
 
そして、ある経験を思い出した。
 
昔、3D CADの営業マンとしてSONYさんを担当させてもらっている時のこと…
 
ちょうどプリクラが世に出て、大流行という時代。
 
SONYさんの営業会社、SMOJでは同じような敗北感を訴える人たちが居た。
 
プリクラの中身の核、つまりモニター、デジカメとシールプリンタは
 
全部SONY製だった。
 
でも、SONYはプリクラを発想することが出来ず(少なくとも商品化は出来ず)、
 
プリクラという大きな商売の中の、部品サプライヤーになっていた。
 
3Dスキャナ、CAD/CAMソフト、NC工作機械…

CADとしては、これはポリゴンでしょうね。ポリゴンかボクセル。絶対にB-repじゃない。
 
そして、現在の自分たちの市場ではない、全く新しい市場。
 
ワタシは、ずっとずっとこのブログで書いて来ました。
 
CAD/CAM業界の最大の弱点は、CAD/CAM以外のことが出来ないことだ、と。

そこを見つめて、早く変化しないと就業人口を減らすことになってしまう、と。
 
実際はもっとひどいものだった。
 
だって、CAD/CAMしか出来ない、んじゃなくて、こんなモロにCAD/CAMのものまで出来なかった、のだから。

今からこいつをスタディして、それより少し良いものを作ったって、

この敗北感は打ち消せないだろう。

この「CEREC」という歯科用システムの名は、
 
敗北感を味あわせてくれた教訓として
 
よく覚えておこうと、思う。
 

本当にすごい!のは、こういう人たちがちゃんと居ることだ

2009年09月15日 | □CAD/CAMな日々
 
「…うあぁ長文めんどくさー」

と、思った方はこのURLを見ましょう!

『すごいぞ!日本の製造業』

blog 『工業系3DCADモデリング日記』

今日の本題は、以上です(笑)以上のリンクを見ていただくための長文です。
では、長文に行こうかー…
 


世界的な金融危機の発端となったいわゆるリーマンショックから一年が過ぎようとしています。
 
メディアも一般の人たちも、後出しジャンケンよろしく
 
「あれはイカンかった、良くなかった」
 
な、毎日ですけれども。
 
かのアラン・ケイは、「実際には、コンピュータが一家に一台も普及することはないだろう」と言ってたようですし、
 
ビル・ゲイツも「将来的にもパソコンのメモリは640KBもあれば十分だろう」と言っていたようです。
 
…いや、ウラは取ってません(笑)なにせ、ゲイツは秋月律子の大ファン…とかいう話もあるくらいで(笑)

有名人の逸話っていうのは、とてもウラを取り切れたもんじゃない。
 
何が言いたいか、といいますと、
 
「やっぱ未来予測くらい難しいものは無いなー…」
 
と、思うわけですね。先のことなんて、わからない。
 
未来予測、ってとても難しいのですけど、ワタシ、こんな風に見てます。
 
「日本の製造業は、その姿を少し変えながらも将来に渡って国際競争力を持ち続ける」
 
です。
 
ハイ、そう思ってますよ。特に大きく心配なんてしてません。
 
技術を、それ単体で見ていると分からないことですけれども、周辺の色々なこととの兼ね合いで見ていると
 
よく分かります。
 
モノを作る、って技術とか手先だけの話ではなくて、
 
職業倫理とか、それによって作られる信頼関係がとても重要だから
 
です。
 
逆に言うと、郵便物がきちんと届かなくなったり、宅配便の素晴らしいサービスが現場の怠慢で滞るようになると
 
製造業も劣化が止まらなくなるでしょうね。
 
オールドタイプな分析でワタシがいま一つ好きになれないのは(というか大嫌い)
 
「日本人特殊論」
 
です。製造業においては、外部から、内部から、これが本当に多い…
 
「日本人特殊論」って、分析になってないんですよね(笑)
 
「やっぱりさぁー、ニッポン人はこういうの得意だからさぁー」
 
とか、結構不用意に言ってしまう… わけが分からない(笑)
 
自他共に認める個性があって「キャラ立ちしている」とは思いますけれど、
 
別に我々日本人が特殊なわけは、ないです。
 
強いていえば、最も早い時代に「キャラ立ち」したアジア人だから
 
その時代は「国」としてのまとまりを持ち得た非白人は日本人だけだったから
 
世界におけるステレオタイプの成立も早かったのだろう… 程度に見ています。
 
(国としてのまとまりを持つ、というのを近代化と呼んでいいです)
 
「日本人特殊論」と「キャラ立ち」とは、まるで違う。
 
「日本人特殊論」で分析したつもりになっていると、
 
足元をすくわれるよな・・・ と思っています。
 
実際… 優秀な工作機械を輸出して、しっかりした材料を輸出して、
  
定年退職した日本人技術者が「先生」と呼ばれて教えに行って、
 
真面目に学んだ結果、かつての日本と同じ品質のモノを海外でも多く作れるようになっているわけだから。
  
私たち日本人の技術を、「日本人だから」という理由で説明してしまうことは、
 
とんでもなく差別的で、恐ろしいほどにそれに無自覚だ、と思います。
 
だってさ、「日本人特殊論」って「神州不滅」と何が違うのさ?と(笑)

どちらかと言うと、「キャラ立ち」の理由を分析して、その有利度を活かす…
 
という方向性がより正しいアプローチじゃないかな、と思うんです。
 
私たちの国の製造業は、非常に強い競争力を持っていますけれども、
 
弱点もある。だって別に特殊な国じゃないもん。
 
これは別に私たちの国に限ったことではないのだけれど、
 
やはり、私たちの国の技術者にも色濃くある。
 
それは、
 
「視野が狭い」
 
ということだ。
 
良く言えば「職人肌」、悪く言えば「視野狭窄」。
 
例えば、世の中の製造業が、水泳競技だったとしよう。
 
誰よりも速く、効率的に泳ぐためにその技を磨き、力を蓄えて来たとしよう。
 
その姿は、美しい。
 
でも、突然言われるわけだ。
 
「アレ?何で裸なの?これからはバスケだよ」
 
…どうすんの?(笑)と。
 
もちろんこれは極端なたとえですけれど、そういうことって実際に起きてます。
 
「精度!歩留り!納期!コスト!」
 
安く!早く!間違いなく!…そうじゃない、それとは違う基準を要求されてしまったら…
 
バスケットコートで、海パン一丁、ゴーグルまで付けたマヌケな姿で立ち尽くす…
 
わけですよ(笑)

または、泳いで泳いで陸に上がってゴールだよ… と思ってたら、突然他の選手は自転車で走り出したりね(笑)
 
そういう価値基準の大転換期に、どうしても脆弱な姿をさらしてしまうのが、
 
私たちの国の製造業が持つ最大の弱点だと思うんですよね…
 

これは、以下の事にとても良く似ている。
 
「議論が出来ない人」、これ。
 
貴方のその意見に反対だ、と言われるとそういう人の耳には、どういうわけか
 
「貴方が嫌いだ、貴方の人格を否定する」
 
と、聞こえるらしいんだよね(泣)
 
製造業者の、特に職人肌の技術屋さんって、こういう傾向があると思う。

そう、貴方が継続し、築き上げて来た技術は素晴らしい。
 
何もそれを否定するものじゃ、ない。
 
でも、その技術ではない、違う競争が始まったら…
 
やはりその技術は、相対的に価値を失ってしまうものである、と。

何にだって良い面と悪い面はあって、それは「職人肌」にもあるってことでしょう。
 
で。
 
今日はこの先が本題なんですけどね(長くてゴメン 笑)
 
そういう自分たちの弱点をキチンと見つめて、そうじゃない在り方を真面目に模索している
 
単に職人肌だけではない、職人さんたちも居る。
  
「これからの製造業は、精度と歩留りの良さだけじゃダメだ」
 
とか、なかなか製造業の現場従事者側から言えたものじゃない、と思う。

でも、それを言ってのけて、どう変われば良いのかを模索されている。


自己否定、とまでは言いませんけれども、現状認識が素直に出来るというのは
 
これから先、非常に強力な武器になると思います。

何も製造業の武器とは、技術だけではない。
 
技術を下支えしている、その「意識」こそが、重要な武器であると思う。
 
ぜひとも仲良くしたい。
 
そして、私たちの国が、最も「キャラ立ち」している2つの分野
 
「コンテンツ」と「モノづくり」

この2つが新しく出会い、互いの競争力を磨き合って進む
 
そんな文化を、つくりたいと、思う。


『すごいぞ!日本の製造業』

blog 『工業系3DCADモデリング日記』

何か、モノを作ろう…と考えたときには、ぜひ思い出して欲しいです。
必ずや、力になってくれるでしょう。
 

忙しいのだけど油は交換する

2009年09月14日 | □今日は休日
 
クルスの冒険です。
 
ブログの更新がイマイチ出来ない日々が続いております。
 
忙しい、ってことですね。
 
あと、文字数にして合計一万文字くらい原稿やら書類やらを書いていて
 
どうにもブログまで書く気がしなかった、というのもある。
 
文章を書くという仕事は、休日に家でも出来てしまうからかえって始末が悪い。
 
でも、こうしてスクーターのエンジンオイル、ギアオイルも交換したりする。
 
このスクーターは、ワタシの人生において初めてのスクーターなのだけど
 
普通のオートバイとは結構違う、どこに何が付いているか?にやっと慣れて来た(笑)
 
時間・距離で言えば大したことは無いけれど、
 
回数で言えば、このスクーターに乗る機会が今は一番多い。
 
他の大きなオートバイよりも、クルマよりも多い。
 
秋葉原で仕事をしていると、本当に色々な人が来てくれる。
 
ありがたい、と思っているし、それ自体とても楽しい。
 
でも、時々こうしてオートバイの整備なんてしていると、
 
…んー…実家、継ぐのも良かったかもなぁー…(←クルマ屋さん)
 
なんて、思ったりもする。
 
まぁ、現実はそんなに甘くなくて、クルマ屋さんも大変な商売なのだけれど。
 

あー、そうだ…
 
最近、エコカーなんて言い方で新しいタイプの動力を採用したクルマが脚光を浴びています。

「ハイブリッド」とか「EV(電気自動車)」とかね。
 
でも、その報道のされ方、一般の人の理解のし方には、
 
ワタシ、何となく承服できないことがいくつもあるんです。
 
そのうち、そのことも少し書いてみようと思ってます。
 
CAD/CAMなんてやって来て、良かったよ、と思うことは、
 
こうしてモノを作るよ、という時の事情を割と見晴らし良く見て、考えられることだね。
 
ワタシの今の結論としては、
 
「最もエコ(=環境インパクトの少ない)なクルマは、小さいガソリンエンジンを使ったクルマである」
 
というのと
 
「ヒト一人が移動する手段として、動力付き二輪車や三輪車を大量に採用すべきである」
 
と、いうものがあります。
 
デカいガソリンエンジンを採用したハイブリッド車が「エコカー」だと認知されているうちは、
 
「…まぁ、エコって皆さんそんなに深刻にやってないんだな…」
 
と、思っています。
 
何かを取るなら、何かを捨てなければならない、というのはよくある話で。
 
何も捨てることなく、何もかもを取ることが出来るというのは、
 
どこかにウソがある、ということは、確かにあるよね。
 
ワタシは、こういう移動手段にこそ、大幅な税制優遇と補助金を出すべきだ、と思っています。

まぁ、税金はもともと安いってのもあるから、それも優れてるんだけどね。
 
コイツに、屋根(と言うと格好悪いか、“キャノピー”で、どうだ?)が付いて、
 
ABSが付けば、大抵の移動はOKだろ?二輪に比べればずっと安全。
 
やっぱり、小さい車体と小さいエンジンこそが、
 
「今できる最良のエコ」であり、この先の効果も測定がし易い合目的的な選択だと、思う。
 
未来は、広がるだけのものではなく、ダウンサイズしていく未来…
 
というのも、ここに来てイメージされている、ってわけですよ。

キューブリックでも手塚でもない、未来。
 
宮崎駿は、『未来少年コナン』でやってるか。
 
あー…『ヨコハマ買い出し紀行』を、思い出しました。
そんな、未来のイメージ。

 
ヨコハマ買い出し紀行 1 (アフタヌーンKC)
芦奈野 ひとし
講談社

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皆さま、お疲れ様でした

2009年09月04日 | □アキハバラへようこそ
 
クルスの冒険です。
 
昨日は、「3次元形状を活用する会:3D-GAN」におきまして
 
・忙しい人のための3次元データ講座



・gan cafe'(REAL)
 
を実施しました。
 
人数を数えておりませんでしたが(あー…今回は写真も撮るのを忘れました…まぁ、いいか)
 
40人…?くらい?もっとですかね?

にご参加いただき、ワイワイ、とやりました。
 
いずれにせよ、事務局が手狭でご迷惑おかけしました。
 
講座の内容につきましては…
 
正直言って、大変です(笑)
 
何が大変かと言いますと、ご参加の方々、それぞれご存知の下地が異なりますから、
 
ある人にとっては「全くチンプンカンプン」
 
でも
 
ある人にとっては「何を今さら分かり切ったことを…」
 
になっちゃうからですね。
 
これがね、受講料としてのおカネをいただかない理由でもあるんです。
 
こういう問題は全ての講座で生じるわけですが、
 
ここ以外、他では全く行われなていない内容なので余計に設定が難しい。
 
で。
 
結論として、とりあえず受講料的なものはいただかないでやろう、と。
 
ただ、この場所がこうして在って(要するに家賃ですね)
 
高価な機材が負担少なく使えるようになっていて(会員企業さんのご厚意です)
 
とても有意義な出会いがあって(人に会えるって、すごく価値があると思います)
 
有意義な情報が取れる…(これも、とても価値があると思います)
 
というこの環境は、
 
「3次元形状を活用する会:3D-GAN」の主旨に賛同して、会費をお納めいただいている
 
・会員企業さん
・特別会員さん(奥に自分専用の机をお持ちの方々で、一般に比べ会費は高くなります)
・個人会員さん
 
の支出によって、賄われています。
 
足りないところは、目下ワタシ個人のリスクで全て運営して来ています。
 
本当です。いつか、トントンになったら良いなぁー…と、いう感じですね。
 
色々と至らないところもあるとは思うのですけれども、
 
「これは価値がある」
 
と、ご判断いただきましたら、是非とも正式にご入会ください。
 
お願い申し上げます。
 
ということで、
 
…はぁー… 一週間って早いなぁー…(笑)の、金曜日です。

 

家庭教師ヒットマンREBORN!も、3Dデータでね

2009年09月03日 | □アキハバラへようこそ
 
一気に夏らしさが抜けてしまった東京…
 
まぁ、ここ何年も暑い夏が続いていましたから、こんな夏もあるでしょう。
 
今日暑かった涼しかった、という話と、地球温暖化という話は分けて考えないといけません。

さて

以前、こちらの3Dプリンタ(RP機)で出力して差し上げたのですが・・・
 
コスプレ趣味をサポートする3D形状データ、の話。
 
立体出力したモノ、それに着色して持って来てくれました。
 
いやー…楽しい。
 
「これで、いいの?」
 
と訊ねたら、これでいい、イメージどおり、だそうです。

「もうちょっと表面がツルツルだったら…」
 
って感想もありましたが、狙ったところの80%とか90%とか、
 
そういうレベルでご満足いただけたようで、何よりです。

3D形状データさえあれば、まぁ3~5千円の間くらいの価格でカタチになります。
 
お値段は、体積によりますね。
 
もちろん、作家さんの権利を守る版権、というところは細心の注意を払って行かなければなりませんが、
 
3D形状データって、こういう楽しみ方もあるんだ…
 
という分かりやすい例でご覧いただければ幸いです。
 
要するに、3D CGとか、3D CADっていうのは、それ自体には誰も特に関心を払わない。
 
あたり前、だって道具(=手段)だから。
 
でも、その道具で何かを作った結果、というのは強力に興味を引く対象になる。
 
それが目的だから。
 
手段というのは、目的側の要請によって充実して行くべきでしょうね。
 
手段の仕事に、広がりがなく閉塞感が満ちているのであれば、
 
それは、目的を既に達成してしまっているからなんだと、思います。
 
又は、新しい目的を達成できるほど優秀な手段ではないから、
 
ということかと。
 
こういった感じで、
 
「何をモデリングしていったら、3Dデータは喜ばれるのかなぁ…???」
 
と、日々考えております。
 
早く、「目的側」から
 
「スミマセン、これって、3D形状データでやれないですかね?」
 
と、たくさん訊ねられたいものです。
 
今日は、夕方から「3次元形状を活用する会:3D-GAN」事務局で
 
缶ビールを飲む集まりです。
 
gan cafe'(REAL) 18:30くらいからスタート。
 
突然のお越しも、歓迎です。
 

DIME(ダイム/小学館)に3D-GAN取材協力しました

2009年09月01日 | □アキハバラへようこそ
 
クルスの冒険です。
 
「直撃!」のはずが、割とすんなり台風が通過してくれまして台風一過の東京です。
 
どうでもいいけど、「タイ風一家」だったら…ヤだな… 毎食辛そうだ(笑)
 
さておき。
 
駅の売店でもコンビニでも買える『DIME』(ダイム/小学館)って雑誌はご存知ですか?
 
そう、隔週発売で新製品や新サービスを紹介しているメジャーな情報誌です。
 
結構読むところが多くて、電車通勤にいいアレ(笑)
 
その『DIME』(ダイム/小学館)、9月1日発売の最新号(2009年 18号)に
 
「3次元形状を活用する会:3D-GAN」で取材協力した記事が掲載されました!
 
川口盛之助さんというコンサルタントにして作家の方が、ご自身の
 
「川口盛之助のアニメ的ものづくり論」という連載で採り上げてくれたんですね。
 
一度、秋葉原の事務局にもお越しいただいていて、
 
「コンテンツ性のあるモノづくりが大事」というお話で盛り上がりました。
 
ワタシは、このブログでもずーっと書いて来ていますが、日本の製造業について、技術の心配は意外としてないんです。

ワタシ、意外と心配してませんよ。
 
優秀なる我が国の技術者の皆さんは、「動機」を用意さえすれば
 
大変好ましい結果を出してくれます、大抵の場合。
 
こんなに優秀な技術者を、これだけの数揃え、しかも互いが信頼関係で結ばれている国なんて、そうはない。
 
じゃ、何が問題なんだ?といいますと…
 
「発想と営業」
 
が、ダメ過ぎることです。これ、最大の欠点。ホントにダメ、絶望的に苦手。
 
実例はクドクド言いませんけれども、技術があることに安住してしまっていて、
 
過剰に「受け身」であること、「受動的」であることが最大にして命取りになりかねない欠点です。
 
で。最悪の場合、その技術において模倣されたり追い付かれたりしてしまうと
 
もうどうしようもなくなってしまう。
 
確かにある特定の技術というのは、そう簡単に真似できるものではないですが、
 
技術だけで逃げ切る、ということは本当に大変なことだと思うのです。
 
技術者が技術者であるが故、なかなか実感できないこととは、
 
「模倣が困難であるのは、技術よりむしろ発想だ」
 
ということなんじゃないでしょうかね?

製造業における、いわゆる大企業というものの競争力には、色々あります。
 
その多くは、規模の経済性(資金力や設備、量産効果などですね)として了解されているものですが、
 
ワタシはちょっと違う見方をしています。
 
大企業って、ヒトが多い。ヒトが多いことの弊害も数多いのですが、良いこともあります。
 
それは、「いろいろな人がいる」ってことですね。しかも全ての世代がそろってる。 
 
「そんなの当たり前やんけ」と思われるかも知れませんが、これって、すごいことです。
 
ヒト一人の意識は狭量で、知識も経験も偏りがちですし、何より長所・短所がある。
 
つまり、一人の中で「発想もし、技術もあり、各世代の気持ちになれる」とうことは、とても難しいんです。
 
そんなスーパーマン、そうは居ない。
 
だから、違う発想と技術を持った、各世代の人が得意技を出し合ってやっていける…
 
そういう規模性が、大企業の持つ最大の武器なんだと思うのですよ。
 
まぁ、逆に言うと、「同じ様な発想と技術の人が沢山居ても、あまり意味がない」ってことになる訳ですが。
 
「そんなこと言ったって… だって少人数だもん」
 
そう、そうなんですよね。じゃあイキナリ発想しろ!だの、人数増やせ、ってわけにはいきません。
 
そのとおりです。
 
だから、
 
「外に出て、自分とは違う知識と経験を持った人たちと交わる」
 
ことが、どうしても必要になるのです。

極めて一般論的ですけれども、技術者・職人気質の人って他人の技術を評価できない、という欠点があります。
 
言い換えれば、自分の技術や適性を自分自身で狭い所に閉じ込めてしまう、ってことです。
 
その時に用意されている言い訳が、「オレぁ職人だから」「ワタシ、技術者ですから」ですね。

あのね… 全く自分とは異なる他人と交わることは、誰にだって苦痛なんです。
 
不慣れなこと、不慣れな人というのは、誰だって面倒なものなんですよ。
 
それを、何の苦労も抵抗もなくヒョィとやって見せる人…って居ますよね。
 
まぁ、元気で愛想のいい営業さんとか、ね。
 
そういう気質や性格は… ハッキリ言いますけれど、生まれ持った適性だけじゃないですから。
 
努力と工夫によって培われた、一種の技術ですから。
 
しゃべりが上手いことや、コミュニケーションに長けていることを、
 
舐めちゃいけない。
 
嫌な思いも、辛い経験もして、工夫もして、経験を積み重ねて来たから
 
全く知らない人とでも、お話できるんです。
 
我が国の場合、複数の才を持った人をいま一つ素直に評価できない風潮があるように感じます。
 
例えば、社交的な技術者や、弁の立つ職人、ということです。
 
コミュニケーションや発想と技術は、何も背反するわけじゃないから。
 
そういう人って実際には居るんですよね。
 
そいう人は、 「トクだよなぁー…」 と言いたいところですけれども、違います。
 
そういう人は、努力と工夫に見合った有利度を手にしている、ってことなんでしょう。
 
「外に出て、自分とは違う知識と経験を持った人たちと交わる」

その中から、我が国の製造業のこれからが生まれる…
 
と、ワタシは固く信じています。
 
だから、「3次元形状を活用する会:3D-GAN」をやってます。
  
これが、今、そしてこの先必要とされる業界団体の姿です。
 
ワタシ、我が国の製造に携わる技術者も職人も、大好きです。

だから、頼むから、少し、変わって欲しいと思うのです。
 
「3次元形状を活用する会:3D-GAN」は、「変わりたい」と思っている皆さんを歓迎いたします。

 
オタクで女の子な国のモノづくり (講談社BIZ)
川口 盛之助
講談社

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