さて、すなみさんからの話題の提起がとても面白いものだから、
頭の中にあるものを、クルクルと送り出してみたいと思うですよ。
最初に言っておきますが、この場合、3Dが指すのはCADなのかCGなのか?という分類はひとまずどうでもいいと思う。
なぜならば、最終的な目的が違うというのはあってもPCのモニターの中で
立体の形状を定義するという行為で見れば、どちらも本質的には一緒だからだ。
(そもそもCADというのは、CGの一分野なんだからさ)
それと、PCのスペックや3Dソフトの機能については相手にしない。
なぜなら、それらはもう十分に安価で、機能的にもさほど不足ないからだ。
いや、売り方や価格、機能というのは「市場状況」が生み出すものだから、変化の余地はある。しかし、今と、これから先は製品が市場状況を変えていくことはもう無理で、市場状況の変化があって、それに対応したより良い製品が生み出されるだろう、とワタシは考えているんだね。このニワトリ・タマゴは決着していて、もう明確に市場状況の変化が先だ、と思ってます。まぁ、順番の問題です。
一応テーマ的なものとしては、
「ところで3Dモデリング人口を今よりもっと増やすにはどうすりゃいいのか?」
これ。
なんとまぁ、遠大なテーマだこと(笑)
PC前とPC後っていう時代の大枠で見ても、3Dモデリングはかなり特殊なものだと思う。それは、3D以外の適用業務(アプリ)は、PC以前にも必ず全く同等のものがあったからだ。
チラシを作ることも、写真を撮ることも、音楽を聴くことも、通信は電話や手紙、Faxで、ワープロは写植という方法で、そして設計は製図を描くという形で、ほとんどの行為がそれ以前から存在していた。ゲームですら、ボードゲームはPCやゲーム機に置き換えただけ、というものは数多い。
PCが誕生しても、それらの行為をPCで(=デジタルで)置き換える…ということに過ぎなかった訳だね。
言い換えると、従来からある行為を「これはPCで置き換えられるだろう」というトライを重ねることがアプリケーションソフト開発の主流であったと言ってもいいと思う。
ところが3Dモデリングって、それ以前には全く同等というものが無かった行為なんですね。
ただ、粘度細工や工芸や工作が、PC以前の3Dモデリングに相当するんじゃないか?という見方には賛成です。
ただし、これは年賀状のカラープリンタに相当する機能、つまりRP造型機、3Dプリンタの登場と普及が絶対条件でもあるわけです。
あ。ごく普通の人って、今でも3Dモデリングと製造っていうものの結びつきを、ほとんど理解できていませんからね。
これ、本当ですよ。ホントに分かってないです。
だから、例の立体プリンターなどをTVで見た時に、とっちらかった理解になっちゃうんですよ。もうね、脳内パニック(笑)
「すげぇええええっっ!」てね。
3Dデータと製造の関係が大枠理解できている人は、あまり驚かない。驚いたとしても、至って的を射た驚き方になりますね。
そっからして、今の状況はダメなんだ。
CG映像としては、なんだろう?アニメ、か。自分でアニメ作る、って行為。これがPC以前に存在した行為でしょう。
それにしても、これらは、年賀状や写真に比べれば身近な行為ではなかった。だから、3D CGやCADは目新しかったわけです。
同じ理由から、設計部に3D CADが普及するのは大変に手間と時間がかかったのですね。これは従来のドラフター(製図板ね)を製図のCAD(2D CAD)に換える時の比じゃないくらい面倒なものでした。
従って3Dモデルを作る・使うという絶対的な機会は、どんなに普及しても写真や音楽や年賀状よりもずっとずっと少ないし、今後もそれらを追い越すことも無いだろう… と、私も思っています。
でも、それだからといって、それにしたって…
あまりに少ないだろう… もっと増やせるだろう…増やしたいな...と思っておりまして、
ではどこに問題があって、どうすればいいのだろう?と、考えを進めて行きましょう。
ワタシなりの結論から言うと、
「3Dモデリング人口を増やすには、PC以前からあった行為の置き換えとしての普及を目指すべきである」
そして、
「3Dモデリングの場合、PC以前からあった行為とは、アニメ映像制作と模型、工芸じゃなかろうか?」
となります。
3Dモデリングが置かれた状況を理解するには、マンガや模型と比べることで非常に際立って来ると思います。3Dモデリングの世界には、他の分野には存在するクリエイターの階層構造がほとんど無いってことだ。
マンガは、頂点とも言える鳥山明先生クラスの作家を頂点にして、自分では描かないまでも購入はする、という読者までの間が、膨大な数のクリエイターで埋め尽くされ、それが重層的な階層を持ち、巨大なピラミッド構造になっている。
趣味でマンガやマンガ絵を描く人というのはベラボーな数が居て、(コミケを見れば説明するまでもない)様々なジャンルを相手にし、様々な技術で巨大で複雑な階層を作っている。
これは、マンガに比べたらとても小さいけれども、模型の分野にも当てはまる。
頂点が一般に原型師と呼ばれる人たちであり、模型メーカーであるとすれば、底辺がキットや完成品を購入するだけの人、ということになる。底辺と頂点の間にはこれまた重層的な構造があって、クリエイターのグラデーションを成していると思う。
もうお分かりだろう。
3Dモデリングには、どうにもこの階層が存在しない。もしくは非常に薄い。
そしてその階層の貧困が、全体の市場として大きくなれない一番の原因に違いない。
これが、ワタシの見解です。
ゲーム、CG映像、模型、フィギュア、工業製品などを消費する層を底辺として、頂点である、実際に3Dモデリングをする層というのは、ほとんどが職業としてやっているか、玄人裸足のいわゆる「神」的な人ばかりで、頂点から底辺にかけての階層がほとんど存在しない中抜けの構造になっています。
コミケやワンフェスを眺めると皆無とは言わないですが、マンガや模型に比べたらやはり階層はスカスカだ、というのが妥当な理解でしょう。
この、「クリエイターとしての階層の無さ、薄さ」が絶対的な人口の少なさ=市場のサイズの小ささを決定付けていて、ソフトが売れない、サービスが始まらない、新しい商売をつくれない… ことの決定的な要因だと信じてます。
逆に言えば、これをマンガや模型のような構造にすることが、ソフトが売れ、サービスを始められ、新しい商売をつくり出せる… 状況にすることになるでしょう。
一筋の光は、ある。
それが、生誕一周年を過ぎた『初音ミク』の存在。
ただし、「初音ミクが救ってくれる」というんじゃ、ない。
初音ミクの登場が見せてくれた状況の変化、というものをスタディすることで、次を考えて行こうよ… という意味。
そういう意味で、16歳のボーカロイドの彼女は一筋の光だ、という事です。
ここから、次の事を考えてみたいと思います。
初音ミクについては、皆さんが知っているという前提で話を進めますよ(笑)
分からない人は、調べてくださいね。
…つづく
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