3D CG, CAD/CAM/3Dプリンタ な日常でつづる クルスの冒険ブログ

このブログは引っ越しました!引っ越し先は…「とある思索の集合演算」と検索してみてください。よろしくお願いします。

3D-GANのイグニッション、W.G.G.始動

2007年10月27日 | □檄文
 
クルスの冒険です。
予想だにしなかった台風の週末。大雨の午後です。

えぇとですね…クルスの冒険に対しては
「なんか色々やっているようだけど、何をやってるのかよく分らん…」
という感想をお持ちの皆様もおいででしょう。
…光栄です(笑)。いや、ホントに光栄。

そういった感想をお持ちの向きはワタシが思っていたよりもとても多く、驚いています。最近なにやってるの?という質問に
「最近ですか?ええと色々準備しつつ、一人で出来ることをやってますよー」
と答えると、決まって
「ソフトは何売るの?○△CAD?、CAMは?△×CAMやるの?どこから引くの?」
そういうご質問を頂戴するんですね。まぁね、わからんでも、ない。

クルスの冒険の仕事の核になっているのは、CADやらCAMやらを売るという仕事で培った何かであることは確かです。一緒に仕事をする仲間にも同じバックグラウンドが必要であることも、確か。
CADやらCAMやらのソフトも、そりゃ売りましょう。買っていただきたいです。
でもね、そういう仕事は分り易いけれどもクルスの冒険の本質ではありません。
そういう意味では、一般に広く了解されている「CAD/CAM業界」にはワタシはもう居ないかも知れませんねー… まぁ、それで結構。

その範囲は、もう狭い。

狭くちゃ何がいけないのか?と訊かれたら「その範囲では、20年は食えない」と、だけお答えしておきましょう。我々の業界、「CAD/CAM業界」の何が問題って、それこそが一番の問題なんだ。この業界での経験があればあるほど「あと10年食えるかな…?」という疑問を持っているはずだ。でも、経験があるほど、そこに一切対処が出来ない。ところが専門性が高すぎて、若い人材を入れて来ていないものだから対処すべき発想は今後も出ないだろう。

革新的な機能を持ったソフトが海の向こうからやって来て(または作って)、それをいち早く潤沢なユーザ数を抱える国内の製造業者に提供すれば儲かる… というビジネスモデルは、今後は成立しないはずだから。なぜなら、「革新的な機能を持ったソフト」と、「潤沢なユーザ数」という重要な要素が欠けてしまう公算が大きいからだ。

実際には、まぁ10年くらいは食えるだろ、とは思っていますけどね(笑)
そうそうカンタンに落ち目にはならない。その危機感を扇動するつもりもない。
でもね、活力を失って行くだろう10年に、寄り添って過ごして行くことに多分ワタシは我慢が出来ない。
それだけだ。そのうち、理解される時も来るでしょう。

さて(うわ、前置きなげー)。

ここのところ「3D-GAN」の話題を続けてしていますが、徐々に具体的活動になって来ました。
「3D-GAN」は、3D産業という現在よりも大きな括りでこの業界を考える業界団体を目指している訳です。「3D産業」と、括りを大きく考える時、機械やソフトといったそれぞれの要素が、それぞれに重要な役割を持つのですけれども、最も重要な位置を占めるのは「3Dモデリングをする人たち」になるのだと、思っています。

なぜなら、いくら立派なソフトがあろうが、素晴らしい精度の機械があろうが、超絶優れた加工技術があろうが、3D形状データが無い事にはそれらを生かしようが無いからです。3Dの形状データが無くてもモノは、まぁ作れますけど、ほら、ここは
「3D形状を活用する会」なわけですからね(笑)形状ありき、ということなんですね。

重要か重要じゃないか?という比較の問題だと語弊がありますね…
そうじゃなくて、3D形状をつくる人が「イグニッション(点火装置)」なんだ、という表現が適切かも知れません。彼らが居ないことには火が着かない。
そして、「3D-GAN」の中で3Dモデリングをする人たちがソフト屋さんや加工機メーカーさんと大きく異なる点は、仕事の単位が小さい、ということです。
モデリング仕事をしている人々の単位は小さく、個人やせいぜい5人くらいまでの単位がとても多いんですね。

順番の意味からも、単位の意味からも「3D-GAN」は3Dモデリングをする人たちを特別枠でとらえる必然性があるのです

「3D-GAN」の存在意義を端的に表す意味でも、その下部組織である「W.G.G.」の充実は欠かせません。なにより、「W.G.G.」に所属していただく3Dモデラーの皆さんがハッピーになることが、最も優先されるべき事でしょう。

で、だ。

『第零回 Wonder Geometry Guild(W.G.G.)会議』
を開催します。今回は飲み会じゃないので(笑)、公募の形は取らずクルスの冒険からお誘いのメールを送信いたします。それに返信いただくことで、お申し込み…となるわけです。

「心当たりのある方」は、今週末メールをお送りしますのでお楽しみに。
是非、ご参加ください。

「心当たりはないけどさ、3Dモデリングで食ってるから興味あるんだよね」
というアナタ、そうアナタだ(誰だ?笑)
「関心があるから、ちょっと顔出して話を聞きたいんだよね」
というアナタもだ。

もしそんなキモチがあるようでしたら、このブログにコメント入れてください。
参加希望のコメントの分だけ、席を用意しておきます。会議と懇親会があるので、出来ればセットでご出席ください。懇親会はムリ!という方は、その旨コメントにご記入くださいね。

おっと、この手の記入は、HNでOKですから。本名でなくとも大丈夫です。
メディアの方はー… どうだろ?(笑)… 関心おありになれば、一言、「取材です」と書いていただければ助かります。顔写真はお断りしますね、ほら、「W.G.G.」って秘密結社だから(爆)ブログで宣伝してる秘密結社(笑)。

いずれも、お気軽に。
追って、このブログで詳細をお伝えいたします。

期日: 11月15日(木)
時間: 16:00~18:00(会議)
    18:00~20:00(懇親会)

場所: 秋葉原の某所(お誘いメールには書いてあります、ブログでは後日)
費用: 会議は無料 懇親会会費(実費で約5,000円程度を予定)

お申し込み: お誘いのメールを受信された方はメールにご返信ください。
       ブログを見て…という方は、このブログにコメントをどうぞ。
       もちろん、HNでの記入可。

お問い合わせ: tklsoma@gmail.com

皆様のご参加を、心よりお待ち申し上げております。



ASIAGRAPH まとめ

2007年10月15日 | □檄文
 
クルスの冒険です。
『ASIAGRAPH2007 TOKYO』…無事に終わりました。
さすがに4日間ブースに立っていますと、疲れました(苦笑)
でも、忙しい中を縫って手伝いに来てくれた人の事を思うと、そんな事も言ってられないね。
皆様に感謝しきりです。ありがとうございました。

それと、「3D-GAN」のブースにお越しいただいて、このblogを読んでます、とおっしゃっていただいた人もいらして…もう、ありがたいやら恥ずかしいやらです。
元気出ました。ありがとうございました。

ブースも結構な注目度で、3D CGからモノを作ることが出来る、という一点突破のメッセージで、とても多くの人が「知らなかった→知った」という発見のある機会になったようです。

これは本当に狙ったとおりのヒット。だって、CGの集まりでは非常に多くの人たちが3Dのデータはすでに作って持っていて、理解も深いわけだから。そのすでに持っている3Dデータの出口として、モノがあるよ、というだけのメッセージは実に理解が早い。

キッズデザインの所でも書きましたが、ワタシは何もRP造形機を売りたくて、それだけのためにRP造形機を毎度担いで行ってお見せしてる訳じゃない(あー、そりゃ買っても欲しいですけどね)。そうじゃなくて、3Dでモデリングする、という意味を端的に理解していただきやすい道具だから、RP機を使っているんです。
 
で。

総括というほとじゃないのですけど、軽いまとめとしまして。
今回ブースで展示をして、ステージでプレゼンテーションをした「3D-GAN」と、その下部組織である「W.G.G.」の構想について…

「結構、興味を持ったり賛同してださる人達が居るもんだ!」

ということを確認しました。これ、本当です。(ホント、良かったよぉ…)
ただ、同時に

「興味を持っていただいたり賛同してくださる人達は、その人達の会社でも唯一、もしくは非常に稀な存在である」

ということも確認しましたね(笑)

なんちゅうかですね… 不遜な言い方かも知れませんけれども、そこまで至って無いのね、普通は。いやいやいや、本当に生意気な言い方かも知れないのですけど、そういうつもりじゃなくってですね。単に、情報・知識・思考の果てに「至ってしまっている」というだけの話として、です。

考えようによっちゃ、ここまで考えが「至ってしまっている人」は、周囲と段階がズレてしまっていて、ちょっと大変かも知れない、と思うほどだ(あ、自分もか?)。

3DのCGとかCADとか、散々見て利用して、その本質が分かっていて、
「あ、なんだ、こういうことじゃん」
と分かってしまっている状態は、周囲の状態とは大きく異なるかも知れない、という意味です。

これを周囲に説明するのって…結構大変だと思う(あ、自分もそうか)。

故に、周囲に分かりやすい段階の話をする必要があるでしょうし、周囲の人達にある程度歩調を合わせて思考のステップを一緒に踏む必要もあるかも知れない。
(その第一ステップが、RP造形機をまず見せる、という事なの)

やがて同じ理解の段階に至るのだとしても、そこまでの段階を歩調を合わせながら歩かないといけないでしょう。
 
そうは言えど…
「段階を追って理解しさえすれば、皆が同じ理解に至るはずだ」
という確信めいたものがあるのもまた事実。
 
そんな中で、「3D-GAN」その下部組織である「W.G.G.」の構想に興味を示し、賛同していただけた人に出会えたのは、大変な前進だった、と思うのです。

そして、自社の中で周囲の人々に理解をしていただきながら理解のステップを踏んで行くような動き方を、社外の人々と共に考えて行く… 社外の人々の知恵と技術と出来る事を使ってやって行く… 「3D-GAN」は、そういう業界団体になれると良いなぁー…なんて考えているわけですよ。
 
クルスの冒険は、始まったばかり。
 
 

一見の価値あり

2007年10月11日 | □檄文
 
ASIAGRAPHの準備も整いました。
色々な人の手を煩わせ、助けてもらいながら、何とかここまで来られました。
皆さん、ありがとうございました。

満足度としては、…自分じゃどうしようもない想定外の事も起きたり、一人ではなかなか仕事のクオリティが上げられなかったりで、あまり高いものじゃない部分もあるのですけど、まぁ、こんなもんだろう(笑)いやぁ社員が居るって状態は素晴らしい…もちろん分かっていたつもりでしたが、骨身に染みてよっく分りました。

その中でも、画像の作品…

左側がCG、右側がそのCGの3DデータからRPで立体出力をして、さらにCGの作家さんによって着色とディティールアップをされた作品です。手仕事が光ってます。

こういうのを見ると、やっぱり3D CGをやっている人の中には是非とも工業デザインやモノをつくる側の仕事に関わってほしい! という人が居るなぁ…という思いを強くします。もちろん、立体造形作品としてそれ自体が評価され、買ってもらえる…というのもアリでしょう。
 
明日から(明日はプレスデーですが)のASIAGRAPHは、そんなお話が会場にお見えになった皆さんと出来るといいな… と思っています。

画像のCG、それとオブジェ作品(くどいようですが元は同じCGデータです)は…
岸啓介氏の手によるものです。CGの画像ももちろんですが、元々立体造形の活動をして来た作家さんがCG+CGからの立体出力を使うと、本当に可能性が広がるものだな… と強く感じました。

 「岸啓介氏」←ぜひご覧ください

…それと、「特撮CG映像」と、その「特撮に登場する模型」が同じ3Dデータから出来ている… という事例も出ました。制作の方々に許可を取らないことには作品名すらお話しできませんが…

… 要するに、そういうこと、なんです(笑)

3Dの形状データにとっては、映像・画像・ゲーム・モノ(模型などの物体)… というのは出口の違いでしかなく、1つの3Dデータから映像・画像・ゲーム・モノが作られる...という世界はすでに始まっているんですね。
 
映像・画像の人達は、モノを作る技術力へ。
モノが作れる人達は、映像・画像の世界の想像力へ。

3Dの形状データによって、お互いが刺激し合える環境が出来たら…
面白そうだよねぇ、 と、まぁそういうお話。

モノを作る人たちも、映像・画像・ゲームの世界の造形力を見逃す手は無いですよ。
だって彼らは、すでに3Dのデータで形状を表現しているんですから。
 
魅力的なカタチが、画像・映像・ゲームの世界からダイレクトに、工業デザインや製造の世界に入って来たら... これは、面白いだろう! と、思いませんか?
 
 
 

ASIAGRAPH で待ってます

2007年10月06日 | □檄文
 
いやー…ご無沙汰しちゃってます、クルスの冒険です。
えーっとね、ちょっと疲れてます(笑)
疲れちゃいるけど、とりあえず朝日は昇るようだし、腹も減るし、眠くもなる。というか、眠るには最高の季節になって来ました。

それは、うん。十分元気だってことだ。

さて、イベントのお知らせです。
(事情を知る向きには驚かれるのですが、多くの事を“継続”しています)

来る10月12日(金)~14日(日)の3日間、アジア最大CGアートのイベント
『ASIAGRAPH 2007 in TOKYO』が開催されます。CGアーティストが一堂に集うだけでなく、CG映像制作やゲーム制作会社さんなんかも多数お集りになる最大級のイベントですね。あの映画の制作者の講演が聞けたり、押井守氏なんかも来るようです…
(プレスの皆様は、11日がプレスデイだそうですよ)

ワタシはここのところ、この準備でヒジョーに忙しかった…という事ですね。
このイベント、クルスの冒険は『3D-GAN』という業界団体の事務局役として動いています。

今回は、以下の企業の皆様からご協力を得まして、参加の運びとなりました(順不同)。

・Z Corporation 様
・グッドスマイルカンパニー 様
・住商情報システム株式会社 様
・丸紅情報システムズ株式会社 様

ご協力いただきました各社様に、心より御礼申し上げます。
そしてこの『ASIAGRAPH 2007 in TOKYO』が、いよいよ3D-GANとしての最初の活動となります。

で、その業界団体、『3D-GAN』とはナンダ?と申しますと…
『3D-GAN』というのは、3 Dimensional Geometry Application Networkの頭文字を取ったもので、「よいもの」が好きなテキサスの人とは関係ない(笑)。
日本語名称は、「3次元形状を活用する会」というね、本当にそのまんまの会、業界団体を目指して旗揚げする組織です。
その事務局を、クルスの冒険がやろうじゃないか、と、まぁそういう次第です。

前々から何度も言っていますが、映像・画像としての3D CGと、CADなどに代表される製造系の3D形状データは、本質的に違わない。にもかかわらず、互いの産業や活動領域に交わりはほとんどなく、背中合わせに立って互いが全く目に入っていないような状況なんですね。それが現在のパラダイムだと言うのは大袈裟でしょうか?

3Dの形状データ、という観点から見ると、実は「映像・画像」とか「モノ・製品」という違いは出口の違いでしかなく、データはほぼ共通…ということも言えるわけなんですよ、これが(もちろん、細かい違いはありますが、まずはそこを押さえておきたい)。

CADのものであってもCGのものであっても、3Dの形状データを介して、映像・画像・ゲーム…といったいわゆるCG系のお仕事と、工業デザイン・設計製造…といういわゆるモノづくり系のお仕事が結びつけるんじゃなかろうか?…いや、そうなったらきっと良い事も面白い事も起きるに違いない!

そうだ、「3D業界」という広い意味での「業界の再定義」が出来上がるかも知れない!
そんな事を考えてのことなんですね。

これは、商売上の勝算とか観測とはちょっと違う。
どちらかと言えば、そういう状況が現出することを最も望み、そんな状況になるのを最も見たい、と思っているのがこのワタシ、クルスの冒険だから… ということなんだと自覚しています。

もちろん趣味でやっている話ではなくて、「映像・画像」系の人々は3D形状データを介して「製造」に容易に関われるようになるし、逆に「製造」の人々は「映像・画像」の持つ創造性に関われるにようになる… 考えるだけで楽しくなります。

今回、CGアーティストさん達からお預かりした3D形状データをRP加工機で出力する様子をご覧に入れることで、ひとまず

「なんだ、CGのデータからモノが作れるんじゃないか!」

という、非常にシンプルな事実に、もっと多くの人達に気づいてもらおう!
という事なんですよ。(これ、ずっとやってるね)

色々と専門的、技術的、難しい事… そういうものは当然あるのですけれども、まずは、そこ!その一点に気づいていただいて、そこから想像したり発想したりし始めようじゃないですか… と。知っていただかないと、何も始まらない。

今回、「モノづくり系」から「映像・画像・ゲーム系」へのラブコールだと思っていただければ、それは正解です。

ワタシ、クルスの冒険は『ASIAGRAPH 2007 in TOKYO』のクリエイティブファクトリー会場に、居ます。全日程、居ます(笑)ステージでのプレゼンなんかもあるんですけど、そのクオリティには若干の難アリ、かもです(笑)とにかく、プレゼンの準備に時間が割けていませんから。

もちろん、仕事として居ますけれども、ちょっと心配をかけてしまった皆様に、「あ、何だ元気じゃん。しかも変わってないねー」
と思っていただけると、うれしいかなぁー…なんて、贅沢な事も考えています。

『ASIAGRAPH 2007 in TOKYO』で、お会いしましょう。
日程は、10月12日(金)~14日(日)場所は、秋葉原です。